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モンスター協奏曲  作者: 東京小町
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工藤仮復活

 

 月曜日のオノマリ案件から一週間経った日曜日

 十二月に入った、高校野球は3月まで対外試合はなくなる。


 この期間は、実践練習よりも身体作り等に重きを置くことになった


 なので、一応は今日この日曜日の通常練習を最後に、明後日の火曜日からはトニーが作成したメニューを個々にこなしていく


 今週、水曜日と木曜日に分けて、トニーは部員全員と名取監督と面談した


 その面談内容も考慮して、トニーは個々の練習メニューを作成した


 トニーがまず面談で大事にしたのが、進学先でも野球をやるかどうかだ、それによってメニューがガラリと変わる。


 進学先で野球をやらない人は、夏の大会にピークを持ってく練習メニュー


 野球を続ける人は、その先も考えた練習方法になる。


 が!進学先で野球を続ける人は…


 佐藤ノブキャプテン


 大さんこと大沢副キャプテン


 の二人


 まぁ、予想は出来てた

 あとは、続けない組


 ガブさん(三沢)はマジでプロゴルファー志望


 ゴー君はバンド活動


 意外だったのが、羽堂さん、大学でも通用しそうなのに、なぜだ、あ!チャラいサークル入って合コン三昧する気だな


 そして、竜斗は…保留だそうだ


 一か月前までは、野球は続けないと決めていたとのこと


 まぁ、そうだろうね


 最近は自分でも自信がついてきたのか、保留に変わった


 なので、前向きな保留だ


 ただ、トニーが、野球続けなかったら何やりたいんだ?の質問に躊躇なく「新幹線の運転手」と答えた。


 聞いた時はビックリした


「えっ!」って声出た


 なんか、全然想像してなかったからかな、ビックリした。


 竜斗が新幹線の運転手…なんかピンとこないわ


 でも、明確な夢があるんだね


 竜斗は、そうは言っても野球を続けると思う

 来春、竜斗が公式戦にデビューしたら、おそらく世間がほっとかないからだ


 プロのスカウトとかもこのグラウンドに来るかもしれない


 でも、これで本当に良かったのかな


 もし、私とトニーがこのチームに来なかったら、竜斗はおそらく補欠のままで、野球は高校生で終わり、心置きなく新幹線の運転手になれる。


 右打席以外は、どんどん吸収する竜斗、新幹線の運転もすぐ上達して、夢は間違いなく叶えられる。


 もっと言うと、私がいなかったら、オノマリさんが告白して復縁してたと思う。


 その人生のが、竜斗は幸せだったかもしれない

 今からでも遅くないんじゃないかな


 野球やるか、新幹線を転がす(ころがす)かは、わからないが、相手は私じゃなくてオノマリさんのがお似合いかも


 オノマリさんはとにかく優しそうだった、背が高いのに威圧感なかった、顔もケバくない


 私なんか、イラッとしたらすぐ文句言うし、ヤキモチヤッキーだし、すぐローキック打つし、ちっぱいだし、あれ、オノマリさんのサイズってどうだっけ、いいよどうせ大きいんでしょ


 はぁ〜


 そうです、まだまだ絶賛オノマリの呪いにかかってます。


 思いのほか重症を自覚している。



 グラウンドでは、集合前のストレッチが始まってる

 いつもなら、竜斗に駆け寄り背中を押したりして、一緒にストレッチしてる。


 が、私はベンチにひっそりと座ってる。


 そう、近付けない


 本当は近付きたい、いつもみたいに一緒にストレッチしたい


 でも、これ以上好きになってはいけない!とゆうブレーキが入ってしまって、遠慮してしまう


 だったら、集合時間の前に来なくてもいいじゃないか


 監督もトニーもまだ来てない


 なんだけど、そこはなぜか早く来てしまう、私のブレブレ具合


 遠慮するけど、早く会いたい


 もう、よくわからん




 監督とトニーも来て、練習開始


 いつもなら、ランニングとダッシュに付き合うが

 今日はバッティングピッチャー等、身体動かす予定が今のところないので私は付き合わない


 んにゃ、うそ


 いつもはそんなの気にせず参加して、みんなと楽しんでた。


 これ以上竜斗を好きにならないぞ運動を起こしているだけ


 これさぁ、ただのいじけ虫じゃね?って思うが、しょうがない体が前を向かない


 でも、仕事はしっかりこなす!

 このチームにはホント強くなって欲しい!って気持ちはブレてない


 竜斗との共同作業も欠かさずやってる、それはトニーの指示だから

 私はトニーの通訳、いや奴隷として生きてくだけ


 そう、自分に言い聞かせている。



 キャッチボールが始まるって時に、グラウンドのみんながザワつき出した。


 なんだろと思い、みんなの目線の方向に私も向く


 え!ええ!


