神様降臨
竜斗のジムで、あまーい時間を過ごした私と竜斗
母特製鍋を突っつくため、私の自宅へチャリを走らせる。
てか、寒い、顔やばい、さすが雪予報、マジで寒い
家着く前に抱きしめてもらって、暖かくしてもらおっかな、アハ
私んち到着
自分でガチャっと鍵を開けて玄関のドアを開ける
「ただいまぁ、竜斗連れてきたよー」
すると、奥から母が竜斗からもらったエプロンをつけて出迎えにくる
「すいません、お邪魔します!」
「はい、春樹君いらっしゃい、相変わらずかっくいいわね、寒かったでしょ、上がって」
うーん、やはり母は竜斗にデレデレだ、でも今日は一歩引いてみれる、彼女の余裕かな?
あ、ちゃう、まだ、「付き合って」言えてない
ま、いつでも言える、なんなら明日のエンドレスメールでもいいや
「春樹君、どうぞ座って」
母が竜斗を優しくエスコート
ガチャ、ガチャガチャガチャ
ガサツに玄関のドアの鍵が開く
え?
ガッチャン
玄関のドアが開く
「ただいまぁー、うーさぶっ死ぬ、格好ミスったわ」
玄関に派手な女性が入ってくる
「お、お姉ちゃん!なんで?」
「は?なによ杏子、そんなにビックリして、明日雪で撮影無くなったんだよ!」
そう、これから竜斗に説明しようとしてた家族案件
最大の隠し事、私の姉問題だ
私には…実は、歳の離れた姉がいる
その差十五歳
母が二十歳の時に産んだ娘
隠すにはそれなりの理由がある
私の姉は…
超有名モデルであり
超有名女優
葉山翔子である
もちろんそれは芸名
本名は星川祥子
中学生でモデルでデビューしたあと、その後はテレビドラマや映画に出演
独特の演技で一気に有名になり
おじいさんおばあさん、赤ちゃんを除けば日本人のほとんどが知る存在
私が二歳の時に渡米した時は、姉は高校生でモデルの仕事もそれなりにしていたため、家族で姉一人日本に残ることになった。
私達家族、渡米する直前は横浜の賃貸マンションに住んでいたが、家族の渡米のタイミングで、姉は今私が住んでるこの家に移り住んだ、東京での仕事が多いし家賃が0だからだ。
ちなみにこの家は父が祖父母と暮らした実家
祖父母は早くに亡くなったため、姉はここで一人暮らしを始めることになる。
母方の祖母が世話役として来ていたが、母も姉を心配して、渡米して数年はアメリカと日本をいったりきたり
そんな理由があり、私は兄の野球チームにぶち込まれた背景がある。
そのうち姉が売れ出し、それなりのお金を手にすると、今度は姉が暇を見てアメリカの私達に会いに来てくれるようになった。
私が赤ちゃんの頃、姉が私のオムツを替え、お風呂に入れてくれたらしい
なので、私からすると、姉とゆうよりは第二の母的存在でもある。
父の帰国が決まると、姉がこの家を大改築して迎えの準備を整えてくれた。
その結果、下駄箱をアホみたいにデカくつくり、異様な雰囲気を醸し出している。
姉は都心の高級マンションに住んでいるが、私達が帰国した後は、頻繁にこの家に帰ってくる。
この家に帰ってくれば、母が色々やってくれるので楽なんだと思う。
更に!去年、大手芸能事務所傘下ながら、自分で芸能事務所を立ち上げた
そう、現役女優兼女社長でもある、かなりのやり手
一昨日来た時に、今週末は撮影で忙しいと言ってたので、今日はノーマークだった、母もそれを見越して竜斗を鍋に誘ったはず
さて、どうなるこの展開
良い想像が全くできない、豪快姉と竜斗の鉢合わせだ
「なんだよこれーファスナーかたっ!クレームだクレーム!オラッ!」
ジ、ジーー、ジーー
ガチャ、ガコンガコン!カチャ
