最後の天の声
パチリ 起きた
グワーン グワーン グワーン
うー、頭ガンガンする、久しぶりに飲み過ぎたぁ
楽しすぎてやっちまった
まっ、吐いてないだけマシか
ムクゥ〜っと起きる
まずカバンチェック!
スマホよし!財布よし!あと知らん!
この二つあればとりまオケ!
ん?なんだこれ?
スルスルスルスル スポッ
ワオ!ブラジャー出てきた!
え?慌てて自分のを見る
うん、しっかり装着されてる!
じゃあ誰の?
ってこれ、リナさんのじゃん!
デカさでわかる、悲しいかな絶対自分のではないのが分かる
思い出す思い出す思い出す……あ
ちっぱいちっぱい言われて、ブチギレて剥ぎ取ったわ
コバッキー達は寝てたから、調子こいたわ
てか、そのコバッキー達にも、寝るんじゃねーってボカスカ叩いてたわ
うーん、私、酒癖悪いのか?
いや、そんなことない、うん、そんなことない
やったなこれ、今や国民的歌手のブラジャー剥ぎ取って、しかもお土産しちゃったよ
ま、いっか、ラインしとこ、それで解決!
そっと、ブラジャーを隅におく
とりあえず二日酔い覚しのルーティンに入る
この部屋は宿泊用なので、お風呂ついてる
メイクそのままだったので、落として
シャワーイン!歯磨き!
水ゴキュゴキュ!
おし、なんとか復活してきた
お腹すいた
二日酔い明けはうどんに限る!
事務所近くの大好きなうどん屋さんの出前をお願いしよう
天玉うどん…いや、更に胃がやられそう
ざるうどん!これ一択!
いや、ちょっと物足りない
鴨せいろ!これだね
部屋をジャージ姿で出て、みんなが仕事してるオフィスに向かう
階段一つおりて、社長室の前を通る
ガチャ
社長室から姉と女性が出てきた
接客中だったのかな
「じゃあ頑張ってね」
「はい、色々ありがとうございました」
楽しげに社長室の前で挨拶を交わしてる
「こんちはー」
ペコリと頭を下げて通過
私と同じ歳くらいの女性、ピシッとスーツ着てる
キャリアウーマンってやつか
ん?どこかで見たことあるような…
え?ええええええ!
「はづきさん?はづきさん!」
「あ、きょ、杏子ちゃん」
「なんだよーいたのかよー、家帰ったんじゃねーのかよ、チッ」姉
どゆこと?どゆこと?
なぜこの二人が楽しげに話をしている
ま、まさか
いや、少しは予想してた、でも信じたくなかった
「お姉ちゃん!」
「あ、あんだよ!」
「私のこと騙したね!はづきさんと結託してわざと炎上させたんだ!炎上商法?酷い!酷すぎる!悪魔!デカ悪魔!ウエーーーーン」
「チッ、めんどくせー」
「舌打ち?舌打ち?工藤さんて呼ぶよ!」
「誰だよそれ」
「詐欺だ!アネアネ詐欺に引っかかった!ウエーーーーン」
「ちょっと、杏子ちゃん落ち着いて違うの、さすがにお姉さんはそこまでしないわよ」
さすがにってなんだ、さすがにって
まぁ、悪魔みたいな人だけど
「え、どゆこと?」
「はやとちりするなチビ」
「するだろこの状況!説明して!」
「説明する前に騒いだんだろうが!くそチビ!」
「杏子ちゃん、ごめんなさい、説明するから聞いて」
「え、うん、はい」
「ギャンギャンうるせーから、とりあえず部屋入るぞ」
三人で社長室イン
「ごめんね杏子ちゃん、記事を書いたのは私」
「はい、なんとなく予想ついてました」
「お姉さんの指示とかじゃない、私が好き勝手書いたの、ご迷惑をおかけしたから、今日は謝罪しにきたの」
「そ、そうだったんですか…」
「バーカバーーカ」
「あのね、本当にごめんなさい、恥ずかしい話なんだけど、杏子ちゃんの幸せそうな顔見てね、なんか、嫉妬しちゃって、軽はずみに書いてしまったの」
「は、はあ」
「私が桜水出身なのは上も知ってるから、普通に通ってしまって、そのまま掲載されることになってしまったの、発売されるまでの間、段々と怖くなってきたけど、誰も信じないだろなんて思ってしまい、それに後から嘘でした、なんて上に言えなくて…でも実際発売されると反響すごくて、やばいやばいと思った頃には手遅れ、本当にごめんなさい」
「わかりました、もう同じこと繰り返さないでくれればいいです、今回は竜斗に感謝してください」
「ごめんなさい、ずっと好きだったの」
それ、私に言うかね
「高校時代、ハルが羨ましかった、でも杏子ちゃんとお似合いだった、諦めるしかなかった、体育祭のあの二人の姿見たら諦めるしかなかった、ハルと離れ離れになるって聞いて、もしかしたらチャンスかも、とも思った、でも杏子ちゃんは絶対に信じて待つ人、だってそうゆうところも私は好きだから、だからね、私が卒業した後は、杏子ちゃんのこと見なくて済むから、キッパリ諦めたの、前を向いたの、杏子ちゃんのことを好きだった気持ちを封印したの」
「そうだったんですね」
そこまで好きだったんだ、竜斗のこと…
ん?
