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モンスター協奏曲  作者: 東京小町
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29/46

おかしい

遠征バス移動した辺りのシーンに一旦もどる

 

 休み時間、横のウッちゃん(羽堂)が携帯を一緒懸命叩いてる。


 そう、守備も隣だが、教室の席も隣りだ。


 誰かにメール送ってるんだな、どうせ女か



「あーなんか、こいつだるいなぁ、どうしようかな、切っちゃうかなぁ」


 ピローン


「ん?誰だっけこいつ、忘れた放置」


 ピローン

 タタタタ、タタタタ、タタ、タタタタ

 ピローン、ピローン

 タタタタ、タタ、タタタタタタタタ


「あ、やべっ!間違えた!」


 忙しいやつだ、一体何人の女と同時にメールしてるんだ


 ん?


 ウッちゃんは、見てたカタログを開いたまま、メールを打ってる。


 そのカタログは…スラッガーだ!


 俺がもらったグローブのメーカー


 ウッちゃんはスラッガー信者



 いいこと思いついた!


「ウッちゃん、そのカタログ見せて」


「え?これ?いいよ」

 と、言ってカタログを渡してきた。


 とりあえず、グローブやスパイクには用はないので、迷わず小物類のページを開く




 あ!これいいかも


 見つけたのは、ピンクのリストバンド


 これを杏子にあげよう


 前々から何かあげたいと思ってた。


 お母さんにはエプロンをあげた、でも杏子には何もあげてない。


 あげたことあるのは、飲んでたスポドリをちょっとちょうだいと言われたので、二口、三口くらいあげたことあるくらい


 そう、関節キスは体験済み


 あ、違う、本当の方も済みだった、事故だけど


 高校生になっても、一口ちょうだい攻撃は照れるね


 って、話を戻すと、杏子にはしてもらってばっかりで何も返せてない、せめてなにかちょっとした物でも、あげたかった。


 このピンクのリストバンドは可愛い、きっと野球少女杏子には似合うはず


 しかも、俺のグローブとおそろのスラッガー

 これ、ベストチョイスだよな


 杏子は何個かリストバンド持ってる、土日は必ずしてくるからわかる、でもリストバンドは何個あっても邪魔にならないだろう、ピンクはしてるの見たことないし


 よし、決めた!


 明後日日曜日はバス移動だ、その時に杏子の隣りをゲットして渡そう、いい作戦だ


 あ、でも…

「ウッちゃん、このリストバンドってサトスポにあったっけ?」


「え、どれ?あーないよ、注文だね、二日あれば来るんじゃないかな、ピンクってことは…杏子ちゃんにプレゼントか?」


「まーそんなとこ、二日かぁ」


 二日だと、日曜日に間に合わないなぁ


「なんだ、急ぎか?」

「うん、日曜日に渡したかったんだよね」


「したら、渋谷に行けば買えるよ」

「え?渋谷?」


「うん、スラッガーの東京支店が渋谷にあるから買えるよ、たぶんリストバンドなら全部ある、一応そこの番号メモって確認してから行きな」


「サンキュー」


 そうか、メーカー直ならすぐに手に入るのか、渋谷ならそう遠くない、行くか


 今週は練習が今シーズン最後の仕上げなので過密


 渋谷でも買いに行く暇がない、どうすっか


 緊急事態なので、しょうがない!今日の午後の授業を腹痛でサボって買いに行く!





