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第26話 夜のアリス魔法学園。ようこそ不思議な不思議な鏡の世界へ……


 凄く恨むよ運命力さん。まさかこんな形でアレクシアを男装乙女にしてくるなんて予想できるわけないじゃないか。


 たしかに《乙女達は男装乙女に恋をします》のゲームスタートは主人公アレクシアが7歳の時にアリス魔法学園に男装乙女として入学するところからゲームはスタートするけどさ。


「シン君。ギュ~ッ! これでずっと一緒に居られるの~!」


「あっ! 駄目ですよ。アレ…ノエル様。ノエル様はその様な事はしないと。ノエル様の執事様から奪…お貸し頂いたノエル様成長記録には書いてありましたので。その設定に合わせないといけません」


「あっ! ごめんなさいなの。レイラちゃ…レイ君。ギュ~ッ!」


ミシミシ……ゴキゴキゴキゴキッ!


 ハハハ。アレクシアが無意識な万力まんりきの力で僕をぎゅっとするものだから。身体を治す為に『自動修復フルオート』がずっと発動しているよ。


 それと2人ともそんなバレバレの男装じゃあ直ぐに正体なんてバレちゃって。


 ……アレクシアもレイラちゃんこの1年僕ずっといたせいでボケボケホワホワな娘に成長しちゃってるじゃないか。


 なんだい? その自分の正体を全く隠そうとしないと姿は? コントなのかい? 今の時間が丁度8時位だからいつものメンバー全員集合しちゃったのかい?


「……アレクシア。そのままギュ~!ってずっとしていて下さいね。今、寮長を呼んであげますから」


「やっ! 私…僕はノエルなの。だからこのお部屋で暮らすのよ」

「は、はい。私もアレ…ノエル様の執事としてこのお部屋で暮らそうと思います」


 それって僕にいつも死亡フラグと隣合わせで寝食を共にしろって言いたいのかい? 2人とも。


 くっ! まさかこの2人がこんなに頑固に成長するなんて思わないじゃないか。一年前はもっと純粋で僕の嘘に簡単に引っ掛かって素直に従ってくたのに。


「駄目です。それじゃあ僕のいこいの場が無く……コホンッ……そうではなく。ちゃんとアリス魔法学園のルールにしたがって下さい。男子寮には男子生徒が。女子寮には女子生徒が住むものです。はいっ! ポッキーをどうぞ。お2人とも」


「それは嫌な……ハムッ!」

カリカリカリカリカリカリカリカリッモグモグモグモグモグモグモグモグッ!

「そ、そうです。私達はシン様と一緒にこれからも暮らしたいんで……モフッ!」

カリカリカリカリカリカリカリカリッハムハムハムハムハムハムハムハムッ!


 僕は2人に反撃の隙を与えない為に事前に用意しておいた自家製ポッキーを2人の口の近くに差し出すと2人は脊髄反射せきずいはんしゃでポッキーにかぶりついたよ。


「ムムムムムムッ!!(ずっとここに居るの)」

「モムモムモムッ!!(はい。私もです)」


 わ~! 何言ってるかさっぱり分からないや。男子寮の寮長を呼ぶにしても手と身体をギュ~っとされてふざれてるし。とりあえず転移魔法で2人を女子寮の前に置いていって……


「あー、もう外は夜なんでしたね。しかも8時位だなんて。失念してましたよ」


「モグモグ……ゴクンッ………どうしたの? シン君。ダンジョンに入った時の顔をしているのよ」

「モムモム……ゴクンッ……はい。普段のおふざけたシン様のお顔ではありません」


「レイラちゃん。僕はいつも真剣ですよ……それよりも予定変更です。2人とも。今日はこの部屋でになるまで僕と居て下さい。そうじゃないと何が起こるか分かりませんので」


「え? ずっとこのお部屋に居て良いの? シン君。ありがとう~なの!」


ギュ~……ミシミシッ……


 痛たたたっ! アレクシアの万力の力が僕の『自動修復フルオート』よりも少しだけうまわっているのかい?


「良かったですね。アレ…ノエル様。私達。この学園を卒業するまでずっとこの部屋に居られるんですね。シン様。私嬉しいです」


 ……可笑しいね。何で今日の夜居るだけって話が魔法学園を卒業するまでこの部屋に居るて話にりかわっているんだい?


