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『幼馴染とのお茶会』
「顔色が優れませんわね」
ダーイングとレイゼンに、紅茶専門店ルーディンスの季節の茶葉『春風の女主人』を淹れてきたのは、レイゼンの孫娘。
ベルニカ。
ダーイングの幼馴染だ。
遠慮なく、同席して紅茶の香りに目を細めている。
「今年も良い出来ですわ。とりあえず、お飲みになって、話はそれからでもよろしいでしょう?」
その意見に同意して、紅茶を口に含めば爽やかな香気とあっさりとした飲みやすさが、わずかばかり心を軽くしてくれた。
「──それで、どうしましたの?」
「実は、婚約破棄を申し出られた」
目を丸くしたベルニカは紅茶の杯の持ち手を粉砕して、空の杯はカーペットに落ちる寸前でメイドに受け止められた。
「どういうことか、詳しくご説明くださいませ?? よろしいですね?」
にこやかだが、目がまったく笑っていない。ダーイングとレイゼンは、ごくり、と紅茶を飲み込んで、ゆっくり丁寧に事のあらましを説明した。




