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モンスター協奏曲  作者: 東京小町
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24/60

笑顔の絵画

 竜斗のデビュー戦の試合前にシーンは戻る

 

 今日はうちの学校で練習試合が開催される。


 もし、出場となれば、自分自身高校生になってから、初の対外試合出場


 紅白戦も出た記憶ないから、試合と言うのが初めて

 試合形式のシート打撃にちょろっと出た事がある程度だ


 中学も紅白戦以外出た事ない。


 少年野球は覚えてないな、出たっけかな


 スコア書いてた事しか覚えてない。


 よく野球やってたよ俺


 補欠が気に入ってるわけではない

 神様の一声でやれる自分を褒める。



 バスケやサッカー、陸上からスカウト、とゆうか移籍依頼がわんさか来る


 なんで野球?って前置きが必ずある

 でも、絶対他の運動部には入らない。


 答えは簡単、野球以外はプレーしてても、観ててもつまらないから


 昨日、同級生達から声をかけてもらった


「明日試合出るんだろ?見に行くからな」

「明日部活中断して見に行っていいみたいだから行くね」

「テニスコート弾また頼むよ」


 などなど


 ゴーやノブとかの部員達が俺が出ると言いふらしてるからだ


 それに、伝説ショットとかテニスコート弾とか呼ばれるようになったこの前のホームランが、この観戦意欲を後押ししてる。


 最初は、俺なんかのために来て欲しくない。


 試合出れなかったら恥ずかしいからやめてくれと思ってた。


 でも、さすがに今回は出れるだろうと自分で思う


 それだけ、ホームラン打って以降の感触がいいからだ


 大ちゃん(大沢)は、これでハル出さなかったら監督疑うわ、とか言ってくれてる。


 なんだけども、なんか嫌な予感がする


 さっきから、工藤と監督が影でなにか話をしてる

 この光景は過去に何度か見た事ある

 なにか仕掛けてくるに間違いない。


 みんなもそう思ってるはずだ

 しかし工藤は先週あんだけやったのに、なんなんだろうか

 そう、この前は暴力事件を起こしそうになった

 完全にブチギレた。


 リナには比べる感じで悪いが、被害者が星川さんだったら殺してたかもしれない。


 殺人事件の動機でよく「カッとなってやりました」とかの報道をみるが、正にそれになりそうだった。



 ギリギリで星川さんに名前で呼ばれて止まった


 マジで危なかった


 その後、星川さんに泣きながら説教された

 本当に心に響いた、色んな意味で

 大事な人や、仲間を傷つけられるとどうにかなってしまうこの性格


 ちゃんと治そう


 このままだと、いつか本当にチームのみんなに迷惑をかけてしまう、星川さんともう会えなくなる。


 また、なんかあったら大人に任そう

 その方が、工藤には痛手かもしれない

 大人なら、即クビにしてたかもしれない。


 俺が下手な解決をしても、現にこうして大恥かいてるのに性懲りもなく、しれっと練習に来てる工藤


 名取監督は怪しいが、他にもいっぱい大人はいる、それに任せることにする。



 にしても、星川さん……いや杏子

 そう、心の中は杏子と呼ぶと約束したんだった

 杏子に怒られるとなんか嬉しい。


 なんだろ、母親にあんまり怒られるたことがないからかな

 事件になりそうだったんだから、不謹慎極まりないけど

 でも、あの合コンのくだりの迫られ方はゾクゾクしてしまった。


 叩かれて痛かったけど


 とまぁ、そんなこんなんあったのに、懲りずに工作を企てる工藤

 もう、最悪俺はいいよ、頼むから他の奴らには迷惑はかけないでくれ



 予感は的中する


 メンバー発表の時だ


 なんと、工藤が一番で抜擢された。



 そして…俺は…

 スタメンを外れ

 お決まりの審判だった。


 俺は名取監督に嫌われてるのかな


 もう既に観戦スタンドや周りにジワジワと人が集まり始めている、その中には昨日声かけてくれたのもいる。


 恥ずかしい、とゆう感情がなくなるくらいショックだ。


 もうなんか諦めついた


 自分で言うのもなんだが、あれだけのホームラン打っても練習試合で使われないんだったら、やってる意味ないんではないか?


