表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モンスター協奏曲  作者: 東京小町
PR
35/48

竹下通りと東京タワーの夜景

 

 ん、なんだ?


 胸のあたりがモゾモゾする。


 ってあれ、いつのまにかソファーで寝ちゃった

 桃鉄終わったら、寝落ちしたんだ


 モゾモゾ


 ん?まただ、なんだ?

 眠気まなこで顎を引いて胸の辺りを見てみる。


 !


 え!竜斗?え?なんか私達、抱き合って寝てるじゃん!


 竜斗の頭とゆうか、顔が私の胸に収まってる!

 しかも、甘えるかのように顔を左右にたまに振ってスリスリふんふんしてる。


 でも、完全に寝てる。


 いつのまにか、ソファーの背もたれが倒され、ソファーベッドに変わっていて、しかも私達に毛布が掛かってる。


 えっと、母か姉が毛布をかけてくれたのかな

 ってことは、抱き合って寝てるの見逃してくれたのか


 優しさ?いや、子供扱い?


 まぁいいや、今更なんも恥ずかしくない。


 リビングは真っ暗、母と姉はもちろん見当たらない、部屋で寝てるのかな


 見逃してくれてありがとう、おかげで幸せ



 モゾモゾふんふん


 まただ


 竜斗は子供が母親の胸の中で甘えるようにしてくる

 ちょっとくすぐったいけど、このままにしてあげよう


 にしても、かわいい寝顔


 今頃、どんな夢見てふんふんしてるのだろうか


 あ!例の大人のおっぱいでかい女の夢じゃないだろうな…


 一瞬、ほっぺでも引っ張たいてやろうかと思ったけどやめとく


 今は大人にならないとね


 優しく髪を撫でてあげて、おでこにチュッてしてあげた


 やっとこさ、悩みから解放されてリラックスしてるのかな


 今までごめんね


 ふわぁ、ねみぃ

 ZZZ


 そのモゾモゾが心地よくなってきて二度寝に入る




  カタカタカタカタ


 テーブル椅子を引く音で目が覚めた。


 ふわぁ、よく寝た

 ん?あれ、竜斗がいない


 てか、今何時だ、時計を見る

 わお!もう10時じゃん!


 ムクっと慌てて起きる


「やっと起きたわね」


 母の声が食卓テーブルから聞こえたので、母の方へ向くと椅子に座りクロスワードをやっている。

 また、懸賞狙ってるな、そう母は本当に懸賞に応募している、メーカー直ではないが…


「あれ、竜斗は?」

「外で素振りしてるわよ」


「え?雪は?」

「降ってるけど、みぞれね、積もらなそうよ、ガレージの屋根下で振るって」


「バットとかどうしたのかなぁ?」

「聞かれたから、物置きに連れてって見せたら、バット何本か掴んでたわ」


「なるほど」


 物置きには、兄や私のバットや父が選手からもらったバットが入ってるから、そこから選んだんだな

 あれ、あ!物置きにはやべーのが丁寧にしまってある。


「あ!お母さん、あの段ボ…」

 やべ、私は立場的に知らないフリしないと


「安心しなさい、あんな物、速攻で燃えるゴミよ」


 コワ


「お姉ちゃんは?」

「仕事、事務所に行くって」

「そっか」


 大人って、大変だな、日曜日なのに雪なのに仕事なんて…私は専業主婦になって、ミサンガ作りまくる!


「竜斗のこと見てくるー」

「はいはい、あ!外走っちゃだめよ、凍ってるかもしれないから」


「わかってるって」


 母は私のことを、いつでも走ってるおてんば娘だと思ってる。


 まぁほぼ合ってるけどね!



 玄関を開けると、みぞれ混じりの雪か降っている。


 ブンッ!パチン、ブンッ!パチン


 ガレージの方から、音が聞こえてきた。

 ガレージといっても、駐車場を囲うようにサッシ屋根がついてる簡易的なやつ


 さぶっ



 一回部屋に戻ってジャンパーを着て、また出る



 あれ、音がしない


 すると、この寒い中、ハァハァと息を切らして少し休憩してる竜斗がいる、体から湯気が出てる、気がする。


「おはよう」

「杏子、もうおはようじゃないよ」

「う、うん」


 なんか、抱き合って寝てたの思い出して少し照れる。


「いつのまにか寝ちゃったね、どっちが先に寝たのかな」


「え?杏子だよ、俺の寝る場所で寝ちゃったからどうしよかと思ったら、祥子さんが横で寝てやれって」


「えー、そうなの?」


「うん、あまりにもかわいい寝顔してるから、顔じゅうチューしちゃった!」

 と言われ、慌てて、両手で自分の顔を触りまくる


「嘘だよ!なにもしてないよ、そのまま横で大人しく寝させてもらいました」


「もう!」


 大人しくしてないぞ!私の胸でふんふんしてたぞ!


