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モンスター協奏曲  作者: 東京小町
PR
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真のモンスター


「竜斗行くよぉ」

「うん、準備オーケー」


「本当に?あ、財布は金庫にしまった?」


「うん、あとはだいたい杏子のバッグに入ってるもんね」


「大丈夫だよ、じゃ行こっか」

「バッグ持つよ」

「サンクス」



 ホテルで支度を整えて、居酒屋ドリさんに向かう。


 なんだかんだ押して、遅れてしまっている


 タクシーではなく、事務所の車で向かう、もちろん事務所のスタッフが運転する


 黒塗りでスモークガラス真っ黒のアルファードの後部座席に二人で乗り込む。



 スターリバープロモーションは、大きくなった


 抱えてるタレントの数も多くなり、姉は社長職を退き会長職になった。


 社長は渡辺さん

 副社長は長谷川さんである


 この二人と姉の三人で始めた芸能事務所が、私と竜斗の成長と共に急成長をし、それに憧れるかのようにタレントが増え、桜水出身もジワジワ増え、今はそこそこの大所帯


 それを見事に指揮して、事務所を切り盛りした姉の実力はやはり凄い


 それをしっかり引き継いでる渡辺さんと長谷川さんが、上手く手綱を取り、更に会社は大きくなろうとしてる。


 既に、姉が前に所属していた芸能事務所よりも大きくなった


 手狭になったので、事務所は移転したが

 元々あった事務所は残していて、会長室と若手の寮(私の元データ小屋)はそのまま使用、オフィススペースは稽古場に変身して、機能させている。


 会長室も本社ビルに行けばいいのになんでだろう


 若手の面倒を見たいのかな?




「竜斗はみんなと会うのは、高校卒業以来だよね」


「うん、東京シリーズでノブとかドリとは会えたけど、まともにゆっくり話は出来てないからね、オフに会うチャンスもなかったからなぁ」


「そっか、オフもなんだかんだ、忙しかったもんね、半分私のせいか…野球教室とか」


「まぁ、気にすんな、好きなんだろ教えるの、どんどん付き合うから、って最近はそれも出来てないよね」


「まぁね、去年はお姉ちゃんのドラマに二人で出演したりしたからね」


「うん、でも楽しかった、やっぱり祥子さんのあのドラマシリーズは面白いね」


「だね、でも初めてだよ、お姉ちゃんと共演したの、なんか照れちゃった、一話だけなのに長く感じた」


「あーそっか、そうだよな、俺は普通に出来たかな、一度共演してるし」


「竜斗と私が夫婦で医者役とかウケたよね」


「確かに、杏子が医者は無理あんだろと思った」


「はぁ?冬川京子に出来ないことありません」


「姉妹揃って派手な医者、ありえねー」


「派手なの好きなくせに、バレてんだからね」


「えっとぉ、否定できないかも」


「たまに化粧落とすなとか言うもんね」


「いや、俺はどっちも好きだよ、すっぴんも派手な方も」


「あ、そ、ありがとっ、合格」

「でた!」

「なによ!」




 車内のテレビモニターからは、私達のCMが流れてる、流れまくっている


 外を眺めても、あちらこちらの広告看板やビジョンに、私達二人の姿が踊る


 日本に来ると実感する

 私達は、大変なところまで登ってきてしまった。



「竜斗〜」

「んー?」


「今の生活幸せ?息苦しくない?」

「なんでよ、好きなこと仕事に出来て、好きな人が横にいて、幸せに決まってんだろ、息苦しいわけないだろ」


「うん、私もだよ、エヘヘヘヘ」


 ほんと何年経っても、いっっっも一緒にいても…


大好き!愛してる!




 本格中華料理三笠(居酒屋ドリさん)到着


 本日貸切!とデカデカ書いてある


 ガヤガヤ


 中から話し声や笑い声が聞こえる


「お待たせ〜」私

「ういーっす」竜斗


「おーー、やっと来たぞ」ドリさん


「え、まだ始めてなかったの?」私


「当たり前だろー!主催者抜きで始められっか」

「ごめーん、じゃ早く飲も早く」

「はいよー」



「かんぱーい」


 飲み会が始まった


 野球部メンバーとの集いはテンション上がる!


 約一ヶ月弱、甲子園宿舎で過ごした仲間達、このメンバーと今度は大人になって、お酒を飲んで思い出話や身の上話をする、そりゃ楽しい


 みんないる、工藤さんは来てない


 やはり、来づらいか…


 監督は更にお爺さんになってるので来てない


 マリさんはオマケ


 ゴー君とリナさんは後から合流


 子供を寝かしつけて、親に預けてから来るそうだ


 そう!この二人にとうとう子供が出来た!

 もう少しで二歳かな


 リナさんは歌を一旦やめて、主婦、ママしてる


 リナさんは歌も好きだけど、それよりもゴー君のことが好き、そのゴー君が起動に乗ったから、歌は一旦休止とラインで教えてくれた


 ゴー君は配信を続けながら、楽曲提供、それにバンド活動もやってる


 ゴー君はエージェントだけどねっ!



