第21話 入学試験で目立たず騒がずは無理ですか?
一方。セイフライド家見習いメイドレイラちゃんと隠れアジトシン専属ポンコツメイドメリュちゃん側。
「メリュちゃんさんは日雇いバイトというお仕事で今日は私の保護者ですか? ずっといてくれるんですか?」
「う、うん。ご主人様《シン様》にはそう言われたかしら」
「ご主人様?……メリュちゃんさんにも私のシン様の様なご主人様が入るんですか?」
「ご主人様ってあれよ……主従の関係じゃないの。あのご主人様は私にちゃんとしたお賃金と休息も与えてくれるし。ちゃんと言うことを聞いていれば町にも自由に遊びに行かせてくれて。アクセサリーとか可愛い物も私だけじゃないけど。皆にくれる……良い人よ?」
私の名前はメリュちゃん。前の名前はご主人様にこっちの世界で本当の名前を言うなって言われたあわれな妖精国からの迷い子なの。
丁度。数ヶ月前に妖精国に通じる樹洞に私のプリティーなお尻を引っ掛けて動けなくなっている所に変な網と大きい籠を持った悪魔《悪ガキ》が現れたのよ。
そう。あれはとても暑い夏の日の出来事だったのよぉ。
モワワ~ン!………
(ミーンッ! ミーンッ! ミーンッ!)
(お尻大きく過ぎて挟まっちゃった~! エ~ンッ!! 女王様助けに来てよ~!)
(何これ?……隠しヒロインが樹洞に挟まって出れないんでけど? 的なラノベかい?)
(はぁ?! 何よ? お子ちゃま。それよりも丁度良かったわ。この水の最上位妖精のメリュちゃんを助けな……)
シュンッ……ガシッ!
(ちょっとっ! 何するの? 何で網で私の身体を包んでるのぉ?)
(ゲチュウ~! ラッキーッ! 丁度良いや。僕専用の隠れアジトのメイドちゃんを探してたんだよね。メリュちゃんは隠しヒロインだし僕の専属メイドにしても何の問題もないよね? それじゃあ。強制的に主従の契約契約~♪ 『誓本』よ~! メリュちゃんのお腹に快楽紋を刻み込んじゃって~♪ やっちゃって~♪ いっちゃって~♪)
『………やっちゃいます。デュフフ』
(何っ?! それあらゆる万物の法則と空間を司る誓書じゃない?! 何でアンタみたいな子供がそんな高価な物もってえぇぇ////)
(フフフ。もう僕には逆らえないよ。メリュちゃん。これからは僕の為に馬車馬の様に働いてもらうからね)
(ふ、ぶざけないでよぉ。私は妖精国でも最上位妖精のメリュ……メリュ……メ、メリュメリュメ~なんだからあぁ~!)
(まぁ。ちゃんと土日祝日休みで日雇いバイトにしてあげるから。こっちでの生活には困らないよ。メリュメリュメ~ちゃん)
あれ以来。私はご主人様に三食昼寝とおやつ付きで週5回も仕事をさせられてお賃金なる物を貰うようになって。
2ヶ月に1回はボーナスとか言うお金も貰える様になって。休みの日には同じ同僚達とお買い物に出掛けてこっちの世界の生活も楽しく過ごしているし。
たまに妖精国には帰りたくて脱走しようとしてもご主人様は〖お尻が引っ掛けてどうせ帰れないよ。それよりも美味しいお菓子持った来たからたべなよ。メリュちゃん〗とか言って私に色々と美味しい物を食べてくれるのよ……あれ? 私。こっちの世界かなり気にいってない?
くうぅ!! これもあのご主人様が私に餌付けと楽しい労働環境を整えてくれてるせいじゃない。こんな状況これ以上続いたら私どうなっちゃうの~?
「あっ! 着きました。メリュちゃんさん。あそこがお爺様のお部屋です」
「あそこ?……随分と豪華な扉なのね」
「おや? 貴女様はレイラ様?! お着きになられていたんですか?」
? 誰? この魔法使い見たいな格好の人間は?
「ネイプスさん。お久し振りです~!」
◇
《アリス魔法学園 理事長室》
「失礼致します。マスタング校長。レイラ様をお連れしました」
……ガチャッ!
