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 31. 調べました!

「なになに? セイ様何ですかこの音、とても不安になる音なんですけど。」


 キョロキョロと辺りを見渡し、落ち着きを失うミーナ。


「悪いなミーナ、俺にも知らない事は沢山ある。が、何かを知らせる合図だとは思う。学院全体に鳴っているし、この不安感を煽るような音は良い知らせじゃないだろうな・・・。」


 何事かと、寮の部屋からも生徒達が数名出て来ている様で、一階のロビーに集まって来ている。

 集まった生徒たちはこの不快な音に、皆一様に不安そうな表情を浮かべている。


「ミーナ、とりあえず荷物を部屋においてすぐ戻って来い。」


「はっ、はいっ。」


 俺の指示を受けるとすぐに部屋に向け走り出すミーナ。


 クロ、ワカ、何が起こっているか俺も分からない。いつでも出れる準備しておいてくれ。


[はいっ。]


[[はっ。]]


 俺も部屋に残しているサクを連れていく為、部屋に走った。

 部屋に入るとサクもこの音で目を覚ました様で、ワンピースを着ている途中だった。


「すみませんご主人、寝ちゃってしまって。」


「いや、大丈夫だ。それより、何が起こっているのか分からない。すぐ行くぞっ。」


「はいっ。 あっ、ちょっと、まっ・・・。」


 サクの手を取ると、部屋の扉を勢いよく開け飛び出す。


「サクっ、中にっ!」


 部屋を飛び出すと同時にサクに声を掛けると、頷くサクの体が発光しスッと体に入る。

 ロビーで3階から降りて来たミーナと合流し、寮の外に出る。

 さて、とりあえずどこへ向かおうかと思っていると、知らない声で院内放送が流れて来た。


「コード01A。学院生徒の皆さんまずは落ち着いて下さい。急な事で驚いた生徒の方も居るかもしれませんが、寮で待機し次の放送を待って下さい。寮の外には出ない様にお願いします。全教員は待機場所に至急集まって下さい。」


 全教員を至急集める程の緊急事態なのか?

 多少離れているとはいえ学院のすぐ横には町がある。町に被害が及ぶような事なのか? それとも学院内の事なのか?


 目立たない様にするなら、寮に居るのが一番だろうけど、何が起きているのか位は監視役として見ておくべきだろう。それに、ミーナに隠密行動の練習もさせておきたいし。

 クロ、ワカ、サク、教員たちがどこに集まって居るか探れるか?

 俺に言葉を聞くと同時に俺の中から3柱が飛出し、闇に溶けていく。


「早っ、セイ様やっぱりクロさん達凄いですね。あっと言う間に見えなくなりましたよ。」


「感心してないで、ミーナも早く移動スピード上げれる様にがんばれよ。」


「あ゛ぃ。」


 チラリと寮の方に目をやる。生徒は寮から出ない様に言われている。部屋から出ない生徒も居るだろうし、集団での移動を指示でもされない限り、俺達二人が居なくなった事を気付く奴はいないだろう。


「ミーナ、少しスカート捲れ。」


「え? えぇ? こんな時に今ここでですか? 流石に恥ずかしいって言うか、まだ新しいのに履き替えて無いっていうか・・・。」


 何を言っているんだ・・・。

 もう面倒臭くなり片手でスカートを捲り、空いている方の手で両太ももに傷を付ける。


「痛っ・・・。」


「悪いなミーナ何が起こっているか分からない今、状況の把握を最優先にしたい。お前の実戦形式の練習にもなるし、時間が惜しいちょっと我慢してくれ。多少強引だが一時的にお前のスピードを上げる。」


 太ももの傷口に手を当てミーナの足に魔力を流す。自分の体ではもう慣れた物だが、他人の体に施すのはこれが初めてだ。他人の体で情報量が少ない為、血液の流れに沿って細胞の活性化を計る。理論上は出来るはずだが、ぶっつけ本番なので慎重に行った分少し時間が掛かってしまった。


「ミーナ、どんな感じだ?」


「え? えっと・・・、何でしょう最初は針でチクチクされてる感じだったんですけど、今はチクチク感が治まって、自分の足なんですけど違和感があると言うか何と言うか。」


「よし、魔力は中に入っている様だな。じゃあ、軽く本当に軽く飛んでみろ。」


 言われた通りに、膝をあまり曲げずにその場でピョンとジャンプする。


「何これ・・・。」


 一階の窓位の高さまでミーナの体が浮き、実験が成功した事が分かった。これで、移動だけに関しては少しのフォローで連れて行けるだろう。


[主っ、教員と思わしき人物を見つけました。]


 急に頭にクロの声が響く。

 ん? クロか? 離れていても会話出来るのか?