 竜斗と私は別々のテーブルに座る


 私達はどーせいつも一緒、いつでも会話出来る


 こんな時は、離れて座って普段会えない面子と各々喋る


 竜斗はノブさんと大さんに絡まれてる、おそらくプロの野球談義が始める


 大さんは、わざわざ福岡から駆けつけてくれた


 そして、ノブさんがいきなり絡む


「おい、ハル!毎回俺から美味しいとこ持っていきやがって!しかもなんだあのホームラン、一生こすられるじゃねーか!」


「えー、わりぃ、なんかノブのこと得意みたい、投げた瞬間イケると思ったよ、お得意様あざす!」


「んのやろーー!」


 ハハハハハ


 羽堂さんが話かけてきた

「この前の解説良かったよ、大反響、お疲れ様ね」


「うん、楽しかったぁ、羽堂さん上手いよね、さっすがー、その上手い実況で合コンしてんでしょ、あいつはあの子狙いだー!とか言って」


「うわー、まだ俺のこと合コン野郎だと思ってるの?杏子ちゃん、俺はもう合コン卒業したよ、結婚考えてる人いるから」


「ま、マジで?女子アナ?」


「違うよ!近くいかない、気まずいの嫌だからいかない」


「あー、昔からそうだよね、近くだと修羅場になりやすいもんね」


「酷っ、今回は本気マジ本気」

「ふぅーん、りょ」


「どんな人〜とか聞かないの?」


「え、いいよ、どうせすぐ別れるでしょ」


「杏子ちゃん、今シーズン終わったら、事務所の仲間だよ、もう少し優しくしてよ」


 そうだった、羽堂さんは実況以外にも仕事が多くなって、局アナに限界を感じ、今シーズンの実況放送が終わったら、フリーとなり、うちの事務所に入る


「じゃあ、冬川先輩とお呼びなさい、ふふ、うそ、よろしくね羽堂さん」 


「はい、チュー先輩」

「は?」


 ハハハハハ


 それからは、ドリさんと松山さんとキャッチャー談義に花を咲かす




「こんにちは」


 ん?めっちゃかわいいし、若い女の子、こんな子、当然この店で見たことない、まぁあれから何年も経ってる、新しいバイト雇ったんだな


「紹介するよ、うちの嫁さんの美衣奈(みいな)ね」


「よろしくお願いします、有村美衣奈です」


「はい?…私酔ってるのかな?」


「杏子ちゃん、変なこと言わないでね、うちの嫁さんだよ」


「えーーーーー!」


「どうした、ゴキブリでも出たか?」

 私の叫び声にみんな集まってきた


「このかわいい子、ど、ど、ドリさんのお嫁さんだって」


「なんだ、知ってるよ、さっきみんな同じリアクションしたから」


 あ、そか、みんな先に来てたもんな


 みんな元の席に戻った


「ドリさん、どこがボール球だよ!ど真ん中じゃん!」


「え、そ、そうかな」


 勝手にふくよかなボリュームある奥さんを想像してた


 ミイナちゃんは細くてかわいい子だ


「あ、冬川京子さん、お話は夫からお伺いしてます、本当にお綺麗ですね、ご活躍尊敬してます」


「ちょっと何この子!若くてかわいくて、礼儀正しい!素敵!ドリさん!どこで見つけた!どこで騙した!ハゲ!間違えた吐け!」


「まだハゲてないからっ!騙してないって〜」


「冬川さん、私から口説いたんですよ、でも最初は相手にしてくれなかったんです」


「それはね、俺とゆう女がいたからだよ」


「おい、ガブさん、急に入ってくんな、今大事なとこ、マッキーって呼ぶよ!」


「それは勘弁」


 ったく、保護者のマリさんどこ行った?…いた


 竜斗と喋ってる


 うーーーん……

 とりあえず許す


 おっぱいに一度でも目がいったら殺す


「で、聞かせて聞かせて、どう口説いたの?チューした?いきなりチュー?」


「冬川さん、いや、星川杏子さん、私も桜水高校出身です、星川さんの四個下になりますけど、体育祭の伝説はしっかり残ってましたよ」


「えーーー!私の黒歴史が受け継がれてたとは…てか、えっと、今年で二十三?」


「そうです、いまだにチューチュー言うんですね、ネズミみたい、クスっ」


「くっそ、なんも言えねぇ、てか、え?若っ!まずどうやって知り合うのよ」


「うんとぉ、私は兄の影響で野球が好きでして、桜水高校が甲子園に出た時にテレビで毎試合応援してました、その時の夫のキャッチャー姿に一目惚れしちゃいました」


「ま、マジか、もしかしてキャッチャー好き?」

「いや、別に」


 ズコッ


「え、じゃあなんで?」


「はい、私その、はっきり言うとポッチャリしてる人が好きなんです」


「わーお」


「で、憧れの桜水高校に入ったんですよ、情報収集しようと思って」


「え、そのために?ドリさんの所在を知りたいだけで?」


「はい、そしたら、先生があっさりここの中華料理屋さん教えてくれました」


 プライバシーゼロやん…


 まぁ、こんなかわいい子がドリさんの所在を聞いてきたら、教えても問題ないと判断するか


「で、そこから、ここ通いまくって、高校卒業したら付き合ってくれるってなって、卒業して、速攻で付き合ってもらって、今に至るです」


「ま、マジか、仕事は?」


「はい、卒業してそのままここで働かせてもらってます」


「凄っ!一直線!ある意味私より凄いや」


「杏子さん、は、は、春樹さんにも挨拶してきていいですか?」


