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混沌の戦場 9

「不平等というべきか……」


兼州軍のアサルト・モジュール飛来の報を聞いて仮眠から戻ってきたオーギュスト・ブルゴーニュは苦虫を噛み潰した表情で画面を眺めていた。上空からの無人偵察機の映像は檄を飛ばすアサルト・モジュールとその周りに群がる兼州軍を示していた。


「勝負は決まっているんですから……『外憲』の無茶を無視できるような時間が経つまではうちは航空戦力の投入はできませんよ」


通信端末の向こうで息子のアンリ・ブルゴーニュはやや浅薄な笑いを浮かべながら呟いた。


「しかし……一方的に攻撃されればうちも動かざるを得ない。央都にはうちの戦闘機六機を待機させている」


「無駄に終わるでしょう。西園寺孝基という男は馬鹿じゃありませんよ。士気を鼓舞する以上の使い方はこちらが挑発でもしない限りやらんでしょう」


「勝つ気があれば先手必勝で……」


父の言葉にアンリは大きなため息をついた。


「だから西園寺は馬鹿じゃないと言うことです。あの名宰相西園寺重基の嫡男というのは事実なんですから。兼州離宮のアサルト・モジュール七機を起動させればそれこそ東和に喧嘩を売る話になる」


「東和は本当に動くのか?」


ためらうように呟いたオーギュストの言葉に再びアンリは大きなため息をついた。


「東和は本気ですよ。すでに青州に長距離航行の可能な戦闘機を移動させました。また東海洋上には二個空母艦隊が臨戦態勢を取っている。これまで経済でしか遼州に影響を与えられなかったことを後悔するように首相の菱川重四郎は強気の発言を続けている」


「東海にはそれを止める空軍力は無い……アサルト・モジュールの実戦投入はまだだが十倍の戦闘機をどうこうできるとは思えない」


「そういうことです。それに今動けば南都がこの戦いの矢面に立つことになる……それだけは避けてくださいね」


たしなめるようにゆっくりと語りかけてくる息子の口調に少しばかりオーギュストは怒りのような表情を浮かべていた。

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