表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モンスター協奏曲  作者: 東京小町
PR
43/54

松本城

 

 ムクッ


 起きた


 目覚ましより早く起きた?


 辺りを見渡す


 あ、そか、昨日竜斗のベッドで寝ちゃったんだ

 このベッド、マジで寝れる、グッスリ


 そう、最近はちょくちょくこれをやってしまう

 寝る前に、二人でベッドにねっ転がり音楽など聞いてると、そのまま寝落ちするパターン


 母は何も言ってこない、ここまではオッケーなのかな


 てか、あれ?竜斗がいない


 携帯の時計を見る、あ、そろそろ起きる時間だ

 すごいな私、自力で起きれたよ



 今日は練習がお休みなのでお出かけする

 楽しみで起きちゃう感じかな


 さ、おめかしするからシャワー浴びるか


 部屋を出てリビングに行くと、母が朝食無料の支度をしている。


 母もなかなかの早起き、まぁどうせ後で昼寝するんだろう


 父は、広島遠征で不在


「おはよ〜」

「おはよ、早いわね」


「あれ〜竜斗は〜?」

「素振り終わらせて、今シャワー浴びてるわよ」


 はえ〜な、どんだけ早起き?おじいちゃんかよ


「わかった〜私もシャワー浴びてくる〜」


 頭がボーッとしながら風呂場へフラフラ向かう



 ジャーー

 中から、シャワーの音が聞こえる


 服を脱ぐ、下は秘技一気脱ぎ


 ガチャ


「お邪魔しま〜す」


「わ!何してんの!俺入ってるよ!」

 ん?何言ってんのこいつ、んなの見りゃわかるわ


 ん?


「………」


 あっ…ここ私んちだ……


「杏子!何してんの!」


「あっ…」



「もう脱いじゃったから入ってもいい?」

「だめに決まってるでしょ!」

「ですよねー」





 気を取り直してお出かけ出発!


 お出かけ二週連チャン!


 先週は、六人でランド行った

 めっちゃおもろかった!


 リナさんが得意のしきりでファストパスをフル活用

 春休みとあってなかなか混んでたが、だいたい乗れた!


 スペースマウンテンめっちゃ楽しかった!


 120分待ちもあったが、六人でワイワイしてるとあっちゅーま


 大勢で行った方が楽しいよ、も、うなずける


 途中、ガブさんがグーフィーにガブっちょして、スタッフさんに軽く注意されたのはご愛嬌


 本当楽しかった、今度はシー行きたい




 いつものチャリ二人乗りで駅に向かう。


 途中、はづきさんの親が経営する美容室を通過、まだ早くてやってない


 前に竜斗から聞いた、はづきさんは完璧幼馴染キャラ、心配はしてない。


 私にも、アメリカ時代に幼馴染の男の子いたしね

 オリー何してるかな、野球頑張ってるかな



 チャリを駐輪場に止めて駅へ


 竜斗は黒のイージーパンツに、白のフルオーバーパーカー


 うん、カックイイ、マジモデル…なんだが…


 頭が坊主なのよー、残念


 この前、春の大会出場のため断髪式をやった

 いい感じで伸びてたのに〜


 刈りたてなのでゴリゴリの坊主頭、まぁキャップをかぶってるけどね


 誰が決めたんだ?高校野球は坊主って!チキショウ、サッカー部を見習って欲しい


 坊主やめれば、野球人口増える気がする。




 駅に到着


「そういえばさ、駅の反対側ってどんなお店あるの?あんま行ったことない」


「え!」

「あ、結構色々あるよ」


「ふ〜ん、今度連れっててよ」


「え!」

「う、うんわかった」


 なんだ?なんか怪しい


「反対側に何かあるの?竜斗キョドってるよ」

 直球の質問する


「いや、ちちがうよ、カズヤが住んでるから、ほら」

 だからなんだよ、まぁいいや、旅の前にキレるのは良くない



 今日は念願のお城に連れってってくれる。


 てっきり、近場の江戸城か小田原城かと思ったら、松本城だって


 現存天守?らしい、一度も建て直しをしてないてっことか、シビレル


 てか、松本ってどこよ?




