第19話 来たよ王都へ。そして、家を買ったよ~!
リゲイン王国の歴史は古くてね。建国から600年以上の歴史を有するんだ。アリススフィアの世界でも有するの大国なんだよ。
北方を新魔王が支配する広大で肥沃の地『シュベルト』と言って。龍種を神と崇めるアルビオン帝国もあって最近は激しい領土の奪い合いをしているんだ。
東方は皇教メレクトルクを主が収める宗教国家ラクス皇国があってこの国はドMのララちゃんが居た国だね。ララちゃんみたいな人達ばかりなのか? そうだとしたら相当ヤバい国だね。怖い怖い。
そして南方は多種多様な種族が共存して暮らすシュリヘルゲド草原。アンクリア樹海。シャルファルマ高原なんかの緑豊かな土地が広がっていてね。大小様々な国があるんだ。
僕がパンツを貰ったエルフの女の子カレンテァシアちゃんはエルフの園がある東のアンクリア樹海の出身者だね。
それでもって西方のサイレルス魔法国とは同盟関係にあってね。ここは魔法研究狂いの人達の巣窟なんだって。ヤバいよね。
それで他にも隣接していない国々とも積極的に貿易や交流なども行っていて。国ごとの交流としてアリス魔法学園への留学生も積極的に受け入れていて。色々な文化や種族の人達が集まるのがドスケベ学園……じゃなくてアリス魔法学園なんだ。
そして、アリス魔法学園は王都郊外に広く土地を所有し。アリススフィアの世界でも最大級の学舎であるんだ。
以上が《乙女達は男装乙女に恋をします》のコンプリートガイドには乗っていた事なんだけど。
「わぁ~! アリス魔法学園が見えてきたの~! シン君ーっ! 試験頑張って受かろうね」
「はい。アレクシア。頑張りましょう……」
あのお兄様がやらかしまくった歓迎会から7ヶ月経ったよ。アリスフィア暦999年から1000年になったし。
アレクシアとレイラちゃんは7歳になり。ますます女の子らしく成長して。僕は今年の3月で7歳になるんだ。
歳なんて取らずにずっと少年でいたいのにさ。時の進みは残酷だよね。
それにしても本当は今すぐにでも逃げたいよ。このままだと運命力でアリス魔法学園への入学は逃れられないし。
この約1年間。ずっと身近で見守っていたアレクシアやレイラちゃんが学園の変な男達にちょっかいをかけられて悲しい事になったら。僕、髪の毛が金髪になるくらい怒って何かに覚醒しちゃうかもしれないよ。
生前の記憶を思い出したせいなのか。最近はこの娘達を父親か年の離れたお兄さんの目線で見てしまうんだ。
アリス魔法学園に入学してからも不安要素は幾つもあるしね。山での記憶は完全に消したけど。お兄様の件。裏ボス系ヒロインヨルンちゃんと先輩の存在。運命力がどう悪さしてくるのかも気になるね。
どうやら僕が生前の記憶を思い出して自分を鍛えたり。アレクシア達と仲良くしたせいで色々所に歪みの余波が行っている様な気がするんだよね。
まぁ、その歪みが僕達のせいたどしてもそんなの関係ない……この世界はゲームじゃないリアルなんだ。
強くて自分自身の力で未来を切り開ける人達がこの過酷な世界を生き残って明日を見られる。
その為に僕もアレクシア達もアリス魔法学園に入る前の一年間を必死に頑張って修行してきた。
そのせいかを発揮して理不尽に攻撃しようとする人達や運命力に絶対に打ち勝ってみせるよ。うんっ!
