第23話 落ちこぼれな悪役令息は静かに生きいんだけど。それをピンク聖女と金髪エルフの娘がそれを許してくれないんだ。
入学式が始まると同時に《乙女達は男装乙女に恋をします》の主要登場人物達。主人公のアレクシア。
人気三大ドスケベエロインのララちゃんやホロウ……そして、僕と因縁があるカレンティシアちゃんが一列で入場する様はまさに生前のエロゲーマニアにして《乙女達は男装乙女に恋をします》をガチで極めた者からしたら最上の喜びの光景でさ。
脳内ではどこかの国の行進ソングのあれが脳内に流れてさ。ムハァーー! たまンねえ。この光景っ!!!とか勝手にテンション上げながら……
テンテンテッテッテンテンテンッテンッテテ~♪
テンテンテッテッテンテンテンッテンッテテ~♪
エロティカルパレードが脳汁ブシャーッで気持ち良く無限ループしていたんだ。
………それなのにそれなのにさ。まさかまさかこんな近くにさ。半年前位に闘って初めての戦利品を奪ったカレンティシアちゃんが居ると思わないじゃん。普通さ。
「うっ! 君を見ていると何だか吐き気と憎悪と苛立ちちと殺意が一気にわき起こって来るのは何でなのかしら?」
「さ、さぁ? 貴女とは初めてお会いするんで僕には分かりませね」
「ホァ?!……(このシン様のお喋りの仕方は猫被りモードの時の口調ですわね。でしたら私はシン様の妻役として合わせなくてはなりませんね。ドキドキワクワクですわ)」
それは僕がカレンティシアちゃんに会って直ぐセクハラの限りを尽くしてトラウマを植え付けたからに決まってるね。
そして、ララちゃんはさぁ。絶対余計な事をしようとするよね? 何で目がランランと輝いてるのさ。駄目だよ。変な事喋ったり変な行動を取ったらさ。後でお仕置きしちゃうんだからね。
僕はその事をララちゃんに向かって目で訴えてみると……
「了解ですわ。シン様……シン様の聖女としてしっかりと振る舞えばいいんですわね。お任せ下さい。シン様♡……シン様専用の聖女ことララ・エウシュリア・メレクトルクデスッ! 以後おみしりを……キャー//// カッコ可愛く自己紹介が出来ましたわ。シン・セイフライド様~! 私やり遂げましたの~!」
ちょっとっ! この娘。心の声が駄々漏れなんだけど。何? 僕専用の聖女って? 何て怠惰なモノマネ披露しているのさ。 そして、最後に何で力強く僕のフルネームを叫んじゃうんだい? ララちゃん~!
「……シン・セイフライド?……君まさかあの時の……」
ま、不味いよ。ララちゃんのお馬鹿さんな暴走がトリガーになって。僕が植え付けたカレンティシアちゃんのトラウマの扉が解放されちゃうよ。
そんな事になったら僕がカレンティシアちゃんと戦利品を奪った事がアレクシアやホロウに知られて血祭りにされちゃうじゃないかっ!
