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モンスター協奏曲  作者: 東京小町
PR
83/86

番外編 新事実


 ビー、ビー、ビー、ビー

 オペ室に警告音が鳴り響く

「血圧低下!38の27」

「急いでください!」

「わかってる!」

「出血点はどこ、どこなの、落ち着け、どこだ、ん?あった!たっちゃん見つけた!そこ避けて術野を確保して!」

「わかりました!」


 ピッピッ、ピーーーーー

「心肺停止です!」

「え!」

「蘇生する!たっちゃん、そこ任せた!」

「はいっ!」


「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

 ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピーーー

「時間ない!真壁先生!」

「うん!」

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、戻ってこい、まだダメ!戻ってこい!一緒に鹿児島行くんだろ!ハッ、ハッ」

 


「真壁ちゃん、真壁先生、もう…」

 上から監視する病院長がマイクでほざく

「うるさい!黙ってろっ!」

「ハッ、ハッ、龍司!一緒に、新婚旅行、行くんだろ!一人で行かせる気!ハッ、ハッ、龍司ー!戻ってこい!また一人で背負わすのかよ!ハッ、ハッ、龍司!りゅうじーーー!戻ってこい!ハッ、ハッ、龍司、やめてよ、やだよ、せっかく再会出来たのに、ハッ、ハッ、戻ってきて、ねぇお願い、ねえ!起きろ!起きろバカ男!」


 ピーーー、ピッピッ、ピッピッ、ピッピッ、

「戻りました!」

「ギリギリセーフです!脳への心配は大丈夫かと」

「よぉし!さ、グスン、やるよ!急いで!時間ない!」

「はい!」


「よく戻った、龍司、よく頑張った、あとは任せて」

「真壁先生、こっちOKです!」

「よし!さすがたっちゃん!」

 


「こっち終わったよ〜、手伝う!」

「助かる!早いな、さすが私の妹だよ」

「まぁね〜、ほらどいて!」

 使えないキャラの医師をケツでどかす、縁川優子


「汗!」

「お姉ちゃん!」

「なんだよ!」

「涙もだよ」

「涙!」

「ふふふふ」


 スパッ、スパッ

 シュッ、シュッシュッシュッ、シュッ、シュッ

「速い!」縁川夫婦

 ここで、主題歌のBGMが流れ、臨場感を煽る予定



「ふぅ、終了!」

「バイタル正常、安定してます!サイナス!」

「真壁ちゃんブラボー、ブラボー!」

 病院長がほざく

「なぁ、アイツ、諦めて止めようとしてなかった?」

「してました」

「たっちゃん、この病院買収しろ、で、あの病院長クビにしろ」

「かしこまりました」

「え?え?なんか言った?」

「なんでもなーい」

「ここ、大学病院なんですけどー、買収とか無理なんですけどー」

「聞こえてんじゃん」

「病院長、あの縁川さんなら出来ちゃうかもしれません」

「え、え?そうなの?うそーん、やばいじゃん、真壁くーん、焼肉食べるぅ?」

「病院長、もういませんよ」

「はやっ!」



「おーーけーーーー!」

「皆さんお疲れ様でした」

 パチパチパチパチパチパチパチパチ


 緊迫したオペシーンが無事終了して、スタッフから拍手が飛ぶ




 病室でのラストシーン、チッスシーン


「塔子」

「うん」

「ンンンンンー」

「チュキ、そそそれで、い、いつ鹿児島連れてってくれるの?」


「カットーーーー!」

「だめ」


「えーーー、またぁ?」

「だめに決まってんだろ、むしろ最初より酷くなってるぞ」


「ね、顔やばくね?」杏子

「やばいやばい、なんだよあの目をつむる前のキョトン顔、ウケる」リナっち

「もう、テイク7だよ、どんだけチューすんのよ」

「マジそれ、たぬき女帝は、キス顔もたぬき!」

「ちょっと、リナさん、や、やめて、お腹痛い」

「おい、リナ、ククク、ブハハハハ」

「竜斗笑いす……キャハハハハハ」


「おい!お前ら聞こえてんぞー」

「聞こえるように言ってんの!いい加減にしろ、ポンコツ主役!撮影終わらねーじゃん!」リナっち

「は、はぁ?てか、お前らなんで覗いてんだよ!縁川夫婦はもう撮影ないだろうが!」

「えーー、これ見なきゃアメリカ戻れないもーん、ね、竜斗」

「えっと、うん、その通り、戻れません」


 くっそ


「監督、気が散る、あいつら邪魔」

「翔子ちゃん、大女優でしょ?器小さいこと言ったらだめだよ」

「うー、この裏切りおにぎり!」

 

 くそぉ、監督も楽しんでねーか?


「早くしろ!チュッ、チュッチュッたぬき!」

「うるせーよ!だいたいリナっちお前、撮影関係ねーだろ、誰か摘み出せ!あのどS鬼畜歌手追い出せ!」

「ウケる、主題歌歌うの私ですけどー、関係大ありでーす、ラストのシーンを頭に入れて歌わないとだもーん、ね、山岸さん」

「もちろん、イメージしないとね」

「くっそ、ねぇ〜ぇ、あゆむーん、みんなイジメるぅ」

「いや、俺からもマジで頼む、口カピカピ」

「クソがっ!」



 結局テイク14でなんとかオーケーでた

 恥ずかしくて死ぬかと思った


「ショコさん、お疲れサマンサ、あとは任せて、歌でばっちり決めるからね、ショコさんの集大成と一途な愛を、来場者に響かすからね、よく頑張った、偉い偉い」


「リナっち、ありがとう」

 なんだろ、コイツにたまに優しくされると、倍嬉しいのはなぜだ?


