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モンスター協奏曲  作者: 東京小町
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23/48

初デート

 

 宴が終わった後の静かなグラウンドを後にして、私達レッツゴーカラオケ隊の四人は、仲良く駐輪場へ向かう。


 竜斗とゴー君は真っ黒泥んこ、私とリナさんはレディ、各々一旦リフレッシュのため帰宅することになってる。


 シャワー浴びて、着替えてから集まる。


 えっと、何着てこ…服装に迷う


 野球部の練習以外で会うのはお初


 ふと思った

 

 帰国してから家族以外の誰かとグラウンド以外で行動することが初めて


 集合二十分前に、竜斗がうちに迎えに来てくれる。

 なので!帰国後の初めての行動相手が竜斗になる!


 ムフフ


 顔は老けてても、中身はピチピチの中三女子、無理くりにでも運命的シチュエーションを作りたくなる。


「おい、またエロい妄想してるのか、カラオケで興奮してブチュブチュするなよ、店員呼ぶぞ」


「しませんて!」


 でもイチャイチャ位ならいいかな


「イチャイチャもダメ!カラオケを楽しみなさい」

 なんで心の中がわかるんだ!


 エスパーリナだ!


 いや、私が分かりやすいだけか


「あと、キョウちゃん!張り切ってバッチリ決めてこなくて良いからね、駅前のカラボ行くだけなんだから、ダル着でいいからね!」


「わ、分かりました」


「バッチリメイクのブリブリお洋服は逆に笑うぞ、ハルちゃんはいつもセットアップ系だから合わせてあげれば?」


「なるほどぉ」


 竜斗のセットアップ姿を想像しようかと思ったけどやめとく、また変態顔になりそう


 まっ、どうせ後で拝める


 セットアップは私は大好き!

 自分の持ってる服もセットアップが多い


 ブリブリお洋服なんて持ってないわ


 ただ、家に洋服は山ほどある、なんならショートパンツやミニスカやミニワンピなど多数ある…全部お下がりだけど…


 自分にはまだ早いと思ってたけど、これだけ老けてる扱いされるなら、もう着てやろうかなと思ってる。



「じゃ、あとでね〜バイバイキーン」

 リナさんがゴー君とチャリ二人乗りで帰っていった。


「じゃ、あとで行くね」

 甘い言葉を残して竜斗も帰ってく


 ん、あれリナさんはどこに行くんだ?


 確か、家は結構遠いはず、集合時間に間に合わなくね?

 ゴー君の家?服はジャージのままで来るのかな?


 あ、やばい、人の心配してる場合じゃないわ


 立ち漕ぎでダッシュで家に帰る!




 帰宅!


 ダッシュで部屋に入り、バッグをぶん投げ、着替えを持ってお風呂に…


 んーちょっと待てよ、自分の部屋を改めて見渡す


「………」


 ブルトーザーのように部屋を片す!




 ダッシュでお風呂!


「コラー!なんで杏子はいつもバタバタするの!家の中で走ったって大して変わらないでしょ!」


 母の言うことはごもっともだが、シカトする



 風呂イン!


 体や頭を洗いながら、今日の服装や髪型の作戦を練る


 そりゃダル着でイイと言われても、そうはいかない!


 初デートだよ?最初って大事じゃん


 決めすぎず、程よくいい感じなやつを、脳内で着せ替えしていく



 風呂アウト!


 一応、候補の服を脱衣所に持ってきていたが、すでに却下済み


 なので、下着姿で髪をタオルで巻いて部屋にダッシュ!


「コラ!なんて格好して出てくるの!祥子と同じことしてると、あなたもお嫁に行けないわよ!」


 おいおい、勝手に春樹家の嫁にどぞって言っといて何を言ってる


「全く、うちの娘達はお父さんに変なところ似ちゃって ブツブツ」



 全部スルーして部屋イン!


 とりま、先に髪をセット


 竜斗とは、グラウンドでしか会ったことないので、帽子姿かポニーテールしか見せてない


 今日は、女を見せないと!

 アイロンで綺麗にストレート、からの軽く毛先を内巻きにする


 前髪は自然に流す


 メイクは軽め、眉毛を少し書き、まつ毛を少し上げる、あとは元々二重なのでこれでオケ


 リップグロスを軽く塗る


 ファンデはいらないね


 さて、問題は服だ、うーん、夜になるともう寒そうだしなぁ…





 

 ピンポーン


「杏子!春樹君来たんじゃない?」



 ダッシュでインタホーンの画面を覗く


 竜斗だ!画面越しでもいい男だ!


 ゴホン、喉を整えてから


「あ、春樹さん、すぐ行くからちょっと待っててね」


 この場面はタメ口っしょ


 結局、上下クリーム色のパンツタイプのセットアップにした

 胸元が広く開くやつね


 これのミニスカ版もあるのだが、攻めすぎなのでやめた


 お下がりのミニショルダーバックを肩にかけ


「お母さん!行ってくるね!」

「はいはい、あ、眼鏡はいいの?」


「あ、そっか」



 ダッシュで部屋


 メガネメガネ


 細めのスクエアタイプの黒縁眼鏡を取る!


 視力が悪いわけではない、チカチカするのを見る時はブルーライトカットをする


 パソコン見る時とかにかける、今日はカラオケだから持ってこ


 父の教えで、野球選手は目が大事ってよく言っているから


 ってのは建前で、オシャレ要素のが強い



 家の玄関を開ける


 チャリにまたがって待つ竜斗


 うーーーわっ、こりゃいかん、開けたドアをもう一回閉めようかと思った


 竜斗は、上下グレーのスウェット系セットアップ、上はフルジッパータイプのパーカー、下はちょっとゆったり目で裾は少し細め、上のファスナーが白くなっていてアクセントになっている、そして白いキャップを逆向きにかぶっている


 んとね、多分この人、セットアップ似合う選手権で殿堂入りできる!