黒のロングブーツを脱ぎ、雑にデカ下駄箱にぶん投げる
「あれ?これは使うんだっけか?ま、いっかこっちで」
ガチャ、ガコン、カチャ
更に持ってたブランド物の紙袋を下駄箱の上の方にぶん投げる
すぐ使うやつは、下駄箱
使わないやつは、兄のために用意してある部屋に置いてある
そう、兄の部屋は姉の衣装部屋と化している
下駄箱前の騒ぎが終わると、高そうなブランド物のバッグを肩に担ぎ、こちらに歩いてくる
髪は明るい茶色が綺麗に染まるショートボブが、きっちりセットされている
その頭の上には、茶色の大きいサングラス
耳には大きいリング型イヤリングがぶら下がる
グレーの高そうなコートに、薄茶の高そうなマフラー
言葉では表せない派手な柄の高そうなインナー
膝上までの高そうな赤いタイトスカート、そこから伸びる、なっっがい足
リビングまでの廊下がランウェイに見えてくる
スタスタと竜斗の背後を通過
「か、か、神様」
あまりのショックに頭がイカれたらしい竜斗
そんなのお構いなしに、バッグをその辺にボトっと落とし、コートを脱ぎ出す姉
「お父さんはー?」
とりあえず竜斗をスルーして母に尋ねる
「新人、合同、自主、トレ、視察」
なにか、含みを持つ言い回しで答える母
「とうゆう名目の?」姉
「温泉旅行」母
「だろうよ」姉
脱ぎ終わったコートとマフラーをソファーにぶん投げる
そして、いつものテーブル王様位置の祥子専用椅子にドカッと座る
長い足を組む
腕を組む
顎を少し竜斗にむけて、目力半端ない眼差しで竜斗を見て
「誰?」
固まって動けない竜斗
今度は私の方へ向く、片肘をテーブルにつき、親指を立て、その指を竜斗に向ける
「誰?」
「えっと、その」
わっ、なんて言おう
今度はのけぞり、顔を後ろに向けて母に尋ねる
「誰この人?」
「さあねぇ、杏子に紹介してもらったら?」
うわー、まさかの母の裏切り
「あの!」
竜斗がスクッと立ち上げり姿勢を正す、さすが野球部
「春樹竜斗って言います!桜水高校二年生で、野球部やってます、杏子さんにはいつも野球部でお世話になってます!先にお邪魔してしまって失礼しました!」
竜斗の自己紹介が終わる
「ふぅーん、その野球部員さんがなんでうちにいるの?」
竜斗に当然の質問
「私がご飯食べて行きなさいって、誘ったのよ」
母が弁明する
「ふぅーん、杏子、アンタの彼氏?」
「え、いや、その」
うわーなんて返そう、どれが正解だ
彼氏一歩手前だが、もうほぼ彼氏なので彼氏と答えるか
いや、ここはただの友達ってことにする方が正解か
「彼氏ではありません」
竜斗が答える
正直すぎる竜斗
「じゃあなに?ただの知り合い?」
二人を交互に見る姉
「あ、う、うん」
とりあえず合わしとく
「杏子さぁ、ただの知り合いを家に連れてきちゃうの?どうしたお前、日本に戻ってきたら、チャラくなったか?」
「じゃあなに?あんた野球部全員この家連れてきちゃうの?彼氏ならまだわかるけど、知りあい程度を連れてきちゃうのってどうなのよ?」
「あーこの子イケメンだもんね、んで、何?お父さんがいないからって、隙あれば部屋に連れ込む気か!」
うぐぐぐ、なんて返していいかわからん
「このチャラ中学生がっ!」
「んで、イケメン君さぁ、その甘いマスクで女落としまくってて、今度は中学生に手をつけるってか、しかも母親も抱き込んで、それはよく無いぞぉ、まぁお母さんはイケメン大好きだからなぁ」
と言って、竜斗の前に詰め寄る
姉のやりたい放題、言いたい放題
てか、母は何をしてるんだ!止めるとこだろ!
