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即位 4

半裸の男が首相執務室に現れたことでガルシア・ゴンザレス将軍と浅野英次首相、そして軍事顧問の吉田俊平少佐は言葉を止めなければならなかった。


「殿下……即位の前だというのになんという格好を……」


「浅野!本当に余で良いのだな?あのラスコーではなく余で」


甲高い声で叫ぶ半裸のムジャンタ・カバラの言葉に浅野は首をすくめた。


「殿下は遼南王家の嫡流であらせられる。なぜ帝位に就くのを躊躇されるのか?」


「本当に良いのだな?あのラスコーではなく」


再び女々しさすら感じる甲高い声が首相執務室に響いた。その言葉を聴き終えるとガルシア・ゴンザレス将軍はゆっくりと葉巻の箱に手を伸ばした。


「浅野では話にならん!ゴンザレス!貴様はどう思っておるのじゃ?」


「浅野で話がつかないことでなぜ私だと話がつくのですか?」


悠然とそう言って静かに葉巻の吸い口を切る。そのままゆっくりと灰皿の上まで運ぶとじっくりと先をガスライターの火であぶっている。


「タバコなど吸うんではない!余の話を聞けと言うておるのじゃ!」


「傀儡の話を聞くにはタバコの助けが必要なのでね……それくらいの自覚は持ってらしても罪にはならない?」


「傀儡……」


自分でも思っていたことなのか、カバラはその言葉を聞くとぐったりと首をうなだれた。


「ゴンザレス将軍……そこまでズバリと言わなくても……」


「吉田の……はじめが肝心なのだよ全てにおいて。カバラ帝は傀儡でしかない。それは誰が見ても分かること……」


「傀儡、傀儡、人形なんでも良い!あのラスコーに帝位をくれてやるほど余は人間ができてはおらん!」


「ほら……どういう形でも帝位につければいい。それがあなただ」


葉巻をゆっくりと吸い、その煙を巻き上げながらゴンザレス将軍は浅野目を向ける。そしてそのまま半開きの扉を指さした。


「だが……殿下。このようなものを臣下の目に触れる場所で連れて回るのは感心しませんな」


半開きの扉の向こうには胸をはだけた三人の女官が部屋の中を伺っていた。浅野は気が付くとそのまま扉の方に向かいそのまま女官達と外に消えた。


「帝位に就かれる身です。ご自愛を」


「わかっておる!」


甲高くそう叫んでカバラは外に出て行った。

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