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残り物には福がある  作者: 橘 葵
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飛んで重無ヴェルヌ

 目覚めると、そこは清浄な森の中。 泉の畔で鹿が喉を潤し小鳥の囀りが耳をくすぐる。 隣にはダイアナ・・息をしている。 ガイアとシンシア、トルコも無事のようだ。


「あれ? ブルース君たら、泉で水浴びしちゃ駄目ってママ言ったでしょ」

「あ・・ごめんなさい」

 もっと先に指摘すべきことがある気がする。


「お夕飯作るから、家にいらっしゃい」

「はい。 お世話になります」

 唐突に現れたママ・エルフに助け起こされ、あらあら、まあまあ、言われながら自宅へ連行された。


 *****


 そして、久方ぶりに訪れたエーレンティカの実家。


「こちら、テラのお母様です」

「ド・・ちゃんのママよ」

 ママ・エルフは本日もお世話モード全開。 早速、僕を着替えさせに掛かってる。


「あの、お義父さんとセレスティアは?」

「何だか、不法侵入した人が居たみたいで。 デ・・ちゃんもそのお手伝い」

 サピルス君もいっしょだろうか?


 夕飯を頂いて、お風呂から上がるとパパ・エルフとセレスティアが帰ってきた。


「ええっ!? ブルース様、ダイアナ様まで」

「やあ、久しぶり」

 当然、パパ・エルフとセレスティアは驚く。 平然とお世話するママ・エルフがおかしい。 因みに、僕は身体を拭いてもらってる最中だ。


「それで、ブルース君。 ここに居る経緯を説明してくれるかね?」

「はい。 ≪カクカクシカジカ≫・・でして」

 ここまでの経緯を話す間に、僕はパジャマに着替え終わった。


「神亀タロウがパンドラの地で生きておったとは」

「タロウさん・・ですか?」

「ああ、地竜のタカシと同じく我らの盟友だった男だ。 あの巨体では、連れ出せなくてな」

 タカシ、ユウジに続いてタロウか。


「ところで、私達の処遇は如何されます?」

「うむ、ブルース君と血族の娘は問題無いが、連れの2人は余りよろしくないな」

「即刻追放ですか?」

「いや、先程の男と違って身元ははっきりしているからな。 無体は働かんよ。 今夜は泊まって、明日ユウジに送ってもらうといい」

 やはり、長居は無理か。


「あの、弟は・・サピルスは元気でしょうか?」

「ああ、彼はだな」

 おっと、忘れてた。


「サピルス君ったらデ・・ちゃんにフラれたショックで森に籠ってるの」

「フラれた?」

「ナヨナヨした方はタイプじゃありません」

 亡命中の王女と王子が恋に落ちて・・なんて展開もあるかと思いきや、まさかの玉砕。 アプローチが早すぎたんでない?


「彼は戦士と共に修業をさせている。 先ずは、ぷよぷよの身体を何とかせねばな」

「お手柔らかに、お願いします」

 彼の処世術『可愛い弟』はエルフに通用しなかったようだ。


 *****


 翌朝、僕らの出発に先立ち、不法侵入者の追放が行われた。 丸太に括って川に流すらしい。


「私が死んだら病気の妻と3才の息子が路頭に」

「独身だと言ってなかったか?」

「帰ったら、結婚する予定で・・ちょ わっ わわっ 助けて閣下ぁ―――‥。」

 黙って流されて欲しい。 誤解を招く。


 さて、罪人の追放は終わった。 次は我々が旅立つ番だ。


「本当に付いてくるのか?」

「はい。 私も沢山修行して、戦いのお手伝いも出来るようになったんです。 連れてってください」

「デ・・は十分に自分の身を護る技術を身に着けた。 私が保証する」

「そうか・・ティア、頼りにしてる」

「はい」

 旅の仲間にセレスティアを加え、探索を続行することにした。


「では、ユウジさん。 お願いします」

 大王雀のユウジに荒野の入り口まで降ろしてもらう。


 チュン チュン


 滝隣の原っぱからユウジが飛び立つ。 5人乗雀でも危な気ない。 流石は急降下突撃が得意なユウジ、もの凄い速度で降下を開始した。


「きゃぁぁぁ!!!!!!」

 鋼索鉄道ケーブルカーのノリでダイアナは大はしゃぎ。 手を挙げたら危ないぞ。


「なあ、この速度で止まれるのか?」

 余りの加速に不安が芽生えてきた。


 チュン 


 へーそうなんだ。


「言ってることが解かるのか?」

「不思議とね」

「それで、何と言ってる?」

「『俺の特攻は誰にも止められない』・・だって」

「それって」

「このまま墜落するってことだ」

 何かのスイッチが入ったユウジに、速度を落とす気配はない。 遂には終端速度にまで達した。 目前に迫る赤褐色の大地。 終わったな。 今度こそ助かりようがない。


「誰にも怪我はさせません!」


 眩い光と共に、一人一人が個々に聖法結界に包まれた。 ユウジを含めた全体も更に外側から覆われている。 流石は聖女セレスティア。 修行とやらの成果は予想以上だ。


 ズゴォ―――‥ン!!!!!!


 遂に大地と衝突した。 聖法結界に護られたユウジは、地面を突き破り地下深くへ潜っていく。 衝撃に翻弄されながらも、個々を覆う聖法結界が僕らの身体を護ってくれている。


 ズゴゴゴゴゴゴッ―――‥。


 勢いのまま地面を突き進んでいたユウジは、突然、何もない空間にパッと飛び込んだ。 そして、勢いの削がれた機体は、暗い地下空間に軟着陸した。


「全員いるか?」

「いまーす!」

 返事と同時にセレスティアが光を灯す。 迷宮でエーレンティカが使ってた魔法だ。 照らし出したのは、全員の無事な様子と。


「何だこいつは?」

 明らかに邪悪な顔をした巨大な黒竜の姿だった。


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