そして、アレクシア達は本当に良い娘に育ってると思うよ。僕は首チョンパされたくはないけど……この娘達には娘達に相応しい相手を幸せな未来を歩んでほしいなぁ。
◇
《リゲイン王都 高級住宅街 シンの屋敷》
リゲイン王都の中でも位の高い貴族や商売に成功した商人クラスが暮らす特区的な場所がここリゲイン王都の中にはあるんだ。
そこの土地や屋敷の値段相場は相当高くてね。普通は買えないんだよ。
でも僕は買っちゃったよ。首チョンパの未来を回避した老後の為の隠し資金の半分位を擲ってね。
お屋敷を買って代金を払った時はむせび泣いたね。お金って使うと減るんだ。驚くよね……
でもいいんだ。これで1人で有意義に大都会に住んで静かに暮らせると思ったら。王都での宿敵やレイラちゃん達と一緒に暮らす事になっちゃったんだよね……何でこんな事になるのさ。
「しかし。お父様は……まさか7歳で独立しろだなんてなんて。何て事を言ってくるんでしょうね? ねぇ? アレクシア」
「ん~? 何怒ってるのシン君。 私のお部屋シン君の隣じゃ駄目なの~?」
「い、いえ。全然大丈夫ですよ。アレクシア。むしろウエルカムアレクシアですよ。ハハハ」
「ウエ……ル……カモ?」
「ウエルカムですね。アレクシア」
アレクシアといつもの様にとんち合戦を繰り広げてのほほんっとしているよ。あ~君にはどこに行っても癒されるよ。アレクシア~! 良い娘だよ。アレクシア~!
……話は1ヶ月に遡るんだ。
《セイフライド家 当主室》
「シン。お前も後1ヶ月すれば7歳になり。アリス魔法学園に入学する」
「はい。絶対に行きたくありません。行くならエド国のオイラン学校に行かせて下さい。お父様。あそこの学校は色々と凄いと噂があるんです。色々と凄いと」
狐族や猫又族がはんなり浴衣で学校中でハッスルするんだって凄いよねっ! 絶対に目のやり場に困るよね。最高の景色が僕を待っているだよ。きっとっ!
「……絶対に行かせん。それよりもシン。お前は今から王都のどこかで家を買い住め。今後の事も考えてな」
「……はい? 家を買え? 何の冗談ですか? お父様」
最近はセイフライド領地もすっかり平和になってきたし。お父様も平和ボケしちゃったのかな?
「人をボケ老人の様に見るな。シン」
「お父様は最近。お母様と手紙のやり取りでだいぶ浮かれているのを良く見るので心配なだけです」
「……誰も浮かれとらん。それよりも話の本題に入る」
あっ! 罰が悪くなって誤魔化したよ。この人。こういう所はお兄様や僕ととそっくりなんだよね。流石親子血がちゃんと繋がってるね~!
でも何でお父様は突然、僕に家を買えだなんて言ったんだろう。謎だよね。
「去年の夏の騒動で将来の家の事について不安になってな。サギールのあの成長ぶりどう見る?」
「このセイフライド家を滅ぼすフラグしかないと確信しました」
まぁ、僕はしがらみだらけの公爵家の跡なんて絶対にしないけどね。夢は大きく辺境の地でスローライフさ。
「……フラグ?……まあ良い。幼いお前からもそう思うのだがらそうなのだろうな。まぁ、それでだ。私が退いた後の家督は弟のカリオスに譲るつもりだ」
「あ~、やっぱりそんな感じなんですか。成る程です」
カリオス・セイフライド。現在、リゲイン王都の王政でバリバリ働いているお父様の弟さんで独身。超優秀な人でね。独身で貴族……これが本当の独身貴族ってやつだね。ハハハ。
「サギールもシンもまだ幼い。十分に成長するまではカリオスを中心にセイフライド家を切り盛りさせていく予定でな」
僕はともかくお兄様が幼いって……あの人後5年もすれば成人じゃなかったかな?
