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モンスター協奏曲  作者: 東京小町
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66/86

通訳復帰


 サンフランシスコ到着!


 着いてそっこー電話


 アメリカからでも、ネットを繋げれば気楽に日本に電話をかけられる


 便利な時代!


 ♫ ♫


『なんじゃい』

 ん?少し機嫌悪い?


「あ、お姉ちゃん!今着いたんだけどぉ」

『だからどうした、なんか忘れたかぁ?忘れてるよなぁ?』


「いやその、お兄ちゃん変わりない?」

 兄はおそらく繋がらないので、確実な姉に電話した


『は?』

「いや、そのお兄ちゃんどこか出かけた?どっか行ったとゆうか、どっか出かけた?」


『…………』


「あれ、もしもーし電波だめかな」


『いや、聞こえてるよ、杏子、なんか…聞こえた感じ?』


「え?」


『いや、なんでもない、秀太は変わりないよ、大人しいつまらなそうな彼女(おんな)とデートでもしてんだろ、とにかく大丈夫だから安心しな』


「そ、そっか、わかった、じゃっ」


 うーん、謎

 いや、謎めいてる暇ない

 時間ない!




 久しぶりに来たスタジアム


 オラクルパーク!


 試合開始三十分前に到着


 関係者通路から入場


 そのままベンチ裏に、は、行かない


 マネージャーの肩書きがあるので、ベンチにも本来入れる


 ベンチ内は女性禁制とかのルールはない


 が、さすがに遠慮する


 試合前とかならまだいいが、試合中はやめとく

 男の戦場を邪魔したくない


 もし、私と竜斗が、ただのビジネスパートナーだったら、入ってもいいかもしれない


 でも、夫婦や恋人となると話は別


 真剣勝負中に、少しでもイチャつくようなことはあってはならないと思う


 竜斗は、気にしなくていいんじゃない、みんな陽気なやつらだから、と言ってるが、そうはいかない


 チームの士気にも関わるかもしれない


 竜斗が全く英語が喋れないならわかるが、コミュニケーションは普通に取れる


 なので、無理にベンチに入る必要はない


 なにか、伝達事項などがある時はベンチ裏まで行って伝える


 って、甲子園で少しイチャついた私が言うのもなんなんだが、あの時は記録員として、ベンチ入りしなきゃいけなかったんだから、しゃあない


 うん



 竜斗の会見などは、球団が臨時で通訳さんを雇ってたが、私が来たことで終了


 サーセン


 でもね、竜斗の言ってる意味わかったの


 うん、私のが上手いかな


 アジア系アメリカ人の男性が務めてたが、テレビで見てて、違う!ってよくツッコんでた


 エヘン!


 ま、そんなこんなで、関係者シートで観戦する

 もちろん、トニーとかはいないので一人で観戦


 三十分前なので、竜斗とは無理に会わず、ダイレクトにスタンドへ


 の、前に、スタジアムの中を行き交う人達に大きな変化が…


 まぁ、当たり前とゆうか、テレビでも確認出来てたが


 竜斗のユニフォームを着てる人が多い

 めっちゃ多い

 背番号4だらけ


 そう、高校以来のこの番号

 竜斗がメジャーデビューの際に希望した番号


 高校時代、ゴー君のわがままの煽りを受けて付けたこの背番号4番は、海を渡りこの地でみんなが着る背番号となった


 二番目に多いのがオリーの7番


 そりゃそう、チームはプレーオフの進出をかけて戦ってる


 序盤の連敗地獄から一変、プレーオフ争いを出来てるのはこの二人のおかげ


 人気が急上昇するのはよくわかる


 そして、竜斗の打撃が、大変なことになってる


 メジャーデビューして、四か月足らずで、ホームランは四十本に到達しようとしている、打率も三割中盤、OPSは1.2を越えてきてる


 マジでモンスター


 クローザーの方も順調


 登板は全てセーブシチュエーションのみで、28試合で28セーブ、なのでブロウンセーブ無し


 奪三振はイニングの倍近くの53個

 被安打はわずか3

 失点無し

 フォーシームの平均急速は更に伸び、今は102マイル


 最高峰のメジャーで無双状態、凄すぎる


 相手チームは、二点差以上で竜斗が出てくると、主軸を下げてスタッツを守る動きも見せてる


 こりゃ、やべぇ


 

 売店に行ってみる


 ユニフォームを購入!


 いや、たぶん言えばくれるよこれ


 でもね、最初くらい自分でお金払います!