「では今度からお2人がこの部屋に入れない様に対策しておきますね。それよりも今夜は絶対にもう外には外出しないで下さいね。色々と危険ですので」


「危険なの?(モグモグ)」

「夜のお外がですか?(モシャモシャ)」


 いちをゲートべる子達も選定せんていしておかないとね。


 僕達は入学式会場でこのアリス魔法学園のアリス生徒会長の攻撃を回避しているしね。


 ……多分。目をつけられてる。ホロウは多分僕側に近いみたいだから大丈夫だろうし。カレンティシアちゃんには僕が調教《訓練》をほどこしたララちゃんがルームメイトだから外に行くことはまずないね。


「色々と準備してから夜の鏡の国に行こうとしたんですがね。まさかあのノエルと言う子もあちらからの罠だったらするんですかね?」


「ん? 何の事なの? シン(モグモグ)

「さぁ? 分かりません(モシャモシャ)」


 2人ともポッキーをリスの様に頬張って食べているよ。流石だね。全くこの胆力たんりょく誰のせいで付いたのかな? ていうか最早もはや演技する気もないみたいだね。この娘達はさぁ。


「お2人共。ノエルさんをどうやって説得してこの部屋に来たのかは分かりませんが。ノエルさんの様子はどうでしたか?」


「どうなの? レイラちゃん。覚えてるの?」

「さぁ? 分かりません。直ぐに捕まえて裸になってもらったので。あっ! ちなみ私は近くに居た小さい執事の方からお借りました。シン様」


 ……この2人。去年よりワイルドになり過ぎじゃないかい? 全く誰に似ちゃったんだか。


「その服を奪って今着ているという事ですか? その間にノエルさんに何か変な事は起きていませんでしたか?」


 ノエルさんは入学式の会場に居た。つまり生徒会長の魔法の影響を直に受けているんだよね。


 そしてその時着ていた服はアレクシアが今着ているよがノエルさんの制服。


  《乙女達は男装乙女に恋をします》に登場する特殊ギミック『アリス』はこちらの世界の物体にとある特別なデバフをかける事ができるんだ。


「アレクシア。そのノエルさんの制服に違和感の様なものは感じませんか? もしくは何かポケットに反射する用な物が入っていれば僕に渡して下さい」


「ん~? 反射する用な物なの?……ならポケットにコンパクトな鏡があったのよ。シン君」


「鏡ですか? ではアレクシア。今すぐそれを僕に渡して制服も脱いで下さい。僕と一緒にお風呂に入りに行きましょう」


「うん。分かったの。直ぐに脱ぐの……」


 その瞬間だったよ。アレクシアが僕に手渡そうとしてくれた鏡から声が聴こえてきたのはさ。


『アヒヒヒ!! いや~! 駄目でしょう。そんな事させちゃア。それだと身体に呪いが染み渡らないじゃない』


 この声は夜の方の不気味な猫の声。しまった。もう手遅れだったみたいだね。


「……夜側の鏡の国へ招かれてしまいますね」


「へ? 何? シン君。制服脱いだのよ」


「では。そのまま僕の身体をギュ~っとしておいて下さい。アレクシア」


「うん。分かったのよ。ギュ~!」


 アレクシアは何のためらいもなく僕に抱き付いたよ。


「なっ! アレクシア様。ハ、ハレンチですよ。私もギュ~です。シン様~!」


 そして、何故かレイラちゃんまですっぽんポンになって僕に抱き付いて来たよ。いや君は脱がなくて良かったんだよ?


『アヒヒヒ!! アリス魔法学園の中で正気の3名様。不思議鏡国ミラーワールドにご招待~! アハハイヒヒヒ!!』


 ガシャンッ!!


 アレクシアが僕に渡そうとした鏡は部屋の床に落ちて割れて。その部屋からは誰も居なくなったんだ………



ズズズ………


『それでは良い死に方を……アヒヒヒ!!!』


 不気味猫は不気味な笑い方でスゥーっと姿を消して行ったよ。


 しかしこれは不味いね。非常に不味いよ。僕の場合は1年前から深夜にセイフライド領地のあらゆるパワースポット《呪われた場所》にいって呪いの耐性があったり。


 怪しい森でゴーブ君達マブダチ達と一緒に不思議なキノコや薬草を食べていたからほとんどの状態異常に耐性があるんだ。


(ゴブッ! ゴブゴブゴブッ!!!)


(凄いよ。ゴーブ君。まるで何かの中毒者みたいに不思議な茸を食べちゃうなんてさっ! お口から変なお汁が出ちゃってるよ~!)