「うん、どうぞ」


 ん?なんか明らかに目がハートになったぞ


「あれ、もしかしてファンなの?」


「はい!野球はピッチャー大好きなんです、甲子園にメジャー、テレビに映る春樹さんをキャーキャー言いながら見てました」


「えー、ドリさんがかわいそうじゃん」


「いいえ、夫には伝えてあります、それとこれは別腹です!ただの推し活です」


「あらま」


 どっかで聞いたぞ、そのセリフ


 ドリさんは、ニコニコしてる

 私には絶対真似出来ない、大人の振る舞い



 ミイナちゃんが、竜斗の元へ



「わっ、春樹さ〜ん、会えて嬉しいですぅ、筋肉触ってもいいですかぁ?キャッ!すご〜い」


「え、あ、本当?ありがとう、わ、若いね」デレデレ


 くっそ、どっちも殺す、なんだあの女、急にブリブリしやがって


 ポムポムポムポムポムポムポムポムポム


「や、やめろ、俺にやり返すなよ!」


 腹立つので、お返しにドリさんの腹をポムポムする


「おいっすー」


 あ!リナさんとゴー君も来た


「リナさん!こっちこっち!ここ来て飲もう!」


 そう、今日は大事な話がある、酔う前に報告しておきたいことがある、カウンターが空いてたので誘う、二人っきりで話がしたい、親友だから隠しておくのは良くない


 会うのは、ゴー君との配信のあとの打ち上げ以来


 ラインはしてるけど、この話はちゃんと会って報告したいと思ってた


「おっす、永遠の友よ、ここに誘うってことは、なんか大事な話か?デキたか?」


「違いますって、報告があるの!」


「てか、あのかわいい若いやつ誰?」


「ドリさんの嫁」

「えーーーーー!」


 そりゃそうなる


「てか、キョウちゃんいいのか、ハルちゃんデレデレだぞ」


「あ、いい、後できっちりケジメ取る、生殺しの刑にしてやる、それよりこっち大事」


「大人になったなぁ、てか生殺しってなんだよ」

「いいから、あのね、心して聞いてね!」

「おう」


「実はゴー君!スパイだったんです!スパイです、スパイ!エージェントゴー君!」


「はぁー?意味わからん」


「説明します、まず、ゴー君とうちのお姉ちゃんは昔から…」


 私の推理、いや、確定論を話す






「……だからビデオカメラもそうでしょ?リナさん頼まれたんでしょ?」


「ふぅーん」

「ふぅーん、って、リアクション薄っ!」


「いやぁ、昔のことだから忘れたなぁ、気づいたらカメラ持ってた感じ」


「うー、そっか」


「ま、だいたい推理合ってんじゃないかな、でも、もういいっしょ、今は幸せなんだから、別にそこ掘らなくていいかと思う」


「そっかなぁ」


「そうだよ、今日だって、練習中イチャイチャしてたじゃねーか、ホント昔から人前でイチャつくの好きだよなアンタら」


「え!なんで知ってるの?リナさん来てないよね、てか、イチャついてないよ」


「アホぉ、しっかりカメラにドアップで抜かれてたぞ、二人でタブレット見ながら、イチャイチャチュッチュッ、いい大人が恥ずかしくないのか?」


「チュッチュッしてない!すぐ盛る!」


「は?顔がチュッチュッになってたぞ!どうせチューしちゃう?とか言ってたんだろ」


「うっ」


「ズボってるし、アホかお前ら、親がかわいそうだわ」


「き、気をつけます」


 竜斗のせいだ、あいつマジ生殺しの刑確定


「でもさ、キョウちゃんの推理、最初の方だけ違うと思うな」


「え!」


「私の予測と見解言っていい?」

「どぞ」 


「ショコさんはハルちゃんと共演して、いきなりキョウちゃんと会わせようとしてないよ」


「え?なんで?」


「普通に考えてみろよ、いくら演技上手くてイイ男だからって、会ってすぐの男を、自分の妹と付き合わせようと思うか?共演一回でそう思って、付き合わせるなんて、江戸時代かよ!」


「確かに…じゃあなんでお姉ちゃんは、初めて見た日だよって言ったのかな?」


「それ、たぶん単体で考えたんじゃん?こいついいな、将来うちの事務所で働かせてーなって」


「なるほどぉ」


「で、アナタの帰国問題なんだけど、ハルちゃんは関係ない、おそらくショコさんは、キョウちゃんは別の理由で帰国させたかったんだよ」


「え?なんで?」


「さあね、トニオの通訳やらすとか、キョウちゃんに女優やらせたかったとかじゃね?」


「うーん…」


「最初は、別々のプラン、ハルチャンはハルちゃんだけのプラン!キョウちゃんはキョウちゃんだけのプラン!それがたまたま二人がいい感じになったから、セット販売に切り替えたんだよ」


「そっか〜なるほど」


「そんなのもわかんねーのかよ、最初からセットに出来るわけねーだろ、ショコさんエスパーかよ!アンタらの出会いは作られてない!自然に出会って、惹かれあってんの!わかった?ったく、バカちんが!」


「わかりました、サーセン」


 予測と見解を越えて、確定になってるじゃん


 まぁ、さすがのリナさんといったところか


「ん?あれ、やっぱりおかしい」

「え?リナさん、なにがおかしいの?」


「いや、よくよく考えるとタイミングが良すぎるし、ショコさんはなんで、最初からキョウちゃんを野球部に…んん、そういえば、この件だけは頑なにしゃべってこない…あれ…」