「あゆむーん、ポンポコチュッ、ポンポコチュー、ポンポコチュキチュキー、ギャハハハハハハ」

「殺す、クビ」



 オールクランクアップ


 そして、すぐに私とあゆむんは結婚を発表した

 お互い、いい歳なので記者会見などはやらずに、連名の書面で発表した


 世間は大騒ぎ

 でも、私達夫婦は日本にいない

 発表したその日に、世界旅行に出かけた

 新婚旅行

 日本にいると面倒くさそう、逃げるように旅に出たので逃避行とも言える


 鹿児島は、落ち着いてから行く

 


 映画完成記者会見で、初めて二人揃って公の場に姿を現した

 おかげで、映画は大注目

 ただでさえ、春樹夫婦と共演で話題になってるのに、更に大注目


 このシリーズを見返したり、今まで見てなかった人が見たのか、ネット配信の視聴数もバカ上がり



「葉山翔子さん、劇中の真壁塔子と桐沢龍司のやり取りは、半分本当って噂がありますが、その辺どうでしょうか?」

「え?はい、ちょこっとだけ、本当です、ね、あゆ、あ、オホン、です、はい」

「自分からもいいですか?」

「高井歩さんどうぞ」

「ありがとうございます、はい少しだけ、実話です、話をしてしまうと、ネタバレになってしまいますので、ご勘弁ください、ただ、役柄同様に自分達はお互い愛し合いながら演じてます、その辺も楽しみに見ていただきたいと思います!」


「もう、あゆむー…あ、オホン」


「葉山翔子さん、愛し合いながらだったんですね」

「はひっ!えっと、その、はい、愛してまするん、エヘ」

 

 シーン

 

「この映画は、他にも見所満載です、是非お楽しみに!」

 フォローを入れてくれるあゆむん


 じゃねーよ

 やばいやばい、それ私の締めのセリフだよ


「もう、それ私のセリフ〜、もう旦那気取り?いやだぁ、もう、チュキチュキ」


 シーーーーーーーン


「えー、そのぉ、葉山翔子さん高井歩さんありがとうございました」


 葉山翔子終わったわ


「えっと、次は病院長役の箱田和俊さん」

「チュキチュキ言われた後に何をしゃべればいいんですか!」


 ドッ


 殺す、コイツマジでクビ、病院買収する


 うそ、フォローサンキュー

 長年ありがとう



 映画は公開されて大好評

 リナとゴーの歌がやばすぎる

 主題歌大ヒット

 途中途中絶妙なタイミングでかかるこの曲の後押しでみんな泣く



 素晴らしい曲のお礼に、ゴー助の生配信に出てやることにした

 


「はい、では本日の特別、超〜特別ゲスト!VIPお客様!我が事務所会長!兼!大女優!葉山翔子様です!」


 パチパチパチパチパチパチパチパチ

 

「あー、どもども、どもども」


「よっ!会長!よっ!大統領!よっ!悪魔!よっ!大女優!よっ!チュキチュキ女、よっ真壁塔子!」ピーピー

 

「おい、何個か放送禁止用語入ってなかったか?」

「いえ、入ってないです、バンになっちゃいます」

「あ?私が強制的にバンにしてやろうか?あ?」

「ごめんなさい」


「ったく」

 ボフッ

 ゴー助のくせに生意気なチェアにぶっ壊してやろうかくらいの勢いで座りふんぞりかえり、足を組む

「でた、葉山翔子座り」

「なんか言った?」

「いえ」


「あの、会長〜」

「あんだよ!」

「どうぞ座ってくださいって言ってから座ってくださいよ、さっき説明しましたよね、段取り無視しないでください」

「へいへい」


「えーまずは紹介させていただきます」

「葉山翔子さん年齢は…えっと、そのぉ」

「45!」

「あ、言って良かったんですね」

「なんでだめなんだよ!」

「いえその、会長〜怖いって!」

「いつもこうですけど?」

「会長〜」

「あんだよ!」

「この前の会見の失敗、ここで取り戻そうとしてません?」


 ギクッ


「そそんなことねーよ、ほら、進めな」


「あ、はい、ご結婚おめでとうございます」

「ありがと」


「えー、葉山翔子さん、東京生まれで、青春時代は横浜で過ごす、15歳の時にモデルでデビュー、17歳の時に妹冬川京子さん等家族が渡米、それを機に東京に戻って本格的に女優業も開始、この頃に高井歩さんとお付き合いしてたんですか?」


「うん、詳細はノーコメントね」

「は、はい」


「あ、コメントきてますよ、どこで知り合ったんですか?」

「詳細はノーコメント、ごめんね、ウフ、映画がまだ公開中だから、勘弁してください」


「だそうです」


「えー、続けます、28歳の時に今の事務所、スターリバープロモーションを立ち上げる」

「そ、最初は私と当時のマネージャー二人が付いてきてくれて、三人で立ち上げた、今はその二人が取締役だよ」


「ですね」


「そうそう、ゴー助のお母さんも事務所立ち上げを手伝ってくれたんだよ、あの人は私を育ててくれた恩人」

「はい、みんなに初めて打ち明けるけど、俺の母ちゃんが、葉山翔子さんの若かれし頃のマネージャーだったんだよ」

「で、俺の小さい頃は、よくうちに来てて、遊んでくれた」

 

「そうそう、懐かしいねぇ」

 

「今でも覚えてる、俺とショコ姉、あ、会長と、キャッチボールしてたらさぁ、会長思いっきり暴投して、他の家の中にボール入っちゃって、そこのおやじ怖いからボール取りに行くの嫌だって言ってらさぁ、会長が取りに行って、案の定おっかないおやじが出てきたら、会長が、あの子が投げたんです!とか言いやがった」