なんなら、少しコロコロ笑ってるし
おかしいなぁ、母は別に姉に甘いわけでもない
てか、おかしいのは姉だ、豪快さが売りだが、家に招き入れてる客に対して、こんな振る舞いをする女性では絶対ない
なんかおかしい、おかしいぞぉ
「春樹です、イケメン君ではありません、春樹です」
ん?あ!やば竜斗の目がすわってる、怒ってる時の目だ
「お姉さん、自分の話を聞いてもらえますか?」
「はぁ?軽くお姉さんなんて呼ぶなよ」
「じゃあ、なんて呼べばいいんですか?」
「あん?」
「自分は先程、名乗りました、理由がどうであれ、相手が名乗れば自分も名乗るのが筋だと思いますが?」
「はぁ?」
「じゃあいいです別に名乗らなくても、ただ名前を知らない相手に知ってる情報のお姉さんと呼んでなにか失礼でも?」
「ムー」
口が真一文字になる姉
「当然、自分はお姉さんのことを葉山翔子さんと認識してます、でもそれは女優、芸能人の葉山翔子さんですよね?もちろん芸名のはずです、でも今、自分が話がしたいのは芸能人の葉山翔子さんではないです、杏子さんのお姉さんのあなたです、でも本名は知りません、それとも私は葉山翔子よ、わかるでしょ、それで呼びなさい、的な人なんですか?」
竜斗が負けてない、あの姉に理詰めしてる
「わかったよ!祥子、星川祥子よ、本名のしょうの字はしめすへんにひつじの祥」
と、頭をポリポリかきながら自己紹介する
「ありがとうございます、では祥子さん、少し自分の話を聞いてもらえますか?」
「わかった、聞くよ」
あれ、さっきまでプンプンだった姉の表情が一気に緩み始めた
「まず、自分のことはどう思ってもらってもいいです、でも、自分のせいで涼子さんと杏子さんが、悪くいわれるのは納得いきません」
「……」
姉は何も言わず真剣に聞いてる
「涼子さんは、自分の家庭事情を知ってるので、純粋に優しく誘っていただいてるだけです、その、お言葉に甘えてしまってる自分がいけないんです、涼子さんを抱き込んでなんていません」
「わかった、お母さんのことは冗談過ぎた、イケメン好きは本当だけど芯はしっかり……あれ?しっかりしてるかな」
ズコッ!
おい、流れ的にそこはちゃんと締めろよ姉ちゃん!
「あと、杏子さんの事です…すいません、杏子と呼んでるのでそのまま呼んでいいですか?」
「どうぞん」
え?「お姉さん」は、だめで「杏子」がオーケーなの謎
「杏子は、チャラい子ではないですし、部員なら誰でも家に呼んじゃう子でもないです、自分はそんな子を好きになったりしません」
んんん、ん?なんだこの展開
「うん、それでそれで」
急にノリノリになる姉
「祥子さんは先程、彼氏ならわかるとおっしゃってましたが、それは間違いないですか?」
「うん、そうね!彼氏なら大歓迎!」
え?確かに姉はそう言ってたが、そんなテンションじゃなかったじゃん
「わかりました、では言葉長くなるのもなんなんで、サクッと言いますね」
「どうぞん」
「自分は杏子のことが大好きです、素敵な笑顔、一直線で真面目な性格、自分が悪いことしたらしっかり怒ってくれるところ、そして献身的に自分をサポートしてくれます、他にも色々ありますが、キリがないので省略します、相手が中学生とか関係ありません、一人の女性として杏子の事が好きです」
「ちょ!ちょっと竜斗!えっとその、ありがとう」
って、違う!恥ずかしいからもうやめてって言いたいのに、嬉しくて、つい、エヘヘへ
「キャーー、好きだって、キャーー」
姉が歓喜の悲鳴を上げると、キッチンにいる母の所にいき、母に隠れる、顔だけひょっこり出してくる
なんなんだ、なんか楽しんでないか?まぁこの展開は楽しいか
「さっき、杏子に告白しました、杏子も自分のことを好きと言ってくれました」
これを聞いた母は両手を頬にあて、口を大きく開けてアンビリーバボー状態
姉は母の肩に掴まり飛び跳ねている、子供かっ
てか、竜斗よ、その根性は認めるが、家族のいる前で公開告白なんてするやつ…どこにもいないぞ
まぁ、でも嬉しいけどね
嬉しいからいっか
「ただ、すみません、肝心の交際の申し込みをテンション上がってたせいで忘れてました、なのでさっきは彼氏ではないと答えたんです」
うんうんと、うなずく母と姉
てか、なんか嫌な予感がする…まさか竜斗…
「なので、すみません、ちょっとこの場借ります」
えーーー、まさか、まさか
「杏子、好きです、大好きです、こんな俺ですが、お付き合いしてください!末永く!お付き合いの方よろしくお願いします!」
わおーーーー!