 だけどアレクシアとレイラちゃんは高貴な子達。呪いや状態異常の耐性なんてまだできていないよ。


 久しぶり僕テンパちゃってるよ。どうにか対象してあげないと。このままだと衣服にほどこされてた呪いでアリス魔法学園に居る皆みたいに洗脳されちゃうってっ!


 たしかこのイベントで不気味な猫から呪いを受けた時の対象方は……うん。出来るね。あの本があって本当に良かったよ。

 

「シン君。ギュ~!」「シン様。ギュ~ギュ~です」


「アレクシア。レイラちゃん。緊急事態です。僕にお二人の身体のありとあらゆる隅々《すみずみ》で調べさせてもらいますから。先ずは足を広げて下さいっ!神器発動『妖精祭典』『誓書ホノリウス』」


「へ?……シン君。どうたの?」

「シン様。どうなされたんですか?」


 僕は矢継やつばやにそう告げると。僕の身体に引っ付いていたアレクシアとレイラちゃんを急いで引き離したんだ。緊急事態だから仕方ないね。


 『妖精祭典』で外部から邪魔が入らないよう極小の異世界を一瞬で作って。その中で2人の身体の隅々《すみずみ》まで調べて呪いを一刻も早く解呪してあげないといけない。もしかしたら後遺症も残るかもしれないからね。


「シン君……お痛はまだ駄目なの。シン君にお痛されるのは大好きだけど。まだ私達お若いのよぉ」

「シ、シン様に初めて乱暴されちゃいしました。レイラ嬉しいです」


 ………何でこの二人目がトロンとなって嬉しそうなんだい? 普通強制的にこんな恥ずかしい姿にされたら嫌になって。そうなるように命令した相手なんて嫌いになるものじゃないのかい?


「………後で首チョンパされても仕方ありませんが。これは2人の生死にも関わる事かもしれないんです。だから少し強引かもしれませんが調べて解呪させてもらいます。『誓書ホノリウス』よ。解呪の法を発動せよっ!」


(推しを救う為に……了解)


 僕はアレクシアとレイラちゃんの身体中をすみからすみまで徹底的に呪いがないか調べたんだ。緊急事態だしそれは念入りで真剣にね。


「………にゃ、にゃんだか。お腹の辺りがかゆいのよ」

「わ、私もでしゅ。アレクシアしゃま……お腹擽くすぐったいぃ」


「お腹? やっぱり魔力回路に直接何か植え付け様としてたみたいですね。お二人共待ってて下さい。今、治してあげますからね。精神回復ヒーリングっ!」 


 僕はアレクシアとレイラちゃんの身体を横たわらせるとお腹に手を当てて精神回復魔法の精神回復ヒーリングと『誓書ホノリウス』を2人に放って呪いを解呪し始めたんだ。


「ま、待ってなの。シン君。今は駄目なの。今はお腹が痒くて……それにシン君にこんなにしゃれたら私……シン君の事……もとだいしゅきになっちゃうのぉぉ!」

「わ、私もです。アレクシアしゃまっ!!」


 アレクシアとレイラちゃんは獣の咆哮ほうこうみたいな叫び声を上げていたけど。僕は2人の解呪に全神経を使っていたから2人が何を叫んでいたのか分からなかったよ。



「良く頑張りましたね。アレクシア。それにレイラちゃんも」


 解呪には成功したけど。何でか2人はとても気持ち良さそうな顔で僕の方へと倒れ込んできたよ。


「………もうシン君の所にしかお嫁さんに行けないのよ」

「そうですか。嬉しい事を言ってくれますね。アレクシアは」


 そしてアレクシアの頭を撫で撫でしてあげたよ。いきなりの解呪だったからかなり疲れたみたいだね。


「シンしゃま……私も全部シンしゃまに見られちゃったんで。これからはずっとシンしゃまにお仕えしましゅ」

「はい。ありがとうございます。レイラちゃん」


 僕の膝の上でぐったりしているレイラちゃんに声をかけてあげた。2人共凄く頑張っていたからね。


 ……それにしても。夜の鏡の国に無理矢理連れて来られるとは思わなかったよ。


 ある程度の準備を済ませてから朝の鏡の国に来る予定だったのにさ。


「アレクシア。ずっと裸では不味いのでこれを着て下さい。レイラちゃんは……見習いメイドさんなんで『冥土順序使女メイドオーダーメイド』をお渡ししますね」


 僕は収納魔道具から2人が着る為の服を取り出して2人へと手渡したんだ。



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