「あははは、覚えてる覚えてる、っておい、そこで終わらすなよ、それじゃ本当に私悪魔じゃん」

「悪魔じゃん」

「あ?」

「嘘です」


「いやね、したら、そのおやじが、俺を呼びつけて、コラッて言って変な棒でコツンしてきてさぁ、そしたらビックリ、会長が、なにしてんだてめぇって言って、おやじにヘッドロックかけてんの、マジオーバーキルカウンター、焦ったわ」


「そうそう、そりゃかわいいゴー助のためですもの」

「いや、会長、当時22くらいだよね、若い女子が知らないおやじにヘッドロックなんてかけねーから!」

 

「てへ」

 

「てかさ最初から、私が投げましたすいません、って言えば丸く収まったんじゃね?」

 

「確かに」


「まぁ、そんな感じの付き合いがありまして、俺の音楽の才能を引き伸ばしてくれたのが、この会長であります」

「うん、昔から、ピアノとかドラム、ギター、なんでも上手かったよね、なんで野球やってんだろって思ったよ」


「野球の方が先だったからかな、まぁ野球好きだし、野球も音楽も両方好き、でもさすがに自分の力量考えて、野球は中学でやめようと思ってたんだ、でも高校でもハルがやるって言い出して、それに乗っかった感じ」

 

「ふぅーん、で?高校まで野球やって良かった?高校から音楽一本でやってれば、もっと早く売れたかもよぉ」

「いやいや、甲子園優勝だよ?売れるの遅れたって、全然後悔してないよ」


「だな」


「えっと、話戻すね、会長は俺も含む数々の人達のプロデュースをして、成功して、その三人で始めた事務所を大きくしていきました、特に桜水メンバーを多く抱えてるうちの事務所、あれ?今桜水何人いるんだっけ?みんなはねぇ、知らないと思うけど、表舞台に立ってない裏方やってくれる人も数多く雇ってるのよ、この会長は、ね、会長」


「うん、まぁ、有能な奴多いから、自然とそうなった、ゴー助と妹が桜水だから、自然と出会いやすいしね、で、あれ、何人だ?ゴー助数えて、わかるだろ?」

「会長が把握してねーのかよ、ちと待って、うーん、あれ、ドリ…有村も?最近ドリとなんかやってるよね会長」


「あ、そうそう、ドリ君ね、今のお店を弟夫婦に任せて、新しく店出すんだけど、うちが手伝ってんだよ、来春オープン」


「え、飲食でそんなにかかる?」


「飲食だけではない!桜水の真ん前にマダヤってあったでしょ?」

「うん、あった、俺とハルとコバとリナの行きつけだったよ、途中からキョウちゃんも、キョウちゃん、すもも凍らさないで食わせたら、めっちゃむせてたよ、ウケた」

 

「そうなんだ、そこ辞めちゃうらしくてさ」

「あーマジか、やっぱ時代の流れか」

「そうかな、あと店主の年齢的にもだって」

「そっか、俺らん時は二代目だったけど、既にいい歳だったからな」


「ん、コメントきてるね、マダヤってねぇ、本当は山田屋商店て言って、まぁ年齢そこそこの人はうんうんあるあるって思うと思うけど、学校の前によくある、駄菓子とか変なプラモデルとか文房具とか売ってる爺さんがやってる商店だよ」

「だいたい普通は小学校や中学校の前にあるんだけど、桜水は中学もすぐ近く、そのすぐ近くにも小学校あってさぁ、学校トライングルとか言われてて、小学校の前に島田商店ってのがあるから、立地条件的に中学の前じゃなくて、高校の前にあったのが山田屋商店、ま、学生達の憩いの場だよね」


「で、会長、まさか、金にもの言わして、買収したか?」

「当たり」

「嘘だろ…マジ?」

「うん、なんなら、裏の雑木林と、隣の誰も使わねー、コインパも買い上げた」

「マジかよ、何する気だよ」


「まだ公表してねーけど、言うか、宣伝になるし」

「うん」

「学生食堂兼、一般食堂兼、ぬぁんと!春樹竜斗冬川京子記念館」

「んんん?マジで?記念館?普通引退してけっこう経ってから作るもんじゃね?」


「ばーか、セオリー通りやってどうすんだっよっ!今大スターだぞ、しかも二人揃ってスター!今作った方がファン喜ぶべ、みんな何度も来てくれて、お土産買ってくれて、ご飯も食べってってくれてウインウイン!」

「高校生時代に使ってたいろんなもんが、まだ桜水やうちの実家にわんさかあるから、それ飾って、現在のも二人からふんだくって飾る、グッズも売る、普通のグッズ以外に、記念館限定グッズを作ってぇ、アメリカでしか売ってないグッズも並べてぇ、売る、んで、飯もうまけりゃ、繁盛するだろ!」


「うわ、さすが金の亡者」

「あ?ちげーよ、儲けようとしてねーよ、学生食堂は激安、グッズ販売や一般食堂で出た利益を学生食堂に回すんだよ」

 

「まさかの神じゃん」

 

「おーよ、ほら、今は共働き当たり前だろ、昔の竜ちゃんみたいに、親が弁当作るのが大変だったりするだろ、その助けになればってこと、桜水は学食ないからな、それに桜水じゃなくてもいい、土日も営業するから、部活の試合とかで来た他校の生徒もオーケーにする」