僕に暴力も振らない優しいアレクシアはともかく。セイフライド家の屋敷で平気で僕に暴力を振るってきたホロウは……僕に容赦なく制裁を喰らわせるだろうね。お兄様との一件もあるんだしさ。
「つっ!……君を真っ正面から見ていると本当に気分が悪くなるわ。撲殺したいくらいによ」
そりゃあそうだろうね。君には出会ってそうそうに特大のスキンシップをかましたんだからさ。トラウマにもなっちゃうよね。
「そうなんですか。それなら保健室にでもご案内しますよ。ララちゃんが」
「シン様っ! 何でですの? 私はシン様の正妻で夜な夜なあんな場所やこんな場所まで一緒に行った仲です。そんな方と離れ離れになるなんて嫌ですわ」
……駄目だね。この年中妄想期ララ《変態》ちゃんには僕の話を聞くという概念が欠如しているみたいだね。悲しいね。
「あの。そんなに苦しいのなら回復魔法をかけてあげましょうか? 少しは体調も良くなるかもしれませんし」
僕はカレンティシアちゃんに近付いて。最近無詠唱でできる様になった回復魔法をかけてあげようとしたんだけど。
「キャ、キャアァッ! 触らないでド変態。気分が更に悪くなるでしょう……ご、ごめんなさい。私ったら初対面?……の人に対して失礼な言葉を言ってしまうなんて。高潔なエルフ族として恥ずかしい振る舞いをしてしまったわ」
いや。君の反応は正しいよ。だって出会って速攻で戦いを仕掛ける変態なんて普通いないものね。
そんな人に会ったら健全な心を持っている僕でも嫌な思い出になっちゃうって。
「シン様……何でそんな嬉しそうな顔をなさっているんですか? 浮気ですか? 私というシン様専用の聖女がこんな近くにいるというのに。プンプンですわよ」
ララちゃんが頬を膨らませながら僕の制服を掴んでいるよ。可愛いんだけどさ。
入学生代表として答辞を述べている首席がニコニコ笑顔で僕達の様子を見ているから止めようね。
あの状態のアレクシアはブチギレアレクシアさん状態。つまり一番怒っているバーサーカー状態だからお説教されちゃうんだよ。
「ララちゃん。これは浮気でもないですし。ララちゃんとはただのビジネスパートナーなんですから。勘違いしないで下さい」
「はい。私はシン様専用の聖女奴隷ですわ♡」
ガシッ!
おもいっきりハグしてきたよ。この娘。それに両目にハートマークが浮かんでいるよ。どんなエ○漫画の手法だい? これはさ。とりあえず僕に抱き付いているのを止めさせないと……何だか色々な所から嫌な目線が飛んで来てるんだよね。
「あんな可愛い娘達と今年一番の落ちこぼれが仲良くしてるんだよ」
「あれはセイフライド家の汚点と噂の新入生か? 兄貴や姉があんなに優秀なのに家名の恥さらしとはな」
「神聖な入学に騒ぐ何てなんたる素行。野猿貴族の噂は本当だったみたいですね」
うーん。このアウェイ感凄いよね。先輩達の容赦ない陰口。そしてそして、来賓の方は何て言っているのかな?
「何故。あの3人名が補欠合格組なのだね?……(3人が3人とてつもない力を隠しているのが分からないのね? 全くこの国の貴族というのは本当に人を見る目ないもだな)」
あれはアルビオン帝国から来た副宰相さんだね。人の姿をしているけど頭には竜人族特有の立派な角が生えているね。
「………あれがクリスティナの息子なん?……へー、凄いのね。あの若さで神器をあんなに所有しているなんて……」
狐耳に九本の尻尾。着崩れした着物衣装で来賓席でくつろいでいるのはエド国の姫君だね。カレンティシアちゃんをジーッと見詰めているけど。何かあるのかな?
「あの娘はまさか?……いや。あの方が何故こんな場所にいらっしゃるんだ?」
白い修道服を着て驚いた顔をしているのはラクス皇国の司祭の人だね。ララちゃんを見詰めてハァーハァー言ってるけど。ロリコンなのかな?
「……シン様」
「んー? 何ですか? ララちゃん。今、僕は触れずにカレンティシアちゃんの体調を治すのに集中しながら周りの人達を観察するので急がしいんですけど」
「ふひぃー、なんだか突然気分が良くなってきたわ」
「……(シン様に憎悪や敵意を向ける方々はだいたい記録致しましたわ。後で口頭でお伝えしますね)」
ララちゃんの頭に乗っている神器『聖女の髪飾り』は指定した相手の悪意や敵意を読み取って知る事ができる特別な神器の1つだったね。
「あー、成る程ね。だから認識阻害と防音の魔法僕達が騒いでいるのを周りの人にバレないようにしてたんだね。僕達の妨害を何とも思わず。僕やララちゃんに対して良くない感情を抱いてそうな人達を見分ける為に」
「はい。シン様。ですから入学式の終了と同時に粛清を開始致しま……」
「はい。アウトー! ララちゃんアウトー! ダメよー! ダメダメよー! だよ」
僕はララちゃんの両頬を軽く引っ張ったよ。モチモチの両頬を軽くね。
「ンムゥー?! シンシャマ? 何で私の頬っぺたをひしゃるんでしゅかぁ?! いしゃいれしゅう」
「ふひぃー……なんだか体調良くなってきたのだわ。ハァーハァー……」
ララちゃんは涙目になりながら僕に抗議してるね。カレンティシアちゃんはさっきの嫌悪感マックスの状態から僕の回復魔法を受けていたせいで………なんか発情したワンワンみたいになっているのは気のせいかな?