 マジで惚れ直した、てか私なんかでいいのか?


 逆に自信無くなってきた



「おおおお待たせ」

「う、う、ん、全然平気」


 お互い初めてのスタイルなので、当然お見合い状態



 チャリを出そうとすると


「お姉さん乗ってかない?」


 竜斗が、自分のチャリの後部の荷物台をポンポンと叩いてポーズを決めている


 ゆゆゆ夢のカップル二人乗り?


「乗ってく!」


 母が出てくるとうるさそうなので、逃げるように家を出発!


「ステップついてるから、そこに足乗っけてね」

 言われるがままステップに足を乗っける

 ん、なんか慣れてるな


「竜斗くん、いつもこうやって女子を乗っけてるのかな?」


 ちょっと意地悪めに質問してみる


「ち、ちがうよ、前はね、よくゴーを乗っけてたんだよ、そのステップはゴーが買ってきたんだ、最近はリナと一緒だからそのステップ暇してたんだよ」


「ふぅーん、本当?」


 座ってたけど、そのステップに立ち、両手を竜斗の首に回して顔の近くでささやく


 うん、テンション上がってるのか私大胆


「ほほ、本当だよ、ノブじゃないんだから、誰も俺と二人乗りなんかしたがらないよ」


 うーん、この人はある意味、私よりお花畑だ

 キャプテンより数段イイ男なのをわかってない


「じゃあ、もう後ろに私以外誰も乗っけちゃダメ」


「えっ、あ、うん大丈夫、二人乗りするの高一以来だもん、あ、それゴーだからね」


「約束出来るのかな?」

「もち!ここは杏子専用です」


 なんか嬉しかったので、竜斗のキャップを奪って自分でかぶる、男子のくせに柔軟剤の良い匂い

 せっかく髪セットしてきたの忘れてる私、けどいいや


「わ、ハゲがバレちゃうじゃん!」


 キャップを取られて慌てる竜斗


 ハゲてはない、短髪なだけだ



 ん、あれ?

 マッキーさんとコバさんじゃん


 うちの近くの運動公園の前を通る時、公園にいる二人を発見


 なにやら、二人で姿勢よく立ってなにかやってる


「春樹さん、あっち見て、マッキーさんとコバさんいるよ」


「え、あ、本当だ」

 ちょっと考える竜斗



 でも、そのままスルーしてチャリを漕ぐ


「え、声かけないんですか?」


「うん、だってさ、リナの誘いを断ってここでなにかしてるわけじゃん、ってことはカラオケよりもやりたい事やってるわけだよ、ここで俺が声を掛けたらあいつら気まずくなるし、もしかしたら俺の顔を立てて、今やってることやめてカラオケに来るかもだから、ここは優しくスルーした方がいいんだよ」


 確かに!


 そうゆうとこだぞ竜斗!私が惚れるのは!


 ちょっと、メロってきたので、立ってるのをやめて、座り直す私


 今度はお腹周りに手を巻く


 めっちゃ腹筋すご!


 ちょっとモミモミサスサスしてみる



 無反応


「お腹は平気なんですか?」


「え、うん全然平気」


 ピチピチ中三女子が触ってるのに無反応


 なんかむかつく


「チョップ!」

「ひゃーん」

 おし!なんか気が済んだ



「あ、春樹さん、セットアップ系好きなんですか?」


「うん、てかさ、中学から身長伸び続けてるから、服がすぐ着れなくなるんだよ、だから買う時にサイズアップして買うようになるから、どうしてもダルく着れるジャージとかになるんだよね、からの好きになった感じかな」


「私もジャージとか、セットアップ系好きなんですけど、おすすめのお店とかあります?」


「お!そうなの?んとね!最近良いところ見つけたんだ、ちょっと遠いけど横浜にあるんだ、一階がメンズで二階がレディースになってるから、けっこう種類あるよ」


「わぁ、行ってみたい!」


「じゃあさ、試合の時に話した、好きなとこ連れてってあげるはそこにする?」


 んーちょっと悩む私


「あの、その券は一枚しかないですか?」

「え?」


「そこも行きたいけどぉ、もう一箇所!だめ?」

「だだだめじゃないよ!ちなみにどこ行きたいの?」


「えっとぉ、お城」


 そう、私は半分アメリカ人みたいなもん、アメリカ人が侍や忍者を好きな感覚と似てる


 あと、日本の歴史も好きだ

 戦国武将、けっこう言える


「お城?マジで?オーケー、じゃどのお城か任せてもらっていい?」


「あ、はい、竜斗セレクトでよろしくお願いします」




 駅前カラオケボックス到着


 ゴー君とリナさんが一階のゲームセンターから出て来た。


「お二人おっつ〜」

 リナさんがこちらに気づいて、手に持っているチュッパチャップスをフリフリさせて合図してくる。


 もう片方の手には、キーホルダーの輪っかの部分を人差し指にはめてキーホルダーをクルクル回してる。


 Vネックの茶色いニットにふわふわした白のショートパンツ、髪はちょんまげではなく、少し長めの金髪ボブヘアーが綺麗に内巻きにされ、セットされている。


 黒いミニリュックは腰の辺りにぶら下がる


 普通に可愛い、雑誌に載れちゃうレベル


 てか、ダル着で良いとか言ってたよね?


