第37話:先に何か食べよう
俺の告白に、皆はさらに衝撃を受け、一斉に俺の手の中の魔力弾を見つめていた。あの戸惑いの視線の中に、他にどんな感情が混ざっていたのかまでは分からない。俺の表情もきっと相当に重かっただろうし、手も震え続けていた。
「先にここを離れよう!」
キムの大きな声が膠着を破った。彼女は一歩前に出て、地面に膝をついているメイスを支えようとする。差し出した手にメイスは少し後ずさったが、短い躊躇のあと、不安げにキムの手を握り、弱った体を支えて立ち上がった。
黙ったままのシロは後ろの部屋へ戻り、しばらくして子どもを背負って出てきた。ハンクたちに頷き、最後尾につく。俺とキムが前に立ち、皆の道を開きながら迷宮を出た。
キムが大暴れした後だったため、魔物はほとんど飛び出してこなかった。そのため帰り道の静けさは息が詰まりそうだった。魔力感知をどうしても覚えられなかった俺が、このとき初めて、後ろ首を見つめるいくつかの視線を皮膚で感じ取っていた。それがさらに苦しかった。
およそ三十分歩き、ようやく迷宮を出た。久しく穏やかな日差しを見ていなかったシロたちは、固く寄せていた眉間を和らげたが、その場に座って休もうとはせず、複雑な目で俺を見つめ、説明を待っていた。
どこから説明すべきか。喉から言葉を絞り出す力がほとんど残っていないことに気づく。一歩近づこうとするが、その行動が誤解を招くのではないかと心配になった。
「お腹すいたー! 今回は先輩がご飯作る番だよ!」
キムが何の前触れもなく手を挙げて提案した。空気を読むこともなく、へらへらと笑いながら空に向かって注文し、今は出せない高級料理ばかりを口にする。
「そうだな……みんな疲れてるだろうし、先に何か食べよう。」
キムが話題を逸らしてくれたおかげで、俺は無事に口を開き、シロたちを食事に誘うことができた。
まだ説明を始めていないが、異次元ポケットから鍋や食器を取り出す行為そのものが、俺が魔法を使えることを再び証明していた。これまで作り上げてきた普通の村人という身分も、自分で突き崩したことになる。
「力を抜け。今までと同じように、横に座って出来上がるのを待てばいい。」
鍋を設置し、火をつけながら皆に言う。返事は沈黙だけだった。
やがて鍋から立ち上る香りが皆の食欲を刺激した。平凡な野菜スープだが、激戦を経たシロたちにとっては十分なご馳走だ。調理の過程では、わざと食材の中身を先に見せ、全てを目の前で行い、俺が先に一口飲んでから椀を配った。
「ソウル、これはどういうことだ? 本当に魔族なのか?」
ジェシーの口調は慎重で、敵意のない疑いで、確認というよりは現状を受け入れられずに思わず出た抗議に近かった。
「本当だ。」
俺は魔キノコを一つ取り出し、焚き火の横に軽く置いて、数秒だけ炙り。人間にとっては猛毒のそれを一口かじり、何事もないことで自分が魔族であることを示した。
「じゃあ俺たちに近づいたのは……機会を見て皆殺しにするためか?」
ハンクは木の椀を置き、厳しい目で俺を見て問いかけた。その言葉はあまりに鋭く、メイスの表情をさらに沈ませたが、俺がどうしても先に説明しなければならない点だった。ただ、実際にそう疑われると……やっぱり、少しは胸に刺さるな。
俺はスパイの仕事のこと、魔王株式会社のこと、そして魔族が人間と良好な関係を築こうとしている構想まで、全部包み隠さず話した。途中で出た質問にも曖昧にせず、すべて正直に答えた。
「すみません、皆を騙していた。最初は仕事のためだった。でも……本気で皆を友達だと思っている。身分や立場とは関係ない。」
俺は無理やりシロたちから目を逸らさずに、誠意を込めて伝えた。
「だ、大丈夫だよ。ソウルは本当に私の面倒をよく見てくれていたし……仕事だけなら、そこまでする必要はなかったですよね?」
「この命はお前に救われた。これで帳消しだ。」
「ジェシーがそう言うなら、怒れねぇな……」
「あっ!」
意識を失っていた少年が突然目を覚ました。シロが答える前に、彼は目をこすりながら大声で叫び、その後転がるように大木の後ろへ逃げ込み、震えながら身を隠した。
「ありがとう。自分のことばかり話していて忘れていた。その子は誰なんだ?」
「メイスが迷宮内に奇妙な反応を感じたから、様子を見に入ることにした。まさかあの子が源だったとは思わなかったが、あの騎士も彼が無意識に生み出したものだ。」
シロが首を振りながら先に答えた。口調は穏やかで安定しているが、横目で子どもと目が合うと、なぜか相手を怯えさせてしまう。
「こんなに小さい子が……どうして迷宮の中にいるんだ?」
「俺の予想だけど……たぶん俺と同じだと思う。」