んんんん?
「でもね、杏子ちゃんが芸能人になったの知って、本当はスポーツライター目指してたんだけど、また変な気持ちになって芸能記者になったの、芸能記者になれば杏子ちゃんのこと合法的に追える!って、そう、バカなんだよね私、そして、メジャーの試合に杏子ちゃん映ってて、幸せそうで、最初はね、祝福ムードだったの私も、でも段々イライラしてきて、私だってずっと杏子ちゃんのこと追いかけて来たのに、ハルが横から奪ってくんだもん…」
「………」私、姉
「あ、ごめん、つい…でも安心して、今度こそキッパリ諦めたから、ハルには敵わないよ、逆にハルに任した、杏子ちゃんのこと、ハルなら一生大事にしてくれそうだから」
「えっとぉ、サーセン、はづきさんは竜斗のことを好きだったんですよね?なにかセリフ間違ってませんか?パニクってます?落ち着いてください」
「え?ハル?なんで?ハルはただの幼馴染だよ、一度も好きになったことなんてないよ、あいつはただの気の合う友達…だったかな、途中憎んだからなんとも言えないところもあるけど」
「えっとぉ、そのぉ、あのですね、はづきさんが好きな人って、もしかして…私のことですか?」
「さっきからそう言ってるじゃない、杏子ちゃん、桜水のグラウンドで初めて見た時にズキュンきてしまいました、好きでした」
「ええーー!えええーーーーーー!」
「マジかぁーーーーー!」姉
「え、お姉ちゃんも知らなかったの?」
「し、知るかよ、嫉妬で書いてしまったとは聞いたけど、誰だってその流れ、竜ちゃん相手だと思うだろ!」
「確かに!」
マジビックリした、監督とリナさんが血が繋がってたことを知った以来か、いや越えたなこれ
でもそう聞くと納得できる
寂しげにしてた顔、その顔を思い出して、はづきさんは竜斗のこと好きだったんだと、記事が出た時に思った
でも、その寂しげな顔は、私一人の時にもしてた、竜斗と仲良くしてる時だけじゃなくて、私とはづきさんが学校でバッタリ会った時、私が挨拶すると寂しい顔してた、それで壁を感じていた
そして、あの時の詰め方、いやぁ、全て納得いったわ
な、なるほどねぇ
って……えーーーー
女の子が女の子を好きになる
いやね、そうゆう人達もいるのは当然知ってたよ、別に否定しない
でも、でもさ、身近に、いや、私が当事者になるなんて…
「本当にごめんなさい」
「ま、まぁさ、杏子、この気持ちも組んであげて、許してあげよう、結果あんた達はこの記事でいい方向に向いたんだから、な」
「う、うん」
「うちもさ、しっかり謝罪受け取ったし、柴田ちゃん、ちゃんと反省してるし、無職かわいそうだから、仕事紹介してあげたんだよ、仕事できそうだしね」
「そ、そうなんだ」
「まぁほら、うちで雇うとお前みたいにヤラセ疑われちゃうから、他の事務所紹介したんだよ、もう記者は出来ないなら、芸能記者のスキル活かして、芸能事務所で仕事するのが一番!な、柴田ちゃん」
「はい、本当に助かります、ありがとうございます」
うーん、何かがおかしい、怪しい
久々に名探偵杏子の血が騒ぐ
まずね、このはづきさんの言いっぷり
だったら、もっと早く来るでしょ
載っけてからの〜まずい!