 でも、辞めると杏子と会えなくなるよな、杏子から星川さんに逆戻りだ


 これでも野球続ける気になるんだったら、それはもう神様のおかげではない、杏子がいるからだ


 家に帰ったら、ポスターはがそう


 さっ、やることねーし、まだ早いけど審判の道具つけてみんなにアピールするか、そうすれば俺目当ての人は帰るだろ


 ん?


 みんなキレだした

 クーデターが起き始める


 落ち着けみんな、落ち着け


 やばいな、これじゃチームがバラバラになる



 そこに、杏子が待ったをかけ、監督に尋問をはじめる

 


 そして、また俺は杏子に助けられた、


 いや、今回は部員みんなだ


 この子は、たった十五歳のこの子は、どう生きたら、こんなにハッキリと物事を言えるようになったんだろうか?


 歳上や先輩とか大人とか関係ない


 文句を言う時はしっかりとした言葉に乗せて放つ、しっかりと感情も乗せて


 将来、女優になったらこの美貌も相まって凄いことになるんではないかと思った。


 そしたら、俺は捨てられて人気俳優と結婚するんだろうな

 だったら、俺も新幹線の運転手じゃなくて俳優目指そうかな


 曲がった事は大嫌い、黙って見過ごせない、人の事を他人事にしない、いわゆる硬派の杏子は芸能界は向いてないか、ここ一か月でわかる位なんだから、日頃からそうやって生きてるんだろうな


 その一カ月


 俺は杏子に助けられぱっなし


 杏子がバッティングを開花させてくれた

 杏子のおかげでホームランを打つことが出来た

 杏子がグローブを用意してくれた

 杏子のおかげで容疑者にならずに済んだ


 そしてまた、杏子のおかげでみんなの前で試合に出ることが出来る。


 今後の俺の野球人生は、いや人生そのものが杏子のおかげで成り立っていく気がしてきた


 それでいい、男としてはだらしないけど、それでいい、それがいい


 でも、助けられぱっなしをいつか返せる時が来たら全力で返そう!


 にしても、本当世話になってるだけで、何もしてあげれてない、とゆうか、杏子の方が「大人」なので何も出来ない。


 今、俺に出来ることは…うーん


 そうだ!何処か行きたい所に連れて行ってあげる!


 ってのはどうかな、帰国子女なんだから行ったところないのがほとんどのはずだ!


 誘い方に悩むけど



 さて、もうすぐ試合が始まる。


 トップバッターに抜擢された

 しかも先攻だ

 試合の一番最初に打席に立つ


 えっと、めっちゃ緊張してきた

 まず、いつもより観戦する人が多い、いや多すぎる。


 観戦スタンドが満席だ、グラウンド周辺にもチラホラ人がいる


 大会に比べれば大したことないが、試合初めての俺からすると大観衆に匹敵する


 ん、あれ、あ!姉ちゃんが来てる!


 嘘だろ、なんでだよ、てか横にいるのゴーの姉ちゃんだ、誘われたのか?てか、ゴーの姉ちゃんが来るのが珍しい


 どうゆうこと?


 杏子どこにいるんだ?いないぞ?なんて探してたらスタンドで姉と喋ってるのが見えて、姉の存在に気がついた。


 マジかよ


 姉ちゃんが来てるプラス杏子と会話


 違う意味での緊張が追加される


 はづき達もスタンドにいる


 あ、杏子のお父さんも来てる、横にいるのがお母さんか、確か…涼子さん!綺麗だな、ドラえもんみたいなうちの母とは大違いだ


 うわぁ、なんか色々いるなぁ


 更に緊張度が増していく



 整列後の挨拶も終わり

 初回の打席に備える

 ネクストで何してたか覚えてない


 とりあえずは、装備はちゃんと付いてる

 ヘルメットもかぶってる、バットはこれで合ってるよな


 相手の投球練習が終わりそう、オドオドとバッターボックスへ向かう


 すると、みんなの声援が聞こえてくる、何言ってるかわからないが、ホームランを打って!みたいな声援を送ってくれている。


 やめろよ、俺初めての試合だぞ、余計に力が入っちまうじゃねーか


 それに、そんな簡単にホームラン打てるわけねーだろ


 プロじゃあるまいし



「春樹さん!」


 ん?この声は、雑音の中に透き通る声が俺の耳に綺麗に届く


 振り返る


 わっ


 監督を詰めてた時の悪魔みたいな顔から一変、満面の笑顔で俺を呼ぶ杏子が目に飛び込んでくる


 そう、この笑顔は俺にしか見せない笑顔だ!