 大都会新宿到着!

 電車乗り換え


 ホームに降りると威圧感を放つ車両が止まってる!


 白と紫のツートン、顔は拝めてないが…カックイイ


「これ乗るの?」

「そうだよ」


「わお!テンション上がるね!」


 車内にはまだ入れないので、待つ


「九番線の電車は八時ちょうど発、スーパーあずさ五号松本行きです、まもなく乗車案内を開始します」


「ねぇねぇ、スーパーだってヤバくない?強いの?速いの?」

「そうだね」

 んだよ、ノリ悪いな


 ん?八時、あずさ…あれだ!


「あ!竜斗、これってさ!」

「え?」


「八時ちょうどの〜あずさ二号で〜私わ私わ、旅立ち〜ます〜♪のやつ?あれ…これ五号だしスーパーじゃん、あの歌うそ?」


「おいー、恥ずかしいから歌うのやめてよ、みんな見てんじゃん!」


「あ、サーセン、って、ちょっと歌うくらいいいじゃん!」


「普通ね、若い女の子は狩人歌わないから!だから目立ってんの!マジ頼むよぉ、センスがいつも昭和なんだよ杏子は…」


 小声でキレられ、ディスられる



 車内に入る、窓側に座らせてもらった。


 そして、また小声で説教が始まる。


「杏子、毎回、はしゃぎすぎ!鉄道は公共の乗り物だよ、周りの迷惑考えて!車内は特に気をつけてよ!寝てる人もいるんだからね!」


「へいへい」


「そもそも鉄道とはね…うんちくうんちく」


 おい、そのモデルみたいなやつが、鉄道うんちく語る方が目立ってんじゃねーか、横のお姉さん、軽く引いてるぞ


 

 

 超あずさ君は順調に走行、都会の街中を抜け、車窓がガラリと変わってきた


「わ!富士山、ね!富士山!けっこう近い!近くで見るの初めて!」

「シーー」

「あい」


 で、寝た





「杏子!起きろ!着くぞ!」

「あ、やば寝ちった」


「しょうがないよ、この351系は振り子式だからな!」


 なんのこっちゃ



 松本駅到着!


「まつもとぉ〜まつもとぉ〜まつもとぉ〜」

 ホームに出ると、女性の声のアナウンスが聞こえる


「今の放送聞いた?この放送はね、うんちくうんちく」


 あ〜ねみ、早起きだったからしゃあない


 お城までは徒歩

 学生らしくテクテク向かう



 わ!お城見えてきた!

 しかもなんか色が黒い!


 お城って白だけかと思ってた!カックイイ

 お堀もすごい!


「お城黒いんだね!」

 それを聞いて立ち止まる竜斗


「杏子、黒っぽい建物は天守、城はお堀も含めたこの城郭全体を表す言葉だからね、気をつけて」


 面倒くさっ、どっちでもいいだろ



 その天守とやらに侵入


 てか、やば!階段がめっちゃ角度ついてる、もうこれハシゴじゃん!


 昔の人はすごいな、機械無しでこんな立派なの作っちゃうんだもん、マジ尊敬



 お城スタンプゲット!


 松本城を堪能したあとは、また駅に戻る


「もう帰るの?」

「次は、長野駅向かうよ」


「わお!ナガノ!オリンピックやったとこだ!」

「そうだね」


「あれ?ナガノって何県?てか、ここ何県?」

「………」

 固まる竜斗


 前を歩くカップルは、少し振り返りクスクスしてる


 なに笑ってんだよ!


「杏子、よく卒業できたね…」

「はあ?」

「長野は長野県、ここも長野県です!」


「ふ〜ん」

「ふ〜んって…自分の発言、恥ずかしくないの?長野は何県?は、やばいよ」


「知らん、帰国子女舐めんな」

「でた!」

「なによ!」



 松本駅のホームに降りると、さっきの超あずさ君と違う、またかっこいい特急電車が滑り込んできた


 特急しなの長野と表示されてる


「これ乗るの?」

「あ、違うよ、こっち乗るよ」


 向かい側ホームに、普通の電車が止まってる

 普通長野と表示されてる


 普通?普通の電車だから普通?それとも何か普通じゃない電車もあるのか?


