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第18話 上位妖精ルナとアレクシアの日記帳

《シュリディンス家 屋敷》


 ご主人シン・セイフライドがメイド・ヨルンと激しい戦闘をしている間。シュリディンス家では平穏な時間が流れていたのニャア~!


「ではアレクシアお嬢様。お眠りになる際はサラか」

「ユラのどちらかをお呼び下さい。直ぐにアレクシア様の元へとさんじ添い寝致しますので」


「うんっ! ありがとうなの。サラ、ユラ。おむになったら2人共呼ぶの。そしたら3人で川の字になって寝るの」


「川の字ですか? 了解しました。アレクシアお嬢様」

「はい。かしこまりました。アレクシア様」


────ガチャッ!


「アレクシアお嬢様は王都に居た時よりも明るくなったわね。ユラ」


「はい。サラ姉様……これも全てシン・セイフライド様のお陰ですね」


「以前はセイフライド公爵様ですら手を付けられなかった悪童と聞いて此処《セイフライド領地》へとやって来たのだけど。話しと違って紳士なお方だったわね」


「はい。サラお姉様の言う通りです……やはり王都は権謀術数が跋扈ばっこする場所です。その人物に実際に会い見定めてみないと本当の人柄など分かりませんね」


「まぁ、アレクシアお嬢様いわく。シン・セイフライド様がお優しく変わられたのは半年前位からだと言っていたし。アレクシアお嬢様はその前の私達へ送ってくれる手紙に書いていたくらいシン・セイフライド様の事を心底嫌いだ書いていたくらいにね」


「それが今では四六時中一緒に居てまるで家族の様に仲が良いですものね」


「ええ。やはり王の判断は正しかったわ。アレクシア様の才能をねたむ血縁者が沢山居る王都よりも。王族ともシュリディンス家とも懇意こんいにあるセイフライド家の庇護下でストレス失く暮らして成長してもらう事の方がアレクシア様の為に……」


「セイフライド領地は自然も豊かですし最近は治安も良いですからね。それにいざとなればセイフライド家とシュリディンス家の昔からの約束事も効果を発揮しますし」


「ええ。出来ればこのままアレクシア様にはシン・セイフライド様と共に成長してもらいたいものだけどね」


「そうなる様に私達がアレクシア様を護ってあげれば良いんでよ。なんたってアレクシア様は私達の大切なご主人様なんですから」


「そうね。昔から手がかかる大切なご主人様だわ。アレクシアお嬢様も半年後には学生になるのね……リゲイン王国内国外とはず優秀な学園達が集うアリス魔法学園に。アレクシアお嬢様は人見知りが激しいから正直心配だわ」


「まぁ、シン様やレイラ様も一緒にご入学されますからきっと大丈夫ですよ。それでも心配でしたら住み込みの専属メイドとして御使いする事め可能ですし……ですから楽しみにしていますね。サラお姉様のメイド姿。普段は執事服ですし。アレクシア様も絶対見たいと思いますよ」


「……絶対着ないわ。スカートなんか。それよりも明日の朝食の準備を終わらせるわよ。ユラ」


「あ~! 話をらしましたね。サラお姉様。酷い~」


 アレクシア・シュリディンスの専属メイドはアレクシアが居る隣の部屋へと移動していった。


《アレクシアの部屋》


 ルナの名前はルナだニャア。 闇の上位妖精ニャア。今日の夜は恐ろしいご主人シン・セイフライド様のお願いでアレアレの護衛に馳せ参じたのニャア。


「ニャア~遅かったニャア。アレアレ」


「ルナちゃん。今日も着てくれたの~?」


「過保護で心配性のご主人の命令で来てあげたのニャア~」


「じゃあモフモフさせ…」


「ルナを夜にモフモフした瞬間。アレアレの部屋にはもう来ないニャア」


「フニャァ? そんなの嫌なの。ルナちゃんが私のお部屋に来なくなるのは嫌なの~!」


 床に這いつくばって手と足をバタバタさせるんじゃないニャア。どんだけルナをモフモフしたくて部屋に来てほしいのニャア。


 ……ご主人がアレアレを究極に甘やかすから最近はルナに対してわがままになってきたニャア。


 このアレアレ。ご主人の言う事は素直に聞くくせに。ルナの事は壊れても勝手に直る玩具おもちゃだと思ってるに違いないのニャア。全く。


「そんなにわがまま言ってると。ご主人に普段のアレアレの事を報告するニャア」


「フニャア? そ、それも駄目なの。ルナちゃん。シン君に告げ口はご法度なの」


 ……なんでそんな難しい言葉を知ってるのニャア……あー、あの駄目魔女の仕業かニャア。


 こんな天真爛漫な小さな女の子に変な言葉ばかり教えて本当にろくでもない魔女さんだニャア。


「なら。我慢するニャア。それよりも良い子はもう寝る時間ニャア。添い寝してあげるから早く寝ようニャア」


「ま、待ってなの。まだ日記を書いてないのよ。日記を書いてから眠るのよ」


「日記?……あ~記録帳かニャア? 了解したニャア。アレアレが記録帳を書き終えるまで待っててあげるのニャア」


「わ~! ありがとうなの~! ルナちゃん」


ガシッ……ミシミシッ!