大好きな杏子ちゃんがかわいそうなことになってる、早く謝罪文を掲載して謝ろう!が、普通じゃない?
すぐに、謝罪文を掲載すればこんなに事は大きくなってない
もし、言えなくて、ここまで引っ張ったのなら、なぜこのタイミングでノコノコ来るんだ、いや普通来れないだろ、バックれるだろ、二ヶ月だぞ、その間何も言えなかったやつが、謝罪に来るかぁ?
それに、はづきさんは姉に対して「さすがに」と言った、ってことは、炎上商法じゃないにしても、それに近いことを姉がしたことを知ってる
それに、二人で楽しげに社長室から出てきた
姉は、柴田ちゃん呼ばわり
そして、はづきさんに仕事を紹介してる
ありえないし、もう決まったような口ぶり
そんな今日の今日で、芸能事務所の仕事が決まるわけない
これ、やってるね
「さ、めでたし、めでたし、お開き!杏子なんだその顔は!今日は一段とブスだなぁ、柴田ちゃん下まで送るよ」
「お姉ちゃん!」
「なんだよ!」
「やったね、やってるね、これ、はづきさんの記事に乗っかったね」
「はぁ?変な言いがかりやめろよ」
そう、姉のメンタルは鉄だ、私の言葉なんかに怯むわけない
「お、お姉ちゃん、全部話さなくていいから教えて、じゃないと私、もう、お姉ちゃんとは仕事出来ない、竜斗と一緒に事務所辞めて、もう芸能の仕事やめる グスン」
女優魂をぶつける
「は、はぁ?ふふふふざけんなよ、それは困る」
「じゃあ教えて!」
「……ったく、うんとぉ、炎上商法ではない」
「うん」
「ザ!炎上便乗商法ー!いぇい!」
ガーン
「やっぱり!どうかしてるよお姉ちゃん」
「違うの、杏子ちゃん、お姉さんは私が前に謝罪しようとした時に言ってきたの、大事な妹が会えなくて苦しんでる、普通に夫婦生活を送るには、今の仕事を上手く切っていかないといけない、でも駆け上がるように仕事もらってきたから、いきなり切っていくわけにはいかない、すると三年は日本とアメリカの行ったり来たりの生活になる、でも、この炎上を少しだけ引っ張って、上手く解決出来たら、杏子ちゃんはすぐにでも、ハルのところ行けるから、もう少しだけ謝罪文載っけるの待ってくれって言われたの、杏子ちゃんのことを思ってなんだよ」
うー、それ言われるとつらい
確かにそうなのよ、この炎上があったから、仕事がリセット出来てる、勝手に離れていった
「杏子、確かに悪いことした、謝る、でもな、それだけじゃない、謝罪文なんて対して報道されない、世間の一部には、お前は淫乱女のイメージが拭えないかもしれない、やられたインパクトはそれを上回るインパクトで、カウンターを入れないとダメなんだよ、それこそ、日本全体、いや、世界全体に響かせないとダメなんだよ、そうじゃないと、杏子はともかく、竜ちゃが淫乱女の旦那ってイメージがつくんだぞ」
「そうなの、杏子ちゃん、私だからわかる、謝罪文なんて、ちっさくしか載せないから、報道だって、ちょろっとしかやらない、お姉さんの言う通り、だから、私も協力したの、そもそも私がいけないんだから、ごめんなさい」
「う、うん、わかった、納得できる、じゃあなんで、私に説明してくれなかったの?」
「杏子、お前それ知って、黙って籠ってられたか?」
「うっ」
「いいか、この作戦をやり遂げるのに、リナっち…リナちゃんやGO、それに、他の著名人になった仲間、それに他の野球部員達に動くなと通達した、リナちゃん経由で全部止めた、じゃないと計画が壊れる、一番いいタイミングでお前のことを援護しないと、一つ一つが弱まるから、そこにお前が知って余計な連絡したら、ブレるだろ」