 竜斗に…やめた、うんちく始まりそう


 しなの君が発車する


「特急のが早く着くんじゃないの?」

「うん、そうなんだけど、特急だとスイッチバックしないんだよ」


 なんのこっちゃ



 途中、そのスイッチバックとやらを体験した


 なんてことはない、乗ってる電車が行ったり来たりするだけだ


 そんなことに、電車の運転席のすぐ後ろにガブリ付き、目をキラキラさせて大興奮してる


 ふふ、打っても投げても規格外のモデル男がこんなことに大興奮してる


 すごく可愛く思えてきた、私だけが見れる、かわいい一面…


 あーもう!ムラムラしてきた!

 てか、私、ムラムラしすぎのような気がする

 他の人はどうなんだろか、リナさんに聞いてみよ




 長野駅到着


 ホーム内にある立ち食いそばで、少し遅めのお昼


 実は、立ち食いそば二回目


 前に竜斗に、小田急の箱根そばってところに連れてってもらった、めっっっちゃ美味かった


 立ち食いそばのクオリティの高さにビックリした!


 てか、ここもめっちゃ美味しい!


 しかも、立ち食いそばなのに、テーブルあって座れた


 そば大好き!いやうどん派!ちゃんとすすれます!


 天ぷらうどんを堪能、竜斗に無理矢理卵を落とされた


 えー、と思ったがマジ美味かった


 天玉最強



 善光寺を拝観する!

 凄い!大興奮!


 家の近くのしょぼい…失礼、小さめの神社は前に竜斗に連れてってもらった、初詣込みで


 それとはまぁ、別格!


 凄い、しかも千年以上前からあるなんて!


 日本凄すぎる!


 御朱印もらって大満足


 あとね、ハスのお池が綺麗だった


 なんだっけさっきの、スイッチバック?

 悪いけど、ダンチで善光寺の方が感動した!



「じゃあ帰るよ」

「うん、めっちゃ楽しかった!帰りは特急しなの?」


 さっきのしなの君、前と後ろで顔が違って面白かった、是非乗りたいかも


「違うよ、帰りは新幹線だよ」


「新幹線!新幹線!新幹線!」

「ほら、はしゃぎすぎ!まぁ、どうせ寝るだろ」

「寝ないもん!新幹線寝ない!」




 新幹線ホームに到着


 あさま東京と表示されている


「わお!なにこれ、なんかアヒルみたいな顔してるね」

「これは、E2系、あと何年かしたら金沢まで開通して…うんちくうんちく」




 あさま君発車


 スィーーっと滑るように発車


 凄い!ジャパンクオリティ!


 どんどん加速していく、速い!さすが新幹線!


 が!トンネルだらけ


 車窓見えん


 で、寝た


 日本の電車は寝やすいように設計してると思われる。






 楽しかった春休みも終わり

 とうとう入学式を迎えた。


 卒業式よりも更に感情無になる入学式


 そりゃそう


 私は、既に半年はこの高校に出入りしてる


 くまなく探検も済んでる


 なんなら、色々やらかしてる


 そう、おかげでこの高校で色んな意味で有名になってしまってるらしい私


 おかげで、中学の制服でウロウロしててもなんも言われなくなってた。


 それが今更、入学式と言われましても…

 まぁ、でもやっと野球部のみんなと同じ制服を着れることに感動してる。



 クラス紹介された、とりあえずこのクラスには知った顔はいなかった。


 今年は桜水ラインが少ないと噂されてたが、本当ぽいな



 入学式が終わると、速攻バレー部の部室へ向かう


 マリさんと仲良くなってから、ご厚意で部室を間借りしている、野球道具を置かしてもらい、着替えもさせてもらってる。


 リナさんは、基本いつもジャージなので着替えはいらない


 でも、私はガッツリ野球スタイルなので、めっちゃ間借り助かってる


 あと、おかげでバレー部の人達と仲良くなれた!



