決戦 1
「陛下……」
「そうして面と向かって言われると気後れしますね」
「気後れしてどうします。もっとドーンと構えていてくださいよ」
西園寺孝基の言葉にムジャンタ・ラスコーは苦笑いを浮かべた。ラスコーの即位によりそれまでぼんやりとしていた兼州政府の陣容がぼんやりとながら出来つつあった。
彼の後見人であるカグラーヌバ・バスラは首相的存在となり、ラスコーの伯父であり百戦錬磨の傭兵孝基は軍事全般を見るようになっていた。
今日も朝議では央都政府軍の動きの予測が孝基からなされているところだった。
「以上のように央都側には東モスレムという爆弾がある以上、早めの勝負を仕掛けてくると思われます」
「しかし……こちらも消耗戦となれば軍費が持ちませんぞ……何しろ国力が違いすぎる」
一人の胡州浪人の部隊長の言葉に聴衆は頷いていた。
「確かに……こちらとしても早めの決戦は必要でしょう。ただ、皆さんにその覚悟がお有りになるか……」
挑発的な孝基の言葉に議事を見ていた傍聴席から怒声が飛ぶ。
「大義は我らに有り!」
「央都のゴンザレスの私兵など恐るに足りず!」
予想通りの展開にラスコーは少しばかり諦め気味に孝基の方に目をやった。静かに手を挙げ聴衆をなだめると孝基は言葉を続けた。
「皆さんのご存知のように我々には兵も金も足りない。連続して作戦行動を取る余裕はとてもない。ただ勇気だけは相手に勝つことが出来る自信がある。その一点に賭けてみたいと思いますが……」
「ついに動きますか」
バスラの言葉に孝基は静かに頷いた。