 全然じゃん、あぶねー騙されるところだったわ


 ん、あれ?リナさん家帰ったのか?


 よく間に合ったな、さすが早い


 で、ゴー君のファション


 かなり奇抜なのを予想してたが、そうでもなかった


 黒のハンチング帽に薄手の黒の革ジャン、下は黒の細いパンツに上から黒のスカートみたいのを履いている


 全身真っ黒、スカートが妙に似合ってて面白い

 

「ちょっとリナさん!ピカチュウ、目回っちゃう」


 クルクルさせてるのは、黄色いアイツピカチュウだ!


「どうしたんですかそれ?」


「ん、これ?時間あったからそこで取ってきた、二百円でゲッチュ」


 ん?店の中を覗くと…


「わっ!UFOキャッチャーがいっぱいある!え、え、プリクラもある!」


 大興奮、初めて見る景色


 自然と店の中に吸い込まれていく私


「ちょっと待て」

 リナさんが、肩を掴む


「後にしなさい!キョウちゃん初めてだから興奮するのはわかるけど、その勢いでやったらカラオケどころじゃなくなるし、お金溶かすよ」


 うー、確かに有り金全部使いたくなる


「ね、とりあえず初カラオケしてからにしな、その後また来ればいいじゃん」


「ムー」


「ホレ、これやるから、とりあえず我慢せい」


 ピカチュウをポイっとしてきた


「え!いいんですか!やったー」


 ピカチュウ大好き


「ババアの顔してピカチュウで喜んでるよ、ウケる」


 私の顔が勝手に歳を重ねられていく


 マジで嬉しいので、スルー


 早速、自分のミニバックにカチャカチャとつける


 すると、リナさんが綺麗な二度見してきてからの固まる


 リナさんが固まるなんて珍しい


「おーい、先に受付してくるからなぁ」

 ゴー君が竜斗を連れ二階のカラオケボックスの受付に向かった


「リナさん?私達も行きましょ…」


「キョ、キョウちゃん!こ、これ」

「はい?」


 リナさんが、私の肩に掛かったままのバッグを持ちあげる、ピカチュウがプランプランしてる


「フェ、フェンディじゃん!」


 そうだっけ?お下がりだから、よくわからん


「これ、めっちゃ高いやつだよね?」

「え、あ、そうなんですか?わからなかったです」


 しまった、ヴィトンやプラダとかシャネルならわかるが、これがそんなに高いとは思わなかった


 元野球女子はブランド物にうとい、勝手にナイキやアディダスと同レベルかと思ってた!


「しかも、これめっちゃおしゃれ、センスいいね、本物?」


「あーはい、メーカー(ちょく)とか言ってたから間違いないと思いますよ」


「直…直?ねえアナタ何者?」


 あれ、火に油注いだか?


「もしかして、キョウちゃん!パパいるの?いそうだよね」


「え、野獣のことですか?」


「違うよバカ!」

「誰かに貢いでもらったの?あ!わかった!キョウちゃん銀座で働いてるべ」


 働けるか!でも、マジな目をして聞いてくる


「ち、違いますよ、えっと、その、あ、母が懸賞の応募に当たったので、もらいました…」


 いけるかな、恐る恐るリナさんを見る


「ふぅーん、直の懸賞?」

「そう、直の懸賞…」


「ふぅーん、まっ普通に中学生が買えるわけないし、キョウちゃんは真面目だからパパはいないだろうし、さすがに銀座はないか」


 ほっ、よかった


「って、おい!そのバックの中に黒革の手帳入ってるべ!見せろ!」


「キャッ、やめて!お巡りさん!ここにひったくり犯います!」


「ひったくり犯からの〜痴漢!グヘヘへ」


「キャー」

 私の胸を揉みまくってくる変態女


「あれ、あ、なんかごめん」

 急にスンッてなった痴漢女


「私のより全然ちいさ…」バチン!


 デカパイ女の生足にローキック炸裂!


「痛っ!ちょ、キョウちゃん?マジ蹴りしてない?」

「失礼な痴漢には遠慮はいらないと母から聞いてます!」


「てか、キョウちゃん、と、とりあえずさ、フェンディからピカチュウは外そうか、頭おかしい人と思われるよ」


「あ、はい」



 太ももの裏側が真っ赤になったリナさんと二階の受付に向かう



「ハルちゃん、さっきは悪かった、私もローキック被害者の会に入れてくり、あのヒス女、やっべーぞ」


「なにか言いましたか?」

「なんでもないです」


 フフフ、マッキーさんもその会に入れてやれ


「ハルちゃん、アイツの地雷わかったぞ」


「え?地雷?」

「うん、うんとね、おっぱ…」

「オラァ!」

「ヒーー」


「おい、行くぞー」

 ゴー君の号令と共に部屋に向かう

 の、前に

「キョウちゃん、ここドリンクバーだから、飲み物先持ってこ」


 竜斗が優しくエスコート

 迷いなくペプシ!



 部屋に入る


 うわ!凄い


 ボックスって言うくらいだからもっと狭いかと思ってた


 広い!

 てか、私の部屋より広い!