 夏の大会に向けての練習が熱を帯びる


 ノブさん、佐藤キャプテンも投球練習とバッティング練習、それからファーストの守備練習を開始した。


 トニーは登板なくてもファーストで出場させると言っている、ノブさんも乗り気だ


 そして、とうとう竜斗も本格的な投球練習を始めた


 ただ、私との共同作業は継続しろとのこと

 投球練習前に、必ず私との軽めのピッチングを挟む


 何か意味あるのかな?まぁ嬉しいからやりますけども


 その投球練習、竜斗のスピードは変わってないのだが、明らかに球質が変わってきた

 重みが増してる


 ミットにボールが収まる度に、身体全体が押される感覚になる


 コントロールいいからまだ受けれるけど、これで荒れ球だったら恐怖でしかない





 世はゴールデンウィーク

 私達はそんなのおかまいなしで汗を流す

 なんなら私が一番汗流してないか?


 乙女の青春どうしてくれるのよ



 そんなゴールデンウィークも最終日

 いつもと変わらず練習をしている。


 私はノックバットぶん回して、内野ノック!

 

 ♫ ♫ ♫


 なんだ?携帯の着信音が鳴る


 リナさんが、ポッケをゴソゴソして電話を出す

 竜斗のアホフリー打撃の連絡を放送室にするために電話を忍ばせてるのは知ってる


 でも、着信が鳴るのは珍しい


 ! 


 なんか嫌な予感がする


 リナさんが電話を持ってグラウンド外に出ようとしながら、携帯の画面を見る


 足が止まる、思わずグラウンド内で電話を取る

 電話を耳に当て、数秒後


「おとっちゃん!ばあちゃんが!」

 名取監督に叫ぶ!


 いつものリナさんとは思えない叫び声を聞いたみんなが固まった


 ゴー君が血相を変えて、リナさんに近づいてくる

 それだけを見て私は悟った


 リナさんのお婆さんが危篤だ


「リナ!行くぞ!」

 名取監督も叫ぶ


 リナさんが帰り支度を始める


「リナさん!そんなのいいから早く行って!あとやっておくから!」


「う、うん、キョウちゃん!みんなに説明よろ!」


 完全に顔が青ざめてるリナさん


「わかった!早く!」


「ハル!ごめん俺のも頼む!」

「わ、わかった!」


 竜斗は事情を知らない、でもこの異様な光景になにかを悟ったみたい


 名取監督の自慢のアルファード(軽ワゴンサンバ) で、ゴー君を含む三人が緊急早退をして病院に向かった



 余命一年、もう少し時間があると思った


 でも、それは持って余命一年


 なんら不思議ではない


 神様!リナさんのお母さん!

 せめて逝く前にリナさんとお婆さんを対面させてお願い!間に合って!



 私は部員みんなに説明した


 名取監督もすっ飛んでったので、名取監督とリナさんの関係も説明した


 みんな、一度は絶句したけど、納得の表情も見せる


 まぁ、そりゃそう、私も一緒のリアクションだったわ




 二時間後、石川部長から訃報が知らされた


 なんとか、ギリギリ三人は間に合ったらしい

 それだけは良かった


 青山和子さん享年六十六歳


 今の時代なら若すぎる死


 リナさんはもしかしたら、将来歌手として活躍するかもしれないと私は密かに思ってる


 出来ればその活躍を見て欲しかった

 

