アイスとシャープペン
プー、プァー、ドン、ドンドンドン
♫ ♫ ♫ ♫
第一グラウンドから演奏が聞こえてくる。
吹奏楽部とチア部が合同練習してるからだ
甲子園での応援の練習に熱が入ってるのが、ここからでもわかる。
全国高等学校野球選手権大会
いわゆる夏の甲子園
高校生が一生懸命野球をプレーする
それをアシストするブラスバンドでの応援
このセットは日本の夏の風物詩
それを全国放送で流される。
そりゃ、吹奏楽部もチア部も、気合いが入る。
下手な演奏は出来ない吹奏楽部
ピシッと踊りを揃えたいチア部
今は野球部より練習してるかもしれない
うちの吹奏楽部はなかなか有名
コンクールでもそこそこいい成績を残してる。
チア部はよくわからないが、この辺りの都立でチア部があるのはうちだけ
チア部を目指してうちに来る子もいるくらいだから、そこそこ良いのかな?
そして、うちのチア部はかわいい子が揃ってる気がする。
まあ、あのチア部のかわいい格好に騙されてるだけかもしれないが
一回でいいから着てみたい
ボンボン持って踊ってみたい
ん?竜斗んちでじゃないよ、ちゃんとだよ
と、心の中で自分に確認してみた
さて、第二グラウンド
野球部のグラウンドでは、竜斗がシート打撃に登板してる。
最終調整と、試しに球数八十球を投げてみて様子を見る。
一気に竜斗の投手練習が濃くなってるのには理由がある。
ノブさんの腰がどうにも良くない
再発まではいかないが、若干痛みが出てきてるらしい
決勝での無理が効いてしまったのかな
そのため、竜斗にはそれなりのイニングを行ってもらうため、投手のスタミナチェック中
野球部取材完全規制
竜斗は公式戦で一度も投げてない
デビュー戦の練習試合の時だけ
なので、データがまるで無いことをいいことに、このまま秘密兵器として、甲子園に乗り込むことを決めた。
よって、一切練習風景の取材を断っている
あとはノブさんの怪我も隠すため
少しでも、情報を隠していく
全てトニーの案
外来の観客も一切禁止
いつもはザルの用務員さんも、最近は目を光らせている。
スカウトらしき人も来たとか来ないとか
でも、うちにスカウトは無駄かな
すぐプロ行きますって人は、うちにはいないから
竜斗は、たった一年足らずしかまともにプレー出来てない、プロなんて無理、例え甲子園で活躍しても、プロは考えられないって言っていた
でも、それは、トニーの誘いは例外
トニーに、今後も指導してもらいたいと、竜斗は思ってる
言葉には出してないが、きっとそう。
「よぉーし、終了だ!」
監督が号令をかけた
シート打撃が終わる
打てた打者皆無
三振だらけ、ほぼ三振
あの、ガブさんや大さんも
片付けを始める
みんなで丁寧にグラウンド整備
私も参加
名取監督も
みんな参加
明日は甲子園に移動
そう、これでこのグラウンドをみんなで使うのは最後
本当に本当に最後
負けて帰ってきても、優勝して帰ってきても
このグラウンドでみんなで汗を流すことはもうない。
桜水高校野球部、長年の歴史の最後に立ち会えたのは良かったと思います。
そして、みんなで道具を校門前まで運ぶ
ボールやバット、個人道具も運んで、待ってる四トントラックに積み込む
宿泊用のスーツケースなんかも、みんな持ってきていて積み込む、OBからの差し入れで届いたスポーツ飲料のケースもバンバン積み込む
あとは、甲子園の宿舎までトラックが運んでくれるので、明日は、ほぼ手ぶらで移動できる
トラック、神
甲子園に移動
チームの集合場所は東京駅
竜斗と、とりあえず小田急の駅に向かう
母のミニちゃんで!