 と、勝手に思っている。



「楽しんで!」


 その言葉を聞いてスゥーと落ち着いた。


 初めて生で見たプロ野球の試合を思い出す


 野球楽しい!自分でもやってみたい!から野球を始めたんだった。


 いつのまにか、忘れてたわ


 声援されて、それに応えようとするのは悪くないと思う

 でも、それ以前に俺は初試合じゃん


 デビュー戦だよ、結果が良かろうが悪かろうが、おそらく一生忘れない打席


 まずは楽しまなきゃ!


 ってまた救われたわ



 不思議と足がバッターボックスとは逆の、ベンチ前に出て来ている杏子の方に向く


 ありがとう、これだけ伝えたい


 キョトンとしてる杏子、その顔も好きだ


 ハグ、いや抱きしめたくなるが、ここは当然我慢


 肩くらいは触っていいかな


 みんなには聞かれたくないので耳元でささやいた

 すると、杏子も優しく返してくれる


 うん、よし!テンション上がった!



 バッターボックスに入り構える


 あ、そか相手左だったわ、あれコイツ…デブじゃね?


 無駄にデカいぞ


 ま、俺は全部初なんだから、左だろうがプロレスラーだろうがなんでもいーよ


 なんも考えないでいく


 ストライクゾーンに来たら、打つ!


 モーションに入る左投手

 なんか見づらいな

 これが左対左か、コバともっと練習しとけばよかった


 投げた!


 ストライクゾーンにキタ!ってうわ!

 変化球だ!外側に逃げてく!


 体が前に行きかかるが、必死に踏ん張る!


 身体が自然に、反応する


 ギリギリまで待って、最後の最後でバットのヘッドを走らせる


 イメージは逆方向


 よし!捉えた!

 後は左手で一気に押し込む!


 アンソニーさんから教わりながら特打をしたのと、杏子がアドバイスを加えながら上げてくれるトスが活きた!


 もちろん素振りも今まで通りやってる!


 が!思いのほか、ボールが曲がって、粘りきれず体勢を崩された


 それでも、芯食ったし、思いっきり振れたからもしかして、と思ったんだが…

 打球を見ると、崩された分、上に上がりすぎてしまった


 センターが補強体勢に入ろうとする

 あちゃーダメか



 落とすかも知れないから一生懸命走る!

 あれっ?と思った瞬間


 ガコン!


 音の方向を見ると、ボールが中庭のベンチの三角屋根をコロコロ転がってるのが見えた


「ヨッシャ」

 思わず声出た


 少し間があった後、観衆が騒ぎだした!

 やった!期待に応えられた!

 超嬉しいし、楽しい!


 ただ楽しめたらいいと望んだ打席だが、こうして期待に応える事が出来ると尚楽しい!


 これがスポーツの醍醐味


 オーバーかもしれないが、野球続けてて本当に良かった。



 ホームに近づくと、最前列で杏子が待ってるのが見えた。

 ホームを踏んで駆け寄る!じゃないわ

 危な!ゴーの握手をシカトするとこだった

 ゴーとガッチリ握手して


 杏子の元へ


 杏子とハイタッチ!のはずが嬉しすぎて思わず抱き寄せてしまった


 ま、いっか


 みんな、デビュー戦なんだから大目に見てくれるはず



 試合は順調に進む


 サードの守備なんだが

 なぜか鬼のように俺の所に飛んでくる

 でも、それがまた楽しい


 エラーするかもしれないが、そんなの知らん

 取れるボールは必死に取って投げるだけ

 捕球して、自分の投げたボールがファーストにビシッと決まるとこれがまた気持ちいい


 練習でも味わえるが、試合だと百倍、千倍気持ちいい


 ウッチャン(羽堂)がよくカッコつけてるが、そうしたくなる気持ちがわかった…気がする


 

 試合は中盤を折り返す


 すると、リナがぶっ込んできた、いやグッジョブだ!