 女手一つで育てた娘を事故で失い、残された孫をまた女手一つで育てた立派な人


 無念すぎる




 三日後に名取監督とゴー君は練習に復帰した


 葬儀の日程等も決まり、とりあえずは落ち着いた感じみたい


 でも、リナさんは戻ってきてない


 葬儀は、リナさんとゴー君家族、名取監督、あとリナさんの亡くなったお父さん方の祖父母が参加する家族葬


 私達野球部員は参列しない、できない


 せめてもと思い、部員みんなで少しづつお金を集めて香典にするとゆう案が出たけど、ゴー君と名取監督に止められた


 なので、私達はなにも出来ず、ただひたすらリナさんの帰りを待つしかない




 葬儀も無事終わり、ゴー君と名取監督は普通に練習に参加してる


 葬儀が終わったので、リナさんにメールを送った


 お悔やみと、あとはいつ帰ってくるの?と送った

 返信はあった


 今はまだ忙しいからわからない、決まったら連絡するね、と返ってきた


 なので、もう本当に待つしかない





 葬儀が終わり一週間が経った


 リナさんは、戻ってきてない


 一見は、練習は普通に行われてる

 だけど、なにかしっくりこない、チームがいつもの雰囲気と違う


 このチーム、やはり影のキャプテンはリナさんだったのだと痛感する


 我慢ならないので、ゴー君に聞いてみた


 予想もしてなかったことがわかった


 リナさんもう戻ってこないかもしれない


 今住んでるアパートは解約することになる

 名義を変えてリナさん一人で住むことは出来ない


 まぁ、これはいい、既にゴー君ちに居候してるんだから


 問題は住所問題


 このままだと、アパート解約したら住所不定

 名取監督の家に移り住むのは無理、住所だけも無理

 まぁ隠し孫だ、仕方ない


 ゴー君ちに住所を移すことは可能だ


 学校側は、東京都に住所があれば問題はない

 でもそれを、倫理的に学校側が難色を示している


 まぁ、そりゃそうか…


 それで、出てきたのが、亡くなったお父さん方の祖父母に引き取られる案


 その祖父母さんは、ウェルカム状態


 ただ、東京都ではない


 山口県徳山市


 遠すぎる


 アホだから、日本地図を引っ張り出して調べた


 遠すぎる


 この案が現実的らしい


 だとすると、もう会えなくなるかも

 メールは出来るけど、年一で会えるか?


 いや、遠すぎて大人になるまで金銭面的に会えないかもしれない


 嫌だ、親友のリナさんと離れ離れなんて


 もう少し近いなら、野球部に戻ってこれなくても我慢できる





 更に一週間程度が過ぎた


 なんとかみんな平穏を保ち練習に励む


 そう、夏の大会は、リナさんの帰りを待ってくれない


 今日は土曜日で一日グラウンド練習


 たげど、朝からゴー君と名取監督が来てない


 なんなら、二人は昨日の金曜日も欠席してる



 私が内野ノックを打ってる時だった


 グラウンドに向かって歩いてくる三人の人影


 !


 リナさんだ!ゴー君と名取監督と一緒に向かって来てる


 ノックバットをぶん投げる!


 リナさんの元へ走る!


 走る!


 スパイクのまま走る!