その通りかも
「じゃ、じゃあ、なんで落ち着いたのに、話してくれなかったの?」
「そ、それはお前…」
「私がお願いしたの、お姉さんを誤解して欲しくなかったし、それに、このまま杏子ちゃんに恨まれ続けた方がいいって思ったの、好き勝手、しかも本当に酷いこと書いた、しかも知ってることを上手く載せて、オノマリからの情報も全部足して書いて信憑性を持たせた、こんな悪さした奴は恨まれて当然、少しでもお姉さんに協力したって情報はいらないと思ったから、まあ、こうして知れちゃったから、意味ないけどね」
「……」
「ま、そうゆうことだから、お姉さんは何も悪くないからね、じゃっ、杏子ちゃん元気でね」
「ちょっと待ったーー!」
「え?」
「そりゃ、はづきさんはダメなことした!許される行為ではない、記者がペンで暴力ふるっちゃっダメ!」
「でも、でも!はづきさんはすぐに過ちに気づいて、懺悔してうちに謝罪をしてきたんでしょ?もし、そのタイミングで謝罪文出せば、記者やめることなかったじゃん!でも、お姉ちゃんの作戦に乗っかり、自分の立場捨ててまで協力してくれた!引っ張ったおかげで記者クビになる、しかも世間を騒がした記事、たぶんフリーですら記者出来ないんでしょ?どこも雇ってくれないんでしょ?」
「だからお姉ちゃんは仕事紹介したはず、でも、はづきさんは記者になりたくてなったんでしょ!それ捨ててまで協力してくれた人を恨むことなんて出来ないよぉ、ズルいよはづきさん、本当に一生恨むとこだったよぉ、そんなのダメだから!」
「杏子ちゃん、さっきも言った通り、すぐに謝罪文…」
「うっさい!」
「あ、はい」
「もういいからそれ!終わり!私はおかけで、竜斗のところに行ける!ずっと一緒!はづきさんが協力したおかげ!ウインウイン!」
「杏子、それなんか使い方間違ってるぞ」
「お姉ちゃんは黙ってて!」
「ふぁーい」
「いい、はづきさん!私は芸能界に入った時からゴシップなんて覚悟してる!今までなんもなかったのが不思議なくらい、私の仲のいい女優さんなんて、俳優さんとお互いのマネージャーさん付きの四人で食事してただけなのに、マネージャーさん切り取られて、いかにも二人でデートみたいな感じにされて、熱愛!とか報じられたんだよ、芸能界なんてそんなもん、有名税だ有名税!だからぁ、もう終わり!」
「面倒くさい!ネチネチすんな!私の誤解は解けたんだし、もう深く考えない!わかった?次の仕事頑張って!」
「う、うん」
「例え、誤解が解けなかったとしてもいいの、竜斗とお姉ちゃんが違った方法できっとどうにかしてくれたから、だからもういいよ、許す!」
「ありがとう」
「ほら、ヤンキーは喧嘩したあと仲良くなるでしょ?お前なかなかやるじゃねーか、的な?」
「プハハハハ!なんだよそれ!バカかお前!締まんねーな!」
「もう!お姉ちゃんはチャチャ入れないで!」
「チビが」
「と、とにかく!今日から私とはづきさんは友達!あ、あのその、気持ち的に嫌じゃなければだけど…」
「ううん、嫌じゃないよ」
スタスタスタ
ガバッ
わっ!ハグされた!はづきさんにハグされた!
あれ、これ、浮気?どうなの?浮気?
ちょっと待て、逆で考える
もしぃ、竜斗が…うーんと、そう!ノブさんに告白されて、もちろん私がいるから、断る
でも、竜斗はノブさんにハグされる
さて、嫌か?