 無事にゲットして、学校に戻ってしれっと練習参加


 なんか、火サスのアリバイ作りみたいだ




 日曜日


 今日は他校のグラウンドで練習試合

 相手のレベルはそこそこ


「そこそこ」ってつい最近まで補欠だった俺がよー言ったわ


 まぁ、そこそこ強い


 昔、甲子園の出場経験もある


 間違いなく、先週の相手よりも強いはず


 なので、先週の試合がまぐれかどうかもこれでわかる。


 そして!楽しみなのが、バス移動


 杏子と上手く隣り合わせ出来るかな、人数的に行きは満員


 早めに乗ればいける、あとはそれをわかってくれるか杏子


 あ、先に言っとけばいいか


 いや、なんか、バス隣り座ろうねーは、子供ぽい気がする。


 ここはやはりスマートな感じで、ここ空いてるよ的なのがいいよな




 昼飯も食べ終わり、少し休憩した後、バスに荷物を積み始める、練習球や試合球、キャッチャー道具など


 俺も手伝う、ん?えー


 杏子がまだ弁当食ってる


 一緒に食ってたリナは既に荷物の手伝いをしてる


 なにやってんだよ


 しかも、弁当のおかずを箸で持ち上げては戻し、今度はそのおかずを箸で突っつく、そして箸でツンツン転がしてる、箸で遊んでる、遊びまくってる


 あー、食欲ないんだな


 かなり疲れてそうだ、しかもそれは俺のせいだ


 今週、アンソニーさんから俺に課題が出されたので、徹底的に打ち込んできた。


 その際、バッティングピッチャーを全て務めたのが杏子だった。


 昨日はさすがに一年生と代われと指示がアンソニーさんから杏子に出された


 が、これを杏子は拒否!そしてやり遂げた

 しかも、パフォーマンスが落ちることなく

 凄い、凄すぎる、あの細い身体でよくここまでやるよ


 根性がすわってるとゆうかなんとゆうか


 俺は凄い女性を好きになってしまった


 えっと、この子通訳だよね?


 ついつい忘れてしまう


 ってなわけで、しゃあない

 バスに乗ってくるのは遅そうだ

 俺が先に座ってさりげなく確保するか



 バス乗車


 後ろは人気なので、若干前よりの窓側にとりあえず座る。


 隣の席にはバッグを置く


 そして、イヤホンを耳に入れ

 俺、聞こえませんから、話しかけないでオーラを出す


 そして、杏子が来たらイヤホンを外して、バッグをどかせばミッション完了だ


 そんな愛おしい作戦を潰してくれるのが…


 マッキーだ


 最近思う、こいつたぶん空気読めない奴だ


 他のみんなは、ここは杏子のためにあけてるんだなって、暗黙の了解してくれる


 そう、既に付き合う前から俺らはそうゆう見方されてる


 だから、そこをあえてついたのに!


「ハルさん、今日座席に余裕ないですよ、荷物どけてもらっていいですか?もう前しか空いてないんで」


 だったら、その前の方に行けよと思うが、仕方ないので荷物をどかす



 そして、居残り弁当を終わらせて杏子が乗ってきた


 キョロキョロしてる、そのキョロキョロが挙動不審でかわいいんだよな


 来た、メッチャマッキーのこと睨んでる!

 やばいくらい睨んでる!


 とりあえず、俺は静観するしかない


 諦めて、前の方に戻って行った


 マッキーのメンタルとゆうか、脳みそを褒める


 リストバンドは帰り渡すかな





 試合が始まる


 相手監督のおかげでみんな士気が高まってる

 俺もそれに乗っかって、いっちょやってみようと思う


 監督に言われた通り校舎にぶち当てる!


 距離は大したことない


 うちのグラウンドよりも狭いからだ


 ただ、ネットがそびえ立つ


 これを越えるには、角度をかなりつけないとだめ


 相手ブルペンの投球練習を見ると、カーブをけっこう投げてる


 自信あるのかな、縦にドロンとするカーブ


 これが内側に入っきたところを狙うか




 プレイボール


 って、全然カーブ投げてこないじゃん、でも練習の成果が発揮出来てる、杏子のおかげだ


 なんとか、カットして逃げれてる


 カーブいつくんだよおい、二球目に投げただけやん


「ファイトー」

 ん?杏子の声援だ!ん?ファイトなんて珍しいな


 練習中も含めて初めてじゃないか?


 うーん…ん!


 あ!次来るのか、じゃあもう杏子に乗っかる

 決め打ち!ストレートだったら空振りする、ごめんなさいだ


 ピッチャーがモーションに入る


 カーブでお願いします!


 よし、カーブきた!

 いち、にぃーの、オリャ!


 捉えた!完璧に打てた!

 越えろ越えろネット越えろ

 祈りながら走る


 ボールは校舎も越えた!

 ヨッシャーーー!