 ゴー君がパチンと慣れた手つきで照明を落とす

 暗い部屋に、カラオケの画面が際立って光る


 まず眼鏡


「キョウちゃん、なに眼鏡?マジエロいんだけど、イケナイ女教師みたい!」


 リナさんが食いつく


「イケナイは余計ですぅ!」


「えーぶいデビュー確定だね」

「もう!」


 ん?隣の竜斗がモジモジしてる


「ハルちゃん!エロいの想像したべ!」

「しししてないよ!」


 あ、これしたな


「ウケるハルちゃん!マジ中二」


「ちちちちげーよ、ただ、似合うなって」


「ハルちゃん、ごちそうさま、さ、歌うべ」


 デンモクを叩きだすリナさん


「エロいの想像したんですか?」


 眼鏡を目一杯使い、上目使いで竜斗をイタズラしてみる


 なんなんだろ、ウブすぎる竜斗をいじめたくなる私


「え!ちょっと待ってダメ」


 何がダメだ


 そんなのお構いなしで、ゴー君の歌が始まった


 ポルノグラフィティ


 普通にうまい!バンクロックとか歌うかと思ったが意外!


「キョウちゃん、日本の歌とかはわかるの?」


 リナさんが当然の質問をしてくる


「はい、向こうでも普通に聞けますよ、アニソンとかはよく聞きます」


「ほほう、アニメなに見てたの?」


「ポケモン、ドラゴンボール、ナルト、ワンピース、男塾、今日から俺は、コナン」


「なんか、一個二個意外なやつ入ってるね、じゃあコナン歌ってあげる」


 リナさんがデンモクの操作を私に教えながら、コナンの歌を入れる



 私は何歌おうかな、デンモクを見よう見まねでポチポチする


 すると、リナさんの倉木麻衣が始まる


 !


 え?やばっ凄い


 デンモク落としそうになった


 え、日本の女子高生は普通にこんなに歌えるのか?


 いや、違う、そんな次元ではない


 透き通る声、エコーはあえて絞ってるのに凄い

 カラオケなの忘れてた、音楽が普通に流れてるのかと思った


「はは、リナは凄いべ、こいつはやばいよ、何歌わせても上手い、リクエストしちゃえ、まっ、この後は歌いづらいから俺入れちゃうね、その後入れな、好きなの歌うんだよ、俺らわかんなくてもいいから気にしないで歌いな」


 竜斗は、もう!どうしてそこまで優しいのか!


 この人はいつも周りが見えてる


 最初のイケメン、ズキューーンから始まった恋だが、そんなの忘れさせてくれる人間性


 マジで桜水高の女子は何をしてたんだ!と、思う 



 竜斗が歌を入れたのを確認して、私も勇気を振り絞って入れたカラオケ初曲は、キューティーハニー



 神曲、神声のリナさんが終わり


 竜斗の歌が始まる


 BZだ


 この曲はよく知ってる、父がBZの大ファンで車でよく流れてた曲


 可もなく不可もなく、普通の歌唱力


 でも、なんだかな、私がこの後歌いやすいように、歌ってくれてると思うと、優しさが詰まってくる


 それにこの声は私は好きだ、大好き


 自然と私の体が竜斗に寄りかかる





 

 二時間四人で歌いまくってカラオケ終了


 めっちゃ楽しかった!


 リナさんの歌の上手さが半端ない、マジで半端ない 


 本当聞き入っちゃう


 それとゴー君、歌唱力はリナさんより数段落ちるが、なんだろ歌い方が上手い、ブレスの使い方なのかな、歌が聞きやすい


 私はゴー君の最初のインパクトが強かったのと、セカンドのトリッキーなプレー等を見て、勝手に奇抜な人と決め込んでたが、最近は案外この人はまともなのかも?と、思えてきた。


 まぁ、たまに奇声をあげたりしてるから、普通ではないのは確かなんだけどね


 このゴー君とリナさんは歌に関しては別次元を感じる。



「よしみんなでプリクラ撮るべ!」


 リナさんのおすすめの機械があるのか、私達をエスコートするかのように先頭を歩く



 一階に降りてゲームセンターの中へ


 ワクワク


 うわっ凄い!


 プリクラの機械だけで何個あるの?


 その機械をどれにしようか悩んでる感じの、私服姿や制服姿の女子高生や、カップル、中学生らしき女子もいる。


 キラキラしたプリクラの機械と、それに群がる若き人々


 ホント、日本って凄い!


 帰国してから言うのもなんだが、日本の学生は気楽に楽しめる娯楽が死ぬほどあって羨ましい!


 この分野に関しては日本がぶっちぎりで世界一だと思う。



 プリクラの機械の中へ


 これまた凄い、落書きしたり、スタンプ押したり、美白にしたり、超〜盛ったりできる、めっちゃ楽しい


 ハマりそう



 まずは四人で撮った

 リナさんが「ダブルデート」と可愛く落書きしてくれた



 その後、機種を変えてリナさんとツーショットで撮った

 ふざけまくった二人のプリクラ、超面白い



 んで、今度は竜斗とツーショット


 チューしてやろうかと思ったけど、リナさんにどうせ出来上がりを見られるからやめた、本当にカップルになった時まで我慢しておく


 それでも、密着してのツーショット!


 緊張と興奮で、倒れそうになる


 竜斗は平然としている


 ウブなのは私の方だ


 出来上がりを見て満足

 上手く切って竜斗と分ける


 付き合う寸前の私達のプリクラ、これはこれで貴重になると思うので一生の宝物にする、どんなに色褪せてもね


「春樹さん、帰ったらポイしないでくださいよ、ちゃんと大事にしてくださいね」


「あ、当たり前じゃん!披露宴に使うよ!」


 披露宴?なんのこっちゃ


「あれ、春樹さんて女の子と二人だけでプリクラ撮ったことあるんですか?」


 さっきの平然とした態度が気になる


「え、あ、うん、えっとあるかも」

「かも?」


「えっと、ある、あるよ」

「ふぅーーーん」


 そのプリクラ捨てろと言いたくなったが、重い女、面倒くさい女とは思われたくないので、グッと我慢する 


「ふぅーーーん」


 でも、なんかムカつく


「じゃあ今後は?」

「誰とも撮りません」

「私とは?」

「また、撮りたいです」

「ヨシ」



 今度はクレーンゲームコーナーに来た!


