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第14話 変わりはじめた日常と相変わらず変わらない宿敵との良好関係


 ゴーブ君に叩かれ生前の記憶を思い出してから5ヶ月も経過したみたいだね。


 最初の頃は毎日死にかけて辛い日々だったけど。身体も数千回? 数万回? 良くは覚えてないけど。肉体を失う前の死に戻りをこれだけ繰り返したお陰で。


 強靭な肉体、膨大な魔力、異常な回復能力、潜在能力、土下座力その他もろもろの力が人間の極致きょくちいたったと思うんだよね。よわいこれでも6歳だよ。凄いよね~!


 それでオーフェンさんには毎日殺されかける日々なんだ……今思えばあの人絶対可笑しいよね。魔法障壁や部分的な筋力集中でお腹のガードを固めているのに。そんなのお構い無しに僕に致命傷を与えて本気で殺しにかかって来るんだ。


〖それでは古龍や妖精王に勝てませんぞ。シン様〗


 古龍は居るにしても何でそんな伝説の化物まで倒さないといけないんだい。妖精王なんて古いおとぎ話で出てくるあれだよね?


 ……しかし。オーフェンさんは絶対何か特別な力を持っているよね。じゃないと物理原則を全て無視してステータス能力値が上の筈の僕が簡単しばかれたりしない筈だもんね。


 まぁ、オーフェンさんの話はこの辺にして。最近のライチ師匠はというとね………最近。コネクトの都市にあるホストにハマっちゃったよ。


 僕への悪巧みを止める様にお金で解決したんだ。


 資金は勿論。盗賊マブダチ達から略奪品《援助金》さ。それをまるごと資金として渡して。


 駄目人間《ライチ師匠》がホストで全部溶かし終わったら。そのお金はホストを経営している盗賊に流れる。そして、その盗賊を今度は僕がマブダチ化して仲良くなって資金を回収する。これで完璧な無限ループの完成さ。


 それにライチ師匠は色々な人に借金があるのに更にホストに狂った様にハマって。僕やお父様にお金をせびってくるんだ。それで足りなかったらアレクシアやレイラちゃんからもお金を借りてるんだからどうしようもないよね。


 僕はお金が元に戻って来て。新しい奴……マブダチも増えてセイフライド領地の治安も良くなる良い事尽くめだね。まあ、マブダチになった盗賊の人達が今どうなっているのか全然知らないんだけだね。


 ゴーブ君やレッド君はあの人達を谷底に突き落としてから何をやらせているのかな? まさかカイ○みたいな地下帝国でも建設してたりしてね……いや、まさかね。ハハハ。


《北の大地とある地下》


「ギャオオオ!!」


「ヒィィ! ハイッ! すいません。オークの旦那。今までの罪を反省して隣国中に通じる穴を掘りますから許して下さい」

「くそ。全てこれもあの可愛いガキとゴブリンのせいだ……しかし何で巨大な地下道なんて掘らされねえといけねえんだ? それにこれ……レールかなんかか? あの可愛い顔のガキは何を始めようとしてやがるんだ?」


 残り約半年後にはアリス魔法学園の入学試験も始まるね。


 先月。お父様に泣きながら土下座して入学したくないなんて冗談で言ったら泣かれたよ。


〖代々。我がセイフライド家はリゲイン王家に多大なる寵愛ちょうあいたまわっている。領民の税が低く物価も安定しているのも我が親友であり。おしたいしているリゲイン王がご健在だから成り立っている。半年前はお前のあまりもの悪辣あくらつ態度で入学は無理だと諦めていだがな。お前は変わってくれた。その様にリゲイン王にも手紙をしたため。お前の変化と入学について大変大喜びになられていたのだ。そんなリゲイン王にも期待され始めたシンがアリス魔法学園に入学しないのならば。私とリゲイン王の仲もこれまでになり。セイフライド領地は必ず衰退していくだろう……うぅぅ〗


 こんな悲しい顔でガチの長台詞ながぜりふを泣きながら言われたら断れないじゃん。お父様どんだけこんな僕《悪役令息》に期待しているんだよ。これも運命力が働いているのかな? この際。力も付けられた事だし行方をくらましてしまおうかな。


 いや。お兄様サギールやララちゃん達の今後や神器の回収もある。特別な神器は貴族という立場じゃないと入れない場所も幾つかあるんだよね。


 やっぱりもっと力を付けないといけないよね。アリス魔法学園で何が待っているのかは分からないけど。ここ数日で手に入れた鑑定と転移魔法書を使ってどんどん自分をレベルアップさせて死亡フラグを回避しないとね。頑張れ僕。ファイトだ僕~!


