1-3 クレイマン博士と人形のマキナ 前編
1-3 鬼の村編 クレイマン博士と人形のマキナ前編
ごきげんよう糞野郎共。
僕は神楽。
前世は暴力団経営者だけど今はお母さんからの頼み事を忠実にこなす忠犬さ。
今僕は石畳を歩いている。
前世で言う武家屋敷もどきが基本的な鬼の住居なんだけど、ところどころおかしい部分もある。
例えばこの街灯だ。
これは光源ホタルっていう30センチぐらいあるでかいホタルから採取できる光源球っていう物質を加工して作るらしい。
それに西洋の騎士のような甲冑をきている石造が10m間隔ぐらいに設置されてる。
その回りの民家は全て武家屋敷なのに!!
何が言いたいかというと和風な雰囲気にところどころ洋風な建築物が盛り込まれているんだ。
見事に和の美しさをぶち壊しているね。
実に斬新だ。
前世の京都のような美しい街並みを知っている僕からすると目をそむけたくなるものがあるけど、意外とこの町の住人には評判がいい。
それになによりこの洋風な建築物を取り入れたことによってこのガーグ村は村というより小都市といっていいレベルに発展したんだそうな。
そしてこの町の美しさを完璧に壊している建物がある。
西洋の女性が松明を持って空を見上げている大きな石造。
天使の羽のような石造りの門に包み込まれるようにして建てられた球体型の住居。
やたらと光っている2m程の卵に手足が生えたようなゴーレムが門の前で警備している。
この建物に住むのがぶち壊した犯人で、そいつに昨日の夕飯の残り物を届けるのが僕のミッションだ。
そう僕の叔父だ。
そして彼は変態だ…。
「融合こそ進化!!斬新こそ科学!!常識に当てはまっていては進歩できぬのじゃ!!」
「テクノマシー理論とサルデガル乱数により導き出されたこの新しき街並みの素晴らしさが---------(割愛)」
「博士ぇ、僕今日から学び舎だから話はまた今度ね…それとこれ昨日の残り物って母さんが」
「全く最近の若い奴はこれだから…ナターシャの料理か!あやつはできた女ぞよい今度ゴーレムを一つおすそ分けしよ…」
「いりませんよ無駄にピカピカ光って眩しいですし…」
「全く最近の若い奴はこれだから…(割愛)」
この白髪、眼鏡、ガリガリ、白衣とみるからに研究者っぽいおじいさんは僕の叔父さんのサルマだ。
元外開者でそれはそれは昔は優秀な研究者で村を守るため強いゴーレムを作る技術を学ぶという愛国心あふれる青年科学者だったそうだが何があったのか、強いゴーレムではなく光るゴーレムと西洋風な建物を創ることを生きがいにする変人になって戻ってきた。
そしてわしはクレイマン博士、サルマという男は死に生まれ変わったと意味深なセリフを83分に1回ぐらい呟くようになっていたそうな。
おかえりなさい僕らのクレイマン博士。
「おはよう…。」
美しい銀髪と銀目、生気を感じさせないどことなく影があるミステリアスな雰囲気の美しい少女が立っていた。
「おはようマキナ頼んでおいた件はどうだい?」
「少しだけ…あまり見つからない…」
「そうか…希少種だから仕方がないよ引き続きよろしくね」
「カグラの為に頑張る…。見つけたらいい子いい子してくれる…?」
「いつでもしてあげるよ」
左手でマキナの髪を少しなでるとマキナは嬉しそうに目を綻ばせた。
マキナの髪をなでるとはじめて会った時のことを思い出す…。
マキナと会ったのは今からちょうど2年ほど前だ。
僕は一人で出歩けるようになってからというもの毎日のように博士の家に遊びに行っていた。
博士は物知りだった。
この世界の知識をほとんど学んだのは博士からと言ってもいいぐらいだ。
そんなある日だった。
「見よカグラ!最高傑作じゃ!!」
そこにいたのは銀髪銀目の美しい少女。ただ、死んでいた。




