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かわいい生意気女 しかたがないので側にあったバケツの水をぶっかけてしまいました。  作者: 古門まさごろう
1章 新入社員

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二年目の君2

 そんなある日、僕のアパートに君の実家からお中元が送られて来た。


「なんで俺の住所を知っているのだ」


 僕は少しイラッとしたが、大好きなアサヒドライが二ダースも入っている。


「イッパツ殴られたくらい、もう良いのに。でも、やはりお礼を言うべきか……」


 少し迷ったが、君はその頃は社内でもかなりの人気者。特に今年の新入社員からは優しい先輩と慕われているだけに、近くで見ても話しかける事はしなかった。


 僕の仕事は結構ハードで食事は唯一の息抜タイム。だから周りに気を使うのが嫌で、いつも一人で飯を食っていた。

 だが、そんな貴重な食事タイムに、君は明るい笑顔で割り込んで来た。

挿絵(By みてみん)

「お母さんがビールを送ったと言ってたよ。なんで家に来てくれないのと気にしてた。お父さんも勘違いして高城さんを殴ったこと、凄く後悔していて本当は誤りたいのよ。あの封筒にお金を入れたの、実はお父さんなんだ。お母さんが手紙を書いていると、いきなりやって来て封筒にねじ込んでいったの。お父さんって、いつもあんな感じなんだ。不器用と言うか何て言うか……。

 一度家に遊びに来て! 私もごはん作るよ」


 この娘にこんなに神妙な顔して言われると少し迷うが、でも、あの凶暴親父には、もう会いたくない。娘の事で意識過剰になっていたのは解る。でも初対面で何も事情を聞かず、いきなり胸グラ掴むか? 俺からきちがいと言われてもしょうがないだろう。


 僕は忘れかけていたその夜の事を思い出し、また顎が痛くなった気がしたが「普通、あんな事があれば、誰だって二度と会いたくないのは、当たり前だろう! 家に来いなんて正気か」と言いかけたが止めた。


「もう、気にしないで良いと言ってくれる。それに下北沢遠いし。俺のアパート逗子なの知ってるだろう。だいいち、二人で君の自宅に行くのも可笑しいよ、付き合っている訳でもないのに」


 と、そう重ねて言うと、いきなり君の大きな目がウルウルになって来て、周りからひそひそ話も聞こえて来る。まるで僕が泣かせたみたいに、皆の視線が僕達に集まって来た。


 女と言うものは難しい。古今東西、女を泣かせた男は周りから責められて、いつの間にか言いなりにされてしまうのは何故か?僕は、離れようとせず、いつまでもいる君に場が持たなくなって、つい言ってしまった。


「解った、解った、今度行くよ」


「ほんとう!」


 騒がしい社員食堂。あまり話は聞かれなかったと思うけど、何人かの、こちらを見る不思議そうな目が気になって自分の返事も上の空。いつの間にか、又あの暴力親父に会うことを承諾させられてしまった。

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