「お爺様。お久し振りです。お会いしたかったです~!」
「おぉっ! レイラか。1年振り位か? 少し見ない間に大きくなったのう。セイフライド家には良くしてもらってると手紙には書いてあったが。その通りの様じゃな」
《アリス魔法学園 理事長 カルス・クレイセント》
「はい。元気にシン様と楽しい日々を送らせてもらってます」
レイラちゃんの過去観。魔力視を瞬時にやったの?……凄い魔力量。この人族のお爺ちゃん。相当強い。
「はい。それでこちらが私の……」
「ほう。水の最上位妖精殿か? まさか契約したかのう?」
「はいっ! 私の専属にはなってもらいました」
「ち、違いますっ! 何でそうなるのよ。」
「え? でもシン様が〖レイラちゃんは水属性魔法の才能がピカイチぽいんで。アリス魔法学園に在学中はメリュちゃん貸しといてあげますね。はい。これメリュちゃんの快楽紋の書です。これがあればメリュちゃんはレイラちゃんに絶対に逆らえませんから。メリュの使い魔として大切にしてあげて下さい〗って言ってこの紙を私に渡したくれました」
レイラちゃんはそう言って私に一枚の紙を見せてくれて……え―と妖精国の言語? 何て書いてあるの?
〖アリス魔法学園に入る時はレイラちゃんの専属メイドとして過ごしてね。メリュちゃんは最上位妖精だし強いからレイラちゃんとなんか相性良さそうだし。守ってあげてね────追記。もし断ったり逃げたりしたら。アリス魔法学園の理事長兼レイラちゃんを宝物の様に思ってる人から痛い目に合わされる。絶対にYES!!YES!!YES!!って言わないといけないからね。よろしくね~! 賃金は弾むからさ〗
「何て書いてあるか分からないですが。そういう事みたいです」
「な、何でよ~! ご主人様~! メリュに人権はないの~? 私が可愛すぎる最上位妖精だからなのー?!」
「ホホホ。使い魔が水の最上位妖精とは。流石はわしの孫娘じゃな」
「これからよろしくお願いします。メリュちゃんさん」
◇
《アリス魔法学園 入学試験会場》
「おはようございます受験生の皆さん。本日試験官を勤めさせて頂きます。ルイーズ・サバァランです。今年度アリス魔法学園の入学試験にお集まりになられました。皆さんには先ず魔力測定で自分自身の魔力量を計って頂き。我が学園の入学基準値に達していない方はその時点で失格とさせて頂きます」
ピンク髪ロリ体型のザッ魔法使い見たいな女の人が拡声魔法で会場全体にアナウンスしているね。
会場内は……へ~以外にちゃんと色々な所に配慮してくれているんだね。一般受験生と貴族家系の受験生が身分で問題を起こさないようにちゃんと一般と貴族で会場分けてるし。
エルフ、獣人、竜人。他にもアリスフィアの世界で力のある亜人代表の種族や王族の受験生には種族事の文化に配慮して各言語で対応。区分もしっかりされてるよ。
それでいちをセイフライド公爵家の僕や王族貴族のアレクシアに対する反応はというと……
「シン・セイフライド様。遥々《はるばる》遠きセイフライド領地から来て頂きありがとうございます。宰相様もお喜びになられるでしょう。どうぞ。リゲイン王都でも有数の洋菓子店から取り寄せたシグナのケーキです」
「あ、ありがとうございます。後で頂きます」
「アレクシア・シュリディンス様。こちらもどうぞ。バナンサフラペチーノにございます」
「いらないの。シン君から知らない人から何をかを貰っちゃいけないって言われてるのよ」
「そ、そうでしたか。それは失礼致しました」
めちゃめちゃ気を遣ったくれているよ。最初この会場に入った時は何か変な事をされるんじゃないかと思ってたけど。何この試験官さん達の低姿勢? 何で皆。こんなに僕達に親切なのさ。
入学試験会場に入った瞬間。一番偉い試験官みたいな人が来たから速攻で土下座して試験辞退しますとか言ったらさ。
〖シン・セイフライド様の試験を妨害したら私共が消されかねませんので〗
〖宰相様の書簡も届いて下りますのでお引き受けできません〗
〖貴方様が我が学園の入学試験を受けて頂かなければ一族全員が路頭に迷うのです。どうか。どうか。我が学園の入学試験を受けて下さいっ!〗
