↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸葛孔明物語~「偽史三国志」  作者: 珍寿
青年諸葛孔明物語
11/29

徐州幻影

 船体に再び強い衝撃が走った。先程から回頭を始めていた右舷隣の船の船尾が、こちらの船の中央付近に衝突したためで、左舷側に大きく傾いた。

 落水しないように船縁に片手をついて体を支えると、反動で右舷側にまた傾く。

 何人かの敵兵が落水したようで、何度か水の音が響いた。

 それでも悲鳴が一つも上がらないのは、この船の甲板上には既に息のある敵がいないからで、私が趙子竜と戦っている間に、達が一人で片付けたようだ。


 その達は、私と趙子竜との戦いの決着が着く前に周りを片付けていたようで、揺れが収まるのを待ってからこちらに駆け寄ってきた。


「父上、甲板を制圧いたしました。これより船内に突入しますか?」


 血塗られた双剣を腰に下げた鞘にしまい、己の武功を誇ろうともせず、神妙な表情を浮かべた達はそう確認してきた。

 私は達の表情から違和感を感じ取り、理由を問うた。


「何か気になるのか?」


 私が問いかけると達は戸惑いを表情に浮かべ、抱いている疑念を述べてくる。


「はい。この船には先ほど父上が倒した男しか強者が乗っていません。他の兵の質は悪く数も少ないです」


 達の気づきを受けて、趙子竜との戦いで忘却の彼方に去っていた劉備の旗艦に乗り込むまでの敵兵の行動を思い出す。

 確かに趙子竜を除く他の兵の質は酷いものだった。特に指揮官にまともな人物がいない、真っ先に殺した関某も喚き散らすだけで有効な指揮をとってはいなかった。背後からの強襲であったとはいえ、あまりにお粗末な迎撃だ。あれは主君を守る兵というよりは、捨て駒と表現するのが相応しい。


 共感を覚えた私は、目を鋭く光らせて達を見据える。


「何かの罠があると?」


「はい。根拠は何もありませんが、かなり嫌な予感がします。ここは一旦、陳老師たちと合流するのを待ちませんか?」


 今の私にとって達の予感ほど怖いものはない。急襲したつもりが、何故か後手に回っており、相手の出方も掴めぬこの状況である。

 冬にもかかわらず、幾筋もの汗が頬を通り過ぎるのは、近くで燃える船の熱に依るものか、将又、趙子竜との決闘に依るものか…それとも…

 五も数えない程の間、目を閉じ黙考する。

 達の意見は尤もだ。相手の手筋が見えない以上、こちらも手札を増やしておくべきは常道である。最悪、敵兵によって幾十に囲まれたとしても、彼らを捨て駒にすれば切り抜ける自信もあった。

 だが、そういった冷静な感情よりも、趙子竜との戦いに陳到が間に合わなかったという事実から、彼らに裏切られたという思いがどうしても強くなってしまう。

 疑心暗鬼、疑い始めたら最後。もはやどうにも辛抱できなくなる。一時の交流から相手を完全に信用するほど私は楽天家でもない。

 この間も、後方から味方が近づく様子はない。時間にしたら短いので当然といえば当然か…

 ついには焦燥感から疑心が勝った。


「ふむ…確かに腑には落ちぬ。だが、約定を違え何時まで経っても現れない連中を待つほどの時はない。さっさと船内を検めようではないか」


「承知!」


 事を急ごうとする私に対して、達は不満を見せる事無く私の提案に従ってくれたのが、心の底からありがたかった。

 私達はそれ以上の議論をすることなく、船内へと降りる階段へ向かおうとした。


「その必要はありませんよ」


「?!」






 突然、あたりに響くような声がしたので、私と達は立ち止まって顔を見合わせ、次に辺りを見回した。しかし、一回り周囲を見回しても、その存在を確認することができなかった。


