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我が為ノ夢物語  作者: 好き書き帳
NO. your fate / NO. my fate
90/95

『BAR.under』

 はあ、とカウンター席に突っ伏しているザイルの前に、カクテルグラスがトン、と置かれる。

「はい。当店限定の一杯、『玉ねぎ騎士オニオンナイト』と」

 もうひとつのグラスは隣の席へ。

「どうぞ、『レオン』です。スライオン卿」

「いやいや、ピリカさん。レグでかまいませんよ。ロッゾ卿、とりあえず呑みましょう」

「んー」

 グラスを鳴らして、ザイルは一息でカクテルをあおる。

 レグは味わいながら、ゆっくりとまずは、一口。


「ザーイル。レグさん見習って、味わいなさいよ」

「えー、ちゃんと味わってるし」


 赤毛の蛇とBARの店主であるピリカのやりとりを、レグは黙って見守る。


 ザイルは、剣選の後に故郷の農村を拝領した。しかし、畑仕事以外のことは、てんでわからない。

 そこでレグが家臣にすえられ、代理統治を任されている。


 レグは元々、高位の貴族家所属の騎士だが……主人であった『ぼんくら』が、女性の敵と分かるや、即座に荷物をまとめて辞表だけ置いてきた。


 代理統治の為に訪れた地は、自然豊かな場所だった。

 村長にザイルの話をすると、口をあんぐりと開けて「あの悪ガキが王剣になって、この村の領主になった!?」と大変驚いていた。


 ザイルの家族に挨拶をして、野良仕事を手伝っていた子供たちにせがまれて、剣選の話をした。


 のどかに一週間ほど過ごした村から、王都に一時帰還して、レグは家族にガカン村に居を構えることを伝えた。


 両親も妹もこころよく、了承してくれた。

 ただ、ザイルは。

「いーのッ!? 一面、野菜と、玉ねぎ畑だけど!!?」と、渋られた。


「良い田舎暮らしができそうな村です。開拓の手伝いもお任せを」


「いもーとさんは!!?」


「この機に、婚約者の方と挙式することになりました。村への正式赴任は、そのあとになりますので、ロッゾ卿に御了承いただきたく」


「おめでとう!? ゆっくり、お祝いしてッ!!」


 ◇◇◇


 そして、昨日。

 結婚式が行われ、妹の晴れ姿をレグは涙でうるむ瞳に、なんとか焼き付けた。

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