うーん、なんだろBL臭が漂ってくる
そうじゃない!エロい目やめろ、うーん
いや、そんな嫌じゃないか
うん、オケ
ポンポン
背中を叩いてあげる
「じゃあ、友達ね、ほとぼり冷めるまで、どっかは行けないけど、ラインしよ、竜斗の子供の頃の話聞かせて」
「うん!」
「おっし、めでたしめでたし!」
「お姉ちゃん!」
「なんだよ!うっせーな、まだなんかあんのかよ!」
「竜斗もグルとゆうか、知ってたの?わざと引っ張ってるの知ってたの?」
「バーカ、知るわけねーだろ、それこそ知れたら、一大事だわ、お前が一番わかってんだろ」
「だ、だよね」
「竜ちゃんは、あの会見全部自分の言葉、一年契約にしろ、杏子を横に置いて守りたいから、自分の給料安くていいから、マネージャー契約しろ、ぜーんぶ竜ちゃんから私に頼んできた、あの言葉全部本気」
「大変だったんだから、竜ちゃんなだめるの、キレられたよ、何やってんすか祥子さん!なんで動かないんすか!とかさ、本当大変、あのバカ一直線、てかお前らバカ一直線、手綱引くこっちの身にもなれっつーの」
「そうだったんだ、嬉しい、竜斗大好き!」
「黙れ!アンポンタン!」
「アンポンタン?」
「竜ちゃんには、会見の場を作るから待てと、それまで待てって言って、なんとかなだめたんだよ」
「契約を前倒しにしたから、少し安く見積もることになるしさぁ、本当大変、まぁ一年契約は逆によかったよ、七月までの成績じゃあ、安く見積もられるちゃうからね、来年ガンガン打ちまくって、バッタバッタと抑えれば、来年の契約で十年六億くらいふんだくってやる!」
「え?逆に安くね?めっちゃ安くね?」
「は?ドルだよドル!六億ドル!」
「へ?ハウマッチ」
「年間九十億えーんくらいかな、今のレート」
「わ〜〜お」
えっと、年間その金額で更に十年?
もうよくわからん
チーン
「まぁ、そん時は観客インセンティブはなくなるから妥当だろ、打者と投手で一流選手二人分!しかもツーウェイ登録で、一人分ロースター枠が浮く…ん?もうちょいイケるか」
「で、でも、来年二年目のジンクスあるかもよ」
「んなもん、ねーよ、今年で既にあんだけマークされてるのに結果残してんだぞ」
「うん、まぁそうだけど」
「それに!来年はお前が近くにいる、だから大丈夫、今年より更に飛躍する!怪我だけ気をつけて、近くで見てろ!」
「うん、そうだね!ありがとうお姉ちゃん」
「おい、試合あるのに、ヤリまくるなよ」
ギクッ
「マジかよ、そこはちゃんとしろよ!」
「りゅ、竜斗は大丈夫だもん!タフだもん!」
「はぁ?そこは嘘でも了解!だろ、なんでそう竜ちゃん絡むとおバカなんだよ、本当頼むぞぉ」
「は、はーい」
「ウケる杏子ちゃん」
「はい、自分でもウケちゃいます」
「あ!はづきさん!時間ある?まだ暇?」
「うん、大丈夫だけど」
「うどん食べよ!出前取るから!」
「え?」
「お姉ちゃんのおごりだから、遠慮いらないよ!」
「おーよ、食え食え!食ってけドロボー!」
「う、うん、じゃあお腹も空いてきたし、甘えちゃおっかな」
「お姉ちゃんメニュー見せてあげて!」
「はいよ」
「私、鴨せいろうどーん」
「じゃあ、山菜きのこそば」
「うわ、お姉ちゃん、ババくさ」
「は?山菜舐めんなよ!」
「あはは、いつもそんな感じなの?ウケるね」
「はづきさんなんにする?」
「じゃあ私は、カツ丼大盛りとカレーうどん」
「……オエッ」
「え?杏子ちゃん、ど、どうしたの?」
「いや、ごめん、二日酔いだったの忘れてた、想像したら吐きそうになった」
「ウケる」
「いや、はづきさん、そんな食べる人?細いのに」
「うん、私体育会系だからね、今でも趣味でバドやってるし」
「うーん、なんか答えになってるのかな、それ」
「あー、なんだろ、私の女友達、なんかまともな人いない気がする!」
「え!なにそれ!失礼じゃん!ハハ」
パッパラパーに、おとぼけ女、それに大食いやろーか、そして、アメリカにはジジイ好きがいる
どうなのよこれ
ま、はづきさんはおっぱい大きくないから、同士って感じ
その後、はづきさんはペロリと食べていた
シャツにカレーの汁が飛んでた
考えて注文しろよ
んで、私のデータ小屋で雑談
竜斗の子供の頃の話をいっぱいしてくれた
「大沢の彼女だった、太田ヒロちゃんって覚えてる?」
「あーうん、漫画、いや、絵が上手い人だ!」
「そうそう、ヒロちゃんも小学生の頃からずっと一緒なんだけど、あの子、昔はハルのこと好きだったんだよ」
「えっ!マジすか」
「うん、小六の時のバレンタインの時さ、ヒロちゃんがハルにチョコあげたいなんて言うから、付き合ってあげたの、したらさ、ハル、遊びに行っちゃってて、いなくてね、ハルのお母さんが対応してくれたの」
なんか嫌な予感がするのは気のせいか?