「えええ?なになに?」

「キョウちゃん、ショコさんとは男の趣味も似てる?」


「うーん、私は竜斗しか好きになったことないからなぁ、あ、でも、お姉ちゃんの元彼は竜斗に似てるみたい、昔、お母さんが酔っ払って口滑らせてた、だから趣味似てるのかな」


「ふぅーん」


「なんかねぇ、トラック運転手から俳優になって、大河にも出てるって、徳川家康…じゃなくて、徳川なんちゃら?役だったかな」


 ポチポチポチポチ、ポチポチ、ポチポチポチ

 スマホを叩きまくるリナさん


「うわー、そうきたかぁ、なるほどぉ」

「え、なに?どうしたの?」

「ううん、なんでもない」

「なんだし!」

 

「ほらほら、せっかくなんだから、カウンターでしけこんでないで、みんなとじゃれるぞ」


「はぁい」

 なんだったんだ



 大さんの隣りが空いたから座る


「お、杏子ちゃん、けっこう飲めるんだって?やるなぁ」


「うん!って、あ、そうだ、前の騒動の時ありがとう!ヒーローインタビューでフォローしてくれたでしょ、嬉しかった」


「おー、いえいえ、本当の事だから、でも、悪かったね、もっと早くフォローしてあげたかったんだけどね」


「うん、全然大丈夫」


「いやさ、言い訳になっちゃうんだけど、リナから連絡来てさ、杏子ちゃんのためにも我慢して、コメントしないでくれって頼まれてさ、こっちの指示があるまで待てって言われたんだよ、でもさ、どんどん加熱していくから、もう我慢ならん!って思った時だよ、いきなり葉山翔子さんがうちのチーム、福岡に訪問してきてさ、焦ったよ」


「え?」


「ごめんなさい、ご迷惑をおかけしますが、もう少し堪えてください、必ず挽回します、その時は大沢さんのコメントが必要なんです、お願いします、って言われてさぁ、さすがに葉山翔子さんに言われちゃうと、黙るしかなかったよ」


「そ、そうだったんだ」


 姉がわざわざ福岡?しかもお願いをしに?


「みんなのとこ、廻ってたみたいだぞ、ノブやウッちゃんや、その他にガブやドリもそうだし、とにかく全員のとこ廻ったらしいよ」


「ま、マジか、そっか、ありがとうね」


 知らなかった、お姉ちゃん…そこまでするなら、炎上なんてさせなきゃよかったのに、割り合わないよ…


「あ、春樹家は子供作らないのか?」

「え!んー、そろそろ考える」


「そっか、大沢家は半年前に産まれたんだ」


「え!大さん結婚してたの?太田さん?絵が上手い太田さん?」


「違うよ、ヒロちゃんとは、卒業してすぐ別れたよ」


「えーそうなんだぁ、お似合いだったのにぃ」


「うん、俺はノンプロ、ヒロちゃんは美大、すれ違うって、学生時代の恋愛はそんなもんだろ、春樹家と高瀬家が異例なんだよ」


「そっかぁ、そんなもんかぁ、あ、奥さん何してる人?大さん硬派だからなぁ、レディース?」


「はい?何言ってんの?元レディースならわかるけど、レディースってなんだよ、仕事かよ!杏子ちゃんさぁ、もういい加減令和になろ、今は昭和じゃないよ」


「すんません、またアメリカ人に戻ったので、日本の文化についていけないのです!」


「女子アナ」

「はい?」


「福岡のテレビ局のアナウンサー」


「えーーー、チャラッ!幻滅」


「なんでだよ!そのイメージやめて!四つ上」


「わーお、年上かぁ、幸せ?」


「まあね、野球選手は年上のがいいのよ、けっこう多いよ」


「大さん、喧嘩売ってる?」

「あ、サーセン」


「あれ、ノブさん、ノブさんは結婚しないの?」

「え、急に俺に振る?」


「あ、ごめん」


「てかさ、杏子ちゃん、冬川京子の予想通り投げた佐藤、旦那に玉砕された、ってネットニュースになってるし、恨むよ」


「えーー、ちゃんとフォローしたもん、ノブさん男だって、言ったよ、てか、本当男だね、わかってて投げたでしょ?」


「まぁな、どうやら俺はドMらしい」


「ウケる」


「で、女関係は?高校の時から思ってたんだけど、ノブさんモテるのに、彼女いなかったでしょ?チャラいのに女の影なし、どゆこと?」


「チャラいってなんだよ、女の子とのおしゃべりが好きなだけ!…彼女の件は秘密」


「今は彼女いるの?」

「いない」


「まさか!男が好き?」

 前の竜斗とノブさんのBL妄想を思い出す


「………」


「え、ノブ……さん?」


「んなわけねーだろ!俺は秘密主義なの!」

「焦ったわ」

「焦るな」





 二時間後


「リナさん!」

「んあ?」


「あの炎上事件なんだけどぉ、あれって、やっぱりお姉ちゃんがわざと炎上させたのかな?」


「は?お前それ本気で言ってんのか?」


「え?いやその、あの記事の内容が前にお姉ちゃんに言われた内容に似てるんだよね、部員全員を結局連れ込んだみたいな?」


「あー、それな、昔、マリさん三人で女子会したの覚えてる?」


「うん」


「そん時、キョウちゃんが、ハルちゃんの話をずっと、ベラベラ、ペラペラ、ベラベラじゃべってたじゃん」


「え?そうだっけ?そんなペランコしてたかなぁ、でも竜斗と離れ離れの時だったからなぁ、ありえる」


「なんでもいいよ、んでよ、マリさんが耳タコになったから、はづきちゃんに喋ったの、キョウちゃんが話をしてたことをね、その中にハルちゃんとショコさんの初対面の内容も入ってたの!」