シロはわずかな同情をにじませた無念さを含んだ声で、驚くべき、だが十分に筋の通った推論を口にした。
「彼も理由は分からないまま、突然この世界に来てしまった異世界人なんだ。」
「また異世界人が偶然転移してきたのか?」
俺は木の後ろに隠れている少年を振り返りながら、もしブディン共和国に彼の存在が知られれば、また新たな勇者として洗脳され、魔王討伐の旅に出されるのだろうと分かっていた。なんとも言えない気分になる。
「話を元に戻そう。たとえソウルの言っていることが全部本当だとしても、魔族が実際に人間を傷つけてきた事実は否定できないだろ。どうして数言だけで、完全に信頼できるんだ?」
ジェシーの言い分はもっともだった。その正論は否定できない。だが俺が続けて説明する前に、シロは野菜スープを飲み干し、俺をかばうように反論した。
「逆も同じだろ。あの時キムが止めてくれなかったら、俺たちはソウルの同僚の女性を殺しかけていたじゃないか?」
彼は悔しそうにうつむき、何も持っていない自分の手のひらを見つめながらつぶやいた。
「今回もそうだ。怖いからって何も考えずに、蜘蛛を殺した。あれはあの子の遊び相手だっただけで、誰かを傷つけるつもりなんてなかったのに。状況も分からず先に手を出したのは俺だ。そのせいで、みんなが危うく命を落としかけた。」
重苦しい空気のせいで、俺は口を挟めなかった。人と魔の争いは何百年も続いている。ここにいる数人で話し合っただけで簡単に解決できる問題ではない。そう考えると、リム副社長の大きくて満ち足りた夢は、もしかしたら本当に実現できないのかもしれない。ちょっと残念だな。
「きゃっ! ふわっ!」
「ははは!」
その時、聞こえてきた笑い声に俺は気づいた。いつの間にか少年のそばに忍び寄っていたキムは、怯えていた彼とすでに遊び始めており、頭の角を触らせたり、翼でくすぐったりしていた。
「そういえば紹介するのを忘れてた。彼女はキムだ。最初の印象はあまり良くなかったかもしれないが、いい子だよ。それに魔王の娘でもある。」
俺は思わず笑みをこぼした。キムの身分を明かすのが正しいかどうかは分からないが、少なくとも地位の高い彼女でさえ種族の問題を気にしていないことは伝わるはずだ。
「先輩! もう一つ絶対に言わないといけない身分がありますよ! それは先輩の……」
「お嫁さん!」
キムに抱えられた少年が無邪気に笑いながら言った。知り合って数秒で取り込まれるとは、キムの社交力は本当にたいしたものだ。
キムのおかげで、少年はようやく警戒を解き、シロはきちんと謝罪し、誤解を解くことができた。彼の名前――マイク――を知ったあと、俺たちは彼にこの世界へ転移してきた事実も伝えた。
幸か不幸か、元の世界でのマイクの家庭や生活環境は、幸せとはだいぶかけ離れていた。一時は現実を受け入れられなかったが、それでも元の世界から離れられたことは、むしろ幸運かもしれないと彼は打ち明けた。
「人間と魔族の全てが過去を捨てて和解するのが難しいことは分かっている。でも、まずは君たちから始めて、少しずつ人間の考えを変えていけたらと思っている。どう思う?」
全てを打ち明けたあと、彼らの目から疑念や不満は徐々に薄れていったが、それでも、リム副社長の思い描く通りにうまくいくとは限らないし、すぐに一緒に平和を築けるとも言い切れない。
「本当にそうなら、俺は魔王を討伐する気はない。ただ、自分から魔族が友好を望んでいると広めるかどうかは……ちょっと考えさせてほしい。」
ジェシーは率直にそう言った。正直、この結果は想像よりもずっと良い。俺はうなずいて礼を言った。
「俺の故郷は魔族に滅ぼされた。魔族と共に生きるってことは……故郷を裏切ることになるんじゃないか……」
「ハンク……」
シロは自分に今すぐ過去を捨てろと言う資格がないことを分かっていた。言葉を飲み込み、代わりにメイスへ意見を求めた。
「……私は魔族と特別な因縁はないし、私たちを助けてくれたのはキムだから……シロは……どう思う?」
「俺はソウルを信じる。」
シロは迷いなく答えた。その態度はすごく格好よく見えた。彼は一度俺を見てから、マイクと遊んでいるキムへ視線を移し、微笑んだ。
「この世界に来たばかりの時、最初に助けてくれたのも、命を救ってくれたのも魔族だったから。」
「え? そんなことが?」
驚きのあまり、俺は思わず声を上げた。他の皆の目にも一瞬の驚きが走る。
「うん。立場は違うけど、俺はずっと彼女を探していた。魔族が本当に敵なのか知りたくて。」
シロは目を輝かせ、俺を驚かせる名前を口にした。
「ソウルとキムは彼女を知っているか? 名前はリムだ。」