「お母さん、どうせなら東京駅まで乗っけてってよ」
「嫌よ〜首都高迷うって言ってるでしょ!付く時にはもう終電なくなってるわよぉ」
それは困る
「ナビあるじゃん!お姉ちゃんに付けてもらったじゃん!」
「使い方わからないの!」
マジ宝の持ち腐れ
「それより杏子、スコアラーもテレビ映るでしょ〜本当気をつけてよね」
「ん?身だしなみ?」
「違うわよ!いつものアレよ!」
「アレ?なによ?」
「ホラ、チュキチュキとか大チュキとかチューしてぇ、とかのやつよ」
お前いくつだ、説明する時は大人言葉に変換しろ
って、え?あ、そうか
「あー、前に家でなんかそんなこと言ったよね」
「違うわよ!この前体育祭で言ったんでしょ!みんなの前で!」
「へ?ん?」
「あ!竜斗言ったの!」
キッと睨む
「はぁー?なんであんな人生の汚点を自分で言いふらすんだよ!」
「人生の汚点?人生の汚点?上等やん、表出ろ」
「杏子!どこでそんな言葉覚えたの!それに春樹君からは聞いてないわよ!」
「え、じゃあ誰から聞いたの?」
「決勝の時よ!春樹君が最後ホームラン打ったでしょ、その時みんな騒いでたわよ、チューパワー!チューパワー!って、なんか嫌な予感したから、みんなの会話を聞いてたの!したらビックリしたわよぉ」
「チューパワー!ウケるね」竜斗
「ウケません」私
「本当頼むわよ、テレビの全国放送でやられたら、私、お外出れなくなるじゃない、そんなの見て喜ぶの祥子くらいよ」
「確かに」私、竜斗
あと、リナさんも
「はい、じゃあ気をつけてね、私も見に行くからね、春樹君!ファイト!」
「ありがとうございます」
「お母さん!アルプスリポートあるかもしれないから厚化粧してきなよ!」
「うるさい!」
駅に到着
「桜水高校祝甲子園出場」
お手製のポスターみたいのが貼られ、セールっぽいのをやってる。
「この駅が最寄り駅!」と、書いてあるやつもある。
そう、この駅と隣りのドリさんや羽堂さんの家の近くの駅
それから私達の縄張りの京王線の駅で、どこが桜水高校の最寄り駅なのか論争勃発!商店街同士喧嘩になったとかならないとか
どうでもいいわ、みんなでセールしろ!
なのに、そのヒーローになった張本人が今ここにいるのに、誰も見向きもしない
まぁ、そんなもんかな
予選大会で活躍したところでって感じ
ピッチャーでもなかったし
でも、甲子園でピッチャーやって無双したらどうなるのかな…
電車に乗る
さすがにみんな竜斗をチラチラ見てくる
夏服の制服でガッチリ筋肉がくっきり、んで背も高い、そんな高校球児に目がいってるだけな感じ
竜斗は今は186センチ、まだ伸びてる
結局チームトップの梨田さんを抜き、竜斗が一番背が高くなっちゃった
マジで2メートル行くんじゃね?
てか、私はなんも見向きもされない
ピチピチJKだよ!
スカート頑張って短くしてるよ!
まぁ、いいや、竜斗が見てくれればそれでいいや
「新幹線楽しみ!今日何号乗るんだっけ?」
「のぞみだよ」
「のぞみかぁ、なんかかわいい名前だね、のぞみちゃん!」
「女の子の名前のぞみちゃん!よくない?」
「シーー」
「あい」
春樹のぞみ…語呂がいいようなぁ、悪いようなぁ
東京駅到着
みんなと合流
新幹線ホームに行くと、記者達が待ち構えてて、「撮ってもよろしいですかー」って言いながら写真撮られた
もう撮ってるじゃん!
名取監督が名将のフリしてインタビューに答えてる。
のぞみちゃんの清掃待ち、黄色い背景でのぞみ新大阪って表示されてる。
「あ、この新幹線見たことある!メジャーなやつだ!なんだっけ!そうだ!京都へ行こう!だっけ?」
「そうそう」
うわ、めんどくさがってる
向かい側ホームにも新幹線が止まってる。
ん?こっちは赤い背景で、ひかり広島って表示されてる。
ひかりかぁ、ひかりもひかりちゃんだなぁ、女の子
春樹ひかり、うーん語呂がイマイチのような
広島…ヒロシマだ
アメリカ時代は、私はヒロシマでの原爆投下を習った、もちろんアメリカ寄りで、でも日本人学校の補習で、日本の歴史も習った、ヒロシマではなく広島の歴史も習ってる。
とにかく、罪のない多くの一般人を、一瞬で消してしまう爆弾投下は許せない、もちろん落としたアメリカ軍が一番悪いが、日本軍もなんでそこまで戦争を引っ張ったのか
特攻隊なんておかしすぎる
竜斗と同じくらいの年齢の子達が、うる覚えの操縦で、敵艦に体当たりをすべく飛び立つ、もし竜斗が特攻隊員になったと思うと、胸を締め付けられる思いがする。
「珍しく真面目な顔してんじゃーん、新幹線に緊張してるのか?」
リナさんが話しかけてきた
え!