 そうなるともう、不謹慎だがそのことで頭いっぱい


 でも、こんなことしてるようじゃダメだ、他の高校球児はもっと血みどろになって練習してるんだ


 ダメだ、ダメ、うーん、デビュー戦くらい…


 良いよね


 人間、欲には負けることがある


 チューのことで頭がいっぱいで、ハートマークだらけのホームランボールをしまうの忘れてた


 誰かに見られたら大変だ


 てか、ハートだらけのこのボールをどこに飾ればいいんだ?

 まぁ、親は部屋に入ってくることないし、いつか。



 その後、アンソニーさんから今日投げるぞ、と、言われた


 マジかと思ったが、ほっぺにチュー事件のせいで、緊張が柔らいだ

 

 なんなら、やる気がみなぎってくる


 そりゃ、三振取ってもチューなら、みなぎる


 杏子の唇ばっかりに目が言ってしまう


 不謹慎かな?

 まあ、デビュー戦だしいいだろ


 

 


 試合終了


 最終回のホームランは完璧に打てた!


 狙って打った!もちろん動機が不純だが、狙って打てるモノなのか確かめたかった。


 今回はたまたま上手くいっただけかもしれない、でも大きな自信にはなった。


 今までは、どこか偶然打ててるだけかも、なんて思ったりしていたが、この最終回のホームランで確実に力が付いてきてると思えた。


 天狗にはならないよう気をつける


 でも大丈夫


 俺は謙虚に野球出来る

 補欠が長いと嫌でも謙虚になる。


 出てるのが当たり前と思わないからだ

 ガブ、大ちゃん、ノブ、辺りは天狗ではないが、出るのが当たり前感はガッツリある。


 そうならないよう励む!

 それよりも本当に楽しかったのはピッチングだ!


 最初は、プレートの使い方や傾斜に苦労したが、もう平気!


 ピッチャーは気持ちいい

 グラウンドの真ん中に立ち、自分の投げるボールが試合を左右する


 打たれたら、責任がのしかかってくるが、それを差し引いてもやり甲斐がある!


 何キロ出てたんだろうか?

 140は出たかな?無理か


 アンソニーさんのスピードガンが気になって、聞いてみようかと思ったが、ショックになるのも嫌だからやめとく



 あ、そうだ


 クールダウンしないと

 もちろん杏子とやらないとな


「付き合って!」杏子に声を掛ける


 ん?なんだ?


「もももももももちのロンです!オーケーです!喜んで!はい!」

 と言ったあと、

 なんか、急にモジモジしだした


 目がキョロキョロ、顔真っ赤


 からの、右に左にウロウロ


 でた、いつもの不審者杏子


 うわ、これ、なんか勘違いしてるね


 ハハ


「付き合って」を完全に勘違いしてるわ

 もういっそのこと、このまま付き合ってもいいか

 オーケーって言ってるし


 てか、完璧そうな顔してるのにけっこうポンコツなんだよなぁ


 この流れ勘違いするかね?


 こんなとこで告白するわけないだろ


 まあ、そんなポンコツ具合も好きだけど



「ブルペン脇にいこ!」 

 

 ブルペン脇には誰もいないので、クールダウンのキャチボールに向かう



 え!えーー、ブルペン脇に誘っただけなのに、めっちゃ動揺してるやん、もしかしてまた何かと勘違いしてる?


 しかも、ブルペン焼きってなんだよ ククク

 ブルペンで何焼くんだよ!

 もう、笑い堪えるの必死

 


 キャッチボールしながら吹きそうになる

 でも、なぜか杏子も笑ってる

 なんでだよ!


 脇と焼き、確かに発音似てるけども!