「そうだったんだ…でもぉ、じゃあ私の仕事をどうやって切るつもりだったんだろ、竜斗にその年の次からは一緒に住めるよって、お姉ちゃん言ったみたいなんだよね」


「あ?あー、キョウちゃんのドラマは秋で止めてたよ、そのあと一切取らないって言ってた、問題はCMなんだって、昔お世話になってたり、営業して取ってきたところは、切りにくいって言ってた」


「うん、それそれ」


「確か、ハルちゃんのオフシーズンに寄せて、セットで売り込むとか言ってたかな、マジ夫婦のセットのCM増えてたからね、それでもダメな場合は、ギャラかなり落として撮影をアメリカでしてもらうとか、言ってたかな」


「そうだったんだぁ、じゃあやっぱり炎上便乗かぁ」


「うーん、便乗ねぇ、もちろんキョウちゃんはキツかったと思うけど、ショコさんもキツかったよ」


「え?」


「あちこち、謝罪して回ってたよ、信じてください、絶対誤解を解きますからってさ」


「そ、そうだったんだ」


「うん、上手いタイミングで誤解をとかないと、各方面から変な目で見られる杏子がかわいそうだって、杏子が他のことでゴシップの的にされるのはまだいいが、野球の思い出を壊され、下ネタにされるのが許せないって、でもすぐ動いて弁明しても、ただの言い訳扱いされちゃう、だから、タイミング計る、って言ってた、これって便乗かぁ?」


「お姉ちゃんが便乗商法って言ってたから…」


「そりゃあね、私が悪者になるとか言ってたからなぁ、でもさ、ショコさん泣いてたんだよ、あの時」


「へ?お姉ちゃんが泣く?演技以外見たことない」


「そうかもね、でもね、杏子に申し訳ない、申し訳ない、って、でも耐えてくれ、風向きは一気に変わるから、絶対にいい結果にするから、とか言ってたかな、でね、キョウちゃんがそん時なんかデータ取ってたでしょ」


「うん、朝から晩までやってた」


「それさ、ショコさんがキョウちゃんの様子を見に行ったら、そのキョウちゃんの姿を見ちゃったんだよ」


「私さ、その騒動のことで事務所に来てたから、まぁ覚えてるけど、オフィスに号泣しながら入ってきたよ、あのショコさんがだよ、こんな時なのにアイツはアイツはって、絶対に幸せにしてやる、絶対にもう離れ離れにさせないってさっ」


「キョウちゃんから見るショコさんて、たぶん少しキツいイメージあると思うけど、実際は違うよ、金儲けの道具のためだけに、アナタ達を利用したんじゃないよ、そこはわかってあげな」


「お姉ちゃん、お姉ちゃん、ウエーーーーン」


「おいー、その泣き方変わらないのなぜ?もう大人だぞ」


「気づいてたよ、お姉ちゃんの優しさ、それにね、最初はやりすぎって思った、こんな注目されるの望んでないって、でもね、結局はね、竜斗は凄いし、私も女優してきちゃってたから、どの道注目は浴びる、だったら中途半端より極めてよかったって、逆に生活しやすいって、最近気づいたの」


「お姉ちゃんだから、きっとそこまで見越してたはず」


「まぁね、あの人の未来の見据え方半端ないからね、だからこそ、これだけのシナリオを書けるんだからさっ、でもね敏腕プロデューサーの前に、キョウちゃんのお姉ちゃんなんだよ、妹思いの優しいお姉ちゃんなんだよ」


「そっか、そうだよね」


「ショコさんはお仕事モンスターかもしれないよ、あそこまで仕事出来る、そして先を見据えことが出来る敏腕プロデューサーはなかなかいない、ハルちゃんも野球モンスター、でもね一番のモンスター、真のモンスター、怪物はアナタ、キョウちゃんだよ」


「へ?」


「キョウちゃんは一途モンスター、ハルちゃんをずっと愛し続けてる、十五歳からずっと今でもハルちゃんの事だけを愛してる」


「うん!」


「しかも、離れ離れになってる間も待ちつづけた、芸能界の煌びやかな世界にいて、金もあって、誘いも散々あって、一番遊びたい時期なのに、全く目もくれず、たまにこのドリさんのとこに来て飲んだくれて終わり、しかもだ、ハルちゃんとは連絡取れない、取り方わからない、アメリカにいるから何してるかわからない、もしかしたらこのまま二度と会えないかもしれない」


「なのに待った、待っててくれ、なんて言われてないのに待った、凄いよキョウちゃん、誰にも真似出来ないよ、私も出来ない、旦那のことそこまで待てない、たぶん、この世界にキョウちゃんの真似出来る人いないかも」