「でも、こんな雪の日に素振りするなんて、凄いね」

「まあね、昨日やってないから、落ち着かなくて」


 フフフ、セリフが一丁前になってきたわ


「あ、色々道具借りちゃった」

「うん、好きなだけどーぞ」


 辺りを見渡すと、バットとマスコットバット、それからティースタンドが置いてある。


 バットとマスコットは兄の高校時代のやつ


 ティースタンドは、私がアメリカの家で使ってたやつ、庭が広かったので、ネットを張ってもらい毎日のようにバチコン打ってた。


 さすがにこの家では、実際にボールを置いて打てないから、竜斗はティースタンドのボールを置く部分のゴムを打って練習してたはず、さっきのパチンって音はゴムを叩いてた音だ。


「マスコットで振ってみようかな、ちゃんと振れてるか見てくれる?」


「いーよー」


 ガレージの車止めに座り、竜斗のスイングをチェックする。


 ブンッ、ブンッ


 竜斗のスイングは全て頭に入ってる


 避けてた時も、やることはやってたのでちゃんとわかる。


「マスコットだと、やっぱり重い?」

「そりゃ重いけど平気」ブンッ


「平気じゃないね、重いせいかグリップの位置下がってるし、トップの位置バラバラだよ」


「え?マジか!よし、意識して振ってみる」


「うん、そのままだとゴム打ち出来ないよ、ティースタンド倒しちゃう」


 そう、ゴムの遊びの部分をしっかり打たないとこのティースタンドは倒れてしまう


「オーケー」


 こうやって普通に野球の会話するの久しぶり、前は全て事務的だった。


 それを実感し、心の中でまた懺悔する。



 竜斗のマスコットでの素振りが続く

 段々スイングが戻ってきた。



 また少し休憩を挟みゴム打ちを始めた。


 ブンッ!パチン、ブンッ!パチッ!


 綺麗なスイング、寸分狂いなくゴムの部分を確実に捉える。

 しかも、マスコットの重さに竜斗のパワーが乗りティースタンドが震え出す。


 単純な練習でも、いちいち凄いと思ってしまう


 この、モンスターの進化はいつ止まるんだろう


 ふと、昨日の竜斗のモデル立ちと、姉のセリフを思いだす


 これ、どれも凄すぎて、竜斗は何になるのが正解なのかわからなくなる、いや、どれやっても有名人になりそうな気がする。


 私も、自分磨こう、捨てられないように頑張る!



 私んちガレージ練習も終わり、家の中に戻る。


 この頃には、みぞれも止んできた、なんなら遠くの空は晴れ間が少し見えてきた。


 雪、全然降んねーじゃん、予報外れ


 少し残念、私の中ではドカドカ雪降ってもらって、積もりに積もりまくって竜斗をもう一泊させたかった、下着を2セット買わしたのは、そんな思いもある。


 でも、お仕事してる人のこと考えると、雪は降らない方がいい、仕事に向かった姉の事を思うと余計にそう思う。


「竜斗ーシャワー浴びてくる?」

「うん、お借りしようかな」


「じゃあ一緒に入ろ ウフ」

「え!ええ?」


「うっそーん、さっきのお返しー」

「なんだよー」


「え?本気にしたの?」

「すすすするわけないじゃん、涼子さんいるのに」


 いなかったらどうなんだ



「お母さーん、竜斗シャワー浴びるって」


「はいはい、じゃあ杏子は一緒にお昼ご飯の準備するわよ」


「えー」


「あら、花嫁修行しないのかしら?」


「花嫁修行?やる、やらせていただきます」

 単純な私



 私でも作れる野菜炒めを作ることにする





 お昼も食べ終わり、午後はお出かけすることにした


 野菜炒めはなかなかの出来栄え

 竜斗も美味しい美味しい言って食べてくれた。


 お世辞かな


 まぁ、お母さんには負けるが普通に美味しく出来たと思う。



 私は、お出かけ準備



 竜斗は、昨日使った練習着などを下洗いをした後、うちの洗濯乾燥機を使って洗濯してる。



 準備が終わった


 竜斗は部屋着姿

 一旦、竜斗の家により着替えてから行くことに…



「あ、春樹君、これ祥子から」

 ん、なんだろ


 置き手紙と封筒と名刺

 ノートを破って書き殴ってある置き手紙


 横から覗く


 (今度、エキストラする時はまず私に電話してね)


