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かわいい生意気女 しかたがないので側にあったバケツの水をぶっかけてしまいました。  作者: 古門まさごろう
1章 新入社員

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総務課軍団5

 もう、大学通りとはとても言えず、周りは田んぼしかない。行き交う人もいない森の様な雰囲気の小道を、僕たちはトボトボと歩いた。


 そのうちに壊れかけた鳥居や祠なんかが見え始め、これはいくらなんでもおかしいと渡された地図を確認すると、なんと祠のマークがある。やはり間違いないと、僕達は細い道を、地図の指定通り真っ直ぐに進んで行った。


「疲れたね……。まだかな」


「地図によれば真っ直ぐだし、祠もあった。道は一本道だから、もう少し行ってみよう」


 そうやって、さらに十分ぐらいそのまま歩いたが、その一本道は何処までも続いていて、いくら行っても果てしない様に見えた。


「電話して見れば……。携帯預かっているでしょう。夏華、喉も渇いたよ」


 砂漠で遭難したらこんな感じかとその時思ったが、僕は会社から預かって来た携帯を取り出すと、教えられた訪問先の電話番号を打ち込んだ。だが、なんとアンテナが一本も立っていない。携帯が復旧し始めた頃は基地局が少なく、こうゆう事がよくあったが、病院から持たされたPHSは、まったくなんの役にも立たなかった。


 自分の携帯を持ってこなかったのを後悔したが、病院内では個人の携帯の使用は固く禁止されている。いつもロッカーに入れっぱなしだったので「しまった」と今さら後悔しても後の祭りだった。


 時刻はもう昼の十一時を回っていて、喉も乾いたし腹も減って来た。だが、こんな誰も通らない細い道に自動販売機などある訳もない。とりあえずトボトボと道なりに歩くしかなかった。


 周りはどこまで行っても田圃ばかり。建物も民家もなく心細くなってきたが、その時いきなり車が通れそうな広い道路が現れた。そして、その先に壊れた貯水槽らしき建物を発見した時、僕達は抱き合い思わず歓声を上げていた。


 もう間違いない。やっと元気になった僕達は貯水槽目指して進んで行った。歩く速度も速くなって、その後数分もしない内に奈良の裏通りで見る様な年季の入った一軒の屋敷が見えて来た。


「こんな所にこんな屋敷? でもかなり古いよね」


「マジお寺みたいだけど、でも、大きいね」


 建物全体は歴史を感じさせるが、なんか暗いのが気になる。平家の落人が住んでいる様な雰囲気と言うのが一番近い。大きな木に囲まれ隠れる様に建てられたその屋敷以外には、周りに家も何い。目的の訪問先はその家で有る事は間違いないが、屋敷に通じる唯一の? 細い道の横は、ちょっとした小高い崖で、僕達は落ちない様に慎重にその道を歩いて行った。


 屋敷の前には、浅い小川が流れている。その小川には、何年前に設置されたのかも解らない古い竹製の橋が架けてあった。危なげな感じはないものの、一応用心して、僕達は手を繋いでその橋を渡った。ギシ、バシ! 歩くたびに嫌な音が伝わって来たが、それでもやっと家の門までたどり着いた時は、思わず互いに顔を見合わせていた。


 橋を渡った屋敷の前は結構広い広場になっている。屋敷の大きさに比べて、やや小ぶりの門は竹と檜を組み合わせた凝った造り。いつからここにあるんだろうと年代を感じさせる、かなり古い物であった。


 その門を支える分厚い柱に取り付けられた小さな表札の文字は、墨で書かれていて消えそうになっているが、確認すると綾小路となっている。


「……やった~!」


子供の様に二人とも思わず声がでたが、やはり、ここが目的の訪問宅であるのは間違いない様だ。



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