「…」


「っはは、なんだ空耳かぁ〜…」


 よもや警戒し過ぎての幻聴であったかと笑い話にするべく、無理やり笑いだそうとした。だが…


 ん゛〜ん゛〜ん゛〜


 聞き覚えのある。

 あの不気味な笑い声が聞こえてきた。


 ん゛〜ん゛〜ん゛〜


 近くで燃え盛る炎の所為か、将又、趙子竜との決闘の興奮が未だ覚めやらぬのか大量の汗が滲み出してきた。躍起になって声のする船内へと降りる階段の先を注視するが、そこに人の気配はなく、焦りが更なる発汗を促してくる。


 ん゛~ん゛~ん゛~


 ん゛~ん゛~ん゛~


 ん゛~ん゛~ん゛~


 狼狽える私を見て嘲笑っているのか、笑い声は止むことがない。


「くぅっ、どこだぁ!どこに隠れているのだ!劉備ぃ〜!!」


 ん゛~ん゛~ん゛~


 強い不安と焦りから私の視野は狭まり、思考は鈍くなっていく。


 耳を塞ぎ、視点を落とした。


 それでも、奴の笑い声は聞こえてくる。


 もはや永遠にこの状況が続くのではないかとも思われた。だが、そんなことはない、その前に間違いなく心が狂ってしまう。


 ん゛~ん゛~ん゛~


 ん゛~ん゛~ん゛~


「父上、左です!」


 声の出処ではなく気配からその所在に気づいたらしい達が指差す。


 絶望の闇の中に光を見た私は、一度、達に視線を向け、それからその指し示す方向を見た。


 それは先程、こちらに衝突してきた左隣の船だった。その船の一番高所、指揮台と呼べる場所に劉備は立っていた。


「ん゛ん゛。久しぶりですね。軍師殿。」


「りゅ、劉備っ…将軍」


 私が気づいた途端に凶悪な邪気を放ってきた劉備を前にして、私は言葉が出てこなかった。

 劉備は私から一端視線を外し、周囲を見渡してから口を開く。


「これは一体どういうことです?」


 状況を全て知っている上でとぼけた様子をみせてくるその態度とは裏腹に、奴が放つ邪気は確実に怒気を含んでおり、その威圧感に震えが出てきた。

 それでも私は、今にも飛び掛かろうとする達を制止し、震える足を一歩前に踏み出した。


「こ、これはこれはっ、ご無事であらせられましたかっ?」


 必死で不敵な笑みを作り、どこまで奴が気づいているかの探りを入れる。


「ご覧の通りですよ。貴殿のおかげで曹操軍の船団は壊滅し、さらに孫権の水軍にも大打撃を与えることができました。ん゛ん゛、ついでに私も葬ろうとのお考えだったようですが…残念でしたねぇ」


 その声はもはや笑っていない。のしかかるように重く伝わってきていた怒気は、その台詞が終わる頃には刺し貫かれるような殺気へと変わり、また、劉備の周囲にはぞろぞろと金属の甲冑に身を固めた精鋭たちが現れてきた。どうやら我らのこれまでの動きは全て筒抜けであったことを理解する。それでも、開き直って劉備を弾劾しないのは、一つに裏切り者を確定させることにある。まさか、我が子に疑いを向けるわけはないが、確信が欲しかった。


「さあて、なんのことでしょう。私はただ孫権の陣営での役目を果たしたことから殿と合流しようとしただけですよ?そうしたら何故か矢を射掛けられたので、もしや殿が何者かに襲撃されているのではと思い。とりあえず攻撃してくる船を制圧していったまでのこと…つまり、誤解ですな」


 心外だとばかりに大仰に驚いた素振りをして劉備を挑発した。


「ん゛ん゛。飽くまでシラを切ろうとするつもりですか?残念ながら、貴殿の行動は貴殿につけていた者によりすべて報告されているのですよ。遠く離れていることで連絡など取れぬとお思いでしたか?甘いですねぇ」