 これもまたいっぱいある


 クレーンゲームはアメリカにもある

 ただ、置いてあるところが少ない

 大きいショッピングモールとかにあるかな

 ただ、ほとんどが日本製だった気がする


 駅前のビルの一階で、しかもずらっと並んでるのはまずない、なのでこれも感激



 品定めしていると、青いスライムと目があった、肌触りが良さそうだ


「これやる!」


「キョウちゃん、いきなりハードル高いの選んだね」

 リナさんが横からスライムを覗き込んでくる


「え、難しいですかね」

「うーん、とりあえずさ、少しやってみてダメだったら、代打の神様出すから」

 と、言ってチラッと竜斗を見た



 やってみる


 全然だめ、ピクリと少し動くだけ



 二回やったが、全然ダメそうなので諦める


 残念スライム


「キョウちゃん、このサイズは一発で取ろうとしもダメだよ、ハルちゃんこれイケる?」

 リナさんが代打の神様に問いかける


「うーん、三回かな、三回でいけそうだよ、キョウちゃんの二回目がけっこういい感じで動いたからね」


「じゃあ、ハルちゃん男見せてあげて!」


「お、おう、キョウちゃん取るよ?いいかな?」

「はい、喜んで!どぞ」


 あ、そだ、お金、慌てて財布を出そうとすると

 既にクレーンが動き始めてる


 三回五百円のお得コースもあるので、ワンコインをさっさと入れて始めてる


 さっき、リナさんにチラッと見られてすぐに用意したんだな



 三回目


 え?そこ引っ掛けるの?って感じで逆さまになったスライムが出口へと運ばれていく



 パカっ、ポトン


 取り出し口から青いスライムがあらわれた!


 慌てて拾い出して、スライムが潰れる勢いで抱きしめる


「やったー!ありがとう竜斗ー!やったね!」


 あ、間違えた、興奮して、名前で呼んじゃった


「キョウちゃ〜ん、興奮すると名前叫んじゃうタイプだ?エロいね、エロちっぱい女教師」


「え?ちっぱいってなんですか?」

 すると、リナさんは何かを察知したのか竜斗の影にスルスルと隠れながら


「ちっさいパイパイ アハ」 


 こ、ころす


「アハじゃない!」


 竜斗が邪魔だが、リナさんに当たるように持ってるスライムで横振りに殴る!


「メラ!」ボスッ

「ちょっ、キョウちゃん!それ呪文攻撃じゃなくて体当たりじゃね?」


「うっさい!このデカパイパッパラパー女め!」


 大きく振りかぶって 


「イオナズン!」ボスッ、ボスッボスボスッ


「キョウちゃん!俺にも当たってる!」

「しょうがありません、イオナズンは全体攻撃ですからっ!」

 ボスボスボスボスボスッ


「え、俺も敵なの?てかスライムって呪文唱えなくね?」


「ちっぱいはイオナズンを唱えた!しかしカップ数が足りない!」


「リナさん!もう! クククククク、ブハハハウフォ」


 ダメだウケた、悔しいけど爆笑してしまった


「キョウちゃん、ちっぱいゴリラになってるよ」


「もう!ちっぱくないです!一応Cあります!」


「うわ、この人盛ってきたよ」


「盛ってません!DよりのCだもん!」


 ちょっと盛った、本当はBよりのCだ、でも伸び代はまだある


 ん?竜斗がごちそう様みたいな顔してる


 これはいいのか、悪いのか?正解がわからない


「パルプンテ!」ボスッ!


 最後にもう一発お見舞いしといた 


「おい、どうゆう状況?」

 ゴー君があらわれた!


「あ〜ん、ダーリーンどこ行ってたのぉ、キョウちゃんがイジメてくるよぉ」


 こ、こいつ


「まぁいいや、これ、キョウちゃんあげる、帰国記念ってとこか」


 抱きつくリナさんの頭を鷲掴みにして剥がし、私に袋を渡してきた


「わっ、お菓子〜」


 袋の中に色々のお菓子が入ってる、おそらく私達が騒いでいる間に他のクレーンゲームで取ってくれてたんだ


「ありがとうございます!」


 嫁はアホだが旦那は立派だ


「ゴーくんそれ浮気」


「は?キョウちゃんはハルがいるからいーべよ」

「うーん…」


 え、マジで悩んでんのリナさん?冗談かと思った、どんだけだよ


「てか、リナ!お前だってハルに何回か取ってもらったことあるじゃねーか、理不尽だろ!」


 確かに理不尽極まりない!


