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[悲報] 魔法使いを目指す俺、ツッコミ役に就任しました  作者: 仁科異邦


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閑話 お疲れ様回

「本日は!」

 ミアが教卓の上に立つ。


「魔の森・生還記念パーティーを開催しまーす!」


「なんで教室で?」


「予算がないから!」


「現実的!」

机の上にはお菓子とジュース。

なぜか“森の思い出”と書かれた紙コップ。

ユウトは席に座り、静かに言う。


「……本当に、助かったな」

その一言で、空気がほんの少し柔らかくなる。


が、次の瞬間。


「で」


セリナが腕を組む。

「森で一番頼りになったのは誰か、議論する?」

「はい始まった」


「そういう流れじゃなかったよね!?」

ミアが即座に言う。


「私は走った!」

ルナが言う。


「私は食料守った!」

フィオナが言う。


「私は癒やした!」

セリナが言う。


「私は冷静だった」

全員が同時にユウトを見る。


「……」


「……何」


「誰が一番だった?」


「え」


「正直に」


「忖度なしで」


「事実ベースで」


「命かかってる」


「怖い怖い怖い怖い」

ユウトは困惑する。


「みんなだろ」


「それは禁止ワード」


「逃げの回答」


「優等生ムーブ」


「却下」


机をバンッ。

「ちゃんと一人選んで!」


「選挙か!?」

その時、ガラッ。


「……何をしているの?」

くっころ先生登場。

一斉に視線が集まる。


ミアがニヤリ。

「先生」

「森で一番頼りになったのは誰だと思います?」


「え」


くっころ先生、固まる。

ユウトを見る、ヒロインたちを見る、そして空気を読む。


「……全員」


「先生も逃げた!」


「大人の回答!」


「つまらない!」

くっころ先生、汗。


「ち、違うわよ!」

「私はちゃんと分析して――」


「じゃあユウトくんは?」


「え」

全員が同時に先生を見る。


「ユウトくんは頼りになりましたか?」


「どのくらい?」


「10段階で」


「好き度で言うと?」


「好き度は関係ないでしょ!」

先生、赤面。


「そ、それはその」

「……冷静で、助かったわ」


「ほう」


「冷静で」


「助かった」


「メモっとこ」


「何を!?」

教室の温度が一気に上がる。


その時。

セシリアが、ぽつり。

「……ユウト様は」


全員が振り向く。

「私にとっては」

一拍。

「昔から頼りになる存在です」

空気、凍結。


「え?」


「昔?」


「いつの話?」


「何それ初耳」


ユウトが固まる。

「……セシリア?」


「ユウト様は覚えていないかもしれませんが」

にこり。

「私は、ずっと見ておりました」


「怖い言い方!」


「情報量!」


「過去イベント解放された!」

教室、完全カオス。

ミアが立ち上がる。


「ちょっと待って!」


「森から帰ってきたら幼馴染属性追加されてるのずるくない!?」

ルナも立つ。

「それなら私も、森で一番近くにいたし!」


フィオナも。

「私だって手当てした!」


セリナは冷静に。

「論理的に考えれば、ユウトの隣席補正が一番強い」


「やめろ数値化!」

くっころ先生、机を叩く。


「静まりなさい!」


ピタッ。

「……ここは教室よ」


「はい」


「……恋愛バトルは、節度を持って」


「節度ある恋愛バトルって何!?」

ユウトは天井を仰ぐ。

(なんでこうなるんだ……)