 やはり陳到か…奴め、実直そうな外見とは違い腹芸も達者だったのか…

 疑念が現実になったことで私自身に軽い失望を覚え、こめかみの当たりに手を当ててうつむく。するとそれまで半歩後ろに控えていた達の足が前に出ようとしているのが目に入り、視線を達に向けた。


「父上。騙されてはなりません。陳老師は劉備の極悪非道の行いを嘆き、そんな劉備に対して堂々と正道の策を主張される父上を尊敬しておりました。そんな陳老師が父上を裏切る筈がありません」


「達…もうよい。お前は純真であるから汚い人間の考える事がわからぬのだ。私はこんな下衆共にお前まで毒されるのは父として耐え難い。下がっていなさい」


「で、ですが」


「下がれ!」


 私に一喝されると、達は渋々ながらも身を引いてくれた。

 私はそんな達を厳しい表情で見つめながらも心の中では安堵を浮かべた。

 ここ最近で急成長を遂げ、頼もしく思う一面も出てきたとはいってもまだまだ青いな…いくら陳到に師事したとはいっても、家族でもない人間を信用しすぎだ。だが、これは誇るべきことでもある。

 何に対しても疑いを抱く小心者にこれからの大事を担えるわけがない。

 いつまでも無垢な達に大器の片鱗を感じた私はわずかながら喜びを覚えた。


「ん゛〜ん゛〜ん゛〜。どうやら、あきらめがついたようですね。それにしても、折角、信用して機会を与えてあげたのに、まさか下民どもへの情を捨てきれずに謀反を主導するとは…やはり史実とは幻想に過ぎぬのですねぇ」


 今の私の思考など奴には決して読めぬだろう。一人で勝手に話を進めている劉備を内心で笑う余裕を達のお陰で取り戻すことができた私は、最期に盛大に挑発することにした。


「ふん…なんでもかんでも貴様の思うが侭になると思うな!今からそこに乗り込んで貴様の首を引っこ抜いてやる。せいぜい恐怖しながら待っていろ!!」


「ん゛ん゛。ついに化けの皮が剥がれ落ちましたね…できるものならやってご覧なさい。まあ、その前に貴殿には私の忠実なる下僕と戦ってもらいますが…」


「ぬぁに?」


 劉備の言葉が終わる前に、船体に僅かな振動が伝わってきた。丁度、どこか高い所から人一人が甲板上に着地したような軽い衝撃だった。この状況で劉備から視線を外すのは気が引けたが、それでもそれが気になった私達はその方向に視線を向けた。


「陳…老師?」


 船の先に立つ男の姿を確認して達がそうつぶやいた。確信を持っていないのは、その男の放つ異様な雰囲気が陳到とは違い、禍々しく殺伐としていたからかもしれない。


「ん゛ん゛〜。改めて紹介しましょう。彼奴の本当の名は張闓。我が陣営の暗部を司る者にして、私の絶対忠実なる下僕です」


 ば、馬鹿なぁっ!!?

 まるで脳天に雷が落ちたかのような衝撃を受けるとともに、痺れが全身を駆け巡った。

 はじめ、劉備が何を言っているのかわからなかった。親しみ深く、そして、忘れようとまでした憎い存在の名を、まさかこの場で耳にするとは思っていなかったのだ。


 そしてこの衝撃は、今まで断片的に残っていた私の過去の記憶の失われていた部分を埋め、全てを甦らせた。

 それは、とても懐かしくそしておぞましい記憶だった…





 遡ること十数年前、徐州・琅邪諸葛氏の邸宅


 母と父を相次いで亡くした私達は父の継室とともに父の実家である琅邪郡陽都に戻っていた。

 父の実家は、叔父が継いでいたが、性質が実直且つ温厚で妻子のいない叔父は、父母を失った私たちを快く迎えてくれて、不自由のない生活を送ることができていた。

 そんなある日の昼下がりに一人の若い男が兄を訪ねてきた。


「失礼する。諸葛子瑜殿はご在宅ではないか?」


「いらっしゃいませ…生憎と兄は留守にしております。夕刻までには戻ると思いますが…何もお構いすることができません…」


 突然の訪問者に、当時家に篭ってばかりだった私は愛想よく応対することができなかった。また、子供しかいない邸宅に見ず知らずの男を入れる訳にもいかず、不意に沈黙を作ってしまった。


