過去の分岐点
ーー「そろそろ君についての話をしておこう」
ウライがそう言葉を溢すと、ユルは足を止める
「ボクについての、話?」
ユルは落ち着かない様子で言葉を返す
「あぁ。少し経ったらで良い」
「......わかった」
ウライがなだめるように声をかけ、ユルはまた足を進めた
(ボクの話、か......何か、あったかな)
考えを巡らせながら休憩していると、ふと、キジャラが近くに来る
「どうした?浮かない顔だな」
軽く言葉をかけるキジャラ。ユルは俯いたまま、伝える
「うん。さっき、ウライから「話がある」ってことらしくて。何か、引っ掛かるっていうか......」
暗い表情で話すユルに、キジャラは言葉を続ける
「そうか......だが、聞いた後、どう感じるかはユル次第ってところだ」
キジャラの言葉に、少し引っ掛かるユル
「キジャラも、知ってること?」
ユルは疑問を投げ掛ける
「まぁ、ある程度想像ついてる、ってとこだ。俺から上手く言うのは難しい」
「引っ掛かってるなら早めに行ってみてもいいかもな」
キジャラは質問に返し、言葉を続ける
「そうだね。行ってくる」
そしてウライの元へ戻るユル
「休憩してきた。話、お願い」
戻ってきたユルに、ウライは少し安心した様子で、言葉を出す
「了解だ。では、本題に入ろうか」
「ユル。君は誕生経緯がどのようなものか、君自身は知っていたかな」
ウライが訪ねると
「......知らない」
返すユル
「では、私たちが君を気にかけている理由は」
顔色を変えないまま、質問を続けるウライ
「......分からない」
徐々に不安な表情になっていくユル
「何。無理もない。率直に言えば、君は「未完成」の状態だからね」
ウライがそう言葉を出すと、ユルはハッとする
「未完成......?」
「すまない。言葉に語弊があった。存在の「欠陥」ではなく「成長」として、進行中という意味でね」
言葉を続けるウライだが、ユルはあまり追い付けていない様子
「何か、関係があるってこと?ボクが誕生したこと、気にかけてくれてることと......」
そう訪ねるユルに、ウライは話を続ける
「少し過去の話だが、君が生まれる際、私たちと厄災は大きく衝突した」
「お互いの理由、目的はーー」
ウライは少し躊躇い、言葉を発する
「君自身だ」
「......え?」
ユルは驚きを隠せない様子で、ウライに投げ掛ける
「でも、ボクは全然ーー」
「だが、力が大きく失われているとしたら?奴らとの衝突はそれだけで世界、存在への影響を与える」
「影響は君が生まれる際の「リンゴ」にも及ぶ。あとは、察しの通りだ」
「そうなんだ......ね......」
「......」
ウライが一通り話し終わると、ユルは下を向き、黙り込んでしまう
「誰だって、生まれに何かの衝撃があればそうなる。そして、私たちが守りきれていれば、こうはならなかった」
「......すまない」
謝るウライ。すると、ユルが、言葉を発する
「ウライたちは、「戦力」のために、ボクを気にかけてたの?」
「もし、リンゴが厄災に落ちてたとしたら、ボクは「敵」だった?」
ユルの疑問を投げ掛けられ、ウライも少し黙り込み、こう答える
「少なくとも私は、ユルを「個人」として見ている。厄災の話に関しては、立場上は敵になる」
「......そっか」
悲しそうな表情をすると、ウライが真剣な表情で続ける
「だが、これだけは覚えておいてほしい」
「本当に、君をただの「戦力」として見ていたなら、君のことはとっくに捨てている」
「私たちをどう思ってくれてもいいが、そこは忘れないでほしい」
そして、ウライは席を立ち、どこかへ行ってしまう
「......」
「難しいな......」
ウォンウォンウォン!!!!
ーー静寂、感情を押し潰すように警報が鳴り響く
「えっ!?」
ユルもあわてて準備を行う
すると、ノウがユルに駆けつける
「待ってください!この戦闘は防衛戦です!」
「奴らに拠点が突き止められました......!」