「わかった許す!その代わり!」

 私が持つ袋の中をガサゴソし始める

「これ、もーらい、手数料ね」

 と、言ってチュッパチャップスを一本持っていった


 なんの手数料だ


「でも、キョウちゃん、ハルちゃんはマジでクレーンゲームは無双山だからね、今度二人で来たらいっぱい取ってもらいな」


「そんなぁリナさん、二人だなんてぇ」


 ムフフフフフ


「うわ、だめだコイツ、まだ変態妄想モードに入ったわ、みんな行こ」


「ちょ、ちょっと待ってくださいよー!」

 我に返ってみんなを追いかける私


 てか、クレーンゲーム無双って、これもコツを掴んで上手くなったのかな


 すげぇな…あ、お金っ


「春樹さん、五百円」


「え?いらないよ、ゴーがあげてるのに、俺がお金もらうわけにはいかないでしょ、てか最初からもらうつもりなんてないよっ!」


「わお、はい、ゴチになります!」


 さっきまで武器にされてたスライムをギュッと胸の前で抱きしめて喜ぶ


 スライムからしたら今更なんだよ状態


「嬉しそうな笑顔見れて、面白い事聞けてたから五百円なんて安いもんだよ」


 面白い事ってなんだよ



 駐輪場に四人で着く


「俺ら電車乗るから、リナのばーちゃんとこ行くからさっ、じゃっまた明日」


「ライライキーン」

 と、ゴー君とチュッパチャップを口に入れたままのリナさんは電車に乗るため駅に向かった


 ゴー君も一緒に行くんだ


 あ、そか、電車乗るからダル着じゃなかったんだな


 てか、あの二人の行動パターンが読めん



「キョウちゃん、ちょっと駅ビル付き合ってもらっていい?」

「駅ビル?はい、どこにでも連れてってください」



 駅ビルに入る


「うわぁ凄い!」

 駅直結のビルの中に、いろんなお店が入っている


 小さめのデパートみたい

 そこまで大きくない街の駅なのに凄い


「キョウちゃんこっちの駅は初めてなんだね」

「はい、京王線の方はお母さんと行ったことあるんですけど、こっちは初めてです!」


 桜水地区は二つの私鉄に挟まれている


 住んでいるところによって、最寄り駅は分けられるが

 私の家は京王線よりなので、こっちの小田急の方に来たのは初めて


「そっか、ここはオススメ、だいたいの買い物はここで済ませちゃうんだ」


「なるほどぉ、何か買うんですか?」


「うん、ちょっとまだ決めてないから、とりあえずブラつこ」

「はい、お供します!」


 駅ビルの中を文字通りブラつく


 竜斗は何か探してるとゆうか、悩んでる感じ

 雑貨店やファションメーカー店等、見て回ってるが、なんか自分のと言うよりは女性物を探してる感じ


 なんだろ



「ヨシ決めた!」

 すると、最初に見た雑貨店に戻る


「お母さんって、確か料理よくするんだよね?」


「はい、私が言うのもなんですけど達人ですよ、昔、料理本出したことあるみたいですし、お母さんのお父さん、私のお爺ちゃんは神戸で割烹料理店をやってたみたいですから、その影響もあってですね」


「うわ、凄いね、じゃあ、エプロンとかもちろん付けるよね?」

「付けまくってますよ、なんなら料理してない時も付けてますね」


 真面目にそうだ、母のシンボルマークと言ってもいいかもしれない


「オッケ!」


 すると、雑貨店にエプロンコーナーがあり、そこの中から躊躇なく茶色いちょっとオシャレなエプロンを掴んだ


「これにしよ、さっき見ててコレ似合うなぁって思ったんだよね」


「え?もしかして、うちのお母さんにプレゼントですか?」

「いやぁ、そんな大したことじゃないよ、なんとなくね、なんとなく」


 なんとなくで、母にエプロン買うか?


 今日のお礼?グローブ?


 考えてる事がわからないが、母が喜びそうなのでいっか


 プレゼントラッピングとかにせず、普通に袋のまま受け取った

 店内にはラッピング無料と書いてある

 ってことは、あえて…か



「よし、じゃあ帰ろうか」

「はい!」


 なんか、一緒のお家に向かうっていいね、同棲みたい

 いや、うちの実家だからますおさんか



 雑貨店を出て、とりま駐輪場に向かう


 前から女子高生らしき二人組がこちらに向かって歩いている。


 すれ違う直前に、一人が竜斗を見たあとビックリした顔付きで、連れの子の袖を引っ張って合図する、そして二人でトローンとした顔になる、すれ違った後もこちらを振り向いてるのが私の横目に映る。


 竜斗はアホだから全く気づいてない


 とゆうか、さっきからこんなんばっかり


 雑貨店の店員さんは三十前後の女性だった、あまりやる気を感じない人だったが、竜斗を見た途端、慌て始める、それこそ俳優かアイドルが間違って買いに来たのを急に対応したみたいな感じ


 それにも、竜斗はアホだから気づかない


 服を見てる時に、隣にOLぽい女性がいたんだが、竜斗を見るなり持ってた服を落とした、しかもしばらく拾わずポーとしてた


 その服を竜斗が拾ってあげると、なんか慌てまくって、軽くパニック状態


 当然、竜斗はカスだから気づかない


 なんなん?みんな私の事見えてる?


 横に彼女ぽい人いるのに


 いや、ぽいじゃない確定だろ


 私の胸に抱かれてるやつ、さっきゲーセンで彼氏に取ってもらいました!的なスライムがプルルンと存在感を示している


 これ、確定演出でしょ?


 なのに、みんなお構いなしで目をハートにさせる


 竜斗は、それにまるっっっきり気づいてないから、なんか色々腹立つ


 あー、これがリナさんの言ってたやつか

 みんな振り向くってやつね


 てか、中学生の男子も竜斗のこと見つめてたわ

 マジ老若男女問わず!

 リナさんの情報は、間違ってそうで当たってることに最近気付き始めた。



 すると、おばさん一人がすれ違う寸前に立ち止まった。


 もう、えーて


 今度はおばさんかい!


「春樹君?春樹君だよね?」

 ん、なんだ、あれ、なんか聞き覚えあるぞ


 はうっ!


