13 登校2
学校に向かって歩き出すと、前方を歩く紫苑の後ろ姿が見えた。
後ろ姿もかっこいいなんて全く羨ましすぎる。
時折すれ違う人が紫苑を振り返って見ていく。
長身で金髪の美形なんて、みんなが振り返るのは当たり前だよな。
学校が近づくにつれて、学生の数も増えてきた。
いつの間にか現れた女子生徒が紫苑の周りを取り囲んでいく。
あんなに馴れ馴れしくひっついて、紫苑の迷惑になるってわからないのだろうか?
モヤモヤしながら歩いていると、「雅樹!」と名前を呼ばれた。
振り返ると、同じクラスの潤也が駆け寄ってくるところだった。
夏休みの間に更に日焼けしたようで、歯の白さがますます際立って見える。
「おはよう。また日焼けしたみたいだな」
「まあな。練習に加えて試合で遠征したりしていたからな」
潤也はサッカー部に所属している。
レギュラーではないけれど、たまに試合に出してもらえるらしい。
僕と並んで歩きながら、潤也はちょっと首を傾げた。
「あれ? 雅樹ってこっちの方角から登校してたっけ?」
潤也の問いかけにドキッとしつつも、何気ないふりで答える。
「ああ。夏休みの間に引っ越したんだ。だから少し通学路が変わったんだよ」
「へぇぇ。この暑い時期に引っ越しなんて、大変だったんじゃないか?」
「いや、そうでもないよ。ほとんど業者の人が運んでくれたからさ」
そのうちに学校の門が見えてきた。
紫苑の周りはますます女子生徒で溢れかえっている。
「あそこにいるのは隣のクラスの桐生か? 相変わらず女子生徒をはべらせてるな。一人くらいこっちに回してくれてもバチは当たらないと思うんだけどな」
潤也はそう言っているが、潤也だってそれなりに女子生徒にはモテるはずだ。
そこそこイケメンだし、サッカーをやっているせいか、結構足が速い。
去年の体育祭では、百メートル走ではぶっちぎりで一位になり、選抜リレーでも大活躍だった。
彼女の一人くらいいても良さそうなのに、何故か部活以外は僕とつるむ事を優先している。
潤也になら、僕が紫苑と義理の兄弟になった事を打ち明けてもいいかな?
そうは思っているのだが、なかなか打ち明ける機会がない。
何しろ、最近の潤也は部活が忙しいらしくて、一緒に遊びに行く機会が持てないからだ。
だからと言って、学校で打ち明けるにはリスクが大きすぎる。
どこで誰が聞いているかわからないもんな。
親友、と言ってもいいくらいの潤也に対して秘密を持っているなんて心苦しくて仕方がない。
潤也との話に夢中になっていた僕は、紫苑がこちらを見ていた事など全く気づいていなかった。