 工藤さんがこっちに向かって歩いてきてる。


 ジャージ姿だが、野球バッグを持っている


 ん、んん、そこに工藤さんより背が高い大人の男性が!

 あ!たぶんお父さんだ!


 ゴー君は、コワモテって言ってたけど、そんなじゃない

 むしろダンディー、渋い!


 背が高くて、ハーフ顔に髪の毛はお洒落グレー、白髪を活かした髪色


 ゴー君は昔に見たイメージで言ったのかな?


 まぁ、反社だって言われても、全くは否定できない人相ではあるが…


 って、そんなのはどうでもいい


 なんで工藤さん登場?



 工藤さんとお父さんが、名取監督に挨拶をして一言二言告げる


 なんか嫌な予感、お父さんパワーで復活?



 監督が集合をかける



 みんな、ザワつきながら集合、リナさんも混じってきた


 工藤さんと工藤さんのお父さんが、私達の前に並ぶ


 工藤さんはこれでもかってくらい刈り込んだ、坊主


 お味噌のCMに出てきそう


 まぁ、反省の意思を示してるのかな


 顔は下を向き、泣きそうな顔をしてる


「みなさん、うちの息子が大変ご迷惑をおかけしました、私からも謝罪させていただきます、大変申し訳ありませんでした」


 お父さんが、深々と頭を下げると工藤さんも頭を下げる


「私からこっぴどく叱りました、野球もやめさせるつもりでした」


 ふむふむ、「でした」が気になる


「ただ、本人はどうしても野球をやりたいと申しております!どうかもう一度、もう一度だけチャンスをいただけませんか?今後こいつが何かした場合は、私が責任をとります、どんな小さい悪さでも言っていただければ私が責任をとります」


 シーン


 みんな、どうしていいかわからないでいる


「俺はみんなに任す、みんなで決めろ、俺に決める権利はない」

 監督が言う、まぁそうだろうよ


「カゲさん、責任とるってどう責任とるんですか?」


「うん、ハルちゃん、ハルちゃんには一番迷惑かけたらしいな、本当に申し訳なかった、責任…何かやったら、こいつを野球部だけではなく、この学校を辞めさせる!これが俺の考えてる責任の取り方だ」


「カゲさんお言葉ですが、何かやらかしていなくなるのは結構ですが、被害者出たらどうするんですか?こいつのやらかしで実際女性二人にも被害が出てます、またそんな被害が出たら学校辞めて済む問題では無いと俺は思いますが」


 竜斗が噛み付く


「うん…」


 言葉に詰まるカゲさん、親としてはそれ以上の責任の取り方がわからない感じだ


「ヤス、お前の気持ちと謝罪聞かせろよ、いつまでもカゲさんに恥かかせるな、お前の気持ちが伝わらないと俺ら判断できねーよ」


「野球やりたいなら、気持ち聞かせろ」

 竜斗が工藤さんに睨みを効かす


 すると


「みんな!大変申し訳ありませんでしたー!謝って済む問題じゃないことはわかってます!野球部クビになって、気づきました、本当俺、野球好きなんです、この前の練習試合こっそり見に行きました、やっぱりどうしてもこの仲間達と一緒に野球やりたいと思いました!今後は真面目にやります!絶対に足引っ張るような真似しませんから、どうかどうか、よろしくお願いします!」


 工藤さんは土下座をし、おでこをグラウンドの土に擦りつけた


 みんな固まってる


「カゲさん、もしヤスが何かやらかした場合、誰か被害または誰かを傷つけた場合、カゲさん、ヤスを殺せますか?俺は殺せますよ?」


 りゅ、竜斗、それは言い過ぎ…いや、そのくらいのことを工藤さんはやってきている、特に竜斗に対して…


 ホントそのくらいの勢いが無いと信用ならない


「わ、わかった、俺が親として!こいつを葬る、ヤス覚悟はいいか?」


 お父さん、本気だ


「わかった、やらせてくれるなら死ぬ気でやる、エラーや三振とかで迷惑はかけるかもだけど、プレー以外では迷惑かけない、朝の支度やグラウンド整備もしっかりやる!殺される覚悟でやる、やらしてくれ」


 すると工藤さんが、私の元へ来る


「アンソニーさんにも、謝罪させてください、そして先週は逃げ出してしまい申し訳ありませんでした」


 そして、今度はリナさんの元へ


「突き飛ばして、暴言吐いて、申し訳ありませんでした」


 そして、一年生の塊の前にいく


「今まで、申し訳ありませんでした」


 そして、今度は竜斗の元へ


「ハル、正直ハルに対しては、いつも下に見てた、それこそ子分扱いしてた、でも、どんどん俺を抜いていって、なんかそれに素直になれなくて、やるせなくて、ホント俺、どうしようもないことハルにしてきた、本当にごめんなさい」


 うーん、私的には何よ今更感と、都合良くね?感が出てくる


 竜斗の人生を変えちゃってるんだよ?謝って済む問題じゃない!