「すげぇ、でもキャパ足りるか?隣の高校なくなって、逆に生徒数増えてるみたいだよ」


「そこは、弁当とテイクアウトで対応する、学生達もその方が好きなとこで食えていいだろ」


「なるほどぉ、さすがっ!」

「おーよ」


「で、ドリを使うのか?」

「そう、一年位前かな、なっちがドリ君が悩んでるから相談に乗ってやってくれって言われて始まった話」

「なるほどね」

「ドリ君カンチョー」

「えっと館長だよね」

「うん」

「発音気をつけて」

「ん?」

「いや、いいです」


「あと、うちの母親も手伝うってよ、うちの母親は料理のプロ、もういい歳だけど、まだまだ元気、暇で死にそうなのよぉ、とか言ってたからさ、丁度いいんだろ、給料入るし」


「お、春樹竜斗の学生時代の食を支えた、名物お母さん!」

「そそ、うちの母親の甲子園のアルプスリポートがユーチューブで流れてたじゃん?」


「うん」

 

「で、サムネとかコメントに、綺麗すぎるぞあの姉妹のお母さん!とか出てるの見てさぁ、鼻めっちゃ伸びてたからね、いやだもぅ、照れちゃう〜、とか言ってんの」


「はは、あのお母さんらしいや、なんかほんわかしてるもんね、会長と大違い」

「うるせーよ、でも、あの母親、中身はやばいからね、杏子そっくり」

「え、まさかのおバカさん?」

「そっちじゃない」

「あ、あれか、えっと、感情が豊かなのかなぁ」

「そうなんだよ、二人めんどくせえんだよ」


「なるほどぉ、まぁでも料理の腕はピカイチ、ドリのサポートをするなら、その記念館食堂は繁盛するね、食堂を切り盛りするドリはプレッシャーだろうけど、やれんじゃん」

 

「うん、ま、場所的にと規模的にさ、けっこう金かかるからさぁ、とりあえずスターリバー経営だけどね、それでもドリ君がやりたいって言うから、そうなった」

「今の時代、フードデリバリーが盛んじゃん?何か記念館とかオプションつけないと、新規の個人飲食店は難しいよ」


「さすがっす」

「おーよ」


「で、何人だゴー助、うちの桜水の人数」

「んとー、あれリナも?」

「うん、もうレンタル終わってるから、完全うち」

「となると…15かな、やばっ」

「そんないたか」

「え、ちょっと待って、そのうちガブ、えっとプロゴルファー三沢の嫁は、野球部以外だけど、あとみんな野球部だわ、あれ、部員数は22、キョウちゃんとリナはマネ扱いだとしても、え、野球部の半分以上スターリバーに関わってるじゃん!」


「あはは、すげえなそれ、野球の試合できんじゃん」

「へへ、実は最近草野球チーム作った」

「お、いーじゃん」

「うちら甲子園組と、先輩達何人か誘って作ったんだ」

「へぇ、チーム名は?」

「サクラウォーターズ」

「ダサッ、まんまじゃん」

「はあ?会長!お言葉ですけど、スターリバーもまんまかと思いますがっ!」


「うっ、なんも言えね〜」


「三沢も入れちった」

「は?それ反則じゃね?」

「ゴルファーは関係ないっしょ」

「そっか」


「で、会長のプロデュースの話させもらっていいすか?」

「どうぞん」


「春樹竜斗と冬川杏子の話は有名だから、一旦置く、その他、俺なんかはガキの頃からの付き合いがあるから分かる、佐藤、大沢、羽堂、三沢は活躍してから、うちに入ってるから分かる、リナも学生時代からの付き合いだから、分かる、謎なのが、コバッキーだよ、この前Mー1獲ったコバッキー、あいつらだいぶ初期から、スターリバーだもんね?」


「うん、あいつら、高校卒業して最初養成所行ったんだよ、でもコバがあの極度の人見知りで合わなかったらしくてさぁ、すぐに辞めて、それをリナっちから聞いて、うちで引き取った、だから、あいつら19とかじゃないかな、うちきたの」


「え、そん時から将来売れると思ってたの?会長の性格なら、金の匂いしないと、なびかないもんね」

「おい、私の事、なんだと思ってんだよ!」

「サーセン、でも謎だよ、あん時お笑い芸人どころか、まだタレントさんだってそんなに在籍してなかったよね、マジ謎」


「はは、まぁね、私だってコバッキーがここまで売れるとは思ってなかったよ、さすがに」


「じゃあなんで」


「うーん、これ言っていいのかなぁ」

「え、教えて教えて、ほらコメントもいっぱいきてるよ、みんな謎だって」


「いっか、時効だよな」

「そうだ、時効だよ、カモーーン」


「竜ちゃんがさぁ、あの高橋からバケモンみたいホームラン打った試合、ゴー助覚えてる?」

「もちろん、ハルのデビュー戦だ」


「そう、あの左中間のホームランのボールさぁ」

「うん」

「取ったの私なんだよね」

「へぇ、すげぇ偶然、見に来てたのは後から聞いて知ってたけど、けっこうギャラリーいたもんね、よく取れたね」


「見てた私の頭通り越してさぁ、後ろのベンチの屋根に直撃したんだよ、ゴォーーンとか言って、んで落ちて、コロコロ私の足元に転がってきた」

 

「なんか会長のオーラに吸い寄せられたみたいじゃん」

 