「り、リナさん!お別れの挨拶に来たの?わ、私、お金貯めて絶対に会いに行くから!絶対に行くから!えっと?なんだっけ?徳永市?行くから!ヴエーーン」

 リナさんに抱きついて号泣した


「おい、落ちつけ、どうしていつも暴走すんのよバカちんが!どこだよ徳永市って、ラジオ壊われちゃう市か?」


「へ?」


「わたくし、青山里奈!高校二年生!恥ずかしながらも!この桜水高校のグラウンドに戻ってきてしまいました!ビシッ」

 敬礼してるリナさん


「え、どゆこと?どっか行っちゃうんじゃないの?」

「お前、どっか行ってほしいんか?」


「ちちちがう!ちゃんと説明して!」

「だから!説明する前に勝手に暴走してんだろうが!」

「サーセン」


「今日から野球部復帰するよ、学校は月曜日から、またよろね、キョウちゃん」


「ほ、本当に?本当に本当に?」

「うん、本当に本当に本当に本当にライオン」


「やったー!やったー!良かった!待ってたんだよぉ、お帰りリナザーン!ヴエーン」


「嘘こけ、徳永市にぶち込もうとしてたじゃねーか」


「うるさい!ヴエーン」


「ほら、みんなにも説明するから、行くよ」


 みんなも集まってくる、トニーも

 トニーも心配してた



 ベンチでリナさんから説明が入る


 リナさんは、ゴー君ちに下宿とゆう形を取ることになった


 難色を示してた学校側と、ゴー君家族と名取監督の協議が続いた


 ゴー君のお母さんが、なぜ下宿でダメなのか迫る


 名取監督は、学校側の人間の立場もあるが、ゴー君の家族側の援護についた


 名取監督は、孫の希望をとにかく叶えてやりたい一心で、学校側の立場を捨てた

 どうせ俺は夏で辞めるんだからよ、とか言ってたが、その顔は孫のためにやりきった感を出している。


 で、ゴー君の家族が、倫理的にダメなら二人を結婚させると言って学校側を責める

 結婚しちゃダメなんて校則はない、そこを突いた


 男女恋愛の同棲を連想させるからダメだと言うなら、結婚はどうなんだ!結婚してるなら問題ないだろ!と、粘る


 ゴー君も五月で十八歳になってる

 リナさんは十六歳

 法律的に問題はない


 てか、凄いなゴー君家族、しかもお父さんも参戦してたらしい、素晴らしい


 日頃、リナさんがしっかりしてたからこそだ


 とうとう、学校側が折れた


 結婚はしなくていい、下宿を認めると言ってきた


 入学してからは、基本、都に住所がある限り退学には出来ないだろ!と、最後名取監督が詰め寄って、決着ついた


 名取監督がカッコよく見えたの初めてかもしれない


 これで、影のキャプテンが復帰した!

 チームがこれで更に活気が出る!



「よかったリナさん!でも悲しかったね」

 久しぶりにリナさんとベンチで談笑


「いやさ、それがよ、葬儀屋がやってくれちゃって大変でさ、悲しむ暇なかったんよ」


「え?」


「葬儀の二日前にさっ、ゴーくんちに夜遅くに、いきなりアポなしで葬儀屋きたんよ」


「遅くにピンポン押されて、誰やねんと思ったら葬儀屋でさっ、当然、私に用だから私が玄関開けたの、したらきれーな土下座してんの、マジウケたわ、んで、火葬場が!火葬場が!なんて言ってんのよ」


「え?間違えて先に焼いちゃったの?」

「おい、しれっとひでーこと言ってんね」

「サーセン」


「聞いたらさっ、火葬場予約の最後の完了ボタン押しミスしちゃったらしくてさ、火葬場予約されてなかった!なんて言い出しやがってよ!」


「えーー」


「どうすんのよ、山口から祖父母来るし、どうすんの?ってなるやん」


「うんうん」


「五反田の火葬場だったんだけど、そこはもう予約完売で、あとは横浜の火葬場しか空いてないとか言いやがってよー、はぁー?遠いじゃん、何やってくれてんのよ!じゃん?祖父母は羽田から来るから面倒いし」


「確かに」


「したらさっ、横浜の火葬場からの祖父母の羽田送りは葬儀屋がやる、しかも、葬儀料金めっっっっちゃ割引するって言ってきてさ、最初三十万だったんよ、でもよ、十二万になった」


「マジでー!やば、逆にラッキーやん」


「しかも、最低ランクの葬儀だったのに、少しゴージャスにしてくれた!マジでラッキーと思った反面、それだけやってはいけないことを葬儀屋はやってしまったってことだな」


「うん、死を扱う仕事だもんね」


「まあさ、葬儀屋の人達はみんな良い人だったからさ、それで手を打った、まぁ実際ラッキー、お金あんまり使えないから、アパートの処理とかでけっこうお金かかっちゃったからね」


「なるほどぉ」


「これさ、婆ちゃんかお母さんがやってんなぁ、と思えてきたよ、私に負担かけないようにって」


「うんうん、きっとそうだよ、きっとそう、グスン」


「うん、それはそれでオッケーなんだけどもさ、またやらかしてよ」


 まだあんのかい


「葬儀屋、遺影の写真の背景間違えやがってよー!頼んでたやつと全然違うの出来あがってきてさ、どうですか?なんてドヤってんの、もう逆になんも言えなくなって、そのままオーケーにしたわ」


