将来のための決断
宿舎に帰ってきて、軽い祝勝会が終わると、トニーに竜斗と真剣な話をしたいと言われたので、三人でミーティングを開くことになった。
もちろん、今後のことだ
覚悟はしてた
私が二年我慢すればいいだけ、うん
「ハルキ、疲れてるところ申し訳ないが、話をさせてもらう、俺にはもう時間がない、今月いっぱいで帰国するからだ」
「はっきり言う、うちのアカデミーに来ないか?もちろん資本先の球団からは快諾をもらってる」
「はい、行きたいです!」
え、即答やん
「そうか、流れを説明する前に受けるとは気持ちいいな」
ウインク ニッ
早く話進めろ外人
「高校を卒業してから、こっちに来てもらう、そしてメディカルチェックをパスしたら、球団と契約することになる」
「ハルキは外国人扱いになる、アメリカ国内のドラフトを通過する必要はない、高校を卒業すれば自由契約だ」
「もちろん、契約金も発生して最初は安いが年俸も出る」
「はい」
その話を聞いて私に満面の笑みが溢れる
それなら、二人で生活していけるじゃん
おそらく、竜斗も私と同じ考えだ
私が卒業したら、追って渡米する!
竜斗が迎えてくれる
ん?なんかトニーの顔が険しくなったな
「ハルキ、ただし年俸はアテに出来ないぞ、本当に安い、それでいて向こうのが物価は高い、おそらく契約金を切り崩していくことになる、うちにいる奴はみんなそうだ」
「あ、はい」
「竜斗、大丈夫だよ、私も働くから」
トニーにわからないように日本語で話かける
アメリカで働くことなんてなんら苦にならない
なんなら、二年後逆に帰国するようなもんだ
今は日本に来てるって感じ
「うん」
竜斗も頼りなるって顔してる フフ
「キョーコ、少し黙ってくれ」
「はい」
なんだよ、超真面目モードやん
まぁ、しょうがない、大事な話し中だ、チャチャ入れた私が悪い、日本語わからなくても雰囲気で察したんだな
サーセン
「いいか、ハルキ、はっきり言う、君はメジャーデビューするまでに時間がかかる、生半可な気持ちで来たら失敗に終わるぞ」
訳してる私が少しビビる
「君はやる事が多くなる、なぜならば、将来打って守って走って、エンターテイメント、そして最後にクローザーで投げる選手になってほしい、スリーウェイ選手になって欲しいんだ」
ま、まじか、どれかやめるかと思った
てか、エンターテイメントってなんだよ
スリーどころかファイブくらいあるじゃん
「どうだ?それとも投手だけにするか?打者だけにするか?今の気持ちでいい聞かせてくれ」
「自分もそこが悩みでした、打者も楽しい、サードの守備も楽しい、投げるの気持ちいい、どれも捨てたくないけど、どれか捨てなきゃいけないのかな?と、思ってました」
「ふっ、楽しいに気持ちいいか、いい言葉だ」
「よし、そうなるとメジャーデビューするのにけっこう時間はかかる、それでもいいか?どれか絞れば早くデビュー出来ると思うが」
「わかりました、時間かかってもいいです、頑張りたいです」
「ハルキには弱点がある、まずそれを克服しないといけない、でないと今のデータ管理野球で丸裸にされ、打たれまくり、打率は二割そこそこ、ホームランは二十本も打てないだろう、それだと即クビになる」
弱点?ま、まじか、わからなかった
「はい」
「メジャーは最高峰の集まりだ、クローザーの百マイルは当たり前、ホームラン三十本か出塁率を上げないとスリーウェイを球団は認めないだろう」
「はい」
「結論から言う、最低五年はかかると思う、覚悟はいいか?」
「わかりました!」
「よし、詳細は追って話す、コヤマとゆう者から連絡が入る、準備しといてくれ」
「わかりました」
ん、小山?なんか聞いたことある
あ!メイド仲間だ
うぐぐぐ
連れて行かれるんじゃ…
「と、ト…」
ダメだ超真面目モードのトニーに今は言えない
「じゃあキョーコ、あとは二人でじっくり話をしてくれ、辛い思いをさせてしまう、すまない」
「大丈夫、二年の辛抱だよ」
「……」
あれ、なんかトニー固まった?
