6-2
暗く静まった部屋で僕とミトラは話を続けている。
どうしたら僕の創世エネルギーを作る力が発揮できて、創世エネルギーを与えられるのか。
その問題で僕は頭を悩ませていた。
しんとする中、ミトラはうーんと唸りながら、人差し指を立てながら宙を数え始めた。
「……他の人にも創世エネルギーが与えられれば、体内の壊世エネルギーを浄化やアーツの使用、バリアの修復も可能になるわ」
「じゃあ僕の力が発揮できてみんながアーツを使えるようになったら解決だね」
レヴェリーシティの人々が安心して暮らせる日も近い、僕はそう確信した。
しかしミトラは首を横に振った。
「それで解決はしないわ
創世エネルギーは体内に蓄積してアーツを使用すると消費していくエネルギーなの
だから、都度チャージされることが必要だわ
つまり、減ったら足せないと根本的解決には至らないということなの
私の体内の創世エネルギーもアーツを使い続ければなくなるわ」
「うーん、僕が定期的に力を使ってレヴェリーシティの人々に創世エネルギーを与え続けるってこと?
じゃあ偶然できた!ってなっても解決にはなってないってことかな……」
「そうね、それに創世エネルギーを与えられる条件も発覚しないと安定しない
その2つの問題が解決したら実質、壊世雨に対して対抗手段を持ったといっても過言じゃない状態になるわ」
僕はレヴェリーシティの人を救える力がある。
そう考えるととても心が高ぶった。
まるでセルセラのよう……いや、僕はセルセラの遺伝子を使って作られたのだからそうだろう。
「……すごい!頑張らなきゃ!」
「そうね……」
ミトラは椅子の背もたれに手をかけ、両手ですっと机の中に押し込むと、モニターの電源を落としてスケジュール帳を閉じた。
そしてすたすたとベッドのほうへ歩いてきた。
「明日は予測だと壊世雨が発生しないわ
クレイ研究所もトレートルに任せてあるから明日1日、リアンが力を発揮できる方法を考えながら色々試してみましょ
……明日は1日中リアンと一緒にいられるわ」
思い返してみれば、クレイ研究所ではミトラとほぼずっと一緒だった。
僕は24時間ずっとロボットやアンドロイド、人間に観察されていて、ミトラもそのうちの一人だった。
昨日もミトラは忙しくて朝はクレイ研究所に行っていた、多忙な人だなあとつくづく思う。
ずっといられるのは久しぶりかもしれない……。
「わかった、明日は何をするの?」
「……そうね、とりあえずカラクリ通りに行ってみましょ」
「カラクリ通り?僕行ったことない!」
「そうよね、レヴェリーシティの文化が集まって面白いところよ」
僕はカラクリ通りと聞いてワクワクしていた。
あそこはミトラの言うとおり、レヴェリーシティの文化が集まっているそうだ。
……というのも、レヴェリーシティ自体がいろんな種族が各地から集まってできた街で、それらの文化を発揮しているのがカラクリ通りらしい。
僕が座ったままミトラを見上げていると、ミトラは靴を脱いで僕の両脇に手を回してきた。
そしてぐっと持ち上げられて、僕の身体はふわっと宙に浮いた。
「それっ!」
「あはは!」
僕はベッドに放り投げられて、仰向けでベッドにぼよん!と跳ね返った。
ミトラは隣にぴょんと飛び乗るようにしてベッドに乗ると、毛布を僕めがけて広げてバサッとかけてきた。
「ん~!!」
僕は顔に毛布がかかり、出口を探してかき分けた。
出口を探してもそもそしていると、布団越しにミトラの両手が僕の脇腹に触れた。
「逃がさないわよ!!くすぐりの刑!!」
ミトラの細くて綺麗な指がわき腹をつーっとなぞってきて、ぞくぞくっと鳥肌が立った。
僕は反射的に体をひねってミトラの手から逃げた。
その場から離れようとすると両肘でがっちりと挟まれ、ミトラの両手は僕の脇腹をくすぐってくる。
僕は両手足をばたつかせて全力で暴れた。
「きゃはは!!やめてぇえっ!!」
僕が動き回ったことで毛布は絡まってぐちゃぐちゃになり、出口を完全に見失った。
毛布は手足に絡まって外から見ているであろうミトラはきっと攻撃し放題だ。
一方的にわき腹を攻められ続けて、涙が出てきて笑い死にそうになる。
こんなに笑ったのはいつぶりだろうか……。
「こーんな夜中まで起きてる悪い子はだぁあれだー!」
「っあ!ごめんなさい!!もうゆるしてぇえっ!!」
ミトラの手がピタッと止まった。
その瞬間、全身がどっと疲れて重く感じ、その場でぐったりとしていた。
笑い疲れて動けなくなる、毛布をどける余裕がない。
「はーーっはー……っ」
ぼうっと宙を見て放心状態でいると、ひらりと毛布がめくれ上がり、ミトラが僕の顔を覗き込んできていたずらっぽく笑う。
そして僕の耳元で囁いた。
「もう1回やる?」
「……!」
その言葉を聞いて慌てておきあがろうとすると、右の脇腹を触られて再び鳥肌が立った。
僕は身体を反らせて頭からベッドから落ちそうになり、ミトラに受け止められた。
「……ひっ」
「……ふふっ」
くすぐられて大笑いした反動で身体が重い。
……もうだめだ、笑い疲れて動けない。
僕は息を切らしながら、ミトラの手に身体を任せてぐったりとしていた。
すると僕は身体を持ち上げられて、内側に向けて横に寝かせられた。
ミトラはぐちゃぐちゃになった毛布をばさっと広げて、直して僕の身体にかけてきた。
それからミトラは僕の隣にすっともぐりこんだ。
僕は顔だけひょっこり出て、ミトラは肩が少し出ている。
「これでよく眠れるわね」
僕はミトラに抱きしめられた。
両耳の上から生えている角の間に頬を擦り付けられ、やわらかくてあたたかくて気持ちがよかった。
「えへへ……」
しんと静まり、時間がたつにつれて呼吸がゆっくり整っていく。
ミトラの吐息が角に当たってくすぐったい。
布団とミトラの体温でぬくぬくしてあたたかくて。
うっとりと眠りに落ちていく……―――。