「そ、そうかな、でもね、一旦めげそうになった、もう無理かなって、前進もうかなって」


「あー松永さんの件ね」

「え!なんで知ってるの?」


「ショコさんのところに、連絡きたんだよ、ご飯に誘ってもいいか?って」


「うわーマジか、あれ、だったらお姉ちゃんがダメって言えば良かったのに、その方が都合良くない?」


「そうね、そうかもね、でもショコさんはオーケーした、おそらく、ご飯行くんじゃないかと想定もしてね」


「なんで?」


「キョウちゃんが限界きてるのも知ってた、もうすぐハルちゃんと再会するのも、もちろん知ってる、普通なら教えてあげてもいいよね」


「うん」


「チートはダメだって、キョウちゃんの気持ちをこっちでイジっちゃよくないんだって、それでその松永さんと、うまくいって、その後すぐハルちゃんと再会してしまうのも、それはしょうがない、自分で選んだんだからって」


「あとね、前倒しで言いたくなかったんだって、映画の現場で再会させて、今までの思いをぶつけてほしいって、そしたら最高の演技になるって、それ聞いててさ思ったんだけど、ショコさんわかってたんじゃないかな、杏子は行ってもせいぜいご飯程度、それ以上はない、杏子は絶対に待つって、姉妹だからそこは何か感じたんじゃないかな」


「うん、でも、本当に限界で前に進んじゃってたら、めっちゃ後悔しそう、ご飯だけならまだしも、付き合ったりなんかしてたら…」


「ま、でもさ、それで付き合っちゃう程度なら、とっくに待ててないよ」


「限界来てたって、待てたんでしょ、我に返ってご飯断ってるし、そこが凄いんだよ、しかも相手だって、悪い人じゃない、OKしちゃったし、ご飯くらいならいっか、ってなるのが普通」


「うん、でもね、言い方あれなんだけど、一度OK出して良かったかも、そこでわかったんだよね、あ、だめだ私、竜斗しか愛せないや、ってわかったから」


「そうか、やっぱり偉いわアンタ、やっぱりモンスターだよ、春樹竜斗好きすぎモンスター、おバカモンスター、ポンコツモンスター」


「ちょっとリナさん!どれかにして!」


 竜斗と私のモンスターカップル!

 エヘヘヘへ


「気持ち悪っ」

「もう!」



「うい〜久しぶりだからいい感じで酔ってきたわ、キョウちゃんが美人に見えるわ、泥酔だわこれ泥酔」


「元々美人!って、リナさん、なんでそんな詳しいの?お姉ちゃんと仲良いのは知ってたけど…」


「おーよ、私とショコさん似てるとこあるからな、そりゃマブよ」


「確かに!似てる!リナさんチビでおっぱいデカいけど!」


「あ?」


「でも、マブかぁ、いいね」


「まぁね、マブもマブ、スパイはアタイ」


「ん?」


「バカキョン!スパイは私だっつーの!ギャハハハハ」


「へ?へへへ?」


「旦那は無関係、まぁ、ショコさんと昔からの知り合いは合ってる、ナトっちゃんが助っ人を探してるのを、ショコさんに言ったのも旦那、あとは、ハルちゃんの情報などをショコさんに聞かれたり、ヒロミママとショコさんに、知らず知らずのうちに協力させられた感じかな、私がスパイに就任すると、あとは全くの無関係〜」


「え!ええええええ!」


「まぁ、スパイってほどじゃないよ、杏子は恋愛下手だから相談に乗ってやれ程度、で、どの程度付き合いが進行してるかチクるぐらい」


「わ〜〜お」


「え?いつから?いつから?」


「まぁまぁ最初、アンタらが出会った初日にいきなり恋に落ちちゃったーからの、ショコさんにそれがバレ、ヒロミさん経由で私呼び出されーの、春樹竜斗ってどんな奴よ?が、始まり」


「え?じゃあ、フェンディは?ビックリしてたじゃん、そん時は知らなかったの?」


「アホか、知ってたわ、演技だよ演技、あんなオーバーなくせえ演技に引っかかるんだもん、ポンコツすげえよ」


「えーーーーーー」


「あのさ、もし、本当にビックリしたとして、キョウちゃんの言い訳、母の懸賞ですぅ、で、この私が納得すると思うか?ガンガンに詰めるだろ」


「確かに!」


「あ、じゃあ、ゴー君の初日の変なファッションは?まだその時はリナさん知らないよね、ってことはゴー君の趣味?」


「バーカ、んなわけねーだろ、旦那は少し飛んでるとこあるけど、野球は真面目、その日だけだろ、変なの着てたの」


「うん、確かにそうだ」


「あれは私のし、わ、ざ、実はさ、スパイ就任よりも前にショコさんとは面識あったんだよ、ほら、ばあちゃん入院して、旦那の実家に居候してたからね、で、ショコさんがちょいちょい、ヒロミママと旦那に会いに来てたからさ、で、ショコさんの妹が通訳で来るって知ったから、帰国子女、中三、葉山翔子妹、かわいいフラグ立ってるじゃん?だから、前の日に下北で変なの買わせて着させたんだよ、通訳女子に変なイメージ付けさせて、ドンびかれ作戦」


「虫よけ作戦だ!でも、よく着てくれたね」


「楽勝、外人に舐められないようにしろ、最初が肝心!って言ったらまんまと買ってんの、笑うの我慢するの大変だったわ」


「なるほど、実際に引いたし、作戦成功だね、てか、そんなのしなくてもゴー君にはいかないよ、イケメンとは思ったけど、私そんなつもりで通訳引き受けてないもん」


「あ?ハルちゃんに初日から惚れちゃってるお前が……ま、そっか、そうだよな、キョウちゃんが初日から惚れてしまう、ここが全てかなぁ、物語の全てが詰まってるような気がするなぁ」


