30. 食べ逃しました!
未だ幸福感が治まらないのか、ピクピクと体を痙攣させながらサクが何かを言っている。
「ん? どうした?」
しっかりとサクの小さな体を抱き抱え、頭を撫でる。
「・・・うっ、うぅっ。」
「ど、どうしたサク? 大丈夫か? 痛かったのか?」
フルフルと首を振る。
どうして良いか分からず、アスタが昔してくれた様にしっかりと抱きしめ、背中をトントンと優しく叩く。
「うっ、うっ、うぇーーんっ。」
更に泣き出してしまった・・・。
落ち着くまで、サクを抱き締め少しの間沈黙の時間が流れる。
サラサラとした髪を撫でサクの頭に顔を着けると、サクの良い匂いが鼻孔を擽る。
「ご主人・・・。」
「ん~?」
「私ね・・・。」
「ん~。」
「こんなに優しく扱われるの初めて。あっ、勘違いしないで下さいねっ、この体はご主人しか触らせてないからっ! ご主人だけの体だからっ!」
「どうした急に?」
「今話してるのは、昔封印として使われて、顕現した時の記憶の話だからっ・・・。」
「だから?」
「だから、・・・その、・・・嫌わないで・・・下さい。」
「嫌う訳無いだろ? 俺の大事なサクだから。」
「ご主人っ!!」
思いっきり抱き付きグリグリと顔を胸に擦り付け、ふぅっと一つ息を吐きサクがポツポツと語り出した。
「私が封印とされたのは5回その内顕現したのは3回、私ね、ほら、封印の位置が位置でしょ? だから、欲望の捌け口にされていたの、だからこういうのは好きじゃ無かった。早く濡らして早く突っ込んで精を吐き出させてお終い。それ以上でもそれ以下でも無いそんな記憶・・・。」
「う、うん・・・。」
「何度も言うけど、古い古―い記憶だからねっ! そう、人間っぽく言うと前世? みたいなっ!」
「分かってるって。」
胸に埋めた顔を上げこちらをじっと見つめ、また胸に顔を埋める。
「でもね、ご主人の中に居る時から愛されるの時の喜びとか、幸福感、安心感が伝わって来て、少しずつ私のイメージが違っているんじゃないかって、思いを抱くようになったの。八雷神同士でそんな話とかしないし・・・。それでね、昨日クロとサクがご主人と交わってるのを見て、凄く幸せそうだった。気付いたら自分で自分を慰める位に興奮してた。」
「それで、実際どうだった?」
サクの柔らかい髪を撫でる。
「・・・凄かった。こんなに愛されてるって感じた事無かった。・・・幸せで頭が痺れた。絡める舌が気持ち良くて、胸を触る手が暖かくて、・・・わっ、私の中に触れるセイ様が優しかった。」
胸からゆっくりと顔を離し、優しく唇を重ねる。
「だからねっ、ご主人! 私もっとしたいっ! もっと色々な事ご主人にされたいっ私を求めて欲しいっ! ご主人を気持ちよくしたいっ! 今から私をやり直したいっ!」
嬉しいのか悲しいのか不安なのか良く分からない顔をし、大きな瞳に涙が溜まって来る。
零れそうな涙を舌で舐め取りサクに微笑みかける。
「じゃあ、サク、今日からお前を俺でいっぱいにしてやる。嫌な記憶は俺が上書きするけど良いか?」
「はいっ、喜んでっ! ご主人っ!」
満面の笑みを浮かべ頬を涙で濡らすサクがとても綺麗だった。
その後、ちゃんとクロとワカの時と同じ様に魔力を使いサクをしっかりと喜ばせ体を重ねる。
幸せそうな顔で、もう一度頬を濡らすサクを優しく抱き締めた。
辺りはすっかり日が落ち、月明かりが窓から挿し込んでいる。
「やっぱり、ちゃんと服着て寝れ無かったね。」
俺のベッドで寝息を立てるサクの髪を一撫でし、布団を掛ける。
「晩飯食べそびれたなぁ・・・。まだ食堂やってないかな?」
手早くシャワーで体を流すと、とりあえず外へ出られる格好に着替え、僅かな希望を胸に部屋を出た。
今日の屋外授業のせいか、寮はいつもの賑やかさが無い。
そう言えば、ミーナちゃんと買い物出来たのかな? ミーナの事だから買った物を見せに来るかと思っていたのだが、部屋に来た気配は無かったよな・・・。
先輩達と行ってるから大丈夫だとは思うが、明日の朝にでも聞いてみるか。
寮の玄関を出ると心地よい夜風が、バタバタと用意をしたせいで熱くなった体を冷やしてくれた。
食堂の方に目をやるとまだ明るいのが分かり、急いで食堂へ向おうとした時。
「あれ? セイ様? どうしたんですか? もしかして、連絡も無く遅くなったから心配で待ってくれていたんですか? ミーナ感激ですっ。」
両手に大量の紙袋を下げたミーナが駆け寄って来た。
「セイ様っ、ごめんなさい。心配させてしまいました。次からはもう少し早く帰って来る様にしますっ。」
「えっ、あっ、あぁ。」
何だか良く分からないが、俺が帰りの遅いミーナ達を心配して出てきたと思っている様だ。
凄く感動している様だし、たまたま食堂へ行く為に出て来たらミーナが帰って来たとか言わない方が良いんだろうな・・・。
「ミ、ミーナっ。」
「はいっ。」
「その、なんだ、今日は初めての買い物で時間の配分とかも分からなかっただろうから、次からは遅くなりそうな用件の時は、そう言ってくれれば良いからな。」
「ありがとうございますっ。でも、本当にごめんなさい! 私セイ様の所有物なのに、初めての女の子同士でのお出かけに舞い上がってしまって・・・。またクロさんとワカさんに怒られてしまいますね。」
「まぁ、今日はレプト先輩とエル先輩も居たからな、それより・・・、楽しかったか?」
「はいっ!」
満面の笑みで答えるミーナを見て、こうやって魔族と人間が本当に仲よくしてくれたらなと思った。
グゥゥゥっと腹の虫が鳴いたのを聞き、食堂へ向かう途中だったと思い出した。食堂の方へ視線を移すと明りがポツポツと消えていくのが見て取れた。
「セイ様お食事まだだったんですか?」
「ちょっと、色々あってな。食堂の方も明りが消えている様だし、一晩位はなんて事は無い明日の朝しっかり食べれば良いだけだ。」
グゥゥゥ、再び腹の虫が鳴く。
「ふふっ、セイ様でもそんな時があるんですね。いつでも完璧だから何て言うか、安心しました。」
「お前の主人が腹を空かせているのに、安心したとは随分言う様になったじゃないか。」
「ふっ、ふっ、ふっ。セイ様こそ自分がお買いになったモノの力を舐めてはいけませんよっ。」
ウォォォン!ウォォォン!
ミーナが何かを取り出そうとしたした時、けたたましいサイレンが学院に鳴り響いた。