「やばっ!葬儀屋さんコンプリートですね」


「で、当日さ、葬儀会場はそのまま五反田の近くだから、そこから葬儀屋のちっこいバスで横浜向かったんよ」


「うん」


「てっきりさ、横浜って言うからあの横浜を想像するじゃん」


「うん、って行ったことないけど、あぶない刑事で知ってる」


「え?ま、マジか、それも見てんのかよ、いやいいや、キョウちゃんが昭和テイストなのはもう驚かない」


「なによ、舘ひろしかっこいいじゃん」


「その横浜じゃなくてさ、全然外れの横浜インターの近く、でも高速から降りてすぐだったから逆に楽だったけどね、でよ」


「うん」


「そのインターの周り、キョウちゃんの好きなラブホだらけ!まぁ、凄かった、なんか船の形したホテルとかあってさ、思わず色んなホテルの写真撮ったわ、見る?」


 コクコクコク

 思わず頷き連発、別に好きではないよ、興味あるだけ


 てか、葬儀の時に、家族もいるのに、ラブホの写真撮るなよ


「ホレ」


「わー、なんか綺麗!ん?休憩ってなに?」

 垂れ幕に書いてある、休憩二時間が気になる


「そりゃ、アレよ、休憩にならない休憩よ」


 なんのこっちゃ


「あ、これいいね、コスプレ選びたい放題、どんなコスプレあるんだろうね」


「え、キョウちゃんコスプレ好きなの?」


「え!いやいやいや、どんなのがあるのかなぁって、ほらドンキとかでしか見たことないからっ、うん」


「ん、ドンキ?ふぅーん、やってんなお前ら、コスプレしちゃってんな、お前ら」


 ギクッ


「うわ、マジかよ、ズボってんじゃん」

「ズボってない!ズボってないもん!」


「おい、教えろ、どんなコスプレだ?教えろ!」

「やだ、絶対やだ」


「ってことは、本気でコスプレしてんじゃん!教えろ」


 くっそ、このままだといつものポンコツが出そうだ、でもこれだけは、これだけはバレたくない、亀になる!


「………」


「あ、黙秘権発動か?よし、いい根性してんじゃん」


「ミニスカポリス」

「………」


「女教師」

「………」


「バニーガール」

「………」


「ナース」

「!……」


「うわ、ナースかよ!マジかよーキモッ、キョウちゃんナースになったら、採血で人殺しまくりじゃん!キャハハハ」


「うぐぐぐ」


 まぁいい、こんくらいは想定内


 ナースくらい、みんなやってんだろ


「てかさ、高校生がそんなコスプレ買うなよー、私だって買ったことないぞ、まあ、キョウちゃんは老けてるからいいけど」


 下手に反論しない方がいい、うん


「さ、練習練習、練習しましょうねー」

「ん?なんかまだ隠してんな」

 ギクッ


「おいおいマジかよ、まだあんのかよ、教えろ、どうせバレんだから教えろ」

「無理!」


「チャイナ」

「さ、練習行きますねー」


「うーん、水着!スク水!」

「なんすか、それ、じゃっ」


「体操着、えっとあれだブルマ!」

「!……」


「ま、マジー?マジかよ、どんだけ変態なんだよ、てかどっちの趣味よ、ハルちゃんだったら、もうハルちゃんの顔見れない、顔がブルマに見えてくる」


「ちちちちがう!エロいのとかが目的じゃなくて、純粋に可愛いなぁ、ピンクで可愛いなぁってそれだけです!ほら私、帰国子女だから、ブルマ新鮮だったから、ね、うん、それにほら、一応スポーツの分類に入るじゃん」


「ピンク?ピンクブルマ?やばっ!てか、スポーツになんねーよ、お前ら違うスポーツだろそれ、ウケる」


「うぐぐぐ」


「マジかー、ピンクブルマかー、これはやばいぞー、やばいこと聞いたわ」


「リナさん!内緒ね、みんなには内緒ね、お願い」

「着た?」

 ギクッ


「うわ、着たんかい」

「き、着てないもん!」


「あ、お前ら」

「なに!もう終わり!終わり!」


「制服そのままとかもヤッてんべ?」

「!…………」


「うわっ、まぁ、安心せい、制服はうちらもヤんよ」

「だ、だよね!良かったぁ、燃えるもんね、燃えちゃうもんね」

「うっそーん」

「は?」

「ばーか、勝手に燃えてろよ、変態」

「くっそ」


「もう!いっっつもそう!結局また私のネタで着地してんじゃん!」


「いっっつも、自爆するからだろ」

「うぐぐぐぐ」




 まぁ、とにかく、リナさんが戻ってきて良かった!うん!


 えっと…良かったのかこれ

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