第130話 ドローンを使って連絡を
俺は、村の様子が知れたのでドローンをさらに上空に上げて、高高度から村周辺の地理を把握しようと周りを観察していた。
「守様、あれは何でしょうか?」
一緒にドローン画面を見ていたダーナが俺に聞いてきた。
かなり遠くにはなるが、何やら違和感がある景色が見えたので、とりあえず、ドローンのカメラ倍率を上げて、その違和感のする方向を観察するもよく分からない。
近づけば、もっとわかるが……うん、忘れていたよ。
この画面はデータ処理されているので、画像を光学的だけではなく拡大ができるのだ。
そう、さっそくその画像の静止画を撮り、拡大させる。
その後にAIで処理させればもっとはっきりするだろうが、今はそれだけでも十分に役に立つ情報が得られた。
「おい、これってやばくないか」
「はい、守様。
これは巡回騎士でしょうか。
小部隊ですが、兵士が村に向かっているようですね」
「距離的には……まだ、30~40kmはありそうだな」
「途中で野営することになるでしょうから、村には明日にでも着くかと」
「すぐに無線で連絡して、できる限り早く村からあいつらを戻させる必要がありそうだな」
「すでにフランさんが」
フランがすでに上陸組に無線で状況を伝えていた。
上陸組からの返事も、村から出ることには賛成してくれたようだが、聖女の情報が得られたとかで、これからそちらに向かうらしい。
向かう方向的には、これからさらに山の方に行くらしいので、俺たちが見つけた小部隊とは反対方向になるから、フランは許可を出していた。
帰りが心配になるが、あの怪しげな小部隊とかち合わないように、俺たちが指示していけばそれほど危険は無さそうだ。
とにかく、指示は出していたので、ドローンの高度を下げてもう一度村の様子を見てみると、ソフィアが村人たちに上手に話を付けたのか、撤収準備にかかっていた。
これならすぐにでも村から出ることはできそうだな。
一度ドローンを戻そうかとも考えたが、まだ十分に活動できそうだったこともあり、もう少しあの怪しげな連中のそばまでドローンを飛ばす。
飛ばすと言っても、せいぜい数kmくらい近づくのがやっとだろう。
さすがにこの後40kmも飛ばして戻すだけの航続距離は無さそうなのだ。
それに何より時間もかかるしな。
あのドローンはせいぜい出せても時速で60kmも出せれば御の字なのだ。
だが、近づけただけの効果はあった。
小部隊の連中が掲げている旗が判別できた。
フランが自信なさげに言うには、あの旗から考えるに、あれは近くの貴族領の兵士だというのだ。
どうもこの辺りはその貴族領内になる村らしく、俺たちの様子に関しては定期的な巡回だろうから、見つからなければ問題ないらしい。
その貴族が帝国の支配を受けていることは明白だ。
心からなのか、仕方なくなのかでこの後考えられる展開が大きく違ってくるが、一番は見つからないことだ。
そういう意味では1日の時間的猶予ができたのは大きな成果だ。
ダーナには感謝しかないな。
俺からの連絡を受けた一行は割と簡単にその場を切り上げるのに同意したのか、一時間もせずにその村を離れて、次の目標に移動をはじめた。
次の村までの距離も知りたくて、そちらの方向に街道をたどりながら調べてみるとだいたい20km位か
だから、あの村にまで聖女の情報があったのだろうな。
とにかく、反対側に迫っている仮想敵との距離に気を付けながら見守ることにして、いったんドローンを戻した。
航続時間もあることだし、ある程度間隔をあけても、この世界での移動速度の遅さならば半日も明けても問題は出ないとは思っているが、念のために昼間は3時間ごとくらいで、ドローンを飛ばすことにした。
無線でも頻繁にやり取りをしているが、そろそろきつくなり始めているので、そろそろ最悪を考え、ドローンでの連絡も考える。
と言ってもドローンも距離が離れれば同じようにきつくなるが、一応ドローンは上空を飛んでいるので、かろうじて地上を歩く連中よりは条件的にもよくなっている。
日が沈み、あたりが完全に暗くなる前に聖女を探している者たちは情報のあった村に入った。
それを確認してドローンも戻して、しばらくは音信不通になる。
次は翌日の明け方にまではこちらから何もできそうにない。
夜間でも活動させることは可能だが、明かりを使えないので夜間活動は事実上不可能だ。
緊急時ならば明かりも使え、こちらから照明弾を打ち込めるので、何とでもしようはあるが、今は素直に待機するしかない。
ということで、我々も巡視艇内で、各自がシャワーを浴びて食事をさせて休ませる。
ここだけが現代社会の恩恵に預かっていると、すぐそばの浜で待機している騎士たちに対して少々後ろめたさはあるが、有るのに我慢させることはないし、我慢できそうにないので素直に使うことにした。




