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決戦 9

「確かにそうですね……ある意味ほかの二つは捨て駒……まあ我々自体が捨て駒なんですがね」


苦笑いを浮かべながら孝基は呟いた。ラスコーは力なく笑みを浮かべてみせる。


「まず西。東モスレムと遼北の国境を接している地点を進んで西モスレムに向かうルート」


「東モスレム地域は『外憲』の活動領域では?」


ラスコーの問いに孝基は静かに頷いた。


「確かに……ここに本命は置かない……相手もそう見てくるでしょう」


「相手とは吉田俊平少佐のことですか?」


それとないラスコーの問いに孝基はそう言うことは答えないという表情を浮かべてラスコーの執務机のモニターを開く。


兼州中部から遼北との国境に広がる山岳地帯を抜けるルートが示されていた。


「次に北天を経て遼北に北上する……北天は無政府状態ですが……」


「遼北が余の受け入れを拒否する可能性がある」


「そうです。遼南朝廷とは先代のラスバ帝以来両国の関係は最悪の状態が続いている。その結果遼北は工作員を多数派遣し北天を無政府状態にまで追い込んだ」


「シャグマーン叔父上は?」


ラスコーはすがるように遼南王家を捨てたカバラの弟にしてラスバ帝が定位の禅定まで仄めかしたムジャンタ・シャグマーンの名を口にした。しかし、孝基は静かに首を横に振った。


「現在シャグマーン殿下こと李慶陽遼北人民解放軍軍事委員長の政治力はそこまで強くはないのですよ。転げ込んだところで私達が負ければ陛下の身柄をゴンザレスに手渡すことになるでしょう」


「そうなると最後の一路は……」


戸惑うようなラスコーの問いに孝基はようやく心からの笑みを浮かべった。

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