「あいや構わぬ!私は徐州牧・陶恭祖様にお仕えする張叔至と申す。子瑜とは勉学を共にした仲だ。久々に帰って来たと聞いて会いに来たのだが、留守ならば仕方ない。また来ると伝えてくれ」


 沈黙する私をみて警戒されているととらえたのか、張叔至と名乗る男は固い口調のまま笑顔で名を名乗り、用件を伝えてくれた。私はその飾り気のない素朴な印象から好感を持った。


「承りました。確かに兄にお伝え致します」


「ほう…そなた子瑜の弟か?」


「はい。亮と申します…」


「いやはや。未だ十にも満たぬであろうに見事な受け答え、大したものだ。」


「あ…ありがとうございます」


「うむ。それでは失礼する。」


 身内以外に初めて褒められたことで、当時の私はひそかに喜んだものだった。

 こうして私は張闓と出会った。

 それから、張闓は頻繁に兄を訪ねてくるようになった。


「あ、張兄ちゃんいらっしゃい」


「よおっ!琅邪の小竜君。今日もまた読書か!」


 兄の留守中、何度か、会話をするうちに張闓は私が幼くして四書五経を始め、文武問わず通じていることを知り、小竜君と呼ぶようになっていた。


「からかわないでください。叔父上が前々から僕が読みたがっていた穀梁伝を手に入れてきてくれたのです。」


「おおっ!その年で穀梁伝に目をつけるとは…お前本当に9歳か?まったく末頼もしいことだ。お前は将来何になりたいのかな?」


「はい。管仲のような宰相と楽毅みたいな大将軍です!」


「ぷははっ、これはまた随分と大きく出たな!」


「いえ、そのためにこうして毎日欠かさず勉学と鍛錬に励んでおりますので」


「ふむ。だが、勉学と鍛錬だけでは真の人物に成れぬのは分かっていような?いくら机上の空論を磨き、千を超える組手を行っても、実戦では大して役には立たぬぞ?」


「はい。ですが管仲も一度は主君を失って捕虜になり、楽毅も二度仕える国を失いました。失敗を恐れていては彼らのようには成れません。私は実力を上げれるように励むのみです」


「…参った!さすがに小竜と呼ばれるだけのことはあるな!…ところで子瑜は居るか?」


「そう呼んでるのは張兄ちゃんだけですよ…兄はいません…義母上と出かけています…」


「そ、そうか…お前も実の父と母に先立たれて大変だな…」


 照れながらも、すぐに表情を暗くさせ俯く私に、張闓も同情の念を抱いているのだろう両手に握り拳を作りギチギチと力を入れていた


 ふぎゃー、ぶぎゃー


「あ、均が泣いてる…すみませんそれでは…」


「その年で本当に健気なものだな…それにしても子瑜め!白昼堂々、幼い弟たちをほったらかして継母と密会とは…」


 このの後、叔父がいる手前、継母との関係を続けられなくなった兄は、私と均を残して、継母とともに江南へと逃げるように旅立っていった。しかし、兄がいなくなったあとも張闓は私の家を訪ねては菓子をくれたり弟の世話で外に出れない私に旅の土産話をしてくれたりして、実の弟のように気にかけてくれた。