「その話と僕が家を買うのにどう関係してくるんですか?」
「む? あぁ。カリオスの件はまだあのブ……サギールには言っていなくてな」
この人。実の息子を豚って言いそうになっちゃってるよ。可愛いそうなお兄様。
「まぁ、言ったら絶対にうるさいでしょうね。色々と」
「多分な。そして始める行動パターンとしてセイフライド家関係者からの支持者集めだろう。そうなればサギールはお前にも目を着け始め。セイフライド家次期跡取りだと言い出し。お前が持つ有りとあらゆる財を没収していくだろう」
「お兄様ならやりかねませんね」
あの人。その場の勢いとノリで生きてる節があるからね。
「ブーちゃん?……まあ良い。それでだ。来月から王都近くのアリス魔法学園に住むのならば。今の安いうち屋敷を購入しておけ……私の見立てでは後、数年しないうちに激しい物価上昇が起こり。王都の土地や物価も今の相場の数倍以上に膨れ上がる見通しだからな」
「……今の相場の数倍以上ですか」
お父様の先見の明的確なんだ。これまでもモンスターとアルビオン帝国のいざこざが起こる事を言い当てたり。王都の幽霊騒動も情報を聞いただけで適切に解決してた。
そんな人が屋敷を買えって言うのなら間違いなく今、買った方が得策なんだろうね。
「分かりました。じゃあ資金はお父様が……」
「最近はだいぶ羽振りが良いそうだな。シン。穀物の取引と栽培。ジンなる酒造に。アルコールなるものまで売り始めたとか。他にもセイフライド領地の闇市でだいぶ可笑しな知り合いも増やし。治安維持まで貢献してくれているようだが……」
お父様は鋭い眼光で僕を見てるよ。凄い疑い深い目でね。僕の額に一滴の汗が流れたよ。
「……誰がそんな事を。いえいえ僕にお金なんてありませんよ」
「別にそれらで悪さをしたいなら良いし。金山の所有権もまぁ、目を瞑ってやろう。だからその大金は貯めずに使い。独立する力に使え。来月からお前はセイフライド家とは別の家督を持ち自分自身で繁栄させていけ……」
要は僕にこれ以上お金を稼がられると面倒だからお金を使わせて財力を削るのと。
お兄様が今後。僕の財産に難癖つけられないよ今のうちに財産を独立させて管理しろって事かな?
後は王都に居る。本当のセイフライド家の権力者に僕の力を削ぐ様に手紙で命令されたとか……かな?
……それと将来の為の投資みたいなものかな。まぁ、お父様の話は突然過ぎたけど悪くはないね。うん。
「ああ。それと王都での後見人としてお前の魔法の師である。ライチを付けよう。何かあればアイツに相談……」
(よろしくっす~! シン……の旦那さん)
当主室の扉の向こう側でホスト狂いの声が聴こえた気がしたんだけど? 気のせいだよね?
「いえ。結構です」
「そうか。いやなら屋敷には住まわせなてくて構わん。アイツの事だ。王都の中にさえ入ってしまえば。王都の地か水路でも暮らしていくだろうからな」
(これからは運命共同体っすよ。シンの旦那さん。ギヘヘ)
またまたホスト狂いの声が聴こえたよ。だんだん怖くなって来たんだけど。
「いえ。本当に結構です。ていうか後見人ならオーフェンさん一択です。オーフェンさんでお願いします」
「オーフェンは駄目だ。私のオーフェンであり私の執事だからな……いやー、そうか。そうか。まぁ、心配するなライチはあれでも一流の指導者。アリス魔法学園でもお前やアレクシア様をちゃんと導いてくれるだろう」
何でオーフェンさんじゃ駄目なんだよ~! オーフェンさん付いて来てほしいよ。オーフェンさん~! オーフェンさんは僕の中では人権キャラなのに。ライチ師匠はいらないけどね。
ていか何で僕とお父様の間でオーフェンさんの取り合いになってるの? オーフェンさんって乙女ゲーの主役キャラなの? オーフェンさんの見た目ナイスミドルなナイスガイなんですけど。
(マジで王都に連れていって下さいっす! 最早、セイフライド領地内で私にお金を恵んでくれる人誰もいないんっすよ~! シンの旦那さん)
何あの人? セイフライド領民の全員にお金でも借りて嫌われたって事なの? どんなヤバい人なの? あの人がセイフライド領地に来て経ったの1年くらあなんだけど? あの駄目人間《ライチ師匠》何をやらかしたの?
くっ! 流石、お兄様と僕のお父様。我が強くてこっちの話を一切聞いてくれないよ~!
「つっ! というか。扱い切れなくなった事故物件《ライチ師匠》をセイフライド領地から追い出して王都に解き放ちたいだけですよね? お父様は」
「……王都に捨てれるまででいい。後はライチの事だ。その凄まじい生命力と行動力で新しい寄生さきを本能で見つけるだろう」
……捨てるとか言いだしちゃったよお父様。どれだけ雑に扱われる程やらかしたの? あの駄目人間《ライチ師匠》は? ていうか扱いがとんでもなくないかい?