[はい。意識しないと出来ませんが、出来ますよっ! 愛のなせる業ですねっ!]


[[はっ? クロ、何言ってるの? 主様への愛なら私の方が強いわよ?]]


 〈もう、ワカまで何ムキになってんのよ、そんなの争わなくても分かるでしょ? ご主人への愛は私が一番に決まってるでしょ。〉


 分かった、皆が大事に思ってくれているのは十分分かった。それでクロ、どこに向かってる?


[このまま真っ直ぐ行けば、学院の正門があります。]


 分かった。俺達も正門の方へ向かう。ワカとサクも周りに警戒しつつ向ってくれ。


『はいっ!』


「ミーナ、いくぞっ。」


「行くってどこに行くか決まったんですか?」


 あぁ、そうだった、俺以外には聞こえないのか・・・。


「正門に向かう。下は何があるか分からないから、上から行くぞ。しっかり踏ん張って飛べよ。」


 ミーナの腰に手を回し体を支える様にしてミーナにタイミングを合わせる。

 とりあえず力いっぱい飛んだだけの様で、目の前には着地できそうな建物が無い。


「ひっ、ひゃぁぁっ。セイ様飛んでます。私飛んでますよっ!」


「飛んだは良いが、ミーナどこに着地するつもりで飛んだんだ?」


 放物線を描き落下しする。俺の言っている意味が分かり、隣で絶叫するミーナ。

 手頃な着地場所が無い為、落ちている方向に向け風の魔法を行使する。風を固め簡易的な足場を魔法で創りもう一度空へ向け飛び上がる。風を固めただけあって反動が良い感じにジャンプを加速させる。


 食堂や校舎の屋根を伝い校舎付近まで来ると、3柱が俺の到着を待っていた。


「遅くなった。それで、どんな感じだ?」


 3柱の近くに着地すると、俺に向け何かを言い掛けるが3柱全員口を噤み、何かに注目している。

 何を見ているのか視線を追う。

 ミーナの腰に手を回しフォローするように飛んでいたが、初めての身体強化それも魔法による一般的な強化では無く、直接細胞に魔力流す超強化になかなか上手く体をコントロール出来ない為、ミーナも半分俺に抱きつく様な形になっていた。

 どうやらそれが引っ掛かった様で、本当に緊急の時はそんな事で怒るなよ? と思いつつ、三人を抱き締め機嫌を取る。


「主っ、あそこに集まってますね。」


 クロが指差す先に視線を落とす。

 あんなに教員多かったっけ? よくよく目を凝らすと教員以外も混じっている。制服を着ていないのでわかり難かったが、知ってる顔があったので気付く事が出来た。


 レプト先輩にエル先輩、キョウコ先生に聞いたキョウヤって奴も居るな、チィッ、ナキアもいやがる・・・。ってことは、あの辺に集まっているのは3コ―と5コ―の生徒で、あっちにかたまって居るのが教員か。


 正門近くの建物の屋上から3柱と2人で腹ばいになり、動向を見守っていると隣のサクが俺の服を引っ張る。


「ご主人、アレアレ。アレが原因で集まってるんじゃないですか?」


 サクが遠くを指差す。


 町を囲む塀の更に向こうに目を凝らす。


「ん~? 暗くて良く見えないな、何か動いている様には見えるんだけど・・・、ん? ちょっと待てよ、町の更に先に居て、ここから見えるあのサイズって事はかなりデカイいんじゃないか?」


「そうみたいですね~、しかも数体居る様ですけど、どうします? 主っ。」


 さて、どうしたものか・・・。生徒に寮から出ない様に放送したという事は、既に殲滅する算段がついているのか? それとも、サイズは大きいが強さ自体は大した事が無いから、3コ―と5コ―の生徒に実戦経験を積ませる為にやらせるのか? どちらにしろ下級生が外に出て変に騒がれては面倒と言う事かな。


 あのサイズのモンスターって何が居たかな? 記憶の引き出しから巨大モンスターの情報を引っ張り出す。


「へっ、へっくちっ!」


 記憶を探っていると、サクが可愛らしいくしゃみをする。


「サク、くしゃみは可愛いけど、見つかったらどうするんだ。」


「だ、だって、ご主人、待ってって言ってるのに、引っ張って連れて来られたから・・・、その、パンツ履いて無くてスースーしちゃって・・・。」


 モジモジと言い訳するサクが俯く。


「誰か居るのかっ!?」


 正門の方から大きな声が発せられた。

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