ここ、私んち、私の実家、姉と母が観客
理由がどうであれだめだろ…うーんでも流れ的にしょうがないか
結果、姉も機嫌直ってるし
その姉は、母の肩をバンバン叩いて、私の返答をワクワクしながら待っている
母は、肩をバンバン叩かれてユラユラしてるのに、シンジラレナイ状態を継続中
ふん、いいわ、やってやる!一生ネタにしたらいいじゃない、相手が竜斗ならどんとこい!
こんな公開告白&公開プロポーズ、経験している中学生なんて世界中どこ探してもいないはずだ!
顔をあげ、竜斗を見つめる
いつもの優しい顔に戻ってる
吸い込まれるような優しい目、私好みの顔、さっき奪った唇、男のくせに可愛い唇、この顔は大好きだ
もちろん他にもたくさん好きなとこあるが、竜斗と同様省略する
一度、下を見て、また竜斗を見る、覚悟決まった
「竜斗!私も大好き!大好き!大好き!もう一生離したくない!だからチューして!」
「…………」
ん?みんな固まってる?
あれ、なんかミスった?
「ブ、ブハハハハ、おいちび助、チューの前に返事聞かせろ、答えになってねーだろ!」
姉の煽りで気づいた
やってもーた…
うーわ、やったわ私、めっちゃ恥ずかしいやん、なんで私は竜斗を前にするとこうなってしまうのだろうか…
家族の前で「チューして」はないだろぅ
さっきの勢いでやっちまった
てかさ、一日に二回告白とかなくね?だからミスるんよ
チキショー
あ、でもちゃんと答えなきゃ
「えー、オホン、えっとチューは一旦忘れてください、んと、その、はい、ありがとうございます、こちらこそ末永くよろしくお願いします」
パチパチパチパチ
母と姉が小さく手を叩いてる
「ありがとう杏子」ニッ
はうっ!
久しぶりに撃たれた!色んな意味でこのまま死にたい
「祥子さん、これで自分は彼氏になりました、順序がおかしくなってしまいましたが、杏子は彼氏を連れてきて紹介したってことにしてださい、こんな感じで納得していただけますか?」
「おーよ!」
姉は母と肩を組みながら、片方の手を竜斗に向けてサムズアップ
「では、自分はこれで失礼します、お騒がせしました、次この家上がるのは結婚の挨拶まで取っておきます」
と、言って竜斗は自分のバッグを掴む
え、帰っちゃうの?
まぁ、しゃあないか
てか、この後、私は姉と母に遊ばられるな
「ちょっと待ったー!」
姉が叫ぶと、隠れてたキッチンからスタスタと出てくる
そして、竜斗の前で立ち止まり、両手を腰に当てる、モデルのポージングみたいだ
竜斗と向かい合わせのこの状態、なんかファション誌の表紙みたい
ムカつくけど、歳の差あるのにお似合いだ
「春樹君、あなた噂通りのイケメンね」
と、言って竜斗の顎に手を当てクイッとやる
「それでいて、噂通りの真面目でしっかりとした子、こりゃあかなりの優良物件だわ」
「え、いや、その」
竜斗!ドギマギしてんじゃない!
てか、噂通りってなんだ?