「じゃ」ウインク、ニッ
「ヘェー、じゃない!なんだったんだ?」
「竜斗決めてたの?」
「うん、野球続けるならそれしかないかなって、俺からお願いしようと思ってたから、凄い嬉しいよ…でも杏子と離れ離れになるのは寂しいよ」
もう!嬉しいこと言うじゃない!チューしたい
「離れ離れじゃないよ、そのワードなんか寂しいからやめよ、ただの二年間だけ単身赴任!ね?」
「うん、杏子はせっかく日本に戻ってきたのに、また日本を離れるの嫌じゃないの?しかも俺のために…」
「は?半分アメリカ人舐めんなよ、今が修学旅行で日本に来てるだけみたいなもん、高校卒業するまでの約三年半日本に来てた、みたいなもん、それに旦那の後を追って何が悪い、普通だよ普通」
「そっか、心強いよ」
「てか、単身赴任の間に金髪ボインねーちゃんと浮気するなよ」
そう、これが心配
アメリカに住んでたからわかる、たぶん竜斗は日本より更にくそモテる気がする、あの顔は絶対にモテる、外国人ウケがいいと思う
しかも、イケメンや自分のタイプに対してノリが良い人が多い
まじでホイホイ付いて行きそうだし
こっちでボインの姉ちゃん捕まえたから、杏子はもう用無し、来なくていーよー
とかなりそう
まぁ、そしたら殺しに行くけどね
「大丈夫、杏子より良い人なんているわけないだろ」
「エヘヘヘヘへ」
「ぼ、ボインか…」
オラッ!
バシっ!
大会終わったので、ローキック解禁!
「イッタ」
「殺すよ?今ボインのこと考えたべ?殺すよ?」
「え!心の中の声聞こえた?」
コイツわざとやってねーか?
最近ローキック打ってなかったから、物足りないのか?
そして、翌日
「この先の野球人生はどうお考えですか?すぐプロ野球で活躍したいとかのお気持ちはありますか?」
「いえ、日本のプロ野球は考えておりません」
パシャパシャパシャパシャ
「プロ志望届は出しません、大学に進学もしません」
パシャパシャパシャパシャ
「恩師アンソニークライン氏の元でやりたいと思っております、渡米してまずはしっかりと身体作り等をしてから、マイナーリーグからの挑戦をしたいと思っております」
パシャパシャパシャパシャ
「それは、日本のプロ野球を経由せずにメジャーリーグに挑戦するって事でしょうか?」
「はい、そうゆうことになります、自分はアンソニー氏の指導の元、急激にここまで成長することが出来ました、本当に急激です、逆に言えば何か間違えば急激に元に戻ってしまうんではないかとゆう不安があります」
「アンソニー氏の指導は自分に向いてると思います、もっともっとしっかり時間をかけて、急激ではなくじっくり調整して、自分の伸ばせる部分のスキルアップを目指したいと思います」
「今の状態でアンソニー氏の指導から離れてやっていく自信が自分にはありません、自信をつけるためにも渡米してしっかりトレーニングを積みたいと思います」
「日本でやりたくないとか、そうゆう問題ではありません、アンソニー氏の元でまだ野球をやりたい、ただそれだけのことです」
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ
私はライブ中継を見ている
他の部員達は、大阪観光
今日は一日オフ
明日帰京する
私も誘われたが、竜斗が帰ってきて一人じゃ寂しいだろうから、宿舎で帰りを待つことにした。
今や時の人となった春樹竜斗
報道陣からの要請に応えて、今日の記者会見に応じてる
異例なのかな?