なんて事を試験官の人達に言われたら試験を辞退できないじゃん……その宰相って人。どれだけ怖いのさ。
「何かございましたら。直ぐにお呼び下さい」
「皆様方にはレイラお嬢様と仲良くして頂き。我がアリス魔法学園職員一同感謝しておりますので」
……レイラお嬢様? また僕の知らない情報が出てきたよ。《乙女達は男装乙女に恋をします》のレイラちゃんの設定はシンの専属メイドでたまに慰め者としての関係でそこに愛情はなかった。
ゲームこの世界の情報かなり食い違いがあるね。いやそれとももしかしたら《乙女達は男装乙女に恋をします》にはもしかして……
「シ、シン君。私受かるかな~?」
僕がこの世界について考察していると隣の席に座るアレクシアが緊張した表情で僕の顔を見詰めているよ。可愛いよね。
「アレクシア……ええ。きっと大丈夫ですよ。この日の為にアレクシアやレイラちゃん。そして、僕もちゃんと修行してきたんですから」
「う、うん。私達凄く凄く頑張ったのぉ」
アレクシアの緊張を解す為にアレクシアの右手に優しく手を置いてそう告げると。アレクシアは緊張感が抜けたのか。ホッとした表情になったくれたよ。良かった良かった。
でもアレクシアなら簡単に受かるだろうね。何せアレクシアの今のレベルは────ピッ! ピッピッピッピッジッジッジッジ……ピコンッ!
◇
アレクシア・シュリディンス レベル37
種族・人族
◇
左目の鑑定眼《スカウター的な能力》でアレクシアの今のレベルだけ視させてもらったよ。あまりアレクシアの個人情報を探るのは良くないからね。
しかし今のアレクシアのレベルは36かあ。某御三家の最終進化よりもレベルが高いじゃん。凄いよね?
そうだ。他の入学試験を受ける子達はどのくらいのレベルなのかな?……ここの入学希望者のレベル位確認しても許してくれるよね? 神様。鑑定開始だよ───ピッ! ピッピッピッピッジッジッジッジ……ピコンッ!
◇
シム・セイフォット レベル3
◇
◇
スイニー・レンシュカ レベル5
◇
◇
ハンネ・ジルトニグ レベル3
◇
………某御三家の初期レベル? それと最初の草むらじゃないか。
他国からの受験生や別種族の子達は試験会場が違うから計れなくて実力レベルが分からないけどさ。リゲイン王国の貴族の人間レベル低すぎないかい? 大丈夫かいこの王国?
んー? いや2、3人はレベル10以上の子達はいるけど。あの子達ってたしか……リゲイン王国次世代の勇者や剣聖候補の子達だよね。
こっちをチラチラ見てるけど……あー、僕じゃなくてアレクシアに見惚れているのかい? 腹が立つね。あれは多分、入学試験が終わった後にアレクシアにちょっかいをかけてくる目だよ。僕の最推しに手を出そうなんて全力で排除排除してあげないとね。
……しかし。これはさあ。
「フッ……これは僕達の圧勝ですね。アレクシア。この戦い僕達の勝利ですね」
「戦い? 試験じゃないの? シン君」
僕は盛大な死亡フラグと言ってもいい名台詞を告げると近くに置いてあった紙コップをグラスに見立てて天井へと掲げたよ。フハハハハッ!
「アレクシア来てたんだ。良かった……あの馬鹿何を高笑いしてるのよ」
赤髪をたなびかせて剣術試験を受けているホロウが僕はの方を見てるけどスルーしようね。あの娘なんだか僕に容赦ないからね。お兄様でセイフライド家の扱いを慣れてるせいなのかな?
あーちなみ入学試験はバッチリ合格したよ。試験成績主席は勿論僕の最推しの子アレクシア。次席はレイラちゃん。3番目がホロウで最下位が僕だったよ。僕は抗った。凄く抗ったんだよ。でも受かっちゃったんだ補欠合格でね。トホホ……
入学試験が終わって試験官の皆さんが集まってる部屋に突入してさ。誠心誠意の土下座でお願いしたんだ。そしたら決まったものは覆らないだって。悲しいね。
これで入りたくもなかった入学試験も終わって。来月にはゲームシナリオ通り死亡フラグビンビンの学園生活が待っていると思うとさ。
現実逃避したくもなっちゃうよね……久しぶりに1人になりたいな。だって僕は純粋な心を持ったか弱い男なんだもん。センチメンタルな気持ちにもなるに決まってるよね?




