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『黒の騎士』
ひとつの理想が世界に還る。
黒い卵は鉄の響きを丘に鳴らして、ひび割れる。
殻の奥。
黒い闇に光る赤に、怪物が怯む。
距離を取り、うなりを上げて威嚇。
出てくるな。と。しかし、怪物の望みに反してソレは、ひびの淵を掴み、漆黒の手甲で殻を砕き割り、外界へとその身を露わにする。
蒸気をあげる重装鎧は威厳を。
金の装飾は陽光に輝き、真紅の目隠しが威圧感を放つ。
その姿に、人々は息を呑んだ。
その姿に、幼子は瞳を輝かせて歓声をあげた。
『黒騎士だ!!』
それは、祖王の二つ名。
遠き時代を経て、いま受け継がれた古き名残。
ダーイングが夢見続けた理想の型。