監督も同席してるが、ただのお飾り
ちょっとかわいそう
さっきからトニーのことばかりで名取監督の名前は出て来ない
別に意地悪してるわけではない、本当にそうなのだから仕方あるまい
帰京する
何日宿泊出来るかな?なんて思ってたが
結局三週間位、この宿舎でみんなと共にした。
毎夜リナさんと部屋で遊び、恋バナ、エロ話して楽しかった。
竜斗とは逆に距離がひらいたけど、それでも甲子園で活躍する姿を見れたのでチャラ
帰ったら、思いっきりムラムラをぶつける、ご褒美あげる、いや、早く上げたい!エヘヘへ
チームのみんなとはトランプしたり、一緒にテレビ見たりして楽しかった
コバさんは眠そうな顔してるのに朝めっちゃ強い
ガブさんはとうとう宿舎の人にまで怒られてた
ゴー君はずっとイヤオンしてた
羽堂さんは、宿舎前で女かぶりして修羅場を迎えた…は、嘘、大人しく携帯ポチポチしてた
ドリさんはずっとなんか食べてた
ノブさんはずっと電気ビリビリしてた
マッキー、マッキーさんは、監督のプリンを勝手に食べてブチギレられてた
大さんと石川部長はAKBのDVDをずっと見てた
大さん硬派だと思ってたからショック
彼女にチクろうと思う
梨田さんは…アソコが…くそデカいらしい
男風呂がパニックになったみたい
ウケる
ちょっと見てみたいかも
竜斗は、女子ファンとデレデレ握手しまくってた
殺してやろうかと思った
私の脳内で、竜斗は百回死んでる
本当、本当に楽しかった
東東京大会から考えると、夏休みをほとんど一緒に過ごしたことになる、本当にこの仲間最高
生涯、絶対に忘れない思い出
あ、初日にくそチームとか思ったな私、反省
でも、これで終わり
この後は、みんな別々の道を歩くことになる
それをみんなわかってるような感じの宿舎生活だった
今を噛み締めてる感じ
みんな!大人になったら集まって昔話しようね
新大阪駅までは、混乱を避けるためにバス移動になった。
そりゃそう
でも、着いてみると思いのほかスンってなってる
帰りの新幹線、もちろん竜斗の隣り
今更、横に座ってたって、一般の人はなんも言わないだろ
ベンチで横に座ってたんだから
ふぁ、ねみ
最後の夜だったのでほぼ徹夜
で、のぞみちゃんが発車したと同時に寝た
新幹線は寝るところと認識してる
帰りは新横浜で下車
混乱を避けるために、バスで学校に向かう
混乱を避けまくり、バス、神
学校に向かうと思ったんだが、京王線の駅に一旦向かうとのこと
なんでやねん
地元のお出迎えに答えるとのこと
ほほう、最寄り駅選手権に京王線は小田急線に勝ったってことね
駅に着く
もう、お祭り騒ぎ!
大フィーバー
体育館でのパブリックビューイングは満員御礼だったらしい
この駅の近くにある区民センターのパブリックビューイングも満員御礼
テレビのニュースで見たが、大盛況で竜斗のサヨナラホームランの時は、感動して見に来てる人みんな泣いてた
ありがたい
東京と言っても、都心から少し離れたベッドタウン
昔からここに住んでる人も多い
満員になることもうなずける
皆様ありがとうございます
でも、あれ、これ、私達この辺でイチャイチャできないじゃん!
しゃあない、はるきホテルに引きこもるしかない
うん
学校に移動
体育館で校長先生のお出迎え
吹奏楽部やチア部も来ている
それから応援団を務めてくれたサッカー部も来ている
サッカー部の皆さん、体育祭の時は暴言吐いてサーセン
校長先生のくそなげー話が終わるとみんなで祝勝会になった
マリさんもチア部に紛れ込んで来ている
ウケる
そして、みんな解散
明日トラックが荷物を運んでくるので、明日また集まる
今日はどうするのかな、竜斗うち来るのかな
「竜斗、今日うち来るの?」
「いや、ちょっとやめておこう、迷惑かけちゃうかもだから、学校始めるまでの一週間位は、会わない方がいいかもね、とりあえず、ほとぼり冷めるの待とう」
「えーーー、うん、わかった」
しゃあない、時の人だ、今は我慢するのが嫁の務め
翌日、トラック様から荷物をバンバン下ろす
もちろんお土産とかもあるので、帰りの荷物の方が多い
バンバン下ろす
トラックの運転手さん女性だった!
なんか、キラキラしてるトラックだった!
トラックも女性運転手さんもカックイイ
んで、そのままグラウンドで、トニーと名取監督のお別れ会が開催
保護者も来てる
うちの母も来てる
このグラウンド最後の仕事かな?
みんなのお母さんとか見れて楽しい
コバさんのお母さんは派手だった、なぜ?
ゴー君のお母さん、リナさんのことを守ったお母さん、容姿もかっこいい、なんか仕事出来そうなお母さん
羽堂さんのお母さん、普通の人だった
ガブさんはお父さんが来てた、まともな人だった、ゴルフ上手そうだった
マッキーさんのお母さん、空気を読めないセリフ吐きまくってた、お前が原因かっ!
ノブさんのお母さん、シャンソン歌手のままだった
監督とトニーにみんなで色紙渡した
甲子園の宿舎で作ったやつ
最後の夜にみんなで、徹夜して作った
いや、サクッと作ってみんなでウノしてた
トニーには、みんな英文で書いた
トニー、泣いてる…かな?