「わっ!リナさん髪の毛染めたの?いや染めたね!」
ド金髪だった髪色が、少し落ち着いたブラウンになってる、しかも長さも少し切ったのか、なんか清楚ぽっくも見える
か、かわいい、黙ってればだけど
「あは、ほら、アルプスリポート対応だよん」
「へ?」
「トニオにカメラくんべ!アルプスに妙な外人いんだもん、で、私が繋げるしかないじゃん?私映るじゃん?パツキンやべーべ?」
「なるほどっ!ありえる!」
うん、ありそう、で、外面よしで対応するんだろぉ…
「詐欺だ、詐欺、詐欺はいけません!」
「なにがだよ!てめえもその顔が詐欺だろうが!このブルマ野郎!」
「全国放送で言うぞ、今ベンチで書いてる記録員は、ピンクのブルマを頭からかぶる変態野郎です!って言う!」
「頭からなんかかぶらない!ちゃんと下から履きます!」
「サンキュー」
「あっ」
そう、ベンチ入りしないリナさんも、宿舎に一緒に泊まる。
甲子園のベンチ入りは、二人減って十八人になる
余った二人も一緒に宿舎入り
練習の手伝いや、相手チームの偵察等をやってもらう
トニーも、もちろん宿舎に泊まる
みんなで宿舎に泊まる
まぁまぁ楽しそう
そして、トニーは高そうなカメラ(おそらく秋葉原産新品)で、新幹線をパシャパシャ撮ってる
まぁまぁはしゃいでる
のぞみちゃんの車内に侵入
私はもちろん竜斗の隣り、窓側!
後ろには、ゴー君とリナさん
通路挟んで反対側の三人掛けシートには、ガブさんとドリさんとノブさん…
マジ三角関係、ウケる
絶対それ狙って座っただろ!
窓を覗くと、向かい側にまた種類の違う新幹線が止まってる
ん?
「わっ!何あれ!あの新幹線!色違いでチューしてるみたい!結婚新幹線!なんなのあれ!」
「あー、こまちとはやぶさだよ、あの赤いラインのがこまち、秋田行くやつ、それとグリーンメタリックみたいのが、はやぶさ青森行くやつ、チューじゃなくて連結だよ」
「へぇ〜、こまちとはやぶさかぁ、かわいいね本当にチューしてるみたい!あれ?ってことは、どっかで離婚するの?」
「そうだよ、盛岡で離れ離れになる」
「そうなんだぁ…」
離れ離れかぁ
なんかそのワード悲しい
「チューチューうるせーぞ、このチューチューハレンチ娘!」
後ろから文句を言ってくる、リナさん
「ハレンチじゃない!ん?ハレンチってなに!ハレンチってなに!」
「シーーー」
「あい」
のぞみちゃん発車
新横浜を出発すると、いよいよ本気を出すのぞみちゃん
速い!
お尻浮きそう
「次の停車駅は名古屋です」
アナウンスが入る
「へぇー、次はもう名古屋なんだぁ?」
「そうだよ、のぞみは静岡県フルシカトだからね」
「フルシカトされちゃうの?静岡県なんかした?」
「ははは、それより名古屋は何県?」
「うっ!」
やばい考えろ考えろ、確かうーんと、あ、アイチだったような、ん、違う?え、名古屋県?ひっかけ?いや、名古屋県なんてなかったような…」
「な、な、アイチ県!」
「正解」
あぶねーーー!また恥かくとこだった
チキショウ!倍返しだ!
「じゃあさ!サンフランシスコは何州でしょうか!」
「カリフォルニア」
くっそ!コイツなかなか知ってんじゃねーか
「コーヒーにお茶、お弁当はいかかでしょう〜か〜」
車内販売キタ
「すいません、じゃがりこください」
ドリさんが綺麗なお姉さんをナンパする
「ドリー、アイスも美味いぞおすすめ」
竜斗がおすすめする
「じゃあ、アイスもください」
デブまっしぐらドリさん
「竜斗!私もアイス食べたい!アイス!カモン!」
竜斗のおすすめと聞いて黙ってる嫁ではない
「えー本当に?食べるの?食べれる?」
「な、なによ!食べれるに決まってるじゃん!」
「すいません、こっちにもアイスと、あとそれください」
竜斗がなにかおまけも買ってる
「はいこれどーぞ」
「わっ、ペン!シャープペン!」
新幹線の絵柄が入ったペン
「ボールペンにもなる!」
「かわいいー!」
「それでスコアブック書いたら?」
「わお!いーねー!ありがとう!」
やったね!