ただの、お疲れ様会だったはず。なのに。


収拾がつかない。

その時、ミアがぽつり。

「……ねえ結局さユウトは誰が一番?」


「まだ言うの!?」

全員、静かにユウトを見る。

ユウトは深呼吸。


そして言う。

「……森」


「は?」


「森が一番」


「何で!?」


「だって森がなきゃ」

「こんなに盛り上がってないだろ」


一瞬の沈黙。

次の瞬間。

「意味分からない!」


「恋愛回避スキル高すぎ!」

「天然なのか戦略なのか!」


「ずるい!」

くっころ先生、小声で。

「……そこが、いいのよね」


「先生!?」

こうして、魔の森お疲れ様回は、終わったかと思った。

しかし‥


「決めました」


 セリナが静かに立ち上がる。

「曖昧だからいけない」


「何が?」

ミアがポテチを食べながら聞く。


「ユウトの立ち位置」


「俺の?」


「全員が牽制し合っている現状は非効率」


「効率で恋愛語るな」

セリナは黒板に大きく書く。


【チキチキユウト争奪ゲーム】

「ちょっと待て」


「待ちません」

ルナが目を輝かせる。


「勝負形式ってこと?」

フィオナが困った顔。

「争うのは良くないのでは……」


「安心して」

セリナが言う。


「命は賭けない」


「賭けるな」

ミアが手を挙げる。


「内容は?」

セリナ、ニヤリ。


「三本勝負」


「何の大会?」



第一種目:ユウト理解度テスト


「第一問」

セリナが読み上げる。

「ユウトの好きなパンは?」


全員、ペンを走らせる。

ユウトが小声で言う。


「……別に好きとか」


「黙って」


「‥はい」

答案回収。


ミア:カレーパン

ルナ:メロンパン

フィオナ:あんぱん

セシリア:以前は塩パンを好まれておりましたが最近は総菜系に傾倒

セリナ:その日の気分


「セシリア、情報量多い」


「怖い」

ユウトが答える。


「……焼きそばパン」


全員。


「「「「「は?」」」」」


「そんなのあった!?」


「聞いてない!」

セリナが冷静に言う。


「トレンド変化が激しい」


セシリアだけ静かに微笑む。


「把握不足でした……次は外しません」


「怖いって!」


第二種目:ユウトをドキッとさせろ選手権


「健全な範囲で」

フィオナが念押し。


「分かってるって」

トップバッター、ミア。


「ユウト!」

いきなり距離が近い。


「な、何」


「森でさ」


「ずっと頼りにしてた」


「……」


「ありがと」

にこっと笑う。


ユウト、視線逸らす。

「……ずるい」


ルナが前に出る。

「私も」


「森で一番隣にいた」


「覚えてる?」


「……ああ」


「なら」

そっと袖をつまむ。


「これからも、隣でいい?」

教室、静まり返る。

フィオナ、深呼吸。


「ユウトさん」


「はい」


「危ないことはしないでくださいね」


「おれの母ですか!?」


「だって心配なんです」

優しい笑顔。

ユウト、弱い。

セリナはゆっくり近づく。


「あなたは」


「自分の価値を過小評価している」


「急に論文調」


「それは非合理」


「だから」


耳元で小さく。

「もっと自覚しなさい」

ユウト、固まる。


最後に。

セシリア。

静かに立つ。


「ユウト様」

「……その呼び方やめろって」


「無理です」

真っ直ぐ見つめる。


「昔も今も」

「私の中では、ずっとヒーローです」


沈黙。

ミア、小声。


「重い」

ルナ。


「強い」

セリナ。


「ラスボス感」

ユウト、完全沈黙。


「いや、男の子だから」



最終種目:ユウトが選ぶ

「さあ」

ミアが机を叩く。


「最終決断!」

「待て」


「誰が一番ドキッとさせた?」

「俺が審査員!?」


全員、並ぶ、圧。

圧がすごい。

ユウトは深呼吸。


「……全員」


「却下!」


「逃げるな!」


「聞け!」

全員静止。


「正直、みんな、すごい、でも」


一拍。

「争ってるより」


「普通に笑ってる時の方が好きだ」


静寂。

そして。

ミアが吹き出す。


「はは!」

ルナも笑う。

「なんかバカみたい」

フィオナ、ほっとする。


セリナ、小さく笑う。

「結局それ」

セシリアも微笑む。

「……ユウト様らしい」


担任の先生が、いつの間にか後ろに立っていた。

「君たち放課後何してるの」


全員。


「「「「「ゲームです」」」」」


先生、ため息。


「……ほどほどに」


小声で。


「……私も参加資格あるのかしら」


「くっころ先生!?」

教室、再びカオスとなる。

こうして。


ユウト争奪ゲームは

勝者なし。

だが。距離は、確実に縮まった。


そしてユウトは思う。

(森の方がまだ楽だったかもしれない)


次回予告


魔の森の遭難の熱も冷めぬまま――

次なる戦場は、校庭。


「はい注目ー!」


「来週は運動会でーす!」


ざわつく教室。

「え、ガチの?」


「クラス対抗?」


「借り物競走ある!?」


「騎馬戦は!?!?」


なぜか全員、やる気だけは一流。

そしてユウトは気づく。

(これ……絶対、競技以外で荒れるやつだ)


ミアはリレーで燃え。

ルナは玉入れで本気になり。

フィオナはお弁当係に立候補。

セリナは勝率を計算し始め。

セシリアは静かに宣言する。

「ユウト様の隣は、確保します」


「何の!?」

さらに。


くっころ先生も対抗心を燃やす。

「教師チームも負けないわよ!」


「先生出るんですか!?」

ドキドキ。

ハラハラ。

そしてお弁当問題、勃発。


「運動会といえばおにぎりでしょ!」


「いやサンドイッチだよ!」


「栄養バランスを考えるなら――」


「ユウトはどっちが好き!?」


「また俺!?」


次回。


運動会、開幕!


走るのは誰だ。

転ぶのは誰だ。

そして隣に座るのは誰だ。


次回、

運動会に持ってくのはおにぎり?サンドイッチ?


お楽しみに。

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