魔道大運動会前日
担任が黒板を叩いた。
「来週、我が校恒例――魔導大運動会を開催する!」
教室がざわつく。
ユウトは小さく呟いた。
「……運動会?」
ミアが即座に立ち上がる。
「なにそれ!?殴り合い大会!?」
「違う!」
「じゃあ爆破大会!?」
「なんで物騒なんだよ!」
ルナがくすりと笑う。
「ユウトくん、ちゃんと説明聞かないと置いてかれるよ?」
「お前は絶対楽しんでるだろ」
セリナは腕を組む。
「運動会とは、身体能力と魔導技術を競う総合競技大会です」
「さすがセリナ」
次の瞬間、椅子の脚に裾を踏んでガタッ。
「きゃっ」
「頼むから静止状態で転ばないで!」
フィオナがゆったりと手を挙げる。
「うんどうかいってぇ……走るんですよねぇ……?」
「たぶんな!」
⸻
担任が黒板に書いていく。
① 魔法リレー
魔力をバトン代わりに繋いで走るリレー。
ただし、妨害魔法あり。
「つまり走りながら魔法撃つの!?」
ミアが目を輝かせる。
「妨害は軽度限定だ!」
「爆破は?」
「なし!」
ルナがユウトの袖を引く。
「ユウトくん、私と同じチームなら勝てるよ?」
「距離近いって」
「走るともっと近くなるかも」
「ならない」
⸻
② 魔法競技(的当て・制御・威力部門)
純粋な魔導技術を競う。
セリナが自信満々に頷く。
「ここは任せてください」
フィオナが小さく言う。
「……的、なくなっちゃわないかなぁ……」
ユウトが即座に振り向く。
「なくすな」
⸻
③ 応援合戦
魔法演出を使ったパフォーマンス対決。
ルナがにやり。
「ユウトくん、センターやる?」
「やらない」
ミアが叫ぶ。
「巨大火柱やろう!」
「校舎燃えるわ!」
セリナは真顔。
「統一感が必要です」
その直後、ポンと帽子が落ちる。
「統一感の前に足元見ろ!」
⸻
④ 騎馬戦(魔導版)
魔法で浮かせた騎馬の上で帽子を取り合う。
「浮くの!?」
「浮く」
フィオナがぽそり。
「……浮かせるの、できますよぉ」
「出力抑えてな!?」
ミアが腕をぶん回す。
「よし!私が前線だ!」
「絶対落ちる!」
ルナがユウトに密着。
「私が後ろから支えてあげよっか?」
「いや騎馬の話だよな!?」
⸻
担任が締める。
「以上だ。クラス一丸となって優勝を目指せ」
静まり返る教室。
ユウトは四人を見る。
ミアは燃えている。
ルナは楽しそう。
セリナは闘志全開。
フィオナはにこにこ。
嫌な予感しかしない。
「……絶対荒れる」
ミアが拳を突き上げた。
「優勝して祝勝爆発だー!」
「爆発はしない!!」
⸻
ユウトは空を見上げた。
「……なんで俺がまとめ役なんだ」
ミアが両手を広げる。
「だってリーダーっぽいから!」
「どこが!?」
ルナが肩に寄りかかる。
「頼れるし?」
「体重かけるな」
セリナは真面目にノートを広げる。
「本日の練習メニューです」
その瞬間、紙が風で飛ぶ。
「……あ」
「落ち着け」
フィオナはふわっと笑う。
「今日はいい天気ですねぇ……」
「現実見て」
⸻
魔法リレー特訓
バトン代わりの魔力結晶を手にする。
ユウト「妨害は軽めでな。制御重視だ」
ミア「了解!超加速!」
ドンッ。
開始一秒で転倒。
「速さだけで突っ込むな!」
「地面が避けなかった!」
「地面は避けない!」
ルナがスッと横に並ぶ。
「ユウトくん、並走する?」
「距離近いって」
「呼吸合わせないとだよ?」
「気になってちゃんと走れないだろ!」
セリナが優雅に走る。
完璧なフォーム。
次の瞬間、小石。
ズシャァ。
「だから足元ォ!」
フィオナがゆっくり走る。
ぽわ、と魔力が溢れる。
風圧で他全員吹き飛ぶ。
「出力抑えてって言った!」
「えぇ……抑えてますよぉ?」
抑えてこれ‥。
⸻
騎馬戦練習
簡易浮遊魔法で騎馬を再現。
ユウト「まずは安定重視」
ミア「前衛任せて!」
三秒後、暴走。
「ちょっと揺れてるだけ!」
「それを暴走と言う!」
ルナが後ろから抱きつく。
「バランス取るには密着が大事だよ?」
「話の方向が違う!」
セリナが号令をかける。
「陣形Aで行きましょう!」
踏み出した瞬間、裾を踏む。
落下。
「静止状態でも転ぶのに浮遊は無理!」
フィオナがぽわんと浮かせる。
全員まとめて三メートル上昇。
「高い!」
「景色きれいですねぇ」
「いや降ろして!」
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◆ 応援合戦リハーサル
セリナが指揮。
「統一感を重視します」
ミア「巨大炎竜召喚!」
「却下!」
ルナ「じゃあユウトくん中心のハート演出?」
「却下!」
「光の花を咲かせましょうかぁ」
ぽわぁぁん。
訓練場が幻想空間に。
「それだ!それだけでいい!」
ミア「じゃあそこに爆発を」
「混ぜるな!」
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◆ 最終確認
全員汗だく。
ユウトは深呼吸。
「……まとめるぞ」
ミア:制御覚えろ
ルナ:距離保て
セリナ:足元見ろ
フィオナ:出力三1割に抑える
四人同時に返事。
「はーい!」
絶対不安。
夕日が差す。
ルナがふっと真面目な顔になる。
「でもさ」
「?」
「勝ちたいわよね」
ミアも頷く。
「全力でいくよ!」
セリナも静かに言う。
「優勝、取りましょう」
フィオナが微笑む。
「みんな一緒なら……楽しいです」
ユウトは少しだけ笑った。
「……明日、派手にやるか」
ミアが拳を上げる。
「祝勝爆発!」
「爆発はしない!!」