 他のアイテムも物色


 ん…なんだこれ?聞いてない!


 チームロゴ入りのTシャツに、首元に笛のデザインが入ってる!


 あ、あのバッピの動画見て作ったんだ!

 てか、かわいい、子供用とかもある

 あ、これ女子と子供用だ!


 周りを見てみると、ユニフォームの下にこのTシャツ着てる女子がいる!かわいい!


 ん?なんかおかしい


 前来た時より、女子の人数が多い気がする

 いや、ぶっちぎりで増えてる

 背番号4を着た、アメリカギャルがわんさか

 これは…

 まぁいいや

 私にだってファンはいる

 それと一緒


 ピンクの笛デザインTシャツもゲット!


 さすがに笛は売ってない、まぁどう考えてもプレーの邪魔だ


 でも、少し不安だったのが解消された


 日本では誤解が解けても、こっち現地ではどうだったのか、それが不安だった


 竜斗は全然大丈夫って、言ってたけど、そうゆう類は全く当てにならない竜斗、アホだから


 不安だったけど、こんなTシャツが売ってるなら平気かな


 石投げられるかと思って、変装サングラスまで用意してきたけど、いらなかったかな


 姉からパクってきたサングラス、自分では絶対買わないデザインのデカサングラス


 売店を出てサングラスを外す


 トイレで着替える!



 ジャーン


 これで姿形竜斗ファン!


 これ、テンション上がるね


 自分のシートに向かう


 スタスタスタスタ


「ヘイ!キョーコ!」

 ん?知らないおっさんに話かけられた


 握手させられた

 日本ではしょっちゅうだが、アメリカでは初めて


 あれ、顔バレ?


 そんな感じ?動画の効果?この前カメラ睨んだから、顔売れた?


 したら、あちこちで握手の荒らし


 マジ握手会


 全然シートにたどりつけない!


 慌ててサングラスかける、姉に感謝、勝手にパクってるから本人気づいてないけど


 いやぁ、驚いた


 やべえな、アメリカだからって好き勝手出来なくなってる


 竜斗効果だこれ




 シートになんとか付いて落ち着く


 このシートの周りはいわゆるVIP席


 著名人や、お金持ち、選手関係者が多いので私に気づいても見て見ぬフリしてくれる




 試合開始五分前


 ビックリ!ほぼ満席


 この前の人気チーム、ヤンキース戦より全然入ってる


 まぁチームはプレーオフ争ってるから、そりゃそうと思うけど、にしても入ってる


 それに、日本人もあちこちに見える


 前は全く見なかったのに


 これ、姉の言う満額六十億は夢じゃないかも


 さっき関係者からもらった?借りた?チーム支給のタブレットに中継を流して、双眼鏡を首からぶら下げる!


 準備万端!


 久々!楽しみ!




 試合開始


 相手はアトランタブレーブス


 竜斗はサードを守ってる


 いつもの眠そうだけどニコニコ顔、そしてなにやら横のオリーと時折顔合わせながら、ニッとして守りの構えに入る


 まぁ、楽しそうなこと、それにかっこいい

 ムラ…いやだめ



 そして、こっちの攻撃になり

 二番竜斗の打席を迎える


 リュウトハルキがアナウンスされると


 ビジョンに竜斗の煽りシーン…

 の、はずなんだが…


 ん?


 ええ!


 ビジョンに変な動画が…


 え!えーーーー


 私が竜斗相手にバッピしてる動画が流れてる!


 うわぁーー


 ん?


 竜斗がこっちに向かって、ヘルメットを振っている


 周りはスタンディングオベーションで、私に向かって拍手を送ってくれてる


 相手ピッチャーは、気を使い、待っててくれてる


 相手野手はグラブで手を叩いてる


 ネクストのオリーどころか、チームのみんながベンチから出てきて、私に拍手をしてくれてる


 やばい!試合止めちゃってる


 急いで立ちあがり


 本当サーセン、本当サーセン

 本当あざす!本当あざす!


 周りにペコリしまくる私


 おそらく竜斗が仕掛けたのか


 嬉しいけど、恥ずかしいし、申し訳ない



 竜斗が相手投手と相手ベンチに頭を下げてプレー再開



『キョーコおかえり、君の帰りをみんな待ってたぞ、モンスターの生みの親が帰ってきた、ありがとうキョーコ、君はサンフランシスコに素敵なプレゼントをしてくれた、感謝する』



 その実況を聞いて私は号泣してしまった


 そんな大それたことしてないのに


 でも、あの時、左打席の可能性に気づいてよかった


 そして、あの時クタクタになって投げてたパッティングピッチャーが、今になって報われたと思うと泣けてくる


 でもでも一番感動してるのはみんなが歓迎してくれたから


 良かった、本当に良かった


 竜斗のおかげ、竜斗が私を守ってくれたから、竜斗が野球を頑張ってくれてるからだ


 本当にありがとう



 クァーーン!