 それとジン教とかいうおジンを崇拝する可笑しな宗教を始めたラクス皇国から捨てられたドM聖女ララちゃん達。古代都市 リンカネーション組はなんか毎日楽しそうにしてるみたいだよ。


 リンカネーションの中に居るマブダチ化した優秀な人達がララちゃん達の才能に気づいてとんでもない英才教育を始めたんだ。まあ、皇国の洗脳教育と違って楽しく授業はしてるみたいだだけどね。


 流石、皆産まれが高貴な身分だった事はあって。何かを教えればスポンジみたいに直ぐに覚えちゃうんだって。凄いよね。その仲でもララちゃんは熱心にお勉強をしているらしいよ。


 全てはシン様とジン教の為ですわ。とか言いながらなね。齢6歳でおジンが好きだなんて人生終わってるね。ララちゃん……まぁ、君やラクス皇国の子達はこのまま行くと僕と同じでバッドエンド確定人生だからどうにか生存ルートも模索してあげないどね。


 せっかくこんな広い世界で出会ったんだから。なんとあの子達には明るい未来を生きて行ってほしいんだ。絶対にね………


《セイフライド家別館前 ハルス草原》


 なんて事を考えながら左目《鑑定》でさっきから転移魔法書とにらめっこしているんだけどね────


転移場ポータブルゲート個人転移ソロ異空間転移ワールドは可能だが………いやいや。そこはわざわざゲームと一緒にしなくても良かったのに」


 昨日の夜までは転移魔法書を手に入れて浮かれていたけど。この本を鑑定で解読していくうちに色々とめんどくさい事に気づき始めたんだ。


 ◆転移する場所は1度訪れた場所でなければ転移は使用できない。

 ◆転移魔法で使用する魔力は膨大である。

 ◆転移魔法を悪意で使用してはならない。

 ◆大切な……心から守りたいと思う存在がいない者に転移魔法は発現はつげんしない。

 

 他にもまぁ色々と特殊な転移魔法を使用する際の規則みたいなものが書かれてね。要はちゃんとルール守らないと転移魔法なんて使わせてあげないだからねってツンデレ的なあれかな?


 ………特殊な目とか開眼するんじゃないんだからさ。あー、万華鏡みたいに左目がチカチカし始めたよ。血の涙でも流れそうな勢いだよ。


 僕が中二病の様に(うっ! 左目がうずくっ! これはもしや新たな力の覚醒か?)みたいなノリで左目をおさえていると。


「シン君。ルナちゃん出して~! モフモフしたいの~」


 可愛い女の子の服を着た可愛いらしいアレクシアが両手を握って僕にお願いしてきたよ。これは断れないな~! これだけ女の子らしいと将来とんでもない美少女に生長するんだろうな~!


 ていうか。最近のアレクシアは本当に女の子らしくなってるけど。アリス魔法学園入学までにどう男装乙女に変化するんだろうね? 凄く気になるね。まあ、どうせ運命力がどこかのタイミングで働いて男装乙女に変身するんだろうけど。


(フ、フシャーッ! 出たニャア。天敵アレアレ。ご、ご主人。ルナは今お留守とアレアレに伝えてほしいニャア)


「はい。分かりました。カモンッ! ルナ君」


 僕はアレクシアのお願いを速攻で叶える為に相棒《ルナ君》を生贄リリースした。


ポンッ!……ガシッ!

「わ~! ありがとうなのシン君~♡ ルナちゃん。モフモフ~♪」


「フニャアアッ! ご主人の裏切り者のニャアアア! 覚えてるニャアアァ! ご主人ーッ!」


「モフモフなの~!」


 ルナ君の断末魔とアレクシアの喜ぶ声がハルス草原に響き渡った。


「良かったです。これで僕が平和に暮らせますからね」


 少し前から日中でもルナ君の生贄リリースに捧げる事で以前より自分の時間を確保する事が可能になったよ。


 数日前まではアレクシアが僕の身体にくっ付いてばっかりだったけど。


 ルナ君が僕の右目で暮らす様になってからはアレクシアが事あるごとにルナ君をモフモフしたいと言い出す様になった。


 それを心良く聞き受けた僕は何の躊躇ちゅうちょもなく相棒《ルナ君》をアレクシアに捧げる。これで自分の時間を確保できる様になったんだ。


 ルナ君みたいな特殊モンスターて便利だよね~! カード化したら制限か禁止カード位になるのかな?