 高校生らしくない、ガッツポーズをしてしまった


 少し反省


 打てたのが嬉しいが、それだけではない、杏子のアドバイスのおかげで打てた、一緒に打てた感じで嬉しい!


 でも、なんでカーブってわかったんだろうか、配球の癖でも見抜いたのかな、俺には全然わからなかった


 それに、なんで俺がカーブを狙ってるってわかったんだろうか…


 やはり杏子はすごい


 杏子が出迎えで待ってる、抱きつきたいがさすがにやめとく


 ただあの笑顔で待っててくれると、ダッシュで戻りたくなる、ホームランだからゆっくりでいいのにな




 試合は大勝


 俺は大いに自信に繋がった!


 三安打、ホームランの後のタイムリーツーベースもよかった、難しいボールをしっかり打てた!


 みんなも良かった!


 特にダテちゃん、ナイスピッチング!


 ダテちゃん(大館)はアンソニーさんが来てから飛躍的に伸びてる


 んで


 杏子がアンソニーさんを近くまで送ると言ってきた


 大丈夫かな?迷子にならないだろうな


 コンビニはわかりやすいが、学校の敷地内がちょっと複雑な作りをしている


 まぁ、さすがに平気か


 てか、アンソニーさん一人で平気だろ




 片付けを進ませてると、リナが何やら心配そうに電話をかけてる


 そういえば、杏子帰ってこないな


「どうした?」

「う、うん、さっきキョウちゃんから着信入っててさ、掛け直したんだけど、全然出ないんだよね」


「そうか」


 何か嫌な予感がする、正直この学校は治安があまりよく無さそうだ、野球部は普通だったが、俺の昔の友達が通ってる学校、そいつはいわゆるヤンキーとゆうか、不良に近い


 言い方悪いが、そいつが入れる学校だ、治安レベルが悪そうなのは想像につく


 絡まられたりしてねーかな、誰がどー見てもかわいいからな杏子は、ポンコツだけど


 まぁ、日曜日だから平気か


 でも、なんか気になる


「リナー、ちょっと俺探してくるわ、携帯貸してくんない?俺番号わからないんだよ」


「は?マジで?まだ番号交換してないの?二人してどんだけ奥手?アホか、バカップルのくせに」


 それはちょっと言い過ぎ


「頼む、変な写真とか見ないから」


「しゃあないな、マジで電話かけるだけね、画面開いておくから、ホレ」


 否定しないってことは、変な写真あるんだ


「サンキュー」



 ダッシュ!


 途中くまなく見てきたが、敷地内にはいなそうだ



 コンビニに着いたけど、やはりいない


 まずい、なんかまずい気がする



 駅の方に向かってみる


 リナの電話を開き、「変態キョウちゃん」のボタンを押して電話を掛けながら走る


 あれ、なんか同時に着信音が聞こえてきた


 かすかだが、これコナンだ



 音のする方へ向かってみる


 !


 いた!人通りのない奥の方で男四人に囲まれてる!


 殺す、マジで殺す


 見たところ、まだ何もされてなさそう


 相手は同じ高校生くらいか

 全員殺してやる


 と、その時


「小杉だ小杉だよ!」

 あれ?言ってるそばからこの学校に通ってる小杉和哉だ


 カズヤがなぜ杏子を囲んでる?


 いや、カズヤは不良だが、女に手を出す奴では絶対ない


 何かある


 少し動転してた気持ちが和らぐ


 そして、杏子が解放され俺に抱きついてくる

 怖かったんだろう、俺の身体に顔をスリスリ押し付けてくる


 スリスリスリスリスリスリスリスリ


 ん、ちょっとやり過ぎ、おい、危ないぞ、俺の弱点かすってる!


 ここで変な声は出せない、我慢!