「くそ真面目なキョウちゃんが、野球にうるさいキョウちゃんが、グラウンド内で一目惚れ、ここだな、うん、なんか、納得した、うん」


「え、なになに?」


「いや、いい、なんかしんみりきた、オマケにもう一つ教えてあげる、ネタバレさせてあげる」


「ん?」


「デジタルタルビデオカメラ案件」


「あ、それだそれ」


「まぁ、普通に私とショコさんの仕込みなんだけど、その後に重要ミッション言い渡されたんだよ、デジタルビデオカメラで撮影しろ、竜ちゃんと杏子の記録を撮っておけ!かな、まぁそれがまんまと将来役立つんだから、ショコさんはさすがだな」


「わーお、なるほどね」


「ってことは…今までの話をまとめるとぉ、私の推理はけっこう外れてたってことか…」


「いや、今回はだいぶ当たってるよ、あとはほとんど当たってるよ」


「ヤッタァ」


「でも、私がスパイだったのを見破れなかったのは、だいぶやばいね、探偵ごっこはもうやめな、センスないんだから」


「うっ、くそぉ、あれ?あ!じゃあリナさんがスパイってことは…裏切りもんじゃん!親友だと思ってたのに!酷い!」


「おー、なんとでも言え、キョウちゃんと親友だからショコさんからの親衛隊指令を引き受けた、キョウちゃんの恋路をアシストしてきた自負はあるぞい」


 確かにそうだ、リナさんには色々助けてもらった


「ウエーーーーン、やっぱりリナさん親友」

 リナさんに抱きつく


「やめろ、服汚れるだろ!うわ!汚っ、シッシ」


「ひ、ひどい、やっぱりお姉ちゃんと似てる」


「あ、キョウちゃんの初にゃんにゃんとかぁ、ブルマ履いてにゃんにゃんとかぁ、あーんなことも、こーんなこともぜーんぶ報告してあるから!」 


「へ?全部?まさか、甲子園の耳打ちの内容も?」


「もっちー」


「それら、報告する必要ある?」


「ない」


「じゃあなんで?」

「私とショコさんの、話のネタ」

「親友やめる」


「あ、そだ、お前ら実家でも、ヤッてたろ」


「え?どどどどどどうして?」


「お前、声うるさいって、我慢してるとは思うけど、全然漏れてくるって、お母さん嘆いてたぞ、かわいそうに」


「ま、マジでーーー!やば!気をつけてたのに、でも声うるさいって、竜斗に言われてたしなぁ、ありえるかぁ」


「あははは、マジかよ、実家でヤるなよ、声うるさそうなのは想像出来てたけど、ウケる」


「ん?あ、まさか」

「全部うっそーん」


「もう!ずるい!いっっっっもそれ!ずるい!」


「うるせーなぁ、で?生殺しってなによ?」


「え?聞きたい?」


「うん、どうせ、しょうもなさそーだけど」


「しょうもなくない!うんとね、寝る時に下着姿とかで寝てぇ、悩殺するだけしてお預け!」


「ふん、やっぱりくだらん、で、どうせあれだろ、お預け無視して襲われるのが好きなんだろ?」


 ギクッ


「あーはいはい、何年経ってもラブラブご馳走様」


「エヘヘへへ」


「そのちっぱいで悩殺されるかね?」


「殺す、こら、ブラジャー剥ぐぞ」


「や、やめろ、お前はブラジャー意味ないかもだけど、私には必須アイテムなんだから」


「意味ある!意味ある!今は正真正銘のD!の、ちょっとC寄り」


「盛るなよぉ、こっちが悲しくなる、シクシク」

「殺す!」


「何騒いでんのキョウちゃん」


「あ、マリさん、今はおっぱいデカい人と話す気になりません」


「は?何それぇ、ウケる、揉む?」

「揉む」


 ポヨポヨ


「アハ〜ン、って、本当にこの場で揉むかね」


「ねぇ、マリさん保母さん順調?」


「え、急に真面目な話?えっと、辞めた、けっこう前に辞めた」


「えー!なんで?」


「うんとね、ちょっといい」

 内緒話の姿勢を取るので、私とリナさんも合わす


「子供のお父さんに手出して、バレてクビ」


「ま、マジでー!」私、リナさんのけぞる


「うん、でも、バレたの園にだけ、向こうの家庭にはバレてない、で、私だけクビ、相手しれっと来てる、おかしくない?」


「おかしくない」私、リナさん


「だって、別れて一緒になるとか言ってたんだよ」

「うわぁ、よくある話だ」リナさん


「それは辛いね、惚れちゃったんだもんね、そんなこと言われたら、益々本気になっちゃうもんね」私


「は?本気になんかならないよ、そん時相手いなかったから、遊びだよ遊び、奥さんと別れるなんて言うからさぁ、キモっ!ってなってたのに、その後バレてクビだよ、ありえなくなーい?」


「あーね」


 竜斗よ、中学生時代の君の判断は間違ってなかった


「じゃあ、今はクマのプーさん?」


「うんとね、その後すぐにカズとより戻して、カズのマンションに転がりこんで食べさせてもらってたけど、家にこもりっきりもなんだから、コンビニで短時間のバイト程度はしてた、でもね、この度、就職決まったの!」


