即位 11
「いよいよだな……」
央都宮殿の中心部、禁城に向かう廊下で感慨深げにガルシア・ゴンザレス将軍は部下達の前で呟いた。
「七年間……長かったですな」
側近中の側近である浅野英次はそう答えると視線を玉座に向けた。はるか向こうに夜半の麗州月の光を受けて緑色に光る玉座。翡翠で出来たその姿は遼南の権威というものを見るものに示してみせた。
「玉座は央都にしかない……例え兼州でラスコー殿下が即位を行ったとしてもそれは偽りの帝でしかない。本当の帝は誰か……誰に聞くまでもない」
自信有りげに呟くゴンザレス将軍に人々は息を飲んだ。
「即位の儀には地球各国を始め、東和、胡州、大麗、ゲルパルト、外惑星連合とほぼ遼州の有力諸国は参加を決めている。拒んだのは……」
「北天の領有で揉めている遼北、兼州びいきの西モスレムくらいか?ベルルカン大陸は出席率は半々か……」
「遼北は兼州の即位の儀にも出ないだろうからな。あちらには西モスレムの大使が出席する程度だろうて」
ゴンザレス将軍は満足げにそう言うとそのまま玉座に向けて歩き始めた。
玉座の周りでは即位の儀に向けて飾りつけや掃除のために女官達が始終走り回っていた。その中にでっぷりとした巨体を誇るゴンザレス将軍をはじめとする政府の要人達が現れたので女官達は作業を止めて深く礼をした。
「よいよい、作業を続けろ。明日はこの遼南の門出の日だ。ゆめゆめ粗相のないようにな」
上機嫌でゴンザレス将軍がそう叫ぶと女官達はそれぞれ作業に戻っていった。