「ギニャアア!! 結局モフモフしてるのニャアッ!! アレアレ~!」



〖始めて会ったシン君はとても偉そうで怖い男の子でした〗



(は、初めまして……アレクシア・シュリディンスです。シン・セイフライド君。私とお友達になってくれま……しぇんか?)


(あん? 誰が余所者とお友達になるだと? 僕はセイフライド公爵家のなんだ。なんで王都からわざわざ逃げてきた弱い奴と仲良くならないといけないんだよ。あーっ?)


(ひぃっ!……だって同い年子シン君しかいないんだもん)


(なら手下になれよ。それなら僕と一緒にいさせてあげるからさ)



〖最初に挨拶した時は本当に怖い男の子だと思いました。一緒に居たくないけど。ここには他にお友達になってくれる人はいません。シン君のお世話係りのレイラちゃんもシン君が怖くて私に話しかけてくれる事はありません。それからの毎日は怖い……本当に怖い毎日でした〗



(おい。アレクシア。百合の花園に行くぞ。付いて来いよ)


(で、でも2人だけじゃあ危ないよ。シン君)


(……ちっ良いから黙ってついて来いよ。余所者)



〖毎日。色々な所に連れてかれてへとへとの毎日。シン君の態度は怖いし。知らない場所に着いていくのは嫌だったです。でもあの森でゴーブ君に頭を叩かれてからシン君は変わっちゃいました〗


(ギヒヒィィ!)


(シン君。危ないよ。それに何でゴブリンさんの事をいきなり叩いちゃうの? 可哀想だよ)


(うるさい。たかだかゴブリンごときでこの公爵家の僕がヤられるわけ)


(ギヒヒアァ!)


ゴチンッ!

(なっ?! 僕の頭にチョップしただと……)ドサッ!


(シン君ーっ!)


(ギヒヒヒ!)


(嫌、嫌あぁ!! こ、来ないでぇ!)


(なっ! お前っ! 何してんだっ!)


(へ?……シン君)



〖あの時からシン君は変わりました。優しく……私に優しくなってくれて。沢山の事を私に教えてくれて。今はもうシン君は私にとっての……〗


「ニャア~! 昔のご主人……とんでない悪童過ぎないかニャア?」


「み、見ちゃ駄目なの。乙女おとめのプライベート領域なのよ」


「……プライベート領域って。本当に難しい言葉を良くしてるのニャア。アレアレは」


 リゲイン王国の名家シュリディンス家の特徴ニャア。この一族は頭脳明晰で転移魔法研究を代々に渡って研究し続けているニャア。


 特に銀髪の髪色を持って産まれた子供は内包する魔力量も膨大で。神アリス様から優れた叡知の頭脳を与えられると言われているニャア。


 それが原因でアレアレは赤子から物覚えが良すぎてシュリディンス家の権力者達にこんな辺境の地まで追いやられてたんだとご主人は言っていたっけニャア。


「日記も書き終えたところだし。今日はもう寝ようニャア。アレアレ。明日からアリス魔法学園の入学試験の為の対策の授業ニャア。明日に備えて早く寝るニャア」


「う、うん。分かってるのよ。最後に今日の気持ちを書いたらお休みするの」


「今日の気持ちニャア?」


「うんっ! シン君への今日あった気持ちを書きたいの」


〖シン君。今日は私をブタさんから守ってくれてありがとう。ううん。いつも私を見守ってくれて本当にありがとう……アレクシアはいつも感謝しています。最愛のシン君へ〗


 ニャア。これはご主人が見たら大喜びで飛び上がっちゃうニャア……でもこの約半年間の日記を読んだけどニャア。この娘は少し無防備過ぎるニャア。


 セイフライド領地はご主人の庭みたいなものだから安全ニャア。でも半年後にはあの危ないアリス魔法学園に入学する事になるのニャア。


 あそこは色々な力が集まる場所ニャア。そこに使い魔無しに行くのは流石にゴーテューヘル過ぎるのニャア。


「書き書きっと。終わったのよ。ルナちゃん。一緒に寝るの~!」


「……ニャア。アレアレ」


「ん~? 何なの? ルナちゃん」


「アレアレもご主人みたいに入学前に見つけた方がいいニャア」


「ん~? 何をなの?」


「……使いファミリアニャア。それも普通の小型モンスターじゃなくルナ以上の上位妖精をニャア」


「上位……妖精なの?」


「ウニャア。まぁ、ご主人が無事に帰って来たら一緒に話し合おうニャア。アレアレとご主人は運命共同体なんだからニャア~!」


 ルナはその後。ご主人の許可を得て、とある知り会いの上位妖精をアレアレに合わせてあげたんだニャア。


「運命共同体?……良く分からないけどありがとうなのよ~! ルナちゃん~!」


「ニャア? 何どさくさにまぎれてルナのキューティクルボディーに抱き付いて……」


ガシッ……ミシミシミシミシッ!