「清水先生!こんちは!ご無沙汰してます!」


 やばっ、清水先生って…私の担任じゃん!


 無駄かもしれんが、竜斗の影に隠れる


「春樹君、最初わからなかったわよ!随分と大きくなっちゃったじゃないのよ!まだまだ成長期止まらないのね」


「はい、そうなんですよ、そろそろ落ち着くと思うんですけどね」


 おいおいノンキか!こっちは心臓バクバクしてるのに


 あ、そかぁ、桜水ラインはこんなシチュエーションも出てくるのか、まいった


 今、一番会ってはダメな人に会ってしまう、自分の引きのなさに泣けてくる


「今日はデート?ん?あら?え!」


 ですよねー気づきますよねー


「ほ、星川さん?」

「ども、先生、こんにちはです」


「こんにちはって…」

 そして、清水先生の目がプルルンスライムの目と合う


 この時ばっかりは余計な存在感だ


「あなた達お付き合いしてるの?」


「あ、いや、その」


 くそぉ、まだゴー君やリナさんがいれば言い訳出来たのに


「え、清水先生、キョウちゃんとお知りあい?あー!中学校!」


 アホだな、なぜすぐにわからないのだ


「そうよ、しかも星川さんは私が担任にしてるクラスなの、もしかして春樹君、野球続けてるの?」


「マジすか!凄い偶然ですね!はい、なんだかんだで続けちゃってます」


「じゃあ野球部で知り合ったのね」


 そうだった、母が私の通訳が決まった時に、清水先生に話通したんだった


 清水先生は内緒にしててくれたので、クラスのみんなは私が通訳やってるのを知らない、まぁ今日お猿にバレたけど…


 って、どうする?この状況


 悪い事してないよね、でもなんか担任にはバレたくないなぁ


 まだ付き合ってないんだから、堂々としてた方がいいかな


「はい、今日はその野球部のみんなとカラオケ行ってたんです、帰り方向が俺達一緒で星川さんはまだ中学生だから俺が送る事になったんですよ!で、ちょっと買い物だけ付き合ってもらってたんです」


 キョウちゃんて呼んだり星川さんて呼んだり…


 でも、言い訳感が満載だけど、これ、イケんじゃないかな


「あら、そうなのね、なんだ先生勘違いしちゃってたのね、二人お似合いだから、つい、ね」


 ウヘヘへへ、なんか嬉しいぞ先生


 て、いけたわ!ナイス竜斗!


「じゃ、先生、失礼しますね、星川さんの事いじめないでくださいよ?」


「はい、うちの大事な生徒よろしくお願いしますね、安心して、こんな綺麗な子いじめられないわ」


「あはは、中身怖い子ですけどね」


「はあ?じゃない、えっと、竜斗さんたらやめてくださいよぉ」


 先生と竜斗が少し固まる


 あれ、なんかやったな私


「星川さん、お勉強の事も忘れずにお願いしますね、では」


「はい、かしこまりです」


「先生また」



 清水先生は駅ビルに消えて行った


「ふぅ〜って、キョウちゃん!ごまかす気ある?」


「担任なんて聞いたから、なんとかごまかしたのに!」


「う、あ、ごめんなさい……って、中身怖いってなんなんですか!それこそ、あのタイミングでは余計でしょ!」


 綺麗な逆ギレカウンターを決める


「いや、それは、ほら、キョウちゃんが綺麗って言われて嬉しくてちょっとバグった」


「もう!許す!」


 ってあれ、ごまかすもなにも、ほとんど本当の事言ってただけじゃん


 竜斗もこれデートだと思ってくれてるから、ごまかしてくれたんだ!


「今日は偶然が凄いね、小林に清水先生に…桜水中祭りじゃん!」


 そんな祭りいらん


 ただ、今日グラウンドで、もう一つ最悪な出会いをしてたのを私はまだ気付いていない



 チャリ二人乗りで私の家に向かう

 レッツゴーますおさん!

 テンション上がる!


「ねぇねぇ、春樹たん!やっぱりおっぱいは大きい方が好きなのぉ?」


「えええ?」


 チャリがよろめき蛇行する


 ブリブリしながら確信に迫った


「いや、その、小さいのも悪くないと思うよ?」

「は?なんか私が小さいの前提じゃありません?」


「え!えっと、よくわからないよキョウちゃんの見た事ないから」


 んん?


「他のは、いっぱい見た事あるのかな?」


「ちょ、ちょい待った、イジメないでよ」


「わかりました、話を戻します!大きい方が好きなんですか?」


「いや、そんな事ない!」


 竜斗はキョドってると思いきや、急にキッパリしてくる時あるんだよなぁ、よくわからん


「俺はね、別に胸で選ばないよ、好きになった人が大きいなら大きいのが好き、小さければ小さいのが好き、以上!」


「ふぅ〜ん」


 ちょっと嬉しい、いやかなり嬉しい単純小娘です


「それは、私にも適用されますか?」


「も、もちろん、キョウちゃんに言ってるんだよ!ん?あれ」


 あれ、なんかサラッと?