 状況をカズヤに聞く



 また、工藤かぁ


 でも、今回は工藤が何かしたとゆうよりは、恨みを買ってて晴らされそうになったってとこか


 カズヤ以外の三人に面識はないが、中学の頃の事件を知ってるんだな、なんだかビビってる




 カズヤ達と別れ、みんなの元へ戻る


 工藤はなぜここにいたのか


 それは純粋に野球部に未練があるからだと思う


 こんなとこで何かやらかそうもんなら、退学になる可能性もある、あいつはバカじゃない


 そんな危ない橋は渡らないだろう


 でも、確証はない、あくまで予想


 もう、カゲさんに頼るしかないな、前から考えてた、次なにかあったらカゲさんにチクろうって

 今日は何かしたわけではないが、良いきっかけだ


 にしても、腕に抱きついて甘えてくる杏子


 怖かったんだろうな、これ周りからみたら、完璧カップルだよね、工藤の件が落ちついたら告白しよう


 でも!今回は杏子も悪い、不良を尾行するなんて絶対ダメだ


 杏子に説教する


 そして、いつもの逆ギレをされる


 まぁ、言いたいことは全部わかるので、受け入れる


 とゆうより、やはり怒った顔がかわいいし、杏子に怒られるのが好きなだけ




 バスでリストバンド渡したら、完璧に機嫌直った

 単純な杏子


 でも、喜んでくれて良かった



 戻って、ゴーを連れて目黒に向かう

 だるいがしゃあない



 駅からバスを乗り継いで、街道沿いにある中古車屋に着いた。



「クドウモーターズ」とローマ字で書かれた看板が上がってる。


 ベンツやBM、ジャガーなどの外車が置いてある

 けっこう改造してあって、カッコいい


 が、これ誰が買うの?反社?

 って思ってしまう。


 事前に電話でアポは取ってある


 整備士みたいな人が近寄ってきた


「おい、ここはガキが来るとこじゃねーぞ![

 と、凄んできた


 イラッ

 いきなりそれはねーだろっ


「あ?こっちも客じゃねーんだわ!」

 と、キレ返す


 なんか、これからカゲさんとやり合うからテンションが上がってる、こんなの杏子に見られたらまた説教だ


「おい、そいつらは俺の客だ」


「社長のお客さんですか、すみません」

 と、言ってヤンチャそうな整備士は職務に戻った。


「おー、ハルちゃんにゴーちゃん、久しぶり、さっ入って」



 怪しい中古車屋の中へ


 商談するようなところへ座らされた


 すると、髪の毛ド金髪のお姉さんが、ジュースを持ってきてくれた


 スカートが短い!


 化粧が濃い!


 でも、ちょっと綺麗、いや普通に綺麗!


 ジュースを置いて帰り際に俺を見て手を小さくグーパーさせてきた


 照れながらも同じ仕草で返しといた


 なんの合図なんだろうか


 てか、どう見てもこの中古車屋怪しい

 小学生の頃に、工藤に連れられて来たことがあるが、その時より数段怪しさが増している。



「お、で、話ってなんだ?」

 カゲさんが正面にドカッと座る

 工藤景勝(かげかつ)さん、最初はヤスのお父さんて呼んでたが、名前がカッコいいのに気づき、それからカゲさんと呼んでる


「実はヤスのことなんですけど….」

 工藤の今までお越したことを全てチクッた


 見る見るカゲさんの顔が般若と化していく



「カゲさん、まずはヤスにもう野球部に迷惑をかけないように言ってもらえますか?」


「うん、わかった!それは約束する」


「それと、カゲさんがしっかり責任取ってくれるならの前提ですが、ヤスが心底野球をやりたい、とゆうのであれば、ダメ元でカゲさんがグラウンドに連れてきてください、ヤスの態度と、他の部員がどうするかにもよりますけどね」


「ハルちゃん…わかった、こっぴどく叱って、それでも野球をやりたいと言うなら、そうさせてもらう…でもいいのか?」


「そうすね、本当態度次第ですけど、ヤスが野球が好きなのは俺が一番わかってますから、幼なじみとしての最後の情けです、ただ本当にヤスのしつけ頼みますね」


「わかったよ、ハルちゃんのその怖い顔みたら半端出来ないよ」




 その後少し談笑した後、帰ることになった


「じゃあ車で送ってやるよ」

「マジすか!助かります!」


 今日は疲れた、マジで助かる


「あ、俺はリナと待ち合わせてるので、またバスで帰ります」

 と、ゴーが言ってきた


 また、リナのばーちゃんのとこに行くのかな、わからんけど


「じゃっ」

 ゴーが先に帰った


「じゃあ、車持ってくるわ」

 と、カゲさんが外に出ようとすると


「社長、私もう上がりですよね?私が送りましょうか?社長出ちゃうと事務所が空になっちゃうので」



 え?ちょっとたんま、美人のお姉さんと二人?