「ほんとそれ、で、そのボール、私が今でも持ってるんだよね」

「え!どうゆうこと?だってあのボール、キョウちゃんが落書きして、今でもハルは大事に持ってるよ」

「はは、あのアホなハートだらけのボールだべ?」

「そう、それ」


「そいつはニセモンでーす、本物は私が持ってる」

「えーーーーー、ハルは?キョウちゃんは知ってるの?」

「知るわけないじゃーん」

「嘘だろ、やっぱり悪魔だ、あれ?でもマッキーが取りに行って持って帰ってきたから、キョウちゃんアホ顔で落書きしたんだよな……あ!あーーー、え、まさかの?」


「それな、マッキーがボールを回収しに来たんだよ、もちろん初対面、私変装してたから、マッキーは私が葉山翔子とは気づいてない、なのに〜、おねだりしたら即くれた」


「えー、あいつやば」


「ダメ元でお願いしたんだよ、記念球だし、そうじゃなくても、ボール管理をしっかりしてるだろうから、無理かなって」

「そうだよ、ダメだよ」


「したら、アイツ、そんなボールが欲しいんですか?どーぞどーぞって言いやがってさぁ、私も困らないの?ボールの数合わなくなるよって言ったらさ」


「この展開のオチ見えた」


「全然オーケーっす、適当なボールでチョチョイと合わしちゃうんで!じゃっ、とか言ってスタコラサッサ消えてったよ」


「うわ、予想通り、ひど」


「そん時思った、こいつただもんじゃねー、将来うちにほしーって」

「えーー、そこぉ?なんか思ってたのと違う」

 

「いいんだよ、結果ただもんじゃねーから売れたんだよ、アイツのメンタルはやべーぞ、甲子園で代走で出て、これから盗塁しまーすって言ってるようなもんなのに、全部成功してる、全国レベルでサクッと盗塁できんだぞ、普通に考えたらやべぇだろ」


「確かに」


「当初は、売れなくても裏方でコイツら使えると思って入れたんだよ、それが今やこの売れ具合、マッキーはソロでもけっこう出てて人気だろ、コバは趣味のプラモデル作りの動画バズってるし、オッケーだろ、結果オーライだよ」


「まぁね、てか、ボールの件大丈夫か?時刻じゃなくね?これ、ハル、いや、キョウちゃん激おこになりそうだよね、大丈夫かなぁ」

「しらね、聞きたいって言ったのゴー助だからね、それに私は悪くない、マッキーが悪い」


「いや、そうかもだけど、実の姉がそれを今まで黙ってるってのはどうかと思いますけど…」


「いいじゃーん、欲しかったんだもーん、言ったら返せって言われるべ」

「なんで欲しかったの?」


「うん、竜ちゃんからのメッセージに受け取れたから、俺をビックにしてくれって、だから、このボールは竜ちゃんがビックになるまで私が預かろうって思ったんだよ、そんで私はこのボールを見て、辛い決断をしなきゃいけない時も、心を鬼にして頑張れた」


「そんなことしなくても鬼だと思うんですが」

「あ?」


「えっと、なるほどぉ、深いなぁ、ん?じゃあなんでまだ持ってるの?とっくにハルはビックになってるよ」

「うんとぉ、今更言えなくなった、杏子がめんどくさそうだし」


「それはわかる…ん、どうしたヤス」


 アシスタントで来てる工藤ちゃんが慌てまくってる、顔青ざめてる


「配信中いいすか?あの」

「どうした、工藤ちゃん」

「やばいっす、会長の電話に冬川京子様から鬼電入ってます、切っても切ってもかかってきます、どうしましょう」


「うわー、絶対これ見てんじゃん」

「はは、アイツバカか、今見てるなら、私が電話にでれねーのわかんねーのかよ、いいや、おもしれーから、繋げろよ」


「マジかよ」

「マジすか」


「携帯貸して」

「はい、ど、どうぞ」

「これ、音声拾えるの?」

「あ、ちょっと待って、はい、どうぞ」


 ポチ


「もっしもーし」

『お姉ちゃん!どうゆうこと!説明して!』


 耳キーーーン


「うるせーよ!怒鳴るな!説明しただろ!」

 

『お姉ちゃん!』

「なんだよ!」


『真面目にあのボール、ニセモン?』

「ニセモン」


『酷い!私のボールコレクションが汚された!』

「おめーのボールじゃねーだろ」

「竜斗の物は私の物!」

「ジャイアンかよ」


『もう!またアネアネ詐欺に引っかかった!酷いよお姉ちゃん!ウエーーーーン』

「おい、もう母親だろ、その泣き方やめろ」


『あ、もう決めた、お姉ちゃんにさくら会わせない!詐欺師に会わせない!』

「おおおおめえ何言ってんだよ、さくらは関係ねーだろ」

『あー、ビビってるぅ、そうだよね〜お姉ちゃん、さくら大好きで甘々だもんねぇ、もう会わせないからっ!』


「は?べべ別にいーよ、おめーんとこのシッター買収するから」

『うわっ、買収、すぐ買収、なにかあったらすぐ買収、買収買収』

「人聞きわりーな、あ、そうだ、杏子!」

『なに!』

「買収の意味を説明してみて」

『へ?そ、それはうんとぉ…』


『祥子さん!こいつググってます!』

『ちょっと竜斗!チクんないで!もう!竜斗のボール、ニセモンだったんだよ、なんでお姉ちゃんの味方すんのよ!』


「はい、杏子の負けー」

「まさかの春樹竜斗登場じゃん!」

『ずるいお姉ちゃん!』

「へいへい、ボール返すから許せ」

『許さない!』

「竜ちゃんはお前と違って器デカいから許してくれるもーん」

 

『ウツワ?』

 

