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【書籍化】枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉  作者: 狭山ひびき
お孫ちゃんズともっふもふ!

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プロローグ

お気に入り登録、評価などありがとうございます!


第二部はじめます。

無理のない程度に、のんびりペースで更新していく予定です。

第二部はノベル①巻で改稿した内容も反映しておりますので、WEB版にない情報が出て来ることがあります。ご注意ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

 春――

 イアナとフェルナンドの結婚式を終えて、一週間ほどが経ったある日のことだった。


 その日、ステファーニ公爵邸の上空には、濃い灰色の不穏な雲が立ち込めていた。

 明け方からピカッ、ゴロゴロゴロ……と、何度も雷が鳴り響いているが、春の一時期、このあたりは毎年のように天候が荒れるので珍しいことではない。

 特に、エラルドの実験室は地下にあるので、雷鳴なんてほとんど聞こえてこなかった。


「父上たちがルクレツィオとカーラをなだめている今がチャンスだな」


 エラルドはテーブルの上に並んでいるいくつもの実験道具を眺めつつほくそ笑む。

 雷鳴に怯えるエラルドの息子ルクレツィオと娘カーラをなだめるため、エラルドの父フェルナンド・ステファーニをはじめ、義母のイアナ、妻のアリーチャは二人にかかりっきりである。

 ばれたら間違いなく止められる実験をするには、今がチャンスだ。

 おあつらえ向けに雷鳴もとどろいている。


「これならここで大きな音がしてもばれないだろう」


 エラルドの視線の先には、フェルナンドから使用禁止命令を受けている黄燐があった。五十度ほどの熱で自然発火する超危険物質である。

 フェルナンドはだめだというが、実はこの黄燐、使い方次第では魔術具や薬の材料を生成する際にとっても役立つ物質だった。まあ、フェルナンドに禁止されているのは、過去にエラルドが黄燐を使った実験でボヤを起こしたからであるのだが。


 でも、エラルドにだって言い分はある。

 自分で起こしたボヤ騒ぎは、ちゃんと自分で対処した。魔術で水を生み出し消火したのだ。その際にちょーっと邸の中が水浸しになって後片付けが大変だったりはしたが、誰も怪我をしていないのだからいいではないかと思っている。口に出したら怒られるので言わないが。


 エラルドは密閉されたガラス容器から慎重に黄燐を取り出した。

 三角フラスコの中に、薬さじ一杯分の黄燐を入れる。


「そもそも、この実験は必要な事なんだ。伯父上がせっついてくるからね」


 文句があるなら伯父――すなわち、先王であり父の兄に言ってくれ、と脳内で責任転嫁するエラルドである。

 エラルドの実験には、大義名分があるのだ。先王の命令(実際はお願い程度だが)という、素晴らしい大義名分が!


「若返りの薬は若返りすぎたし、あの指輪もさすがにまずいからなぁ。伯父上に変身できる指輪とか、使用者制限をかけていたとしても盗まれて改良されたら一発アウトだし。あんなものを作ったことがばれたら大騒ぎだよ」


 実験のことになると我を忘れるエラルドだが、さすがに自分が作ったものがマズいかそうじゃないかくらいはわかる。

 父フェルナンドを二十歳の姿にまで若返らせた薬も、嵌めていたら登録した外見になれる変身の指輪も、世の中に出たら大問題になるのは間違いなかった。使い方次第では暗殺にも使えるだろうし、戦争などで悪用しようと思えばいくらでもできる代物だ。


 エラルドはさすがに戦犯にはなりたくない。国内だけでも問題だが、うっかり国外に流出しようものなら責任問題になりかねなかった。大変な思いをして作り上げた薬と魔術具だがあれの作り方は封印だ。量産してはならない。

 フェルナンドの場合は、なんだかんだと若い妻をもらって第二の人生を謳歌するのに一役買ったのだから、今ではエラルドはちょっといいことをした気になっている。


 イアナは二十歳と若いが、とっても懐の深い素敵な女性だ。父とお似合いだと思う。

 まあ……年寄りが好きというちょっと変わった性癖はあるが、こちらは些末な問題だろう。今のところ、指輪をして元の六十二歳の外見に戻ったフェルナンドをたまに眺めたり、肖像画を眺めたりするだけで満足しているようだから。