どうせ、帰国するまでの間は、ラストスパートでメイド行きまくりだろ
九月一日
都内の遊園地付きプールに学校全体で招待された
午前中だけ、プール貸し切り
昨日、気合い入れて、リナさんと渋谷に水着買いに行った!
シーズンも終わりなので、どうかなと思ったがさすが渋谷、普通に売ってた
買ったのはもちろんビキニ、私は白の大人ぽいやーつ
リナさんは持ってたみたいで、買うつもりはなかったみたいだけど、結局黒のなかなかセクシーなやつ買ってた
帰りに二回くらいナンパされた
初めてでビックリした
もちろんお断りした
プールでやっと竜斗と再会
おーおーおー、照れてんじゃねーか、フフフ
悩殺されてんなぁ、おい
ん?マリさんのこと見てねーか?
マリさんセクシー、あ、胸が…はち切れそう
茶色の水着かわいい
「なんか、元カノのこと見てない?後悔してない?殺すよ?」
「え?見てないよ!」
「ふぅーん、おっぱい大きいね」
「そうだね」
「リナさんも大きいね、やばいね」
「そうだね」
「マリさん、ウォータースライダーでポロリしそうだね」
「ゴクリ」
「オラッ!」
バシッ!
「イッタ!マジでイッタ!」
「フンッ、そんなこと言ってると、トニーのとこ行かせねーよ!」
「何も言ってないじゃん!てか、生足やめて、いつもの痛さにヒリヒリ増すからやめて」
「じゃあ、何か褒めてみろ、私のこと褒めてみろ、ほら」
ポーズを決める私
「えっと、うん、今この中で一番かわいいよ!」
「エヘヘヘヘへ」
「おっぱい大きくなくてもかわいいよ!」
イラッ
「オラッ!」
「待って待って!なに?なに?」
「いつも一言多いんだよ!」
「おい、貧乳、プールまで来てなにキレてんだよ」
「DよりのCは貧乳じゃない!蹴るよ!リナさん!」
「いいよなぁ、暴れてもポロリしなそうだもん、うらやましい」
「こ、殺す」
「キャー!ちっぱい女がやってくる〜♪」
「その歌やめろー!」
「あ、杏子」
「なに!」
「今日、帰ったら大事な話をしたいんだ、いいかな?」
「はい?うん、わかった」
なんだろ、竜斗が凄い真剣な顔してた
もしかして…
寂しいから、学校辞めて付いて来てくれとかー?
なぁんて、楽しい妄想してた私はやはりドポンコツだった
日が暮れたあづまやで、二人だけで話をする
屋根が壊れてない方のあづまやで
「話って?」ワクワク
「杏子、そのあの…」
「なぁに?」
「うん、えっと別れてください」
「は?」
「いや、別れたくない」
「へ?」
「あ、別れてください」
「ちょっと!花びら占いみたいになってる!」
「いや、別れることになる」
「は?何言ってんの?会ってない間に女作った?」
焦る、そんなわけないのにそれに逃げる私
「ちゃんと話を聞いて」
「う、うん、ごごごめん、わかった」
マジだ、どうしよ、心臓がはち切れる
「俺、一人で頑張ることにした、アメリカで一人で頑張る!だから、杏子は、しっかり日本で自分の道を歩んでくれ!」
「ええ?どゆうこと?」
「別に嫌いになったわけじゃない、ただ、俺は一人で頑張らないといけないんだ」
「なんでよ」
「聞いただろ、メジャーに上がるのに五年はかかるって、もしかしたらもっとかかるかもしれない、そんな夢物語に杏子を付き合わすわけにはいかない」
「なんで?なんで?私支えるよ!」
「それじゃだめだ!俺が焦っちゃう、早くどうにかしなきゃって焦る、それじゃダメになる、生半可な気持ちじゃダメなんだ!もっと言うと、杏子が稼いでくれるからいいやってなるかもしれない、それが一番嫌だ!」
「私が邪魔ってこと?」
「そうとは言ってないが、そう思われても仕方がない」
「…じゃあ、竜斗がメジャーに上がるまで待つ、何年でも待つ!」
「だめ!いいか、杏子は今、十六だろ、五年、いや六年、その頃は二十二だ!一番大事な時に待つなんてだめだ」
「杏子はまだ高一だろ、人生決めつけるの早すぎるよ、それに杏子が待ってると思うと、やはり焦る、俺はじっくりやりたい」