 (秀太の部屋に竜ちゃんが着れそうな服まとめておいたからお好きにどーぞ、もらい物だし、誰も着ないから遠慮すんなよ)


 (あと封筒にお祝い入れといたから、暇な時にでも杏子を東京観光にでも連れてってあげて、私が連れてってあげたいんだけど無理だから、なのでこれも遠慮すんな)

 と、書いてある


 名刺は姉の名刺、電話番号が乗ってるので、ここに電話しろってことだな


 封筒を覗く竜斗


「うわどしよ」

「え?」


「めっちゃ入ってる、こんなの受け取れないよ」


 今度は私が封筒を覗く


 一万円札が入ってる、数える

 わお!十万


 さすがに私も気が引けるわ


「お母さん見て、どうしよぉ」


「もらっておきなさい、その代わり無駄使いしちゃだめよ」


 お母さんは封筒の中身を見にこない、ってことは知っている、むしろなんかしらのやり取りを姉としてるんだ。


「いや、さすがにまずいですって」竜斗


「祥子は投資だ!って言ってたからいいんじゃない?」母

「えーいいのかなぁ」私


「使わず返す方が失礼よ、ま、高校生に渡すには多すぎるのは確かね、ちょっと待ちなさい」


 すると、母が夫婦部屋に行く

 そして、戻ってくる


「はいこれ」

 小さい財布を渡してくる


「なにこれ」

「使ってない財布、これにお金入れなさい、二人のお出かけ用財布、二人で出かける時はこの財布を使うのよ、管理は杏子、うまくやりくりする花嫁修行」


「花嫁修行!」このワード好き


「実際、祥子は杏子が帰国して喜んでたのと同時にどこも連れてってあげれなくてぼやいてたのよ、杏子は野球で忙しいし、それよりも祥子は自由に出かけられないからねぇ、だから春樹君に託したの」


「そっかぁ」


 まぁ、そうだよね、コンビニやゲオ程度なら平気かもしれないけど、観光地なんて行ったら大騒ぎで観光どころではない


「春樹君」

「はい」


「私も、こう見えても、料理関係と家事で忙しいのよ、代わりに杏子をどこか連れてってあげて、あなた達は野球一緒なんだからスケジュール合わせやすいでしょ」


「まぁ、そうですけど…」


「親の勝手でアメリカで育ち、親の勝手で日本に帰国、杏子にはせめてどこか連れてってあげたかったのに、また親の勝手で通訳、しかもただ働き、そのお金は杏子のためにだと思って使ってくれないかしら、私からもお願い」