てか、確か、この件、お母さんからジムで聞いたことあるな
「ハルのお母さんやばいじゃん?」
「はい」即答
「チョコお願いして、速攻帰ろうとしたけど、捕まった、まぁ女子二人がチョコ持ってくるんだもん、マジ獲物じゃんうちら」
「確かに!」
「ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ、始まったわけさ、私は免疫あるし、まあそれに付き合えるメンタルは多少もってるけど、ほらヒロちゃん、大人しいじゃん、もう地獄そうな顔してた」
「うわー、ナームー」
「で、トドメ、唐揚げ作ってたから食ってけって」
「わーお、小六女子に唐揚げ勧めるかね…」
「そうなんだけど、まだ美味しかったらいいのよ、私全然食べれるし」
「うん、はづきさんからしたら、おやつみたいなもんだ」
「まぁね、でもさ、くそマズイの!あ、ごめん杏子ちゃん」
「あ、大丈夫す、それと似たようなやつ私やられてますんで、くそマズイのわかります」
昔、一回だけある、酢の物作ったから食べてって、タッパーに入ったやつ渡された、食べた
くそマズかった、竜斗のお父さんが言ってたの本当だった
てか、家族は誰も言わないの?これ犯罪レベルのマズさって思った覚えがある
「あ、良かった、でさ、美味しい?って聞かれてさぁ、子供だけど気を使って美味しいって言うしかないじゃん」
うわぁ、私タッパー土産で良かったわぁ
「したらさ、追い唐揚げしてくるの、マジ拷問」
「うわっ、キッツ!マジキッツ」
「ヒロちゃん、完璧にやられちゃってね、それ以降ハルのこと好きじゃなくなっちゃったの」
「わーお、母親のせいで恋終わるとか酷すぎる」
ん、待てよ、これ竜斗ママ、ファインプレーじゃないか?
マリさんと違って、太田ヒロさんは真面目とゆうか大人しい、もしそこで恋が実ってたら、長続きしたんじゃないか?ずっと高校まで同じなんだし、間違っても竜斗の静止をブッチして試合に見る来ることなんてないはず、ってまぁ、竜斗が好きになればの話だけど、アイツ意外と派手好きだからなぁ、ないか
「あ、じゃあ竜斗は知らないんだ、ヒロさんの気持ち」
「うん、でもね、そのバレンタインの前に、ヒロちゃんちでお誕生日会やったのよ、小六の夏休みだったかな、男子はハルとゴーとナオタカって子、女の子はヒロちゃんと私ともう二人位いたかな」
「あ、なんかいいなぁそれ」
「したら、ヒロちゃんのお母さんがペロって言っちゃったのよ、春樹君、ヒロはいっつも春樹君の話ばっかりするのよって」
「うわっ、親からの公開告白」
「でしょ、普通そう思うよね、ヒロちゃん顔真っ赤っか、私達女子は知ってたから、うわぁって感じ、ゴーとナオタカもたぶん気づいてたんだね、同じくうわぁ、まぁヒロちゃんわかりやすいからね」
「かわいそすぎる誕生日」
「なのによ!ハルなんて言ったと思う?」
「へ?」
「あー、隣の席ですからね、自然とそうなりますよね」
「だとさ」
「それ聞いた瞬間、私達の頭の上をカラスが通ったよ」
「うーわー出たわ、女心フルシカト」
「そう、子供って言っても小六だよ、ちょっと照れたりして流せばいいのに、しかもさ」
まだあるんかい
「ヒロちゃんのお母さん匂わせしたかったんだろうね、負けじと、ヒロは春樹君の似顔絵ばっかり書いてるのよって言ったの、これは確定でしょ?」
「はい、さすがに確定演出です、なんなら小二でもわかると思います」
「したら、ハルさ、知っますよ隣りの席だから見えやすいですからね、ヒロちゃんなんでか、いつも隣りで隠しながら書いてるんですよ、全然丸見えなのにかわいいですよねって、真顔でケーキ食べながら言ってるの」
「もう!どっち?って感じ」
「やばっ!うわぁ、なんか想像できるわぁ」
「ナオタカがツッコミ入れたの、どっちだよ!って」
「したらね、え?何が?あー、似顔絵?興味ない、だって」
「うーわ、わーお」
「それ聞いて、ナオタカが横っ腹にパンチしてたよ」
「そりゃそうなる」
「あ、ナオタカさんて、タカちゃんって子ですかね?」