 本当に竜斗にすまないと思ってるなら、野球部から消えるのが一番じゃないか?


 自分が野球やりたいからって、そんな後付けで謝っても、今までのことはチャラにならない!


 それに、それに、工藤さんが、竜斗とオノマリさんを引き裂かなきゃ、今でも…


 だめだ、結局はそこに着地してしまう


 工藤さんより、私の方がこの野球部にいるべきじゃないかも


 相当こじれてきてる私



 今度はトニーのとこへきて


「生意気言って申し訳ありませんでした!」


 最後に監督のとこへ


「色々、騙して申し訳ありませんでした、今までの自分の言動は全て嘘と捉えてもらってかまいません、すいませんでした」


 そして、最後にもう一度、みんなに頭を下げた

 これで、一通り謝罪は終了


 あとは、みんながどうするか


 トニーはどう考えてるのか


「トニーはどうなの?」


「そうだな、私は真面目に練習してくれれば問題ない、この前のことは忘れる」

 それをみんなに報告する私


 みんな悩んでる


「まぁ、ここまで言ってるわけだし、実際人手足りてないし、とりあえず一か月、今年いっぱい試用期間って感じでどうだろ?」大さん


「まぁな、そうだな、あとはハルがどうするか判断して決めたら?」ドリさん


 みんな、どうするかザワつき始める



「俺ら、一年はハルさんに任せます、ハルさんがオーケーなら自分らもオーケーです」


 一年生を代表して、マッキー(牧野)さんが言ってきた


「工藤さん、試用期間の間は一年生に混じって、朝の支度と後片付け!出来る?出来るんだったら、私もあとはハルちゃん任せ、出来なかったら、ダメ」リナさん


「やる、やらせてくれ、今までやらずに威張り散らしてた、試用期間が終わっても手伝う!」


「人間、そんな簡単に変われるかなぁ、まっ、いっか、試用期間試用期間、ハル、あとは張り切ってどーぞ」ゴー君


 みんな、あとは任す意味合いで竜斗を見る


「わかった、じゃあとりあえず試用期間で様子見よう」


「ヤス!試用期間中、ちょっとでも部員が嫌がることしたら即クビな、それでもいいなら、早く練習着に着替えな」


「あ、ありがとう!みんなありがとう!」


 みんなに何回も礼をする工藤さん


 私とリナさんがいるのに、お構いなしでベンチで着替え始める工藤さん


 まぁ、別に今更、キャッちょっとぉ、なんて思わないが


「カゲさん、もう用済み、早く帰って、カゲさんがグラウンドでウロウロされると、通報されちゃうから早く帰って、インチキ中古車屋に早く行きな」


 竜斗がおどけて工藤さんのお父さんをイジる

 小さい頃から知ってるからこその言葉だ


「ちょっとひどいなぁハルちゃん!俺不審者じゃないよ、それにインチキじゃないから、正規ね正規」



 工藤さんのお父さんが帰って行った


 よくよく見ると、格好が怪しい、ホントにインチキかもしれない


 まっ、これで、

 工藤さんが再び仲間に加わった!


 うーん、まぁみんながそう言ってるし、少しでも変な動きあったら、クビにすればいいか


 私の恋の悩みはまた別の話、野球部としては工藤さんの戦力は大きい



 工藤さんが着替えを終えた、とりあえず一人ランニングに向かおうとしている


「キョーコ、クドウを呼んでくれ」


「工藤さん、ちょっと来てもらっていいですか?」


「はいっ」


 トニーが、今後の練習プランを説明する

 工藤さんが戻ってきた用にプランを作ってあったのは、同期して知っている


 まぁ、そこら辺はさすがトニーって感じかな


 私は、こんな無駄もんいらねーだろ、って見た時思った


 工藤さんが、直立不動で訳してる私の話を聞いている



 一通り説明を終える


「工藤さん、もし練習方法忘れちゃたり、分からなくなったら遠慮なく聞いてください、必要だったら和訳の資料渡しますので」


「わかりました!ありがとうございます」


 工藤さんが、一人ランニングを始めた


 これにて、散々野球部を騒がせた工藤の乱は幕を閉じることになった。


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