「そ、そうゆうことなら」


「ね、じゃあ決まり、そのお金なくなったら、二人のお小遣い合わせたり、二人でエキストラのバイトでもして入れたらいいんじゃない?」


「え?私もエキストラ?」


「そ、今は中学生だからバイトはダメだけど、そのお金無くなる頃には高校生になってるでしょ」


「そうだけど」


「どうせ、春樹君がバイトするってなったら、杏子は心配でついて行くんだから、だったら一緒に出ちゃえって祥子が言ってたわよ」


「確かにー」


 さすが姉、わかってらっしゃる


「じゃあよし!やりくりする!竜斗いいよね!管理は任せて!」


「う、うん、わかった、よし!まずは杏子の東京観光の時だけ使わせてもらおう!」


「そだね、じゃないとすぐ無くなっちゃうもんね、東京だからお土産は一切なしだよ!わかった?」


「オーケー」


「お母さんありがとう!」

「ありがとうございます!」


「ふふふ、ほら杏子、春樹君の服を選んであげなさい」


「あ、そっか来て竜斗!」



 姉の衣装部屋に侵入、とゆうかいつも侵入して拝借してる、姉には袋に入ってないのは自由に使っていいよと言われてる、この前のフェンディ?もここから持ってきた。


 入ると、メンズの服がひとまとめに置いてある

 サイズと竜斗に似合う物を選んで置いてある。


 うーん、どれにしよう


 さすがにアウターは種類が少ないので、ますアウター決めてからだな



 竜斗のコーデ完了


 派手ないかにもハイブランド!ってのは、なかったので選びやすかった。


 グレーのハーフコート

 茶色のパンツ、

 黒のタートル

 靴もあったので、茶色のローファー、とゆうか、サイズの合う靴がこれしかなかった。


 でも、じゅうぶん似合ってる


 てか、やはりカックイイ


 セットアップ姿もいいけど、これはこれで良い

 とゆうか、このスタイル、何着てもキマるわ



 お母さんはまたパシャパシャ撮ってる


「お友達に見せてもいい?自慢しちゃう」


 かわいい母、なにを自慢するんだ


「杏子、助かった、よくよく考えたら、俺デート服ないわ、ジャージと運動靴で観光はまずいもんね」


 いや、それはそれでカックイイから問題ないような気がする


 世間も許してくれると思う




「じゃあ行ってくるねー」

「行ってきます」


「はいはい、気をつけてね、帰る時間わかったら電話しなさい」

「はーい」


 外に出るともう完全に雨や雪は降ってない

 道路も乾き始めてる。


 交際最初のお出かけデート、テンション上がる!玄関のドアを閉め切ると、逃げる様にチャリ二人乗りで駅に向かう


 前の二人乗りの時はまだ付き合ってない


 でも今は「彼氏」と二人乗り


 何しても許されるよね?


 後ろに立って、竜斗の顔の近くに自分の顔を持っていく


「寒くない?」

 私の風よけになってる竜斗に問いかける


「うん大丈夫!」

「じゃあご褒美」

 と、言って竜斗のほっぺにチュッ

 そしてチャリはよろめく


 なんのご褒美だ、ただのキス魔だわ




 駅に着いて電車に乗る!

 日本では初電車、この辺から出たことなかった

 なので、ワクワク


 そだ、まずは竜斗と初電車クリア!


 竜斗にICカードを作ってもらい

 改札タッチ!


 今日は、そんなに時間はないので、原宿ぶらつきと東京タワーの夜景を見に行くことにした。


 今の時期は日没が早いので、学生の私達でも夜景が気軽に楽しめる。


 案内表を見ると、特急やら急行やら快速って…どれが一番速いの?

「竜斗〜、やっぱり特急が一番速いの?」


「え?うんとね…」

 聞いた私がバカだった、と思うくらいのうんちくが始まった


 竜斗電車に詳し過ぎ!


 まあ、楽しそうにしゃべること、しゃべること

 電車好きなのかな


 ん、あそか、新幹線の運転手になりたいとか言ってるくらいだ、好きに決まってる。



 ホームで待ってると、電車がキタ


 ん、あれ?

 

 ビューン、ガタンゴトンガタンゴトン


 通過された


 え、なに?止まるの忘れた?


「竜斗どゆこと?」

 目がまんまるになる私


「ははは、あれが特急だよ!この駅は止まってくれないんだ」


 さっき、説明は聞いてたが、この駅止まらないとは知らない


 だって、この駅けっこう待ってる人いるよ?止まればいいのに


 と、思ってたら、わりかしすぐ次のがキタ


 素晴らしい日本


 車内はそんなに混んではないが、二人並んで座れないので学生らしく立つことに


 扉の近くで、竜斗と向かい合わせ


 辺りを見渡すと、似たような感じで仲良く喋ってるカップルがいる。



 都心に近づくと、車内が混み始めてきた。


「けっこう混むんだね」

「うん、三連休だし、午前は天気悪かったからみんな考えること一緒なんだよ」

「なるほど」


「あ、そっか三連休だから明日も練習だよね」


「うん、でもグラウンド使えるかなあ、冬はなかなか乾かないんだよね」


 そう、今回は成人の日を絡めた三連休

 野球部は月曜日定休だが、月曜日が祝日の時は火曜日が休みになる。


 なんて言ってたら、いよいよぎゅうぎゅうになってきた


 竜斗と密着!


「平日の朝の通勤通学時はもっとぎゅうぎゅうだよ」


 マジかよ日本、これ以上のぎゅうぎゅうってなかなかだぞ


 もう私は掴むところがないので、竜斗に掴まる


 竜斗は、片手は上の手すりに片手は私がよろめかないように腰をホールドしてくれる。


 これはこれでたまらん!エヘヘへ



 新宿到着!

 新宿すげえー

 ニューヨークみたい!


 電車を乗り換える

 山手線に乗り換える


 この電車は、エンドレスでずうっとグルグル回ってるらしい


 こき使いすぎだ日本


 ホームに降りると目の前で電車がバイバイしていった


「わー行っちゃったじゃん、もう少し急げばよかったね」

「大丈夫だよ、すぐ次の来るから」


「ふぅん、そうなんだ」

 と、思ったらすぐキタ本当にすぐキタ


 マジで?凄い!