「もういい、じゃあ竜ちゃんおあとよろしくぅ」

『はい!大丈夫す、なんならそのまま持っててください』

『もう!竜斗も酷い!怒った!離婚!』

『あ、そ?わかった』

『やだやだぁ、うそ、うそうそ、離婚だめ、ノー離婚、好き好き〜ねぇ、チューしてっ!」


「おーい、キョウちゃーん、全部放送されてるの忘れてませんかぁ?全世界配信中でーす」

『わお!そうだった、えー、オホン、お姉ちゃん、竜斗の顔に免じて許してあげます』


「それはどーもどーも」

「姉妹揃ってひでーな、よく人前で好き好き言えるよ」

「は?私はパフォーマンスだしな!」

「はいはい」


『チュキチュキー』

「黙ってろ杏子!」

『チュキチュキ〜キャハハハ』


「おい杏子」

『なによ』

「四国全部言ってみろ」

『ほえ?シコク?シコク、え、あ、もうこんな時間だ』

「言ってみろ」

『クッ、えっとそのぉ』

「わからねーのか?恥ずかしっ」

『あ、またググろうとしてます!』

『ちょっと!』

「そこググるかね」

『わかるもん!んとぉ、岡山!』

「ププププ、あとは?」

『あ、そか、何個か集まってるもんね、あれ、あと何個?』

「もういいや、サンキュー、じゃっ」

『ちょ、お姉ちゃん!まだ全部答えてない!』

 プツッ


「さ、ゴー助切り替えよう」

「あのぉ、姉妹でうちのチャンネル荒らすのやめてもらえますかぁ、コメント欄グチャグチャなんすけど」

「ま、いいべ、アイツの好感度上がったべ」

「上がるかぁ?」


「姉妹喧嘩ウケるとかきてるからいいんじゃね?」

「まぁ、ある意味神回になるんでいいけど、ん?会長このコメント見て、よくこれ言われてるね」

 

「ん?あーー、それな」


「姉妹の男の趣味が一緒、春樹竜斗と高井歩似てるとか、めっちゃきてるよ、会長が結婚する前から似てるって世間でも騒がれてたもんね」

「高井歩さんの三十代の頃の映像とか見直すとさぁ、今のハルにそっくりだよ」

 

「あ、うん、それは私も自覚あるよ、それにさぁ、顔だけじゃねーのよ、あの二人、性格も似てるんだよ」


「会長!」

「あんだよ!」


「この生配信を事前に告知したら、偉い人からDMいただきまして」

「偉い人?」

「そう、このロッカーGOには接点なさすぎる偉い人」

「あれ、ゴー助ロッカーだったっけ?」

「は?ゴリゴリのロッカーですけど」

「うちの映画の主題歌、ロッカーの曲には聞こえないんだけど」

「それは、また別」

「ふぅーん、ロッカーの方は売れてねーよな」

「え、えっとはい」

「ほら、ロック魂はとっくの昔に売り払ってるってコメント多数きてるぞ」

「お前らー覚えとけよ!」


「で、なんだよ!」

「会長がちょっかい出すから脱線するんすよ!」

「わかったって、ほら」


「あーはい、その春樹竜斗と高井歩似てる問題、全くの偶然じゃないかもしれません!」

 

「ほええ?」


「その偉い人の話を聞いたらビックリ、話聞いてみません?」

「うん、おーよ」

「実は、今日来ていただいたので、呼んでいいですか?

「マジか、わかった」


 なになになんなんだ?


「ヤス、呼んで」

「了解」

 

 

「どうもこんにちは〜」

「どうぞ、こちらに座ってください」

 

「はい、お招きありがとうございます、歴史研究家の沢村と申します」

「誰このおっさん」

「会長!」

「ははは、葉山翔子さん初めまして、申し訳ないんですが、少し私の話に耳を傾けてもらえませんか?」

「は、はぁ、わかりました」


「私は、日本の歴史を研究している者です、春樹竜斗さんと高井歩さん、この二人、先祖が繋がってます」

 

「え?ええ?どうゆうこと?」


「はい、私は鹿児島の盟主島津家の歴史を研究してたことがあるんですが、この二人が似てるって話題になってピンときたんで、また調べ直しました、高井歩さんのご先祖が鹿児島なのは葉山翔子さんご存知ですか?」


「はい、知ってます、聞いたことあります」

 そう、その話の流れで霧島神宮に行こうねってなった


「実は春樹竜斗さんのご先祖も鹿児島なんです」

「え?そうだったんですね」


 私は聞いたことないけど、そうなんだ


「春樹家、昔は樹の字が簡単な木の春木家でした」

「は、はぁ」


「春木家は、島津家に仕える武家、小さいながらも領地を治める武将だったんです」

「へぇー」

「それでですね、高井家、高井家は春木家に仕えるやはり武家だったんです」

 

「えーーーー!」


「しかもこの両家、それだけの関係ではありません」


「え?」


「葉山翔子さん、関ヶ原の戦いでの島津の退(の)き口ってご存知ですか?」

「ん、ん?…あ!あれだ、西軍が負けて、島津軍が敗走する時に中央突破したやつだ!」


「そうです、徳川家康の前を通ったとも言われてますね」

 あぶねー、昔勉強しといてよかったわ、杏子になるとこだった

「そ、それが?」


「はい、この作戦は島津義弘を逃すために、兵が命がけ、いや、命を捨てて体を張って敵の追撃を食い止めたんです」


「そうなんですね」


「文献にはあまり残ってないんですが、前に調べた記憶を頼りになんとか調べました、当時の春木家当主、春木龍弘(たつひろ)もこの作戦に参加、高井家の高井保義(やすよし)も当然参加して、二人は島津義弘を追撃から守り、討死を果たしました」


「はい、グスン」

 え、なんで私泣いてるの?