で、アイス食う、別に普通サイズのアイス
フタ開ける
スプーンで食う
「かった!」
「かたー!」
ドリさんとリアクションかぶった
「ははは!」竜斗爆笑
「ねえ!めっちゃ硬いんですけど!スプーン折れるかと思ったわ!」
「はは、だから言ったじゃん!食えるのか?って」
「もう!そんなの詐欺じゃん、てか、これどうやって食べんの!」
「待つしかない」
「マジか」
「待ってたら杏子寝ちゃうね」
「寝ないもん!トンネル少ないから寝ない!」
「わかったよ、ほら、かしてみん」
すると、アイスを両手でギュッギュッと揉み出す
「スプーンかしてみん」
片手で揉みながら、スプーンでザクザク
すくってペロリ
ドキドキ
「うん、もう少し待てばすぐ食べれるよ、はい」
ドキドキ
「う、うん、ありがとう」
って、関節キッスじゃん!
なんだろ、普通に日頃からチューしてんのに、関節にキッスにドキドキする私
シチュエーションか?シチュエーションマジックか?
新たなエロの扉を開いたような気がする
って、あれ?後ろのリナさん静かだな
上からひょっこり覗いてみる
わっ
ゴー君と二人して寝てるよ
もう寝てる!はやっ
お、おまえらー!昨夜なにをした!
ん、あ、なんか二人、手を繋いでるとゆうか、絡めてる
そうだよなぁ、ゴー君の性格上、あまり私達の前でイチャイチャしないこの二人、でも最高のカップルなんだよね
微笑ましく思える、写真は撮っておく
パシャリ
長いトンネル入る
出た
ん?あ!
「富士山!富士山!今度右側に富士山!こっち側富士山!めっちゃ近い、めっちゃ富士山!」
「良かったね」
あ、竜斗は知ってて、この前の松本城の時も、今日も席を選んでくれてるんだ
首を竜斗にもたれかけ、甘えながらカチカチのアイスを食べる
アイス完食
で、寝た
ふわっ、寝ちった
あれ、今どこだ?
京都だ!
京都も行ってみたいなー
みんなは中学生の頃に修学旅行で来たことあるみたい
「お!起きたか、はしゃぎまくって寝るのパターンが確立してきてるね」
「うっさい」
「次、新大阪だよ、降りるよ」
「はーい」
新大阪到着
ホームに降りると、また違う色の新幹線が止まってる
さくら鹿児島中央って表示されてる
さくらかぁ…いいかも
春樹さくら、うーん語呂はちょっと微妙だけど
春に樹にさくらじゃん
なんか組み合わせいいよね
でも、春以外はオフシーズンみたいで、ちょっとかわいそうかな
甲子園の宿舎到着
ホテルと旅館をミックスしたような宿舎!
なかなかえーやん
私は、リナさんとツインベッドの部屋
他の部員達は、和室で四人とかで分けられたりなんなり
なんか、修学旅行みたい!
何泊出来るかな?
甲子園練習、組み合わせ抽選会、開会式の練習、開会式
等、けっこう忙しい、そんな旅行気分なんて忘れる
さて!まず大事なのが、組み合わせ抽選会
出来れば二回戦スタート、出来ればうちみたいに、なんかラッキーでここまで来ちゃいました!的な初出場校と当たりたい
ノブさん頼むぞ!
と、思ったんだがアクシデント発生
ノブさん、腰にビリビリデー
行けないこともないが、代役を立てることにした
順当に行けば、副キャプテン大さん
だが、ここで横から割り込んできた奴
ガブさん
「ダイ!お前は野球まだ続けるんだろ!俺はこれで野球は最後になる、クジ引かせてくれ!思い出作りたい!」
とまぁ、こんなこと言われたら、みんな何も言えない
ガブさんは、ここまで打線を牽引してきている
クジを引く権利はじゅうぶんある
組み合わせ抽選は、ガブさんに引いてもらうことになった!
なんか、フラグのような気がする
絶対にあかん気がする
組み合わせ抽選会当日!