「杏子、日本の鉄道は世界一なんだよ、作る技術もそうだけど、運行管理も凄いんだから!」

 また、うんちく始まる



 原宿デート、ブラブラしながらスイーツ堪能

 渋谷も行ってみたいが、竹下通りも歩いてみたかった


 若者いっぱい


 道行く人はみんな竜斗を二度見する、まあわかる、しかも葉山翔子セレクトを着こなしてるからね、そりゃ見るわ


 私は彼女の余裕を出す!


 必要以上に竜斗の腕にしがみつき、周りを牽制して歩く!ってこれは余裕ではない気がする


 竜斗とイチャイチャ街ぶら


 竜斗がふざけて、私の鼻にクリームをつけてきてブチギレたが、本気でブチギレてない、イチャイチャの延長


 そんなじゃれあいも楽しい

 楽しすぎる!



 ブーブー

 携帯のバイブ音が響く


「あ、竜斗、野球部メールきたよ」

「ホントだ、明日のことかな」

 二人でメールを開く


(明日の練習はグラウンドコンディション不良のため、午前中は体育館でのリフレッシュトレーニングを行います


 女バレのご厚意で半分の区画を間借りさせて頂きました、くれぐれも邪魔すんなよ!


 午後はグラウンドの様子を見ながらになります!


 集合時間は八時三十分、昼食と体育館シューズ持参でよろしくお願いします)


 女バレ、オノマリさんのとこだ


「明日体育館だってね」

 竜斗の顔色伺う


「そうだな、小野と一緒だ、よっし、明日俺、伝えるよ」

「え?なにを?」


「なにをって…俺らが付き合うことになったことだよ」


「えーー現場で?メールとか知らないの?」

「知らない」


「そうなんだ、私この前交換したから、私から伝えようか?」


「うーん、先に伝えたかったらいいけど、それでも俺は明日伝えるからね」

「え、う、うん、わかった」


「小野がしっかり杏子に説明してくれたから、今こうして楽しく過ごせてる、紹介も兼ねて礼も言いたい!」


「うん!そだね、わかった!チューしていい?」

 嬉しくてムラムラ発動


「だめ」

「なんでー」

「人多すぎ!」

「ブー」



 その後、東京タワーの夜景にうっとり

 もちろん、夜景バックの竜斗にもうっとり


 東京タワープリクラを撮る、もちろんここでムラムラ解放


 初めてのチュープリ、「初お出かけ」の落書き

 私のお宝プリクラがまた増えた


 家に帰ることにする


 母に電話

「お母さん、今から帰るね」


「わかったわよ、今夜はハンバーグだから、春樹君に伝えといて」

「え、いいの?」


「もうこねちゃったから遠慮してもムダよって言っといて」

「うん、わかったありがとう!」


 竜斗に伝えると、遠慮はするが嬉しそう




 帰宅!

「ただいま〜」


「おかえりなさい、楽しかった?」

「うん、めっちゃ楽しかった!だって山手線すぐ来るんだよ、行ってもすぐ来るんだよ!」


「え、そこ?ふふふ、ならよかったわ、春樹君もお疲れ様ね」

「はい!おかげさまで自分も満喫できました」


「よかった、今日も泊まってく?」

 母が軽口を叩く


「またまた〜涼子さんも面白いこと言いますね、そんなこと言ったらホントに泊まっちゃいますよぉ」


 母の冗談におどける竜斗


「ふふふ、じゃあOKってことね、じゃあ親御さんに連絡しなさい、もし必要なら私が代わるから」


 え、えええええ、え?


「え?本気ですか?」


「もちろん、嫌なら無理強いはしないわよ」


「全然嫌では、ないんですが…さすがのさすがにご迷惑では…」


「お母さん、もしかして寂しいの?」

 なんか、お母さんの表情見て思った


「お兄ちゃんと竜斗ダブらせてる?」

 ちょっとぶっ込んでみる


「え!……バレた?」


 えーーーって少し気付いてた


 アメリカに置いてきた兄のことが大好きな母、息子離れできてない母、帰国して三ヶ月半、そろそろ我慢の限界がきてるかもと


「だって、だって聞いてよ春樹くーん!秀太と離れて四ヶ月よ、四ヶ月、連絡くれたの最初だけ!今なんてメールしてもシカトよシカト」


「それにね、うちはうちで、ギャーギャーうるさいだけの娘達、しかも二人揃って露出狂、嫌になっちゃう、旦那は旦那で帰国してからは何かに理由つけて遊び三昧、ポッケからは飲み屋の女の名刺出てくるし、マジで殺してやろうかなカス亭主、マジぶっ殺すクソ亭主、ホスト行ってクソ高いシャンパン入れちゃおっかな、カードで!」