「良く分からないけど~♪ ルナちゃんみたいなお友達が増えるのね~♪」


ギシギシッ……ミシミシミシミシッ!


「や、止めるニャアーッ!! アレアレ~! ルナの口からヨーグルトみたいなヤバくて白い何かが出てきちゃうくらいルナの身体を締め上げるのは止めるのニャアーッ!! そんなお馬鹿力どっから出してるのニャアッ!!!」


 何なのニャア? この万力まんりきの力?! ご主人はどんな怪物モンスターを育てているのニャア……この時ルナは悟ったニャア。アレアレのこの力をぎょせるのはご主人シン・セイフライドしか相手ができないんだなとニャア。



《一方その頃 セイフライド家 本邸玄関前》


 魔女のコスプレをしたライチ師匠が倒れているよ。ただのしかばねの様だよ。可哀想にね。スルーしてあげないとね。


「………」


ガシッ!

「待つっす! 可愛い我が弟子」


 しかばねが生き返ったよ。怖いよね。


「………離してくれませんか。屍さん。最近は授業もまともに授業もしないで。コネクトの街で男の遊びで忙しいライチ師匠」


「うぅぅ! 今まで済まなかったっす~! 何でお金をめぐんでほしいんっすよ~!(ゴキュンゴキュン)」


 ………空の坂瓶持ちながら何を言っているのかな? この人は。


「無理です。駄目人間《ライチ師匠》にはもう1億以上僕の裏資金から貸して上げてるじゃないですか」


 他にお父様やオーフェンさん。アレクシアやレイラちゃんからもかなりの額を貸してもらっているよね。


「それじゃあ全然足りないんっすよ~! 明日の夜までに囲んでいる推し達にみつがないとお店出禁になるんすっ! お金下さいよ~! 愛弟子よ~、よよよ……」


「………うわ。地面に顔をうずめて泣いちゃ駄目ですよ。それは僕の専売特許なんですから」


 どんな世界リアルにも駄目人っているんだね。僕こんなライチ師匠の姿を見て悲しいよ。


 アレクシアはこんな女の人に絶対に成長しないでほしいな。絶対にさ。


「ううぅぁあ! お金が無限にほしいっす~!!」


 ライチ師匠は満月の夜に向かってオオカミの様な遠吠えを叫んでいたよ。本当に近所迷惑だよね。


《7ヶ月後 リゲイン王国 検問所》


「じゃあ。これで僕達は通らせて頂けるんですね? 検問官さん」


「え、ええ……セイフライド公爵家のご身分は確認出来たのですが。その……そちらの馬車を引いているのって明らかにモンスターですよね? セイフライド家の坊っちゃん」


「皆さん。王都へ入る許可も下りました。急いで向かっちゃいましょう」


「ゴブゴ~!」『キュララララ!!』「ニュルルン~!」「ウオォォ!!」


「王都に帰って来たの~! ねぇ? アインちゃん」「……」

「楽しみですね。アレクシア様~!」

「アレクシアお嬢様様。レイラ様。馬車から危ないですので顔をお出しにならないで下さい」

「フフフ。久しぶりの帰省で嬉しいですよね? アレクシア様~!」

「金金金金金金金金が欲しいっす……」


「お、お待ち下さいっ! やはりその馬車を引いているのは明らかにモンスターですよね? それもかなり高位で希少なモンスターの……しかもあの子ゴブリンはまさか?」


「……感の良い検問官さんは嫌いですよ。いざっ! 王都出発ですっ!!」


「お待ちをっ! 皆様ーっ! 王都へのモンスターの持ち込みは正式な手続きを踏んで頂かないといけませ……お待ち下さいーっ!」


 こうして無事に王都へ入る検問所を抜ける事が出来た僕達はセイフライド領地から馬車と馬を利用してアリス魔法学園がある王都へとやって来たんだ。


 ゲームで言うところのこれまでは本編が始まる前の《第1章 幼少編》て感じかな?


 そして、これから始まるのは《第2章 少年編》みたいな感じでアリス魔法学園でもアレクシアに首チョンパされないよに良好な関係を続けていかないとね。


 この世界はゲームじゃなくてリアルなんだからね。


 学園じゃあ色々な女の子ヒロイン達がアレクシアと楽しい日々を送っていくんだろうし。


 僕はアレクシアが誰かと結ばれる様に影からサポートしつつ大人しくも楽しい学園暮らして満喫していくよう。


 目指せ人畜無害なモブ生徒だね。ファイト僕。頑張れ僕~!


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