「そうなんだ、良かったね」


「カズが稼ぐからいいんだけど、そのままコンビニでも良かったんだけど、ツアーでいない時多いからさぁ、かなり暇なんだよね、だから、カズがマネジメント契約した会社に、私も入れてもらった」


「そか、マリさんに暇させちゃダメだ、またよからぬ癖が出そう」


「え?何それ!キョウちゃん酷い!って否定出来なーい」


 ん?ガブさんのマネジメント契約した会社は……


「え?うち?就職先うち?」


「うん!小野真理子!来月からスターリバープロモーションで、タレントさんのスケジュール管理の補佐やります!」


「ま、マジかよー、マリさん頼むよ、頼むから食い散らかさないでね」


「するわけないじゃーん、キョウちゃんの顔に泥ぬれないよ」


「信用ならん」


「ひどーい、でも少しつまんじゃうかも」

「あ、ガブさん!」

「うそっ!」

 慌てて振り返るマリさん


「うっそーん」


 キャハハハハハ




 楽しい時間は続く



 みんなそれぞれの道を歩んでる


 今度はいつみんなと会えるかな?


 竜斗が引退するまで無理かな?


 その時は、みんなオッサンオバハンかな


 私はアラフォーか


 どんな大人かな、ポンコツ直ってるかな


 子供居るのかな

 子供か…そろそろ作るか、二十代のうちに一人は欲しいね


 子供産んでも、竜斗は変わらず愛してくれるかな


 愛してくれるよね



 そろそろ、夜の練習試合はやめて、公式戦に切り替えよう



 みんなぁ、元気で頑張ってね

 楽しい時間をありがとう

 あの時、助けてくれてありがとう





 更に二時間後


「ギャハハハハ、ミイナちゃん!ウケる!私の真似上手い!」

「オラッ!コバッキー寝んな!蹴るぞ!」


「杏子さん、そんなキャラだったんですね」ミイナちゃん


「そうだよ、コイツすまし顔だけど、中身やばいからね、騙されちゃだめだよ」


「は?竜斗!コラ、喧嘩すっか?あん?オメーどこ中だよ?やんよ?」


「わかった、別れる」


「いや、うっそ、うそうそ、だいちゅき、だいーすき!ブチュー」


「しょうがないなぁ、許す!チュッ」


「え、まさかの春樹さんもそんな感じ?」


「な、こいつらやべーべ、変態カップルだから、ミイナちゃん真似しちゃだめだよ」


「リナさん、まともなこと言ってますけど、片方まつげ落ちてますよ」


「あん?いいよ、ほれ」


 ピトッ


「ギャハハハ、コバの目が余計にラクダじゃん!キャハハハ」


「杏子さん、笑いすぎぃ」


「あれ?ミイナちゃん、ドリさんは?」 

「ん?あっちでキャプテンさんと話をしてますね」



「お、ノブさんとツーショットだ」


「あれ、あれ、あ…、あーーーー!」


「ガブさん!浮気してんぞ!」


「違う!それ私に言うセリフ!」


「ウケるミイナちゃん、ギャハハハハ」



「ゆい〜迎えこれるぅ?」

 羽堂さんが甘い声を出してる


「え!噂の結婚考えてる人?」

「そうだよ!今まだ繋がってるから、シッ」


「はぁ?電話よこせ、てか、まだ帰さねーよ!キャハハハ、名前フルネーム言え、そしたら許してやる、合コンアナウンサーめっ!」


「う、うるさいよ、川口由依、いい?これで?」


 ん?川口?なんか聞いたことあるような、ないような…


 んんん?あれ?


「羽堂さん、もしかして…羽堂さんその人…歳上?どこで知り合ったの?」


「はぁ?だったらさっき聞いてよぉ……ちょちょっあの、一旦切るね」


「なんだよ杏子ちゃん!いきなり!四個上!」

 

 みんな四個上好きだな


「レクサスのディラーの子!奮発して買う時に知り合ったんだよ!」


「結局ナンパじゃん!」

「違う!向こうからだよ」


 んー、思いだせそうで、思いだせない

 なんか聞いたことある名前なんだよなぁ

  

 なんだろ、いつものコミュニティの狭さの臭いが漂う



 ま、いっか、どうせすぐ別れんだろ

 






 更に三時間後


「ウエーーーーン、私ね私はね、みんなの言葉に感動したの、ヒック、ウイー」


「あ、酒ねーぞ、マッキーもってこーい、おい起きろこらっ!」


「もう誰も聞いてないし、マッキーもうだめだろこれ、ほら帰るぞ、車来たから」


「えー」


「もうだめ、杏子めんどくさくなってる」


「竜斗〜お酒強いねぇ〜あ〜今日ミイナちゃんにデレデレしてたでしょ〜、今夜は生殺しの…ケイだ、キャハハハ」


「今夜ってもう朝だよ、お預けね、ハイハイ、言う事聞かないと一生お預けにすんぞ」


「それはラメェー、公式戦!公式戦!」




 楽しかった


 そして、予想通り昼間は死んで、貴重な休みを潰した


 ま、楽しかったからオッケー!


 みんな、また飲もうね



 お姉ちゃん、色々ありがとう

 知らなかったよ、裏で色々動いてくれてたの

 本当にありがとう

 

 今はアメリカで頑張ってるよね

 お姉ちゃんのショー見に行くからね


 うー、頭痛い。

 


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