「わ、分かりました。王都に捨てるまでは面倒をみます」
(一生ついて行くっすよ~! シンの旦那さん。イヒヒ)
何怖いことさらっと言ってるの? あの人は……
「屋敷を買ったら。後はアレクシア様やレイラ様と使用人達も一緒に住まわさせて差し上げろ。あの方達は王都に居ると色々とちょっかいをかけて来る者が多いからな。セイフライド公爵家の名で守って差し上げなければならん。それと屋敷に着いたらこれを使って屋敷を隠せ。後は魔除けと。防御壁とまぁ、防犯は何重にもかけてだな……」
「ま、待って下さい。お父様。注文が多すぎですっ! 処理しきれませんよ……」
◇
こんな感じで面倒事は押し付けられたよ。お父様いわく自分も小さい時はお爺様に色々しごかれたからお前もな。だとそうだよ。
「屋敷一軒だけ買っても心配だったので近くの空き家も数軒買っちゃいました」
「シン君。凄い~! お金無いんじゃ無いの?」
毎月。献身的に上納金を収めてくれる《心酔少女聖女》略してSSSが僕には付いていることをアレクシアには言えない。
「ええ。なんとかなりました……各家に防御壁。撹乱結界。時間単位での転移移動と……この1年間の鍛練の結果がこんなところでいかせるとは思いませんでしたよ」
「うんっ! シン君のお陰で私達強くなれたのよ~! 来月から一緒に学園に行けるの楽しみなのよ~!」
アレクシアはニコニコ笑顔でリゲイン王都郊外に見えるアリス魔法学園を指差しているよ。とても女の子らしくて可愛いね。
あー、ちなみに屋敷には住むけど。もしもアリス魔法学園に通う事になれば平日は学園の寮。土日祝は屋敷に帰って来て寝泊まりするって予定なんだ。そもそもこの屋敷。
アレクシアの使用人さんや隠れアジトから連れてきた僕の使用人になる予定のメリュちゃん達が暮らす為の場所になりそうなんだよね。
使用人専用の寮的なやつだね。
それにしてもついにやって来ちゃったね。《乙女達は男装乙女に恋をします》の舞台であるアリス魔法学園に。
ここで主人公は長年に渡って剣と魔法を学んでいくんだ。
数十人はいる可愛いヒロイン達と愛情を少しずつ深めていって。最後は僕《悪役令息》や各シナリオの悪役達を成敗し。結ばれてニャンニャンしちゃうんだ。
「シン君~!」
「はい? 何ですか? アレクシア」
そして、男の子嫌いの主人公は男装乙女としてアリス魔法学園で銀髪の貴公子なんて言われて女生徒から絶大な人気を得ていく……
「見て見て~! 春の新作なの~! 可愛い?」
「はいっ! とても可愛いらしくてお似合いですよ。アレクシア……」
「エヘヘ//// ありがとうなの。シン君。ギュウ~!」
はい。アレクシアからとても可愛いらしいぎゅーっを頂きました?………あれ? アリス魔法学園の入学試験前にはアレクシアは男の子が嫌いの男装乙女になって……いないね? 何でだろう? 何でだ何でだろう?
あのお兄様事件から7ヶ月経ってますます女の子らしくなって。最近はお化粧まで覚え始めたんだよね。
お洋服も新作とかのチェックも欠かさず。自分のお小遣いで買える範囲のお洋服を買ってファッションを楽しんでいるんだ。
その服で僕と街に出かける時は凄く嬉しそうで女の子の仕草もちゃんとお勉強してるのよ。てへぺろなんてアザと可愛い仕草をして可愛いく成長したのがこの世界の主人公?!
あ~れ? 可笑しいね? 僕の予想だと。僕を切っ掛けに男の子嫌いの男装乙女になっている筈が。
超可愛い女の子に成長しちゃってないかい?
いやアレクシアがどんな成長をしても可愛いし。成長していくのはアレクシアの自由だから文句なんて絶対に言っちゃいけないんだけどさ。
これアレクシアが女の子の事好きにならないじゃん。むしろ僕とずっと一緒に居たから男の子慣れしてるじゃないかい。
絶対にヒロイン達と百合百合しないパターンだよね? これ?
「………どうしましょったら。どうしましょう……これからアリス魔法学園での生活どうなるんでしょうね? アレクシア」
「ん~? シン君と楽しい思い出をいっぱい作るのよ。いっぱい……いーぱいっなの~!」
「うわっ! アレクシア。どうしたんですか? いきなりっ!」
アレクシアは天真爛漫に笑って僕に抱き付いてきたよ。