 可愛いすぎる


 そういえば、人を馬鹿にするとバチが当たるとおばあちゃんから聞いたことがある

 それが現実になる


 この後、俺の弱点が杏子にバレた


 これね、本当無理

 考えるだけでもヒャーってなる


 子供の頃から無理


 病院は嫌いではないが、聴診器を当てられるだけで死にそうになる


 なぜかわからない、ダメ


 後悔した、痩せ我慢すれば良かったが、ご丁寧に杏子に説明してしまった。


 それを聞いた時の杏子の顔がこれまたエグい

 肉食動物が獲物を見た時の目だ


 チーン


 散々もてあそばれた


 おそらく今後、浮気したらやられるだろう

 いや、浮気はしないし、したらそれだけでは済まなそう、殺されそう


 将来、付き合いでキャバクラとかに行ったら間違いなくやられる


 まっ、こんな将来の妄想するのも悪くない


 いや、そんな幸せな話ではない、あの目はちょっとした事だけでもやってきそうだ


 


 そして、ひょんなことから、四人でカラオケに行くことになり

 更にひょんなことから杏子の家でカレーをご馳走になることになった。


 杏子のお母さん、涼子さんはマジで綺麗

 俺が三十歳老けてたら、アタックしてるかも

 石田ゆり子と和久井映見を足して2で割った感じ


 俺の母は、ドラえもんとドラミちゃんを足して2で割った感じ


 天と地の差だ!


 涼子さんに

「秘密守ってる?」と言われた


 もちろん守ってる、手紙の件だ


「でも、涼子さん、杏子さんを猪って…真面目に笑いました、でも一直線っていいことですね、涼子さんの育て方に尊敬します」


「やだもう、またグローブ必要になったら私が買ってあげちゃうから!それと、早く披露宴あげてね、楽しみにしてるわ」


「はい!」


「あ、そうそう、ハグしてあげた?」

「はい、自分なりにですけど」


「やだぁ、本気にしたの?もう、責任取ってあげてね」


「え?」

「ウフフフフ」

 

 あれ?俺?騙された?

「ハハハハハ」

 とりあえず、一緒に笑っておく


 なんてコソコソ話をした


 すると、怒りのローキックが俺にクリーンヒット


 マジで痛い


 ガチで怒ってる、自分の母親にそこまでやきもちやくかぁ?


 顔はパンパンにして、鼻をめっちゃ膨らましてる

 いやね、かわいいよ、うん

 怒った顔も好きだ

 でも、そこまで怒るかね…

 まぁ、そんだけ好きでいてくれてるってことかな


 もう告白した方がいいかな?


 いや、オフシーズン入ってからのがいいな

 来週も試合がある、まずはそこに集中しないと。


 


 チャリンコデート


 カラオケに向かっている、後ろに杏子を乗せてチャリを走らせてる途中、コバとマッキーを発見


 だが、ここはスルーだ


 あいつらが何をやってるのかは、実は俺は知っている


 本人達は、恥ずかしいのか誰にも言ってない


 たまたま、前にここの運転公園で見かけた

 声をかけようかと思ったけど、やめた


 内容的に邪魔してはいけないと思ったからだ


 今回もそう、あいつらの夢のための時間を邪魔してはいけない



 チャリンコデートが続く、立ったり座ったりと後ろでバタバタしてる杏子、落ち着きないなぁ


 女の子と二人乗りなんて久しぶりだなぁ、高校に入ってからはない、なかったよな


 あったかな、あ、あったわ、はづき乗っけたわ

 やべ、嘘ついちゃったよ


 あれは、たまたまだ、たしか…駅に向かう時にバッタリ会って、乗っけただけ


 あー、どしよ、言うか?


 いやぁ、この流れ壊したくないな


 チョップされそうだしな


 やめとこ


 そんなこと考えてたら、なんかお腹周りがむずがゆい


 ふとお腹を見ると、いやらしい手つきでわしゃわしゃと杏子が触ってる、なんだよ痴漢たぞ!


 からの、何が気に入らなかったのか、チョップされた


 理不尽


 結局チョップされたよ!

 いいや、これで不可抗力の嘘はチャラってことで



 カラオケ、プリクラ、クレーンゲーム

 おそらくみんな初体験だった杏子


 無邪気に楽しそうに遊んでた


 大人ぽい一面もあれば無邪気にもなる、怖いと思うと優しい笑顔、しっかりしてると思いきやけっこうポンコツ


 いろんな顔を持ってるのも魅力だ


 カラオケで頑張って歌ってる姿が微笑ましく見えた


 えっと、眼鏡がやばい!