「でも、どっかで見たことあるような…気のせいか」
すると顎から手を引いて
「春樹君、言いたい放題言ってごめんね」
ポージングをとったまま、頭をペコリと下げる
「え、いえ、大丈夫です」
「からの〜飯食いに来たんでしょ、食ってけ!」
「え、いや、申し訳ないです」
「何言ってんだよー、人んちで愛を叫んだやつが、今更遠慮すんなよーコノコノ!」
竜斗の胸をツンツンする
気をつけろスイッチが近いぞ
「お母さ〜ん、ご飯なに?」
「な〜べ」
「お、ええやん、鍋囲も、囲も囲も、今日はめでたい、うーん、そうだなあ、お!初夜鍋、お付き合い初日だから初夜鍋だ!」
きわどいネーミングやめろ、それになんか違うと思う
「祥子〜やめなさい」母
「いいじゃーん、今日は固いこと抜き!おっし、今夜は宴じゃ!宴だー!」
ノリノリじゃん
まぁ、私の事でこんだけ喜んでくれるのは嬉しいが
「お、そうそう、いいのあんのよ」
姉がその辺に置いたブランド物のバッグをガサゴソ漁りだす
そして、ゲオのマークが入ってる袋を取り出して中身を出す
「じゃ、じゃじゃーん、桃鉄じゃ!しかも新作だよ!鍋食ったらみんなでやろうよ」
袋から出したソフトを、顔の前でフリフリさせている無邪気なアラサー
ちなみに姉は桃鉄とマリオカートが大好き、弱いけど
「お姉ちゃん、いいけど竜斗はさすがに帰らないとやばいから付き合えないよ」
「なんで?」
「だって、もうこんな時間だもん」
私は掛け時計の方を見て、お前も時計見てみろよ的に姉にアピールする
「泊まればいいじゃん」
時計も見ずに即答
「え!だって寝るとこないよ」
「はぁ?そんなの杏子の部屋…は、ダメかさすがに……んー、ソファー!ソファーでオーケー!大丈夫だよね?竜斗!」
ん?どさくさに紛れて名前で呼んだな
「あ、いえ、そんなソファーでも全然大丈夫ですけど…ご迷惑おかけできません」
一応遠慮してるが、前向きだ
私も泊まって欲しい
強引な姉に感謝
「春樹君、明日練習は?」母
「はい、雪で休みです」
「ご両親は大丈夫なの?」母
「メール一発投げとけば大丈夫です…けどご迷惑です」
どっちだよ竜斗、笑える
「でも、着替えどうしよ」
私の中の疑問が漏れる
そう、竜斗は部活とジムを行ったきり、自宅に帰ってない、学校ジャージで寝れないこともないが、それはちょっとかわいそうな気がする
「あ、いや、自分は着替えなくても全然、あ、でも、ご迷惑かけれません」
もういいから、君は今日泊まり確定
「着替え?ちょっと待って」
姉が一階の衣装部屋(兄が帰ってきたら使うかもしれない部屋)に向かった
中から、ガサゴソしてる音が聞こえる
「竜斗〜2XLでへーきー?」
中から大きな声を出して聞いてくる
って、また竜斗って呼んだ!
「はい、大丈夫です!」
あ、もう「ご迷惑」やめたわこの人
てか、もう携帯ポチポチしてるわ
「ほい、これ寝巻き、あげる」
部屋から出てきて、まだ袋に入ったままのスウェト上下を竜斗にポイって渡す、おそらくブランド物
「そんな、ちゃんと洗って返します」
「え、いいよ、撮影の余りだし、秀太(兄)にくれてやろうと思ってたけど、アイツいつ帰ってくるかわからないから、ね、若いのが遠慮すんな」
「じゃあみんな、順番で風呂入って、鍋食ってー、桃鉄!」
「今夜は宴だー!」
エイエイオー状態の姉
「みんな一緒にやるぞ!ほら」
左手は腰に、右手はグーを作り構える
しょうがないので、みんな付き合う
母もキッチンから出てきて構える
「よし、準備いい?いくよ!」
「宴だー!」
「宴だー!」
「オーーー!」
「オーーー!」
ワンピースかっ!ま、楽しいけどね
「キャハハハ楽しーね」姉が無邪気に笑う
竜斗も楽しそう、母はコロコロ笑ってる
おし!竜斗と一緒に今夜は宴だ!