「ちょ、ちょっとお母さん?」


「あらやだ、うふふふ、おほほほ」

 今更コロコロ笑っても、もう遅い


 ほら、竜斗固まってるじゃん


 てか、ほとんど父が原因じゃん、てかてか、ギャーギャーうるさいだけで悪かったな


「りゅ、竜斗、どうする、正直この後、私一人で処理するのキツイんだけど」


 キツくはない、ただ竜斗を泊まらせたいだけ


「う、うん、親にメール投げるわ」

 ポチポチする竜斗


「メールだけで平気なの?」


「あのクソ亭主ブツブツ」


「うん、うちはめっっっちゃ放任、そのへんはめんどくなくて楽なんだけどね」


「家の鍵変えてやるか、バカ亭主ブツブツ」


 これ、今日名刺見つけたな、トニーとキャバだったりして、あの時のビクっを思い出す

 父よ火曜日かな帰ってくるの、やばいぞ今度こそ殺されるぞ


「あ、オーケーです、親から連絡きました」

「あらそう、じゃあ順番にお風呂入っちゃいなさい、あ、面倒だから一緒に入っちゃいなさい、うふふふふ」


 親としてもバグり始める母、本当に一緒に入るぞ、えへへへ


「ところで、明日何時に家出るの?」母


「え!えええ、え?あ、うーん、明日は体育館だから、早く行っても意味ないから、八時で平気かな、ね、竜斗」


「え!えええ、え?あ、時間ね、うんそうだね八時で余裕かな、俺は、一旦家に…あそっかこのまま行けるのか、シューズもジムのやつがあるからオッケ」


 おい、なんだそのキョドリは、まさか本気で一緒に入るつもりだったのか、それともただの妄想か


 どっちだ


 私は両方だ


 お、ってことは、一緒に学校行けるのか、嬉しい!


「じゃあ、杏子は朝、一緒にお弁当と朝ご飯作るわよ、もちろん春樹君のお弁当もね」


「え〜朝早起きじゃん」


「花嫁修行」

「やります、やらさせて頂きます!」


「自分も、何か仕事ください!」


「あら、じゃあ何かお願いしちゃおうかしら、そうねぇ、じゃあ簡単でいいからお風呂掃除!」


「ラジャです!掃除得意な方です!」


「あ、そうなの?じゃあやっぱり、小汚くて散らかりまくってる杏子の部屋掃除してもらおうかしら」


「お、お母さん!変なこと言うのやめてよ!竜斗が本気にしちゃうじゃん!」


「あ、そ、じゃあ、春樹君に今見てもらおうかしら」


 うぐぐぐぐ


「アハ、やっぱり散らかってるんだ!」


「やっぱりてなによ!やっぱりって!ちゃんと片付いてるもん!」


「じゃあ、見ていい?」


 うぐぐぐぐ


「もう!二人してずるい!竜斗!明日の弁当、日の丸にしてやる!」


「杏子、ギャーギャーうるさいわよ」

 チキショウ


 なんか、全部父のキャバ遊びの流れ弾のような気がする


 おかげで、部屋がちょこっとだけ散らかってるのがバレた、ちょこっとだけね、ちょこっとだけ


 父、私も殺意湧いたぞ


「じゃあ、ご飯の支度するから、お風呂入りなさい

 母がキッチンに消える


「涼子さんと、お父さん大丈夫かな?」

「あん?大丈夫じゃん、二人とも喧嘩の後は燃える系だから」


 イラっとしてるせいか、言っちゃいけないこともすんなり


「あ、あ、そうなんだ、ならいっか」

 ふふ、うちの親の情事に照れんな



 一緒にお風呂!


 なんてわけもなく、下着姿でバーンもなく、平和にお風呂に別々に入って、晩御飯



 母の機嫌は一旦収まり、楽しく三人で食べた。



 夕飯後は、バラエティ番組を見て盛り上がる三人

 途中、姉のCMが流れる、カッコつけてる姉にみんなで爆笑


 楽しい時間が流れていく


 付き合って、いきなり二泊!

 この思い出は一生忘れないね



 竜斗は、今日もソファーベッド、でもこれ意外と寝心地いいんだよね


 夜な夜な忍び込むか、なんて考えてたら寝落ちした。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