「この二人の下の名前は、文献には残ってませんが、おそらく島津義弘の名前から拝命されたのは容易に想像できます、おそらく二人とも有能な武将だったんでしょうね」


「なるほど」


 先生がフリップを出して、二人の名前の漢字を説明する

 

「それにこの春木龍弘にりゅうが使われてます」

「高井保義の保は、ホと読むことができます」


「あっ」


「面白いですよねぇ、春樹竜斗さんの竜、高井歩さんの歩、何か感じますよねぇ」


「はい、グスン」


「さて、ここからなんです、面白いのは」

「へ?」


「二人が討死して困ったのは高井家です、高井家に子はこの保義しかいなくて、その保義にも子がいないので跡取りがいません」

「でも、春木家には、龍弘の下に男子がまだ三人いました、この三人はまだ若かったのと、龍弘がおそらく止めたんでしょう、関ヶ原の戦いには参戦してません、なので…」


「え、まさかの?」


「はい、春木家から龍弘の弟、三男が高井家に養子に出され、高井家は存続され、そこからは血を絶やさず今に至ってます」

「春木家も血を絶やさず、今に至ってます」

「え!ってことは」

「私の調べた限り、この両家はその後は養子をとったりしてません」

 

 ゴクリ


「四百二十年以上前の話なので、かなり薄いですが、春樹竜斗さん高井歩さん、この二人は血の繋がりがあります」


 嘘でしょ…なんだよそれ


「なので、二人が似てるのは全くの偶然では、ないということですね」


 どんな運命だよ、その二人を姉妹で愛すなんて…

 

「その後、両家は明治維新まで、鹿児島で武家として存続してますが、交流はその後ありませんので、お二人がこの事を知らなくても無理はないかもです」

「春木家は明治時代に樹木のキの春樹に字を変え、春樹竜斗さんの曾祖父が、昭和初期に上京してますが、まだ他の末裔は鹿児島に存在します」

「高井家は、高井歩さんの祖父がやはり上京して、現在に至ってますが、他の末裔は残念ながらもういません」


 そっか、だとしたら、私はやはりとんでもないことをしてしまったのか…

 いや、ウジウジやめよう

 兄貴の仁さんに子供いるし


「す、凄い、凄すぎるよ!先生?えっと名前なんだっけ、よく調べたね!偉い偉い!感動した!」

 

 バンバン

 歴史の先生の肩をバンバン叩く


「会長!叩きすぎ!」

「あ、ごめん」

「ははは、大丈夫です、沢村です」


「うす」


「葉山翔子さん!」

「あんだよ!」

「まだ話は終わりませんよ」

「へ?」


「葉山翔子さんのご先祖、星川家は、宮崎県になります、ご存知でしたか?」

 

「全然知りません」


「でしょうね、星川家はだいぶ昔に宮崎を出てますので」

「星川家もやはり名前が変わっていて、星の字が、干物のホシを使った干川家になります、この干川家もやはり武家です、そして!なんと!この干川家の長女は高井家に嫁ぎ、高井保義の妻です」


「えーーーーーーーーー!」


「しかも、次女は春木家に嫁ぎ」

「ま、まさか」

「はい、春樹龍弘の妻です」


「え、えーーーーーーーーー!」


「干川家は、二人を嫁に出して間もなく、豊臣秀吉の九州平定を受け、武家をたたみ、大阪の堺で商売人として生きていきます、そして、関ヶ原の戦いの前には、既に堺から江戸に出ており、やはり先を見据える力は素晴らしく、その血筋をしっかり葉山翔子さんが受け継いでると思います」


「ども」


 じゃねーよ


「え、え、私の先祖が高井と春樹に、嫁いでる?嘘でしょ、こんなことある?」

「あったんですよ、私もビックリしましたよ、これは、教科書に載るかも知れませんね、ははは」


「更に面白いのが、まず高井家、子が出来なかったのに、妾(めかけ)を取らず、そのままだったんですよねぇ、しかも、春木家から三男を迎え入れてるのに、その妻はその春木家の三男とは再婚してません、まぁ、そこはかなりの歳の差があるのが予想出来るので、仕方なかったかもしれませんけど、でも、他の人とも再婚してません、養子に来た春木家の三男は別の武家から嫁を取り、高井家を存続させました」


「そして、春木家、龍弘と干川家から来た妻の間には子供がいましたが、女の子二人のみ、やはり春木家も妾を取らずそのまま、結果、龍弘には子に男子がいないので、家督は龍弘の弟の二男が継いでます、こちらの残された妻も再婚はしてません」

「文献には年齢は載ってなく、確定ではないんですが、長女が高井家、次女が春木家、想像するに、仕えてる高井保義の方が春木龍弘より歳が上だったと推測されます」


「まとめると、葉山翔子さんと冬川京子さんは、春樹竜斗さんと高井歩さんとの血の繋がりはありません」

「ですが、何か気づきませんか?葉山翔子さん」


「はい、気づきました、私達四人に似ています」


「そうなんですよぉ」

「春木龍弘とその妻のおけい」

「高井保義とその妻のおはつ」

「この二組の夫婦は、一途な愛を貫いてます」


「これは、現代のあなた達そのものに思えてしまいます」


「はい、私と妹の杏子の人生に似ています、しかもその名前」


「さすが、よく気づきましたねぇ」

 おけいさん、冬川京子さんの京はけいとも読めます、芸名ですけど面白いですよねぇ」

「それから、おはつは、文献には平仮名ですが、初の子の初と言う字が使われてたと思います、この字はしょ、とも読めます、先程、ゴーさんがショコ姉さんと仰ってました、そう、しょうこ、しょこ、しょ、こじ付けかもしれませんが、何か運命は感じます」


「四百二十年の時を経て、現在似たようなことが起きてます、実に面白い、これは偶然だけで済まされないと、私は思います」


「私(わたくし)おっさんでも、メディアからの情報のみですが、葉山翔子さんと高井歩さん、春樹竜斗さんと冬川京子さんの一途な愛が世間を感動させたのは知っています、これはやはり、ご先祖様の何かの思い、それと、春木龍弘と高井保義、それから二人を支えた妻達の徳が、現代の繋がりになったかも知れませんね」