そして、また姉はバッグをゴソゴソ
ブランド物の財布が出てくる
パカっと開けて中から一万円札を出してきて、テーブルの上にビタン!と置いた
「杏子、これでセブンで竜斗の下着と歯ブラシと、あと、好きなもん、ジュースとか、桃鉄のお供のお菓子とか好きなもん、好きなだけ買ってこい、もちろん竜斗つれて」
「え?いいの?」
「おーよ」
「いや、大丈夫です、そんくらい自分出します」
竜斗が男らしさを出してくる
「いいの、遠慮すんな!学生に払わせるほど金には困ってない!」
姉が腕を組みドヤってくる
「じゃあ遠慮なく使うね、ありがとうお姉ちゃん、本当に好きなだけ買ってきていい?」
「おーよ、ありったけ買ってこい!なんなら店ごと買ってこい!」
一万円でセブンイレブンは買えない
「じゃあ、私は先にお風呂入るから、二人で仲良く買ってきな」
と、言って、姉は自分の部屋に向かった
私と竜斗は近くのセブンに向かう
これって一応は実質初デートかな
竜斗の手をちょっと触ってみる
すると、手を握ってきた
手を絡ませて竜斗に寄りかかり、いわゆるラブラブモードで歩く私達
クリスマスに見てイライラした光景を、やっとこさ実演出来た!
「家族のことって、お姉さんのことだったんだね」
竜斗が歩きながら話しかけてくる
「うん、ビックリしたでしょ」
「そりゃもう、神様降臨って感じ」
ん?意味わからん
「今まで隠しててごめんね、さすがに有名人すぎるからあんまり言いたくなくて…でも竜斗にはいつか言うって決めてたんだ、なのにこんな形でごめん」
「うん、大丈夫、そりゃ中々言えないよ、安心して、俺は絶対誰にも言わないから、変に杏子が騒がれても嫌だし」
「ありがとう」
「私が有名人の妹って知って、嫌にならなかった?」
そう、これが一番不安だった、変に引かれるかと思ってる
「え?なんで?お姉さんが誰であっても、杏子は杏子でしょ?それに、お姉さん、祥子さんがいるからこその杏子だとも思うよ、だから嫌になんてなるわけないじゃん」
「あ、ありがとう」ムラムラ
くぅ、たまらん!好き大好き!ムラムラ
「他に誰か知ってる人いる?」
「え!あ、うん、リナさんが知ってる、この前家に来た時にバレた、でもリナさんも誰にも言わないって約束してくれた、大丈夫かなぁ」
「うーん、アイツはあんなだけど、信用出来ると思うよ、現に俺はリナから聞いてないしさ」
「そっか、なら安心!」
「ねぇ、私達チューしようって家族の前で言っちゃったね」
「え?いやいやいや、達じゃないし、杏子がいつものポンコツかましただけじゃん!俺関係ない!」
「はあ?そそ、そうかもしれないけど、いきなり本日二回目の告白とか、ぷぷプロポーズなんていきなりしてくるからいけないんでしょ!…ん?なによ!いつものポンコツって!もう!」
「あはは、ごめん、じゃあ、告白しないでプロポーズもしないで、帰ればよかった?」
「いや、それはその、嬉しかったけど、その、帰ったら嫌だったし、その」
「んもーチューして!早くチューして!」
ムラムラ
「え?流れ無視してない?」
「チューに流れなんて必要ない!」
あれ、必要か?いやいい、いらん
「んんん」
家では、だいぶ恥ずかしい思いしたけど、これでスタートラインに正式にたった私達
とても幸せ
幸せ、本当に幸せ
この幸せはずっと続いてくれるのかな
ううん、永遠に続くに決まってる
終わりがあるわけがない
あってはならない。