「あ、そうそう、そっか知ってるんだ、昨日の配信でも話題にしてたもんね、あの二人仲よかったなぁ」
配信見てたんだ
「いつ頃亡くなったんですか?」
「小六の十月だよ、でも自転車で転んでのは九月で、亡くなるまでは意識不明の重体だったんだよ、その間みんなで折り鶴折ったりしてね、ハルなんて凄いよ、一人でめちゃくちゃ折ってた、でさ、私が連絡班長だったから、最初に亡くなったことを連絡受けてさ、私からハルに伝えたの、あの時の顔は忘れられないなぁ、その顔見て私が泣いちゃった」
「私は今泣きそう」
「でも、そこからなの、ハルが凄いのは」
「え?」
「大久保にお墓出来たんだけど、毎月毎月通ってた、お墓とお家に」
「竜斗優しい」
「うん、私達も最初は毎月じゃなくても、それなりに通ってたんだけどね、中学生になって青春時期を迎えるとみんな段々行かなくなってね、でもハルは違ったね、中学生になっても毎月毎月通ってた、さすがに高校に入ると部活とジムが忙しくなったみたいで、毎月は無理になったみたいだけど、でも、それなりに通ってたよ」
凄い、誰にも真似出来ないかも
竜斗が通ってるのは知ってた、ずっと一緒にいた渡米前の半年間も何回か行ってたから
私も行きたかったけど、誘ってくれなかった
別れが待ってたからかな
今はどうしてるのかな、タカちゃん寂しがってるよね
竜斗が帰国したら、今度は連れてってくれるかな
「自転車で転んで亡くなったって…車かなんかと事故?」
「ううん、目撃者の話だと、手放し運転してて、段差に引っかかって転んで、頭を強く打ったみたい」
「手放し運転?」
「ナオタカの癖とゆうか、なんなのか、いつもやってた、自転車こぎながら、両手プランってさせて」
「なるほど」
「ハルもよく注意してたし、一回ハルのクソ怖いおじいちゃんにも見つかってガチギレされてた、でも直らなかった、本人いわく、リラックスタイムとか言ってた」
「そうなんだ、クソ怖いおじいちゃんも気になる!」
「おじいちゃんはもう亡くなってるけどね、ほら、ハルんち面白い作りしてるでしょ、あれ二世帯住宅だったからなんだよ」
「あ、確かに」
そう、その面白い作りのおかけで、なんにも気にせずホテル代わり、一緒にお風呂入りまくりだった
あざす
「どう怖いんすか?」
「なんかしら注意してくるの!女の子の私にもだよ、なかなかの変人だったよ、でもそれよりも怖いのが…」
「はい、ゴクリ」
「背がでかいのよ!どんくらいだろ、180は越えてたと思う、しかもゴツい、おじいちゃんでゴツいのはやばいよ」
「うわー怖い」
「あ、なるほど!竜斗は隔世遺伝だ!」
「うん、そう思う、ハルのお父さんもお母さんも大きくないもんね」
「不思議だったんだよなぁ、なんでこの人だけデカいの?って、拾われた?ってマジで思ったもん」
「ウケる」
「はづきさん、あのその、聞きたいことがあるんだけど…」
「なんだろ?想像は出来るけど」
「ずっと恋愛対象は女の子なの?」
「ふふ、そうくると思った、うーん厳密に言うと違うかな、学生時代は女の子が好きだったなぁ、でも男の子も好き、アイドルとか大好きだったね、簡単に言うと、男性は恋愛対象、女性は普通に友達対象なんだけどぉ、かわいい子には目がないって感じかな」
「なるほど」
「まぁ、高校までは彼氏いなかったけど、卒業してからは、三人位出来たかな」
「へ?彼氏?」
「うんそうだよ」
「えーー、さっき私のことずっと追いかけてたって言ったじゃん、まさか嘘?」
「え?いや追いかけてたよ、でも彼氏もいた」
「うわーなんかショック〜、騙された気分」
変な嫉妬感を感じてしまう
「な、なんで〜?」
「えーだって、それ二股じゃーん、マジ騙された、さっきの私の気持ち返して」
「うーん、男と女は別腹ってこと」
「ちょっとなにそれー、食べ物みたいじゃーん」
「食べ物みたいなもんじゃん」
「確かに」
「キャハハハ」
その後も楽しい話は続いた
はづきさんとライン交換して別れた
さぁ、なんかいい事色々聞けたし
引っかかってたはづきさんとは、仲良くなったし
一件落着!