しかし分かってはいた事だけど僕の評判はこのアリス魔法学園では本当に最悪なんだね。
まぁ、入学試験では色々とやらかして醜態を見せたせいもあるんだけどさ。これを利用しないてはないよね?
(フニャーア。おはようございますニャア。ご主人。またまたまたまた見知らぬ女の子と戯れてるのニャア? そんなんじゃあ。アレアレにまたお説教されちゃうニャア)
おや? 昨晩アレクシアとレイラちゃんにモフモフされ過ぎて意識を失ったルナ君が起きたみたいだね。
えーっとそれよりも今の周りの人達の評価は確か……
アリス魔法学園史上最も魔力量が少ないって評価だったしね。(ファァニャア……本当は逆ニャア。ご主人はリゲイン王国の歴史から見ても異常な魔力量を持っているニャア)
魔法や剣術のレベルも資質0(本当は全属性の魔法が使えるニャア。なんなら天狼流 免許皆伝持ちニャア)
世間では野猿悪童やら性格最悪のワルガキなんて言われてる始末(最近のセイフライド領地の発展がご主人が原因ってセイフライド領民にバレ始めてニャア。半年前と違って皆ご主人を慕って感謝してるニャア……てっ! 全然。ルナの話を聞いて何のニャア? ご主人)
フフフ……僕の評価が地に落ちれば。アレクシアやレイラちゃん達ヒロインズも僕を嫌悪感して自ずと離れていくね。
王都で購入した屋敷の代理名義は何かあった時様にアレクシアやレイラちゃん達メイドさん達の財産になるように購入時に登録しておいたし。
あの良物件を売れば軽く10年間位は働かなくてすむし。僕が居なくなっても何年かは皆普通に生活できる資金には困らない様にしてある。
後は静かに落ちこぼれとしてアリス魔法学園からフェードアウト。そのまま行方を眩ましてハッピーダッピッ!
(ご、ご主人。そんな恐ろしい計画立てない方がイイッピニャア。そんな事アレアレにバレたらっピニャア。ご主人はアレアレに一生目の届く監視下に置かれちゃうっピニャア……ニャア? ご主人からの影響で語尾が可笑しな事になってるっピニャア?)
「フハハハ。完璧なシナリオルートが構築出来ましたね。後は今後のアリス魔法学園生活で無様醜態を晒し続ければ強制退学も夢ではないですよ」
「シンシャマッ! ホッヘファがいしゃいれしゅうわ」
「……君の回復気にいったわ。今後は私のセラピストになりなさい。セイフライド君」
ドMと恍惚エルフ《カレンティシアちゃん》が僕の事を見詰めて何かブツブツ言っているね。入学式の真っ最中なのにマナーがなっていないよね。騒がしいね。
僕は1人だけ防音魔法と認識阻害の魔法で静かに椅子に座る人畜無害な生徒の幻影を周りに見せているから目立っていないけど。
2人にかけていた防音魔法と認識阻害の魔法はさっき解いてありの~♪ ままの~♪ 2人の姿を衆目に晒してるみたいだけど大丈夫なのかな?
◇
「……今回の補欠合格組。うるさいですね。アリス生徒会長」
「まぁ。元気があってよろしいじゃないですか。それに今年度の好成績組のクラスより補欠合格組のクラスの方が総合能力は高いと学園長からは伺っておりますから。私は何の心配もしていませんよ」
《アリス魔法学園 生徒会長アリス》
「はぁ。それなら良いのですが……(あの制服と修道服を合体させた服を着てる娘と金髪エルフの近くに居る男ってまさか? あの子なんですか?)」
《アリス魔法学園 会計ヨルン》
〖これより生徒会長アリスさんによる祝辞の挨拶を執り行います……〗




