第65話 ―― 兵器庫の扉と、目覚める守り
地下通路の分岐。
フェリたちはもう一度その場所に戻ってきていた。
三つの道。
水路制御。
兵器庫。
炉心区画。
炉心区画はすでに確認した。
残るのは――
「鍵、三つって言ってたよね」
フェリが壁の刻印を見ながら言う。
ルナが頷いた。
「うん」
「たぶん城の重要施設」
レオンが短く言う。
「ならば」
「兵器庫だな」
トーマが少し緊張した顔で言った。
「武器の倉庫ってことですよね?」
ミリアスが答える。
「おそらく、城の防衛設備でしょう」
フェリが笑う。
「ちょっと見てみたいかも」
ルナが元気よく言う。
「いこ!」
一行は右の通路へ進んだ。
この通路は少し狭い。
だが床はしっかりしている。
壁には金属の補強が多かった。
トーマが周囲を見ながら言う。
「ここ、他より新しいですね」
レオンが頷く。
「兵器庫なら当然だ」
しばらく進むと――
大きな扉が現れた。
鉄と石でできた重厚な扉。
中央に、円形の魔導装置が埋め込まれている。
フェリが立ち止まる。
「またこれか」
ルナが近づいた。
しゃがみ込んで装置を覗き込む。
「うーん」
「やっぱり」
フェリが聞く。
「また認証?」
ルナは頷く。
「うん」
「城の主」
フェリがため息をついた。
「最近それ多いね」
トーマが苦笑する。
「それだけフェリさんが城主ってことですね」
フェリは少し照れた。
「まだ慣れないけど」
そして扉に手を置く。
その瞬間。
淡い光が装置を走った。
――主の魔力確認。
低い音が響く。
ごごごご……
巨大な扉がゆっくりと動いた。
トーマが目を丸くする。
「おお……!」
扉の奥は――
広い空間だった。
地下とは思えないほど広い部屋。
壁一面に並ぶ棚。
そこには武器が整然と並んでいた。
剣。
槍。
弓。
そして見たことのない魔導装置。
フェリが呟く。
「すごい……」
ルナはすでに走り出していた。
「わあああ!」
「古代魔導兵装!」
棚を覗き込む。
「これ保存状態いい!」
レオンがゆっくり歩く。
壁際の鎧を見て言った。
「……防衛兵装か」
そこには金属の人形のようなものが並んでいた。
鎧の兵士。
だが中身は空洞。
トーマが近づく。
「これ……」
「動くんですか?」
そのときだった。
部屋の中央の装置が光った。
フェリが振り向く。
「え?」
床に魔導陣が浮かび上がる。
――兵器庫管理装置 起動。
ルナが声を上げた。
「出た!」
文字が浮かぶ。
――主を確認。
――防衛機構 待機状態。
そして次の文字。
――第一鍵 確認。
フェリが目を瞬いた。
「え?」
装置の中心に、小さな結晶が浮かび上がる。
淡い赤色の魔導結晶。
ルナが興奮した声で言った。
「鍵だ!」
ミリアスが頷く。
「どうやら」
「兵器庫が一つ目の鍵のようですね」
フェリは結晶を手に取った。
ほんのり温かい。
すると――
背後で音がした。
ガコン。
レオンが振り向く。
「動いた」
壁際の鎧。
その一体が、ゆっくりと立ち上がった。
トーマが飛び退く。
「うわ!」
鎧の目が、淡く光る。
だが攻撃はしない。
ただ静かにフェリの前に立った。
そして膝をつく。
ルナが言う。
「守護兵!」
ミリアスが微笑んだ。
「主の護衛ですね」
フェリは驚きながら言った。
「……仲間増えた?」
レオンが小さく笑う。
「城らしくなってきたな」
こうして――
魔王城の第一の鍵が、手に入った。