 


 へ?


『ハハ、ハルキがやりやがった!グッバーイ!キョーコお迎えホームランだ!大渋滞のカヌーの群れにイッテラッシャーイ』


 実況の叫び声と共に、打球がライト方向、海に向かって一直線にすっ飛んでいく


 でたよこの人


 いやね、いいのよ、今回は初球じゃない


 今回は初球のストライクをわざと見逃してる


 そう、気を使ってくれた相手ピッチャーに礼の意味をこめて


 で、すぐの二球目バチコン


 こんだけ感動させられてんだもん


 二球目でも打った瞬間見てない!


 しかもメモリアルの40号ホームラン


 ほんと、余韻に浸らせてくれない!


 こんだけ感動してるんだから、もう少し待ってよ!


 もう!バカ!


『ヒヒヒヒヒ、夫がホームラン打ってるのに泣きながら怒ってるぞ、キョーコ、いい病院を紹介しよう』


『打球速度も、飛距離も今季最高だ、これこそキョーコパワーだ、スゴイ!キョーコ、全試合見に来てくれ』


 もちのロン!

 病院は行きません


『ハハ、みんなハルキの顔を見てみろ、キョーコが来てると、いつもと全然違うな、野球少年みたいな顔してやがる、ハルキはキョーコのことを最高に愛してるんだな』


 エヘヘヘ

 専属アナウンサーのスチュワートさん

 今までのイジり、許す!

 



 ズバァン!


 竜斗の103マイルのフォーシームが、右バッターのインローに決まる、ジャストルッキング!

 見逃し三振

 相手バッターは、バットを放り投げお手上げ状態


 スタジアムは、スタンディングオベーション


 竜斗が、いつものニコニコ顔でハイタッチで野手を出迎える


 そして、私に向かって帽子を振ってきた

 私も満面の笑みで、両手で大きく手を振る

 


 試合は二点差を最後竜斗が締め終了した



 ヒーローインタビューは他の選手に任せて、竜斗は会見の準備に入る


 表向きは、今日の試合内容だが、私が戻ってきてマネジャー初日なので、注目が集まってる


 ぶら下がりではなく、着席スタイルのインタビューになった


 竜斗のケアが終わるのを待つ間、球団関係者と面談した


 携帯電話とタブレット支給、それからビジネスカードも作ってくれてた


 なんか、実感湧いてきた


 私、本当にメジャーリーグチームの関係者になった!


 子供の頃から大好きだった野球

 その野球を仕事にできるなんて最高だ!



 竜斗が出てきた


 チームの上下スウェット


 カックイイ

 

 うーん、この人、もう他に私服はいらないような気がする


「竜斗!」


「杏子〜お帰り!ほら」

 手を広げて飛び込んでこいアピール


「ちょっと、恥ずかしいよぉ」

 タタタタタタタタ

 って言ってるそばからダッシュ


 ボフッ!


「あの、竜斗あのほんとそのありが…」

「シー」


「その話はホテルで聞くよ、なんかそのテンションだとインタビューとちりそう」


「うっ、否定出来ない」


「だよねぇ、行くよ、待たしちゃ悪いからさ」


「じゃ、じゃ、じゃ、チューして、あの濃厚じゃなくていいから、チューして、軽いやつでいい、うん、お帰りのチュー?みたいたな?じゃないと、インタビューでチューしてって言っちゃ…チュッ!」


