表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が為ノ夢物語  作者: 好き書き帳
NO. your fate / NO. my fate
PR
98/101

『The wish of the white knight・・・』

 ライアは、瞳を伏せて濡れていく石畳を見つめていた。

 彼女が濡れないように、ギリクが傘をさす。ただし、自分は気にせずに雨晒しのまま歩き続ける。


「先生は。寂しがりです」

「・・・知ってる。普段は仏頂面で、平気な顔してる癖に、ひとりになるのを嫌がってんだから扱いにくい、じい様だ」


 ギリクは、紺色の短髪をガシガシ、とかいてライアの言葉に賛同する。


「ドラゴンは、シャングリラの竜種の末裔で・・・。先生には、とても大事な子たちです。だから約束が嫌いな先生が約束をしてまで、守ろうとしていたのに」


「・・・歴史が事実を忘れさせても、約束は健在だ。約束って鎖に縛られてじい様は、最後には、ガカンの郊外とやらに行くだろうな」

 もちろん、ザイルも向かっている頃だろう。


 先に馬車で出て行ったヴァルクル公爵と女王陛下は、レイラインの収束点から、『飛躍レイ』して現地に向かうはずだ。


「スプルスのじい様が作った塔を使って、先回りなんて、ヴァルクルのご主人様も肝が座ってんな」


 ライアとギリクは、点々と残っているスプルスが通った路を追っている。

 それは、スラム街に続いていた。

 ──、深い闇と犯罪の匂いがする魔窟に。ギリクは歯を剥き出して、腰の魔銃ゲヴェーアにふれた。


「地獄への観光旅行だ。石ころ嬢ちゃん・・・離れんなよ」


 強い風が吹き、ギリクが手放した傘が曇天の空に舞い上がった。


 ◇◇◇


 くさい。臭い。臭い。同胞の腐った肉の匂いがする・・・。


 ──憎い。

 約束された平穏を奪われた同胞よ・・・。その怨嗟を晴らしてやろう。

 祖たる竜種の一翼が──、この国で白騎士と呼ばれた、この私が。


 この二つの剣で、等しく肉片に変えてみせよう・・・。


 我が女王よ。赦したまえ・・・貴方の竜は、じきに・・・また狂ってしまう。


「ワタシハ、狂っても。約束を・・・」


 青年の顔が薄らと記憶に浮かんだ。

「アルザック・・・。おまえとの約束を・・・。破った者を・・・ワタシハ、許せない」


 スプルスは、泣いていた。

 竜種という存在であることから、逃れられない自分のさがに、呆然としながら涙していた。


 その周囲には、財布でもいただこうと近づいた哀れな犠牲者が転がっている。

 かろうじて、息はしているが──体のあちこちに朱線が引かれて、「痛え、いてえ・・・」と口々に喚いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