「うーん、そうだな、ハルちゃん家でいいのか?」


「あ、いや、チャリが駅にあるので駅前ですんませんお願いします」


 え、え、これはいいのか?


「じゃあ、かわぐっちゃん頼むよ、高校生襲うなよ」


「それわど〜かなぁ、了解で〜す」



「じゃっ行こっか」


「あ、はい、じゃあカゲさん失礼します」

「うん、またなハルちゃん」


 かわぐっちゃんって人の後に続き、事務所を出た



 奥に止めてある、白の軽自動車のドアロックがピッピと言って解除される


 いかにも女子が乗ってます仕様のタントカスタム


 先にかわぐっちゃんさんが乗り込み、助手席の邪魔な物を後部座席にぶん投げる


 だったら俺は後ろでいいのに…


「はい、乗って〜」

「失礼します」


 えっと、これってどうなんだぁ?


 杏子にチャリ二人乗りはダメだと言われてるが、車の助手席は言われてないのでセーフかな?


 いやぁ、アウトな気がする


 そんな思いも知らずに、車が走り出す


「ヤス君の同級生?」

「あ、はい」


「そうなんだ、私、川口由依(ゆい)二十一歳だよ」


「えっと、春樹竜斗です、高校二年です」


 んん?これ自己紹介いるか?


 まぁ、でも無言も気まずいからいっか


「きみぃ、学校でモテモテでしょ?」


「え?全然ですよそんな…」

「またまたぁ、私だったらほっとかないけどなぁ」


「いや、そんな、えっと…」

「ふふふ、かわい」


 なんか、そんなこと言われると緊張してきた

 大人の女性とこんな近くで話すの初めてだ

 しかも、軽だから距離が近い!