 めっちゃエロ…違う、似合う


 めっちゃ似合う

 眼鏡のCMくると思う


 顔が小さいからかな、ごちそうさまです


 最初に歌ってたのがキューティーハニー

 まぁ、それは良いとして

 その後の選曲には驚いた。


 流行りとゆうか、時代が少し遅れてる気がする

 アメリカには日本の文化は遅れて伝わるのだろうか


 スクールウォーズの歌が流れてきた時は、誰か間違えて入れたのかと思った。


 歌だけではなく、普段の言葉のワードがちょいちょいオヤジ臭い

 まぁ、それも可愛いからいいけどね



 涼子さんに何か買いたいので、駅ビルへ

 スライムを抱き抱えて横に歩く杏子

 でもそのスライム、怪我してる、白いの見えてる

 殴りすぎだよ、可哀想に…

 


 駅ビルぶらつき


 これは、紛れもなくデートだよな


 一軒目の雑貨屋で良さげなエプロンを見つけたので、買おうとしたが、せっかくなのでもう少しブラつきデートを続行する。


 なんか、みんな見てくるなぁ


 杏子の美貌に見惚れてるのがすぐにわかる


 これで中学生って聞いたら、腰抜かすだろうな


 てか、中学校ではどうなんだ?


 モテるだろこれ


 いや、ここまで大人ぽいとみんな逆に遠慮するか


 今日小林と会ったけど、あいつは全然だったな、お互い興味なし!って感じ


 でも、キャッチボール嫌だ



 

 そして、まさかの清水先生と遭遇


 懐かしい、清水先生は中二の頃の担任だ

 アイツと同じクラスだった時の担任だ


 あの事件の事もよく知っている。


 そっか、確か学校とこの駅を挟んで反対側に住んでるって聞いたことあったわ、そりゃ会う確率は高い


 

 え!マジか今は杏子の担任かよ


 ここは、色んな意味でごまかした方がいいよな

 必死に頭の中で考え、言い訳をする俺


 それなのに、わざわざポンコツかまして台無しにする杏子


 さすがに俺も文句を言う


 が、逆ギレされる

 

 なんか少し、将来が見えた気がする。

 


 とりあえずは清水先生、学校で杏子に余計なことを言わないでくれ、言う時は自分で言うから


 

 星川家到着


 帰りの途中に胸の話をブッ込まれた

 迷わず、大きい方が好き!と心の中で思った。 


 が、当然言えるわけがない、言ったらおそらく…今俺はこの場にいない。


 胸で選ばないのは本当、例え杏子がぺったんこでも好きなのは変わらない。


 まぁ、あるに越したことはないが

 まだ中三だし、伸び代に期待する


 まぁいいや、この件は深く考えない方がいい気がする。



 家の中に入ると、涼子さんがニコニコ笑って出迎えてくれる。


 杏子とは少し違う笑顔、おっとり笑顔


 惚れそうになる

 いや、違う、安心する。


 家の中は綺麗に片付いていて、掃除が行き渡っている、自分でも掃除するからわかる、なかなかの綺麗好きだ


 となると、杏子の部屋が気になる。


 なんだろ、散らかってるイメージしか湧かないのはなぜだ!



 着いて早々に早速カレーが出てきた!


 マジ美味い、めっちゃ美味い!

 冗談抜きで、店開きなよレベル


 サラダも彩り豊かでたまらない


 どうしても、うちの母と比べてしまう


 うちの母は料理が下手だ、ハッキリ言う下手だ

 しかも、自覚がないから始末が悪い


 基本全食コンビニだが、たまに仕事が早く終わると作ってくれる


 忙しい中、作ってくれるので俺と姉ちゃんは何も言えずに黙って食べる、それが正直しんどい


 下手と更に、味付けが独特、すぐお酢を入れる、入れまくる、むせるレベル


 カレーも食べたことある、大変申し訳ないがコンビニのが美味い


 母本人は、自分で作った料理を「美味しい、上手くできた」なんて言ってる


 舌もドラえもんなのかと思ってしまう


 って、ちょっと言い過ぎた

 俺達のために朝から晩まで、ほぼ休み無く働いているので感謝はしてる。


 だけど、料理の美味しいお母さんがいるのはうらやましい。


 うますぎてめっちゃ食った

 お腹いっぱい

 今チョップされたら吐くわ



 食後、涼子さんが杏子の昔話をたくさんしてくれた


 その中で、小学校時代はキャッチャーだったのは驚いた


 最初からミットを持ってたから不思議だった


 ドリ(有村)やマッツン(松山)と、よくミット話に話を咲かせてる


 ドリのミット見て「うわ!ハタケヤマだ!見せて!触らせて!はめてもいい?」とか


 マッツンは「杏子ちゃんのは古田モデルか!しかも上手く作ってあるね、ポケットの遊びもいいね」とか


 そりゃ、杏子が楽しそうなので気になって耳がダンボになる


 なるほど、キャッチャーやってたからか!