 顔が熱くなりそう!だが、ネタがネタなので、ここはスルーしとく


 おっぱいネタからの告白はロマンチックではない


 って、私から振っておいてひどいな

 そんこんなでおっぱいしてるうちに



 家到着


「お母さーん!ただいまぁ、春樹さん連れてきたよー!」


 私が玄関を開けてエスコートする


「お、お邪魔します」


 ま、緊張するよね


「はいはい、お帰りなさい、春樹君もお疲れ様ね」


 あ、そうだった、竜斗は今日凄いことやってのけてたんだ!おっぱいで全部吹っ飛んでたわ、てかもうおっぱいネタやめにする


「春樹さん、私からもお疲れ様、あと楽しかったありがとね」

「うん、大丈夫、俺も楽しかったから!」


「こらこら、そんな事玄関で喋らなくてもいいでしょ、さっ上がって」


 ダイニングテーブルには、いつもより張り切った感満載のサラダ等が既に用意されている。



「涼子さんこれ、良かったら使ってください」

「え、なになにぃ?」

 袋を渡される母


「中、見ていいかしら?」

「どぞ」


「わぁ、エプロン!おしゃれね、茶色は持ってないのよ!嬉しい!これは大切なお客様が来ても付けれるわね、頂いていいの?」


「はい!良かった、喜んでもらえて」


「春樹君、お礼はいらないって言ったのに、気を使わせてごめんなさいね」


「お礼じゃないですよ、なんか偶然涼子さんに似合いそうなのがあったので、思わず買ってしまいました」


 うわ、これは上手い、しかも涼子さんって…マジでホストでも目指してるのか? 


 でも、これなら受け取りやすいよね


 キザっぽいセリフだけど、竜斗だとそう思えないんだよなぁ


「いやだ、もう、春樹君!ありがとね、早速付けちゃお」


 母メロメロ復活、そりゃそうなる


 付けてた黒のエプロンをその辺にぶん投げ、茶色いエプロンを付ける


 うん、たかがエプロンと思ってたけど、母によく似合う


 竜斗、センスまる


「杏子は荷物を部屋に置いてきなさい」


 母が、私に大事そうに抱えられている、キュルルンとしたスライムと手に持っているお菓子袋をチラッと見て指図する


「うん、わかっ……やめた!いい、一旦ここに置く!」


 こいつら、どうせ私がいない間にまたイチャイチャするかもしれない!


 危ない危ない


 ソファーにキュルルンスライムを置く…あれなんか…キュルルンじゃなくて、クタッてなってないかスライム、なんなら中身の白い綿が少しコンニチハしてる


 竜斗に見られないように、そばにあったクッションで慌てて隠す


 やば、さっきのイオナズンでスライムのHPが0だわ


 てか、なんで攻撃側が死ぬのよ


 あ、私のせいか


 今度、母に縫ってもらおう!ザオリクしてもらう


 

「さ、お腹空いたでしょ、いっぱい食べてね」

 母自慢のカレーが並べ…ん?


 いつもよりめっちゃ具が多い!


 なんなら、サラダなんて生ハムとか乗っかってるよ


 やったな母上、ここまで露骨だとは!



「めっちゃ美味しいです!こんな美味しいカレー初めて食べました!」


 お世辞かと思ったが、少年のようなキラキラした目をされると、本当にそうなんだなと思ってしまう


「ウフフ、良かったわ、おかわりたくさんあるからね」


 コロコロ笑いながら、ウットリ見つめる母


「お母さんいつもより具が多いね!モゴモゴ」

「コラ杏子!食べながら喋らない!」

「あい」


 なんか、私には厳しい




「ごちそう様でした」


 結局大盛り三杯平らげた竜斗は満足そう


 良かった



 食後、三人で世間話が弾み


 その後、私と竜斗で食器を洗った


 母は微笑ましく見てる


 私もなんだか嬉しい、洗い物面倒くさいけど竜斗となら一生洗っててもいいかも


 野球意外の共同作業


 たまりません


 溶けそうです


 カレー出てきそうです




「じゃ、そろそろ失礼します」


 時間を見て空気を読んで席を立つ竜斗


「あら、もう帰っちゃうの?泊まっていけばいいのに」


 おい、どこで寝させる気だ、私が部屋に連れ込んでいいのか?


「いやいや、さすがにそれは、またにします」


 またにしますって、ギャグなのか本気なのかわからん



「玄関先まで見送ってくるね」


「はいはい、あ!玄関先で抱き合わないでよぉ、ご近所さんに見られたは恥ずかしいからぁ」


「ちょ!お母さん!するわけないでしょ!」

「あらそう?」


 くっ、昼間の試合のこと言ってるのか



 玄関を開ける


 母が五十歳とは思えない手の振り方を竜斗にする


 韓国俳優ではないぞ


 竜斗も手を振って

「失礼します」ペコリ


 玄関を閉める



 チャリにまたがり始める竜斗


「今日はありがとう、じゃ」

「ちょっと待った!」

「え?」


 漕ぎ出す足が止まり、少し斜めの体勢で止まる竜斗


 これはなかなかいい体勢だ、例のアレがしやすい


 そっと近寄り、両手で竜斗の肩につかまる


「ナイスホームラン チュッ」

「ナイスピッチング チュッ」

「スライムありがと チュッ」


 えっと、あと一回だよね 


「カレー臭くない?チュッ」


 今日は頑張ったから、もう一つオマケにしてあげよう


「ブチュッ!」


 へ?はっ!なに? 


「ちょっと!ははは春樹さん!急にこっち向かないでくださいよ!」


「いや、よよ四回で終わりだと思ったから!」

「じゃ、じゃあ帰るねまた明日ね、お休みぃ」


「う、う、うん、また明日気をつけてね」


 竜斗は何事も無かったのように帰って…

 いやだめだな、チャリがヨレヨレしてる

 

 母よ、すみません、忠告されたにも関わらず玄関先でイチャイチャしてしまいました


 心の中で懺悔して玄関を開けようとすると、背後にハイヤーと思われる黒い高級車がハザードランプを点けて止まった。


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