ご飯を食べるところの畳の上でカルタを並べてるガブさん
それを、眠たそうに見て待ってるコバさん
付き合わされてる感満載
ホテルから借りたんだろうか…
そして、ドリさんが読み上げる
ガブさんが「はいっ!」と言ってカルタを取る
コバさんはピクっと反応しただけ
「なにしてるんですか?カルタ?」
「練習だよ練習!いいクジ引く練習」
「………」
えっと、悪ノリしてるよねこれ
ほっっっんと、張り倒してやろうかと思った
あ、マリさんごめんなさい
でもなんか、絶対良くない気がする
そして、クジは引かれた
うちの高校は
二日目第二試合三塁側
二日目かよ!一回戦スタートじゃん!
そして、相手が決まった
…………
最悪!ほんと最悪!
去年の夏優勝、今年の春準優勝
ここ地元関西の、超優勝候補筆頭!の学校
おいおいおいおいー
オワタ チーン
一番ダメなやつ引いた
うちを除くと残り四十八校もあるのに、一番ダメなやつ引いた
私が、バスで監督の横引いたなんてかわいいもん
ふざけてるからそうゆうことになる
宿舎に帰ってきてみんなお通夜ムード
テレビでは、奇跡の都立と関西の雄の対決!好カードなんて言ってやがる
宿舎のロビーで詰められるガブさん
「いやほら、どうせ勝ってけばいつか当たるんだから、なっ!」
「だからって初戦はないでしょ!ある程度甲子園に慣れてけばチャンスあったのに!」
私も憤慨する
「まぁ、ほら、こればっかりは運だから」
竜斗がフォローする
「竜斗のんきすぎる!あんた、その学校相手に投げるんだよ!プロ注目選手だらけだよ!」
「んー、まぁいいんじゃない?逆になんもデータないから良いかもよ」
「もう!のんき!」
でも、そうゆうところも好き
「それはそうかもしれん!ちょっとミーティングするぞキョーコ、ハルキとアリムラ連れて来てくれ、ナトリと打ち合わせする!」
トニーが何か思いついたらしい
「ガブさん正座」リナさん
「はい」
「朝から、ふざけ、てる、から、こー、ゆー、こと、に、なっちゃ、うん、じゃ、ない、です、か?」
リズムに合わせて、メガホンで叩く
おーどんどんやってくれ
マリさん、これはしょうがないよ
作戦が決まった
当たって砕けろ作戦(命名名取監督)
竜斗を先発させる!
竜斗の情報はまるで無い、相手はノブさん一択で合わせてくる
そこをつく!
そして、相手投手はプロ注目左腕!
ただ、立ち上がりに難あり情報がある!
なんとか先攻をもぎ取り、初回でなんとか点を奪う!
そして、そのリードを竜斗の豪速球で抑える!
って作戦
ただ、竜斗は投手デビュー戦、ぶっつけ本番、シート打撃では無双だが、おそらく超満員の甲子園ではどうだろうか?
しかも、相手はゴリゴリの優勝候補、もしかしたら竜斗のボールにアジャストしてくるかもしれない
「ま、ハルでだめだっら、ごめんなさいだ!ノブだって腰に負担がある、正直このレベルだと、残りの三人だと、もうごまかし出来ない、だから、当たって砕けろ!だ!」
と、名取監督
まあ、最初にトニーが考えた作戦なんだけどね
そこに乗っかって、監督が作戦名をつけた
でも、一理ある、この強敵に勝てるのはそれしかない
竜斗で行けるとこまで行って、その間にどんだけ点差を保って、継投するかが鍵になる
作戦が発表されて、平山さんと厚本さんのサード練習が熱気を帯びる
そう、あの初めて竜斗がサードを守った日、あの日この二人も、サードにコンバートされてきた
なんで?と思ったが、トニーはこの日が来るのを予想してた
ゴー君はセカンドで固定されてるので、サインプレーのやり直しは必要ない
この二人が純粋にサードを固めてくれればいいのだ
基本この二人はプラトーン起用、相手投手の右、左、を見てどっちを出すか決める
なので、二人セットでコンバート
竜斗が投げればサードの守備が空く
そこに二人を使っていく
ここまで読んでたトニー
さすがだ
借りてるグラウンドで、私のノックバットにも力が入る
この二人は予選に一度も出てない
実戦離れしてる、鬼コーチになってノックを打ちまくる
開会式も無事終わり
運命の初戦を迎える
バス何台も連ねて大応援団がやってきて、うちの野球部を応援してくれる
全国放送される試合
注目カードでおそらく凄い人数の人が見る
恥ずかしい試合は出来ない
もう、竜斗に祈るしかない。