「それに日本とアメリカの遠距離だよ、そう簡単に会える距離じゃない、俺は成功するか挫折するまで帰らない、帰れない、杏子が無理して会いに来てくれても、金銭面的に喜べない、パスモでピピって距離じゃない、この交際を続けるには無理があるよ」
「新幹線の運転手の夢を捨ててまでやるんだ、わかってくれ…」
「………」
なにも言えない
言いたい事はわかる、トニーも言ってた、じっくり真剣に向き合わないとダメなのはわかる
父とボストンで見てきた、メジャーは甘くない、どんなにすごいスキルの持ち主でも、挫折する人はゴマンといる
実際、遠距離すぎる、往復するだけでウン十万かかる
「じゃあ!親に頼んで、留学する!お兄ちゃんだって留学してるんだから、ね、二人でアメリカ人になろ」
「杏子、そんな動機で親のスネかじっちゃだめだ、それだと俺が星川家に会わす顔がない」
「それに、そんなこと言い始めたら、結局俺が焦る話に戻っちゃうよ」
「もう一回はっきり言う、俺の事は忘れて、日本でしっかり自分の人生歩んでくれ」
「忘れることなんてできるわけないじゃん!」
「俺だって忘れられない、杏子のことだけを考えたら行きたくない!でも、二人で足を引っ張り合って、将来を潰しあっちゃダメだ!」
「今しかできない、若い時しか挑戦できないことを、潰しあっちゃだめなんだよ…」
竜斗が目に涙を浮かべてる、真剣に悩んだ結果なんだな…
やばい、ショック、マジでショック
心臓がバクバク言ってる
でも、何も反論出来ない
「わかった、今日でお別れってこと?」
「………」
「聞いてる?」
「別れたくない」
「は?」
「近くに杏子いるのに、別れたくない」
もうあべこべじゃん
「すぐ別れなきゃって思ったよ、でもすぐ近くに杏子いるのに無理だよぉ、もし他に彼氏とかできてるの見たら、どうなっちゃうんだよ俺…」
「俺、どうしたらいいんだよ、頼む杏子から振ってくれ!」
「ねえ!そんなの無理に決まってんでしょ!私だって、近くにいるのに…こんな近くにいるのに…別れられるわけないじゃん!ずるいよ竜斗!ずるすぎるよ…」
涙がポロポロ溢れ出てくる
でもダメ、このままじゃ、ダメ!
しっかりしなきゃ!竜斗をしっかり送り出すまで、私はこの人の彼女でいる!
竜斗が日本にいる間は私がしっかり支える!そして送り出す!
きっと、それが一番後悔しない
近くにいる間に別れるのが辛いなら、とことん付き合って、送り出す
竜斗が、近くにいる間は別れたくないって言ってくれてる!竜斗ずるいけど私も乗っかる!
「春樹竜斗さん!日本にいる間はお付き合い続行してください!」
「え?」
「もう!何回も言わせないで!覚悟決めたの!近くにいる間は、愛しまくる!で、しっかり送り出すから!英会話叩き込むから!覚悟してね!」
「う、うん」
「あ、あとは向こうで勝手に頑張ってちょうだい!フンッ! んんんー!」
竜斗が濃厚なキスをしてきた、私を抱きしめてる手が震えてる、初めての告白の時と一緒だ、私は竜斗の背中をポンポンしてそれに答え、更にキスを深めた
学校内での初の濃厚キス、誰か見てるかも知れない、でも、そんなのどんとこい
私たちは期限のある交際をこれからスタートさせるんだ!いちいち恥ずかしがってる暇はない!
はぁ、でも….
楽しかった甲子園
感動した甲子園
竜斗が大活躍した甲子園
そのすぐ後にこれかぁ
キツイ
もし、あの時、左打席の可能性に気付かなかったら、こんなことにならなかったのかな
もし、通訳やらなかったら、普通にこの学校で知り合って、普通に日本でゴールイン出来てたのかな
神様、なかなか残酷やん、運命の出会いと運命の別れを用意するんなんて、やるじゃん!
チキショウ、チキショウ
ひどいよ、ひどい
だったら、最初から出会わせないでよ
こんなに好きにさせておいて、ひどいよ。
『大丈夫ハルを信じて』