 杏子の捕手フル装備姿を想像すると、ちょっと可愛く感じる。



「それでね、キャッチャーやってる時にホームベースで同じ子にスライディングで二回も足引っ掛けられてね、その二回目の時に杏子がキレちゃって大変だったのよ、蹴り入れちゃって」


 涼子さんがニコニコ説明してくれる


「学校でお友達をイジメた男の子にビンタしたりね」


 涼子さんかニコニコ説明してくれる


「中学校の頃なんて、日本人の女の子だからって相手チームからヤジ言われてね、そのベンチを狙って何回もファール打ってたら、相手黙っちゃったの」


 涼子さんがニコニコ説明してくれる


 全ネタ、ニコニコして話す内容では無いと思う


 てか、ベンチ狙ってファール打ち続けるって凄いな


 杏子は一応、恥ずかしそうにはしてるが顔は完全にドヤってる



 二人の昔話を聞いてて、たまに違和感を感じる

「あ、この話はダメね」なんて、途中でやめる話がちょいちょいある。


 確信は出来ないが、誰かの存在を隠してる気がしてならない


 ボーイフレンドかな?と思ったんだが、なんか違うな


 気になるが、もし隠すならそれなりの理由があるんだろう


 俺を騙すって感じでは無さそうなので、忘れた方がいいな



 そろそろ帰らないと、これ以上は迷惑だ

 杏子の部屋を見たかったけど、まだ早いか

 帰りの挨拶をして、玄関で靴を履いていると、また違和感を感じた


 家は、普通より少し大きめの二階建て一軒家

 だけど、下駄箱が玄関の両サイドにあり、その片方が異様に縦にも横にもデカい、家のサイズと全然合ってない。


 確かお兄さんはアメリカの大学に行ってるみたいだから、今は三人家族だよな


 小さい方だけでも充分なはずなのに、更にメッチャ大きい方もある


 家を建てる時にミスった?

 後付けでは無さそうだから、そう思ってしまう

 それとも、下駄箱ではないのか?


 謎だ


 悩みながら、チャリをまたぐ


 わっ!

 やった!チューきた

 てか、忘れてた!


 ほっぺにやわらいタッチで唇が触れてくる

 えっと全部で四回だよな


 四回終わった、ありがとうと目を見て言おうとしたその時だった


「ブチュッ」




 帰りのチャリに力が全然入らない


 家に着いて、あることを思い出して電話をかける


「あ、バヤ、遅くに悪いな、弟まだ起きてるか?悪いが弟に用があるんだ、代わってくれ」


 電話が終わると、自分の部屋にフラフラ向かう


 部屋に入り、マイ宝箱をオープン


 一番上には涼子さんからもらった手紙がある

 その上に今日撮ったプリクラをそっと置く


 そして、宝箱の上に置いてあったデカい封筒を開ける


 中には三枚の画用紙が入ってる

 三枚とも絵が描かれている


 既に見てるが、また出して見る


 そして、ニマニマする


 笑ってる杏子

 俺の打席を拝むように見てる杏子

 俺のホームランに喜んでる杏子


 どれも、凄い似てる、白黒写真みたいだ


 試合後に、大ちゃんの彼女の太田ヒロちゃんからもらったやつ


 宝箱に入れようとすると画用紙を折ることになってしまう


 それは嫌だ

 さて、どうすっか

 額縁に入れて飾ろう!


 神様のポスター剥がして飾る…いやこれはこれで外したら縁起悪そうだ。


 ん、自分の好きな子の絵を額縁に入れて飾るって、普通にキモくないか?


 

 今日は本当に濃い一日だった

 たぶん一生忘れられない日になるだろう



 事故のキッスなんて本当にあるんだな



 ん?額縁ってどこで売ってるんだ?


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