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即位 15

「父を……父上を討てと?」


ムジャンタ・ラスコーは執務机について苦渋の表情を浮かべていた。


「カバラ帝を討てというわけではありません。帝の背後に居るゴンザレス将軍一派を討てというのです。そしてそのための即位が……」


「余は即位はしない。逆賊となるのもそれでも構わない。ただ帝は一人。それは太宗カオラ帝の時代からの決め事。余はそれを破るつもりにはなれない」


ラスコーの言葉にカグラーヌバ・バラダ公は黙り込むしかなかった。ただその一連の話を聞いていた西園寺孝基はそのままバラダを押しのけるようにしてラスコーのそばに立った。


「言いたかねえが、お前さんの気持ちで俺達は戦争やってるわけじゃねえんだよ。命を張って正義を貫くつもりで戦っているんだ。それを逆賊に落ちても構わないだ?笑わせるな!」


いつものユーモアにあふれた孝基の姿はそこにはなかった。歴戦の傭兵。天下の傾奇者の姿がそこにはあった。ラスコーはただ黙って俯いていた。


「ああ、そうして黙って泣いてりゃいいさ。俺達はカバラ帝を認めない。東宮はラスコー殿下。そして俺達は偽物の帝と戦いを始めることになる」


「付きます……即位します」


うつむいたままラスコーはそうつぶやいていた。


「殿下……」


「お祖父様。余は余の私欲で立つのではないのです。ただ余のために戦ってくれる人に正義を示すために立つのです」


「殿下……ご立派になられましたな」


バラダの言葉にラスコーは自然と涙が溢れていくのを感じていた。

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