 杏子とは違ったいい匂いがする


 チラッと横を見ると、綺麗な生足が見える

 イカンイカン


「あ、なんか事故やってるね」

 と、反対車線を指さすので、俺も見てみ…


 うわ、胸がデカい、Vネックをダルく着てるのでブラジャーも少し見えてしまった


 イカンイカンイカンイカン


「春樹君は彼女いないのぉ?」

「えっといないとゆうか…いないです」


 なんて説明していいかわからないので、まんま答えた


「ふぅ〜ん」

「あ、川口さん、僕なんか乗っけて彼氏さんに怒られませんか?」


「え〜春樹君、それって自分も男ですアピールしてるみたいじゃん、高校生のくせにぃ」


「え!いや、そうゆう意味ではなくて」


「ハハ、冗談冗談、彼氏は今はいないから大丈夫だよ」


「それは良かったです」


「良かったってのは、私に彼氏がいなくて狙えると思った感じ?」


「いやいやいや、そそそうじゃなくて…それに、おお俺なんか不釣り合いですから」


「ふぅ〜ん、そんなことないよぉ」


 なんなんだ、俺、遊ばれてるのか


「あのその、俺には好きな子がいるんです!」


「ヘェ〜そうなんだぁ、別に私はそれでもかまわないけどぉ」




 散々からかわれて、やっと駅に到着


「あ、ありがとうございました!」

「い〜え〜、じゃまたね、」


「はい、失礼します」

 シーベルトを外しドアに手をかけた瞬間

 肩をいきなり掴まれ、そして


「今度会った時はご飯誘うね」

 と、言われた


「えっと、その、失礼します!」

 逃げるように外へ


 川口さんは車内から手を小さくグーパーさせてから車を走らせた


 ふぅーーまいった、完全に遊ばれてんな、チャラいの嫌いではないけど…いや嫌いだ、うん嫌い


 でも胸大きかったな


 派手だったな

 派手、嫌いじゃないかも…


 イカンイカンイカンイカン


 ってやばい


 すぐに辺りを見渡す


 誰も見てないよなぁ、大丈夫だよなぁ


 てか、もうカゲさんとこ行けねーじゃん





 そして、一週間後の日曜日


 無事に工藤の件は解決

 もう大丈夫だろう、アイツが真面目にやれば戦力が上がるのは間違いない


 ってそれはいいんだけども…


 おかしい


 おかしい


 杏子の様子がおかしい


 明らかに変だ


 先週の日曜日、そうリストバンド渡して学校で別れるまでは問題なかった


 その後からだ


 月曜日火曜日休みだったから、水曜日からだ

 俺と目が合うと、ハッとびっくりした感じで目をそらす


 近くに行くと逃げる


 挙動が可愛くて、最初はほっこりしてたが、いよいよ心配になってきた



「ハルちゃん、キョウちゃんが最近変なんだけど、なんかした?」


「いや、してないよ、俺も心配してたんだよ」


「そっか、なんだろちょっと探り入れるか」


「うん、頼むわ、なんか俺避けられてるみたいだし」



 あれれ、もしかして、この前の川口さんとの件バレたか?


 いや、ないよな


 それとも駅で降りるところを誰かに見られたか


 でも、それだったら杏子なら詰めてきそうなんだけどなぁ




 それから数日が経った


 リナから、杏子がお父さんに怒られたから大人しくしてるんだと聞いた


 そうか、だからか


 うーん…でも、ちょっと違う気がする


 だとしたら、グラウンド内を気をつければいいだけだ


 練習終わったら、とっとと帰ってしまう


 前はしばらく三角ベンチや、駐輪場で談笑した

 それが全くない


 それに、それに、あの笑顔が消えた


 一切笑わない、それに怒らない


 そして、決定的なことが起きた


 アンソニーさんのクリスマス休暇中は、杏子も休むって言い出した


 前に聞いた時は、もちろん私だけでも行くよ!って言ってた


 それが一気に方向転換


「え、休んじゃうの?投球練習は?」


「トニーがノースローでいいと言ってますので、私必要ないので休みます」


 もうかなり事務的


 完璧に嫌われたわ俺


 理由がわからない


 車の助手席の件かな


 ただ、わからないのは毎日欠かさずピンクのリストバンドをつけてくれてる


 洗濯もあるだろうから一個だけだが、欠かさず付けてる


 他にもリストバンド持ってるのに、ピンクのあげてからは、他のを付けてるの見たことない


 それはそれで気に入ってるだけってことか?


 いや、俺のこと嫌いになったなら意思表示的にも付けないだろ


 もう、よくわからん



 とうとう杏子が休みに入った


 クリスマスプレゼント買うために暇な時間を使ってバイトもした、お正月休みに松本城に行くプランも立ててた


 もっと言うなら、工藤の件が落ち着いたので告白する気でいた


 でも、それが全部ストップがかかっている


 もう、どうしようもないので、リナに全て打ち明けて相談した、もちろん車で送ってもらった件も言ってだ



「うーん、車の件は違うと思う、それだったら、私に言ってくるよ」

 と、リナに言われた


 確かにそうだ、ムカついてリナに言うはずだ

 だとしたらなんだ?



 あ!もしかして、俺の過去を知った?


 いつかは知ると思ったので、告白の時に自分から言うつもりだった


 だが、これは有名な話

 誰かから、先に聞いてもおかしくない


 有名な話だからこそ、自分から言うつもりでいた


 それかぁ、小野のこと知ってるのかなぁ、あいつとはもうお互い何もないのに…ないどころか、小野は…


 

 でも、結局、杏子も高校のみんなと一緒かぁ

 まだ確定はしてないけど、それが理由だったらもうどうしようもない


 ただ、俺は杏子に振られないと諦めがつかない

 告白して潔く散るか

 気まずくなるけど、この状態よりはマシだ


 なんだかなぁ、やっぱり高校にいる間は近くの恋愛は無理そうだ


 振られたら、カゲさんとこ行って、川口さんになぐさめてもらおうかな


 段々とヤケを起こし始めてる自分が情け無い。

 

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