 エラルドの子供たちを「お孫ちゃん可愛いっ」と言って溺愛してくれるのもまたいい。妻のアリーチャとも仲がいいし、父もイアナを溺愛しているし、ステファーニ公爵家は安泰だ。


(これでルクレツィオが大人になるまで父上に領地を任せられるし、なんなら義母上との間に子供でも生まれてくれたら万が一ルクレツィオが跡を継ぎたくないと言ったときでも問題ないし、僕はとてもいいことをしたと思うんだ)


 父を若返らせて素敵な縁談を用意したのだから、最高の仕事をしたと言っても過言ではない。人生で一番の親孝行だろう。あれだけの親孝行をしたのだから、今後は考えなくてもよさそうだ。

 エラルドは都合よく自分の行いを正当化した。


 そうして気分よく、エラルドは黄燐の入ったフラスコの中に次々と薬品を入れていく。

 現在作っているのは、エラルドが作ろうと考えている薬を生成するための機械の格になる部分である。エラルドが立ち上げた理論上、この機械が完成すれば、予想している効果のある薬が作れるはずなのだ。

 ただ……ちょーっと、その生成過程に危険が伴うのが問題なのだが。


「よし!」


 三角フラスコの中で、薬品同士が干渉し合い化学反応を起こしはじめる。

 バチッとかボコッとか不穏な音をたてながら、金色の炎がフラスコの中で上がった。

 このフラスコは特別製なので、中で物質が燃えようとも問題ないはず……である。


「そろそろかな?」


 エラルドは慎重に銅板でフラスコの口を塞ぐ。その、直後。



 どぉおおおおおおおおん‼



 カッとフラスコが光った瞬間、大爆発が起こった。

 慌てて防御結界を張ったエラルドは無事だったが、もくもくと灰色の煙に覆われた研究室が無事だとは言いがたい。


(……まずい)


 想定以上に大きな爆音が轟いてしまった。

 エラルドの予定では「どーん」くらいの可愛い爆発が起こるはずだったのだが。


 そして、こうなると当然――



「エラルド‼ 今度は何をやらかした‼」



 激怒した父が怒鳴り声と共に、研究室の扉を蹴破った。

 若返った父は脚力も全盛期に戻って困る、とエラルドは明後日なことを考えながら、なんとか説教を回避する方法はないものかと頭を悩ませたのだった。





面白い!続きが気になる!続きが読みたい!と思ってくださった皆様、

ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ


☆お知らせ☆

明日の8/8、本作①巻が発売されます!

WEB版から加筆改稿し、さらに可愛さパワーアップに挑戦しております(≧▽≦)

楽しんでいただけると幸いです!

挿絵(By みてみん)

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~!?①


出版社 : SBクリエイティブ (ツギクルブックス)

発売日 : 2026/8/8

ISBN-10 : 4815644454

ISBN-13 : 978-4815644451

あらすじ:

「私のお孫ちゃん、かわいすぎっ」


20歳の枯れ専ヒロイン、若返った旦那様と最高の"ばぁばライフ″謳歌


転生前の60代女性の記憶を持ったまま異世界に生まれたイアナ・アントネッラ。

幼い頃から達観した様子は家族から煙たがられ、家政婦のように扱われ育つ。

実家の領地経営もうまくいかず、自分たちの浪費のせいで資金難に陥っている最中、

御年62歳フェルナンド・ステファーニ公爵との縁談の話が。

公爵は30年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。


前世で60歳まで生きたため、若い男性は息子のようにしか思えない『枯れ専』の

イアナはロマンスグレーの老紳士に喜び勇んでステファーニ公爵家へ向かった。

しかし……。


「え? ロマンスグレーの紳士はどこ」

イアナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。


トラブルメーカーの義理息子や、スーパーかわいいお孫ちゃんとともに

達観し肝の据わったイアナと、誠実で思慮深いフェルナンドが

騒がしくも愛しい日々を過ごすドタバタ異世界ファンタジー!




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― 新着の感想 ―
〉薬を生成するための機械の格になる部分 基本「格」は基準値を表すものなので、もしかして核心の「核」かなぁと。
第二部開始、嬉しい!!! 初っ端から大爆発。エラルド、やってくれます(笑い)。 公爵屋敷は、相変わらず。この先が楽しみです。
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