 そう、私にとって張闓は真の兄であった。


 しかし、そんな関係は唐突に終わりを告げた。



 張闓…徐州牧・陶謙に武官として仕え、曹公の父親を護衛する任務の最中、これを殺害しその財産を奪って逃亡たために、徐州に殺戮を招いた男の名だ。


 怒り狂った曹公は自軍の兵糧が尽きるまで徐州を蹂躙し、とくに、張闓に縁の深い東海・琅邪両郡は草木一本残らず徹底的に根絶やしにされた。州牧の陶謙は心労から発狂したのか、息子二人を差し置いて何故か当時居候だった劉備を後継者に指名してから死亡した。

 そして私達は、張闓の事前の知らせで徐州から逃れることは出来たものの、身一つで出たために何も残らず苦しい流浪の末に叔父は殺され、劉表様に拾われるまで乞食同然の暮らしをしたのだ。


 この一連の事件は、結果だけを素直に受け止めれば、私利私欲にまみれた一人の男によって偶発的に悲劇が引き起こされただけのことである。だが、裏で主犯の張闓が劉備とつながっていたとなれば話は別だ。つまり、あれは劉備が徐州を手に入れるために作為的に起こされたという事である。

 そもそも劉備は、事が起こる前から虎視眈々と徐州牧の地位を狙っていた。陶謙の有力な側近である麋兄弟の妹を妻に迎え、利に聡い陳父子を懐柔して足元を固め、また、徐州に隣接する青州刺史(牧)の孔文挙と交友していたのである。

 そうしたうえで、劉備は張闓を使って曹公の父を殺害し、怒り狂った曹公に老い先短い陶謙を攻撃させてこれを心身ともに疲弊させてしまえば、四面楚歌に陥り全てに絶望した陶謙は容易に座を劉備に譲ってくれるというわけだ。あるいは陶謙の二人の息子はあの時既にこの世にいなかったかもしれない…


 それにしても、あの事件の後に劉備に始末されず、名を変えてまでも仕えていようとは…


 くふぅふふ…そうか、そういうことかぁ~!


 全てを悟った私は、天を見上げ涙を流しながら絶叫した。


 初めて陳到にあった時の懐かしさは、幼かったあの頃に親しかった張兄ちゃんの雰囲気が出ていたからだろうか…

 何も告げずに表の世界から消えていった張兄ちゃん。まさか、こんな形で再会しようとは…


「久しぶり…というのもおかしいか…な?小竜君…いや、諸葛孔明…」


 張闓はつけていた仮面を外すと、それを懐に仕舞い込み、堂々とした様子でこちらに視線を向けてきた。

 その顔は仮面で覆っていた部分が漆によるものかひどく爛れており、見るからに痛々しい裂傷が右頬を縦に深く刻み込まれている。もはや昔の面影など残っていないかった。


「いえ…久しぶりです。張…叔至殿」


 私の故郷を滅ぼし一家を離散させた張本人である張闓との再会を喜ぶことなどできるはずもなく、冷ややかな視線を送った。

 それに耐えられなかったのか、張闓は一度視線を外す。


「ふっ、正直、お前と本当に戦うことになるとは思わなかった」


「ふふ、今からでも遅くはないですよ。私に協力してくれても…」


「悪いが…」


「無理ですか?」


「そうだ…」


 何の進展もない会話のあと、お互いに臨戦態勢に入る。張闓は腰に差した剣を抜き放ち逆手に持って後ろに回し腰を低く落とした。対して、私は四肢を最大限に開いて不動なる受けの構えを取る。

 彼の武力は先の戦いや達等との鍛錬である程度知っている。温存していたがそれでも達人の域に達することは明白だ。


「老師?どうしてなんです!?あれほど劉備の行いを非難していたではないですか?」


 私と張闓の戦いを最期まで受け入れられない達が必死の形相で説得を試みる


「達よ。世の中には間違っていると思っていても、やらなければならないこともあるのだ」


 だが既に達観している張闓にその声は届くはずもない…


「そんな…」


 そんな虚しい声が闇夜を炎で赤々と照らす赤壁の地に消えていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。