 あん、まだ話の途中なのにチュッされた


「何回チューチュー言うんだよ、ネズミかっ!まぁネズミみたいな顔してるけど」


「は、はあ?誰がネズミよ!この顔になりたいランキングにも入ってるんだよ!そんなお嫁さんに向かってネズミはないんじゃない?せめてハムちゃんにして!」


「あ、そ、じゃあハムちゃん行こう、待たせてるっつーの」


「もう!」


「杏子は怒ってる位がちょうどいいからな」

「な、なにがよ!」


「久しぶりの再会デレデレモード、記憶をどうたどってもポンコツかますイメージしかない」


「くっそ、悔しいけど同感だよ!」


 まぁいいや、スイッチ入った、うん


 歩きながら、竜斗の腕に少し手を絡ませて一緒に歩く


「こ、これはいいでしょ」

「うーん、ギリセーフ」

「良かった」


 ムー、なんか主導権握られてるみたいでムカつく


 後で覚えてろよ、チキショウ




 インタビューが始まる


 今日の試合内容の質問にニコニコと答えていく私達


 竜斗がせっかくメディア受けマルなんだから、私も愛想よくしなきゃね、とゆうか、竜斗がニコニコしてるから私も自然と釣られるよね


 今日は勝ったし活躍したからニコニコ


 でも、負けた時は少し考えないと、冬川京子出せばヘーキか、私便利なアイテム持ってる


「ハルキ、キョーコが戻ってきて嬉しそうですね」


「私が戻ってきて嬉しそう…だって」

 て、照れる


「もちろん嬉しいです!全部に置いての最高のパートナーが近くにいるんですからね」

 訳しながら、自分がデレデレ顔になってくのがわかる


「今までマイナーから、一人でやってきました、辛い時もあり挫けそうになった時もありました、でも今後は二人です、どんな事も乗り越えて行けそうです」


 竜斗も挫けそうな時なんてあったんだ…

 でも、いつもの習得モンスターで切り抜けてきたんだろうな


「キョーコ、幸せそうな笑顔ですね、その笑顔でハルキ選手の力になってください」


「はい、ありがとうございます」


 竜斗には訳さず即答


「なんて言ったの?聞いてなかった」

 竜斗がボソっと小声で聞いてくる

「内緒」


 すると、スクッと竜斗が立ち上がる


 え?なに?


「皆さんお騒がせしました、そして信じてくれてありがとうございました、無事冬川京子の笑顔が戻ったので、今後は何も余計な事は考えず野球に集中していきたいと思います!」


「それは来季以降もプレーを続行すると解釈してよろしいですか?」


「もちろんです、生意気言って申し訳ありませんでした」


 私が全て訳し終わると竜斗が深々と礼をする

 私も立ち上がり合わせて礼をする


 なんか、謝罪会見みたい


 いや、いいのか、謝罪会見でいいんだ、野球ファンに心配をかけたのは間違いない


 パチパチパチパチパチパチ


「お二人のご活躍を楽しみにしております」


 あざす!


 インタビュー終了



「なんだ聞こえてたんじゃん」

「いや、聞こえてないよ、あの人早口、苦手」


「じゃあなんで、わかったの?」


「なんとなくだよ、内緒って笑顔で言われるってことは悪い事言われてないだろ、だからかました、杏子がいい事言われた後の方が言いやすいじゃん」


「ふぅーん、やるじゃん」

「まぁな、ハムちゃんは顔に出やすいからな」

「もう!」




 ホテル到着


 竜斗は今シーズンはホテルで過ごす


 前と部屋が変わってる、明らかにグレードアップされてる


「奮発したじゃん!」


「え?ホテル代はチーム持ちだよ、そうゆう契約になってる、しかも祥子さんが、大活躍なんだからアップグレードしてやれ、って言ったみたい」


「ま、マジか、さすがお姉ちゃん」


「うん、あの人はある意味モンスターだよ、俺もこっちでモンスターとか言われ始めてるけど、俺は物理的なモンスター、祥子さんは脳内モンスターって感じだよね、あの人に付いていけば全て上手くいく」


「確かに」


「あ、竜斗あのそのありがとう、私のピンチ助けてくれて」


「何言ってんだ、こっちだよ謝るのは、助けるの遅くなって申し訳ない、二ヶ月も苦しい思いさせてすまなかった」


「大丈夫、結果この先一緒にいられるんだからウインウインだよ」

「ウインウイン?ま、いっか」


「うん、話終わり!これからは末永くよろしくお願いします」ペコリ


「うん、こちらこそよろしくお願いします、サポートよろしくお願いします」


「よし、シャワー浴びよシャワー!あ、竜斗はもう浴びてるのか、うーんもっかい浴びて、一緒に早くカモン!」


 その場で一気に服を脱ぐ!下着姿になる!どよ?