「シン様~! お待たせしました~! ピクニック様のお弁当御持ちしました~!」


 最近ますます元気で明るくなったレイラちゃんがピクニックバスケットを振り回してニコニコ笑顔でやって来たよ。あれだけブンブン振り回してたらさぁ。お弁当の中身絶対グチャグチャだよね……


「よしっ! 3人揃ったしゴーブ君達の所に飛ぼうか……転移『シュベルト山地』」


「モフモフ~……」「ギニャア~! 身体が変形するのニャアアァ……」「ヘァゥ?……シン様のこれって……」


「へー、僕って大切な存在がちょんといるんだね……」


 僕達3人と1匹はハルス草原から忽然こつぜんと姿を消した。


「モフモッ?!」「ニャアアァ!!」「キャアッ?!」

「おっと……危ない危ない。すみませんお2人共。僕なんかが。2人のクッション代わりさせて頂いて役得ですね。お二人はモフモフではなくモチモチですが」


 そして、試しに覚えたての初級転移魔法でいつもお昼に遊んでいるシュベルト山地に転移してみたんだけど。


 同時に転移させた2人と一匹を守る様な体制で転移させられたね。


「これが転移魔法を使うという事ですか。お爺様マーリン


「わ~! シン君。ごめんなさいなの~! それとここはどこなの?」

「いっそ殺して……殺してニャア……このままじゃあ毛玉にされちゃうのニャア……」

「シン様。すみません。まさかシン様におおかぶさっちゃうなんて。すみません。すみませんッ! すみません~!」


 ルナ君が白目を向いて苦しそうだけど何でだろうね? 不思議だね。


「アハハハ。いえこれも自分が未熟な転移魔法ポートを使ったのが原因ですから気にしないで下さい」


「「ポッキー?」」


 2人は突然の転移に驚いて驚いて淑女しゅくじょとは思えない言葉を放ったと一瞬思ったけど……僕の勘違いだったね。ポッキーか。懐かしいな。食べたいなポッキー、美味しいよね。ポッキー。


 しかしなる程。だんだんあの転移魔法書に書いてある事が理解できてきたよ。


 想いは力。誰かを護りたいという力もない奴が。こんな特殊な力を安易に扱えるわけないって事なんだね。


 ……僕か大切に思ってる最推しの子は勿論アレクシアだ。普段はこの娘に首チョンパされない為にも一生懸命彼女と良好な関係を保とうとしている。


 でも最近じゃあ仲が良いのが当たり前で。一緒に居るのが当然で。この娘を大切に思っている。

アレクシアは僕に取ってかけがえのない存在になりつつある。


 勿論。レイラちゃんや毛玉《ルナ君》もそうなんだろうけど。アレクシアはその仲でも特別なんだ。彼女だけは僕の………


「ゴブゴ~ブ!」『キュララララ!!』「ニュルン!」


「あっ! ゴーブ君達がお土産《ライチ師匠のお金》を持って飛んできましたね。これで皆さん揃いましたし。食事にしましょうか」


「「はい~!」」「……ご主人。鑑定の他にも色々と教えてあげるから助けてニャア~」


 ルナ君が口から泡を吹いてそろそろ倒れそうだから助けてあげないとね。


 おっとっ! 今日一緒に遊ぶ予定だったゴーブ君達が着たみたいだね。今日は皆で集まって久し振りのピクニックだったんだ。


 鑑定やら転移魔法やら他にも覚える事があるけど今は今で楽しまないとね。


《リゲイン王国 セイフライド領地検問》


「サギール様。まだ入領の許可は出ておりませんが」

「それにアリス魔法学園からの外出許可書は御持ちなのでしょうか?」


「うるさいぞ。たかだか門番の分際で貴族でも無いくせに……身分をわきませろよ。身分を俺はセイフライド家時期当主。サギール・セイフライドなんだぞ」


「で、ですが。これも御当主様が決められた規則でして」

「それにアリス魔法学園は魔法契約によるルールがあります」


「チッ! どいつもこいつも父上が決めただの学園のルールなど……この国は何れ俺の物になる。そんなものいちいち聞いてられるか。俺はもう行くぞ。馬車を出せっ! フェイント」


「はっ! サギール様」


「「おっ御待ち下さい。サギール様ーッ!!」」


「全く領民ゴミは本当に耳障りだ。お前もそう思うだろう? 恋人フィアンセよ」


「ええ。全く。サギール様………」


 馬車は行く。セイフライド家の屋敷へと領民を見下す少年と紅蓮の令嬢を乗せて……


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