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戦いの序章 5

「全く話にならない!」


「まあそうカリカリするんじゃないぞ」


宰相浅野英次の言葉にガルシア・ゴンザレス将軍は余裕のある対応で応えた。そのまま彼は当然のように首相の椅子に座る。本来の首相である浅野は応接セットに腰を落ち着けた。


「しかし……ラスコー殿下を兼州王に封じると言う案。なかなかどうして微妙なところを突いてきたというところですか……軍幹部も本音では兼州討伐はしたくはない」


「まあ逆賊の汚名はかぶりたくないのだろうな……それに南都のブルゴーニュの息子が動いている」


愚痴るばかりの浅野に飽き飽きしたというようにゴンザレス将軍はタバコに火をつける。ゆっくりと登る煙を見ながら彼は話を続けた。


「アンリ・ブルゴーニュ。なんでもフランス海兵隊の学校を首席で出たとか……それを言うならワシも遼南陸軍の料理学校を首席ででとるわ!」


「炊事係上がりがコンプレックス……なわけですか」


突然の背後からの言葉にゴンザレス将軍は煙草を落としかけた。


「誰だ!」


「人を呼んでおいてよく言いますね……それとも脂肪の摂り過ぎで頭、ボケました?」


いかにも面白い出来事だというようにカーテンを押しのけて現れたのは吉田俊平だった。それを見て護身用の銃に手を伸ばしかけていた浅野が苦笑いを浮かべながら椅子に腰掛ける。


「アンリ・ブルゴーニュ。いつかぶつかりますよ。今のうちに潰しといたほうがいいんじゃないですか?」


吉田はそう言いながら当然のように浅野の前に腰を下ろした。ことが済んだというようにゴンザレス将軍は大きな息をついてタバコの煙を吐き出す。


「二方面作戦は自滅への道だ。現状としては兼州をどうにかすることが先だろうが!」


「その程度の計算ができますか……なら俺の給料も確実に振り込まれそうだ」


満面の笑みで振り返る吉田。ゴンザレス将軍は試されたことに少し苛立ちながら煙草を燻らす。


「そう言えばちょうどいいな……吉田少佐。君にあってもらいたい人間を呼んである……」


そう言うとゴンザレス将軍は手元の端末を起動させる。


「ワシだ。そうだ……首相執務室に呼んでくれ……まああちらも君とは話がしたいだろうからな」


突然の提案に吉田は苦笑いで応えた。

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