「わかったよ、ははは」


 おっし、今日は記念日みたいなもんだから良いよね


 明日の試合に響かない程度…

 明日の試合…あ


「あ、やっぱりだめ!ストップ!」


「は?なんだよ」


「明日のアトランタの先発…」


「あー、あの人苦手なんだよな」


「うん、知ってる!ちょい待ち!」


 タブレットを開く


 前回の対戦を見る

 4の0


 分析に入る


「竜斗〜なんかチームからアドバイスもらってる?」


「いや、あの人相手に左バッターは諦めてる」


「だよねぇ、左バッターはラッキーヒットしか出ないイメージだよ」


「うん、俺も打てる気がしない」


 明日の相手先発は、左ピッチャーのベテラン

 竜斗の十歳くらい年上


 年俸四十億えーん


 最近年俸を見るのが好きになってきてる


 サイ・ヤング賞二回受賞か


 左の横振り投手なのに、九十マイル後半のストレートがズバンズバンくる、そしてやっかいなのが二種類のスライダー


 左バッターからだと消えて見えると思う


 基本、竜斗が打たないと、チームは乗ってけない


「うーん、なんか攻略方法ないかなぁ」


 何度も見返す


「杏子!」

「なに!」


「あの、生殺しすか?誘うだけ誘って生殺しすか?」


「は?今忙しい!」


「えー、だったら服着てよ〜なんでいつも下着姿なの?」


「うっさい!」

 うーん、なんかないかなぁ

 うーん…


「ガルルルル」

「え?キャッ!ちょ、ちょっと、せめてシャワー、わ〜お〜」


 あん、襲われた






 さてと!

 また、映像を見る!


「ねえ、俺先に寝ていい?」

「うん!どーぞ」


 もう九月、疲れが溜まってる頃だ、寝かせてあげないと…


 ……いや今日は私悪くないよ、うん


「あ!竜斗ちょっと待って!」

「ん?」


「こっちに来る飛行機の中で変な夢見たんだよね、昔さぁ子供の笑い声が聞こえたって言ったじゃん?」


「う、うん、覚えてるよ」


「その声が夢の中でまた聞こえたんだよね」


「でね、前にもう一回聞こえたかなぁ、そん時も夢の中だったから、なんて言われたか忘れちゃったんだけどね」


「え!うん」


「今回はしっかり覚えてる、だけど、もうその声がかなり細いとゆうか、遠くから聞こえる感じでさ」


「……うん」


「もう行くね、って言われたの、どこに行くの?って思った、でもさ、それだけならまだいいの、なんかね、私さ、無意識にお兄ちゃん、なんて呼んじゃったんだよねぇ、変な夢、てか夢に思えない、不思議」


「え!ちょっと待って!杏子が寝たのいつ!何時くらい!」


「ええ?え?んと、離陸してすぐ、テヘ」


「………」


 ポチポチポチポチ


 何やら携帯をチェックしてる、なんか心なしか泣きそう?悲しい顔してる


「うん、その日だ、そっか、わかった、教えてくれてありがとう」


「え、うん、どしたの?」


「うん、その子は旅に出たんだよ、倒れた日からさまよってたのかな、いや、やること探してたのかな」


「えー、意味わかんない」


「いいよ、わかんなくて、もうここからは二人だけだぞ!頑張ろうな」


「へ?う、うんわかった」

「うん」

 少し遠くを見つめてる?


「あ!あーーー!」

「な、なんだよ杏子、ビックリさせんなよ」


「いや、やば、やった、お姉ちゃんの誕オメ言うの忘れたし、誕プレあげてない、うわーだから機嫌悪かったのかぁ」


「え?いい大人が誕生日で怒るかね、てか俺知らなかったし、いつだったの?」


「向こう出発した日だよ、ドタバタでさぁ、すっかり忘れてた、お姉ちゃんいつも家族からの誕オメ楽しみにしてんだよぉ、子供みたいなところあるからさぁ、かぁー失敗した、くそ、ドタバタのせいだ!」


「杏子、いつもドタバタじゃん、もう少し計画性持とうよ」


「なんでよ!竜斗のために動いてたんだよ!」


「わーた、わーた、でもね、そうだとしてもね、しっかりゆとり持ってね、実際誕生日忘れてるんだから」


「う、うん、わかった、でも大丈夫、これからは竜斗と一緒だからへーきだもん」


「ってあれ、誕生日ってあれだよね、もちろん離陸した日だよね」


「もちのロンだよ」


「……………」


「竜斗どうしたの?放送事故ですよ」


「ははははははは」


「え、何?どうしたの突然…病院行く?私も行くみたいだけど」


「家族の誕オメが楽しみかぁ、そっかそっか、思いが伝わって足を止めたかぁ、てか、やっぱりなんか色々勘違いしてたよ!ははははは」


「竜斗?どうしたの?大丈夫?もっかいする?」


「する」


 するんかい

 


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