 地味に私がおっさんって言ったの傷ついてるやん

 

 でも、思う、正直、私達、竜ちゃんや杏子に起きる奇跡は、天国の直鷹だけのおかげかと思ってた


 もしかしたら違ったのかな

 直鷹とタッグ、いや、チームで私達を支えてくれたのかも


 私のプロデュースに今まで失敗はない

 でも、それは、もしかしたら、大きな力に守られてたのかも


「沢村先生、ありがとうございました、とても良いお話ありがとうございました、うちの事務所入りません?金出すからさ、グスン、もっと調べてよ、お願い」


「ぜ、是非」


 マジかよ


 半分社交辞令だったわ


「沢村さん、ありがとうございました!」

「はい、では、失礼します」



「会長、コメントやばいことになってる、Xのトレンドがもう立ってるよ」


「う、うん」


「会長、電話また鳴ってます、でますか?」

「杏子か?繋げて、ゴー助頼む」

「はい」


「もしもし」

『おねえじゃわーん!ウエーーーーン!』


 耳キーーーン


「落ち着け、な、わかったから」

 泣きてーのは、私だよ


『やばいよ私達、やばいよ』

 出川かよ

 

「うん、そだな、なぁ杏子」

『なぁに?』

「うちら、姉妹で良かったな」

『うん、もちのロン!』

「今度、一緒に鹿児島行くか、みんなで行こう」

『行くっ!あれ、鹿児島どこだっけ?シコク?」

 水差すなよ、バチクソバカがっ


「うるせーよ、黙ってついてきな、あゆむんと竜ちゃんに案内してもらうべ、有能な武将の末裔二人にうちら嫁を案内してもらうんだよ、グスン、な」


『うん』

 

 末裔の意味わかってんのか?

 

『祥子さん、俺、じいちゃんから聞いたことあります、春樹家は由緒正しい侍の末裔で、それを支えてくれた人達がいるんだって、しかも、俺が渡米する前の本籍地鹿児島です、今でも父親の本籍地は鹿児島です、そこに行けば、また何か分かるかもしれません、是非鹿児島案内させてください!オフ限定ですけど』


「うん、ありがとう」

 

『あ、鉄道でもいいすか?肥薩おれんじ鉄道ってあるんすけど、熊本の八代から出てて、マジ絶景なんすよ、海すぐそこ、あ、あと枕崎行きたい、南の本土終着駅!知覧の特攻平和会館も、日本人なら是非行くべきです!あと桜島に、あそうか、霧島神宮、うちらもお供したいです…』

「竜ちゃん、落ち着け、わかったから、行こう、行こうね、でも、鹿児島県に通達してからな、自分の立場考えてな」


『了解す、杏子が一度やらかして、社長のナベさんにブチギレられてましたからね』

 それ函館の件だろ、ナベはアンタにも怒ったんですけど

 こいつわかってねーな

 変なとこ、のほほんとしてる

 そこもあゆむんとそっくり

 


「じゃ切るよ」

『お姉ちゃん、またねバイバーイ』

 プツッ

 コイツ、もうボールの件、どうでもよくなったな


「ゴー助、そろそろ締めるか」

「はい、では会長、宣伝どぞ」


「あ、そか」

「劇場版、スーパードクター、外科医真壁塔子ファイナル是非皆さん観に来てくださいねぇ、アハ」



 ゴー助とまぁまぁ雑談した後

 生配信終了


 

 先生の話、聞けてよかった

 ゴー助もやるじゃん


 あゆむんと竜ちゃんは血が繋がってるのか

 この二人の先祖が討死

 その時、おはつとおけいはどんな気持ちだったんだろうか

 今の私からは、想像を超え過ぎてて、共感はできない

 けど、自然と涙が出てきたことは、何かを感じとったからだと思う


 星川家は代々女系家族、女が活躍してるんだよと、おばあちゃんから聞いたことがある

 そう、うちのおばあちゃんの代は男子が産まれず、おばあちゃんが家督を継いでる、おじいちゃんは次男で婿入り

 親父から、おばあちゃんは凄かったとよく聞かされた


 なるほどね



 翌日


 昨日の生配信が大変なことになった


 ネットは良い方向に大荒れ

 四百二十数年の時を超えたタイムスリップラブ

 離れても心は離れない一途な四組の愛

 春木龍弘の二人の娘はどうなった?

 あゆむん…誰だよ葉山翔子 笑

 こんな偶然やばすぎる、映画にしろ


 などなど、凄い反響


 おかげで、私の映画が少し霞んだ

 いや、これから反響でるかな

 

 あー、マジで映画化してくんねーかな

 

 その後、あの沢村先生の言葉を裏付けるように、他の歴史研究家?や、大学の教授等も文献を漁ったのか、次々と肯定のコメントを出す。


 マジで本当なんだ

 沢村先生を疑ってた訳ではないが、その道のプロがこの私達の先祖の話をしてるのを見ると実感が湧く



 外に出て空を見上げる


 みんな、見てくれてるのかなぁ

 私と高井歩が無事結婚してホッとしてるのかな

 ご先祖様、どうですか私達

 四人ともそれなりに頑張ってますよ、有名人ですよ

 そっちの時代の言葉でゆうと、後世に語り継がれる活躍だと思います


 四人とも、とても幸せですよ


 でも、これだは言わせて

 私は先祖からのプレゼントなんて思っていない

 自分達で切り拓いたと自負しています


 でも、その血筋があったからこそ、結果こうなったとも思います


 立派なご先祖様達、感謝しています


 ありがとう。


 



『さすが、干川家の長女ね』

『そうだな、おはつそっくりだ』


 

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