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混沌の戦場 18

「お前さんが意見するとは思わなかったよ」


一通り兼州の高官が出て行ったあとの会議室に孝基とラスコーの姿があった。


「若年ですが私がきっかけで始まった戦いです。逃げるわけには行きません」


「違うな……」


「?」


孝基の否定に一瞬戸惑うラスコー。小さなラスコーの頭をゆっくりと孝基の大きな手が撫でる。


「お前がきっかけじゃない。全てを始めたのはゴンザレスだ。奴がラスバ帝を暗殺し、遼南の分裂状況を作り出した。戦いの元凶はゴンザレス以外考えられないな……それとだ」


そこまで言うと孝基はラスコーの顔の高さまで腰を折る。ラスコーはしばらく理解ができないというように首をひねりながら孝基を見つめた。


「お前は最後は逃げなきゃならない」


「余が逃げる?」


「そうだ、お前はこの戦いで死ぬことが許されない……全ての戦いの犠牲者のためにも最後まで生き続けなきゃならない」


「なぜ?」


「わからねえ奴だな」


そう言うと孝基はラスコーの額を指ではじいた。痛みが走り思わずラスコーは顔をしかめた。


「例え兼州が敗れようと、央都に王朝が立とうと遼南の正統はいささかも揺るがないことを全宇宙に示さなきゃならない」


「遼南の正統?」


「そうだ。ラスバ帝は東宮にほかでもないお前さんを指名した。その事実は決して変えられない。その東宮が意のままにならないことに腹を立てたゴンザレスの行状を宇宙に向けて告発し続けることがこの戦いで死んだものに対するお前のできることだ」


「そんな……まだ負けたわけじゃないのに……」


ラスコーの言葉に孝基は思わず舌を出す。


「まあそうだな。負けは決まっちゃいない。だが……お前に生きる覚悟、生き抜く覚悟をしてもらえねえと俺も落ち着かないんだ」


「伯父上は死ぬつもりですか?」


突然の問いに孝基は言葉を詰まらせる。


「死ぬ気はねえよ。ただ覚悟はしている。それだけだ」


それだけを言うと孝基は呆然と立ち尽くしていうラスコーを置いて会議室を出て行った。


「生き抜く覚悟……」


ラスコーは言葉を噛み締めながらその場を動けずにいた。


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