いや違った
ブラジャー返せば、一件落着!
さぁ、すぐに竜斗の元へすっ飛び!
ってわけにもいかない
私は竜斗専属マネージャーとしての初仕事を開始する
竜斗が帰国した時の準備だ!
竜斗は渡米後、一度も帰国してない
なので、私が日本にいる間にある程度済ませておく
まずは、竜斗の練習場所の確保
オフだからと言って、なにもしないわけにはいかない
竜斗に今まで、どうしてたかを確認して、それに合わせて練習場所を確保する
ただこれは、簡単だった
親のスネをかじる!
父はまだ、東京のチームでコーチをしている
室内練習場とトレーニングルームを借りることが出来た!
父は、若手がいたら、指導してやってくれと言われたが、多分無理
竜斗は教えられるタマじゃない、アホだから
感覚でプレーするタイプなので、何一つ参考にならない気がする
見て学んで!の、一点張りで行く
続いて住居問題
とりあえず今回は私のマンションに住むことにする
どうせ、一月の終わりまでの数ヶ月、新たに借りる方がバカらしいし、このマンションは姉が用意した著名人御用達マンション、申し分ないのでここが一番!
ちなみにベッドは、あの兄の部屋にあるベッドと同じメーカー、あの寝心地が大好きなので、私も奮発して真似した
なので文句ないっしょ
ただ、私達が再度渡米する際は、ここは処分する
渡米してる間の管理とかを考えると処分するしかない
来年はホテルだな
そして、用具!さすがにグローブを作る!
ピッチャー用も作らないとだめ、スプリット握る時に限界がきてる、そのうちバレる
スラッガーさんから声をかけてもらった
配信見てくれたんだな
先に私だけ、訪問して、グローブの形などをリクエストして、サンプルを用意してもらうことになった
スパイクも作ってもらう
私的に超ワクワク、当たり前だが、どれもこれもフルオーダー
やりたい放題
ついでに、私のグローブとミットとノックバットも頼むつもり
グローブはオソロにしてやる
そして、九月になった
竜斗の帰国準備はとりあえずは終わり、いよいよ渡米
何ヶ月ぶり?約四ヶ月か?
早く会いたい、まず、お礼言いたい
守ってくれてありがとうって
手慣れた成田から出発!
チームは本拠地に戻ってくるので、いざサンフランシスコへ!
向こうに着いたら、もう離れる心配はしなくていい
本当にいつも一緒にいられる
高校時代の時のように
でも、あの時とは少し違う
トニーに連れてかれるかも、って思い始めてから、一緒にいる時間は有限だと思いつつ、一緒にいた
だけど、もう違う、オフには籍を入れ、そして私は専属マネージャー、もう本当に本当にいつでも一緒にいられる
出会ってもうすぐ八年、やっとこさだ
うん、頑張った私
でもこれからのが全然長いんだよね
でもでも、きっとこの八年の経験は絶対に忘れない
まるっきり連絡が取れなかった五年半を絶対に忘れない!
一緒にいられる幸せを、噛み締めていこうと思う
よし、嫁兼専属マネージャー兼オフだけ女優、頑張る!
飛行機の中なのに興奮して寝れないかも!
で、寝た。
『よく頑張ったね』
『もう心配いらないよ』
『ハルについていけば大丈夫』
『行くね』
『ありがとう』
どこか行くの?
どっか行っちゃうの?
今まで助けてくれてありがとう
お兄ちゃん
ありがとう
ガバッ
起きた!
え?え?なに?
あれ、あれ、なんで泣いてるの私
涙が止まらない!
なんで?
お兄ちゃん?
なに?なんなの…
凄く悲しい
誰かが遠くに行っちゃう感覚
ねえ!
どこに行っちゃうの?




