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いざ、世界の中枢へ


「さてと、じゃあ居心地のよかった宿にお別れして、次の場所へと向かおっか」

「それはいいんだけどね、予定よりずいぶんと豪勢なところに泊まったけど、支払いを全部任せて本当によかったのかい?」

「気にしない気にしない。何せ僕ってば、たった一日で随分稼いだんだからね」


 思わぬ依頼を受けた一日が過ぎ、巨人となっていた子供たちの姿が駅のホームに辿り着くと同時に元のサイズに戻る。

 目にしていた山の高さが、切り立った崖が、何よりたった一日とはいえ共に過ごしていた竜人族の人らの大きさが、ベルラテスに来る前の状態に戻り一行は僅かに戸惑うのだが、それからしばらくしたところで、シェンジェンは我龍と自分の知らない出来事。

 つまりシェンジェンがデリシャラボラスと戦っていた際に起きた事柄に関して話し始めていた。


「一番驚いたのが、俺達の案内人をやってたルーエンスとかいう中年が意外にやり手だったってことだ。なんせ俺ら数人が一気に襲い掛かっても、触れる事さえできなかったんだからな」

「マジで。あの人そんなに強かったの!?」


 話によるとシェンジェンと別れてからおよそ二時間後、我龍らは竜人族が行っていた力試し大会に出ていたという事であった。

 といってもそこで行われていたのは安全性に疑問が残るガチンコの取っ組み合いとは異なるもので、ベルラテスにやって来た旅行客向けのレクリエーションであり、我龍らが参加したのは渡されたタスキを頭に巻いて奪い合う『鉢巻取り』だったらしいのだが、そこで台風の目になったのが話題に出ているルーエンス・マグノリカであった。


「身体能力やら技術やらはさほど脅威じゃない。むしろ貧弱よりなんだけどな。能力がヤベェ。時間の流れを操れるって特級のもので、後で聞いた話によると一秒を十秒近くにまで伸ばせるらしい」

「それで一方的にやられたってわけね。納得」

「まあ能力の範疇ではあったから、神器持ちが近づいた瞬間タスキを取られてたんだけどな………………あぁ、そういや詳しい事まではわからなかったんだが、この能力を十年前の戦争の際にも使う予定だったらしいぜ。頓挫したらしいがな」

「………………人の十倍動ける能力者を、か。なるほど。確かに候補として名前が挙がってもおかしくないね。無駄だっただろうけど」

「ずいぶんと感慨深そうに言うじゃねぇか。なんか知ってるのか?」

「べっつに~」


 その力の種、いや強さの秘密は中々に興味深いものであったのだが、話の後半に出てきた内容を聞くと我龍が言った通り、シェンジェンは感慨深い思いに襲われた。

 決して褒められるべき内容ではない。

 しかし少年にとって懐かしく、なおかつ胸を熱くする出来事が、瞳を閉じた瞬間に襲い掛かったのだ。


「それよりもさ、もっとワクワクする話をしようよ。なんせこれから行く場所は、僕にとっては見知った場所でも、みんなにとっては違うわけでしょ。行ってみたいところとかあるの?」

「そりゃ当然あるだろ」


 とはいえだ、その話題はシェンジェンにとってあまり人に離したい類のものではない。なのでやや強引に話を変えるのだが、その内容はこれから行く場所に関してで、我龍が腕を組みながら返事をした後、二人の後ろにいた良照が声を弾ませた。


「色々な場所を回って来たけど、やっぱりこれから行く場所が一番楽しみだったからね!」


 今回の旅行における目的地は、四大勢力の主要な都市に加え、二つの独立国家であった。

 このうち賢教とギルドの二勢力が終了。加えて二ヶ所の独立国家も既に回り終えた。

 となれば残るは四大勢力に属している残る二つの勢力になるのだが、このうちの一つ『貴族衆』に関する期待度はさほど高くないのが参加者の本音だ。

 自分達が所属している勢力であり、全ての場所を回った事はなくとも、見聞きした事ならいくらでもあるためだ。


 とすれば良照だけでなく参加した大勢が期待を寄せる場所は残る一ヶ所で、


「じゃ、この転送装置にみんなで乗ろっか。目を開けたら目的地に着いてるはずさ」


 駅の最奥にある転送装置乗り場に移動し、受付の女性に鍵を貰うと指定された部屋まで移動。

 シェンジェンに促された通りに十人以上の子供たちが目前にある転送装置の上に乗っていくのだが、その顔には期待や不安、それに興奮など様々な感情が浮かんでおり、最後に乗ったシェンジェンが側にあった機械を弄り青白い光に包まれていくと同じように目を瞑り、


「着いたよ!」


 脳みそを直接捕まれるような不快な浮遊感に襲われ顔をしかめた数秒後、シェンジェンの声を聞き彼らは目を開け見る事になるのだ。


 真っ白な石を削って作られた荘厳な建物の数々。


 老若男女に加え様々な亜人が差別なく平等に笑いながら暮らす姿。


 何より真っ白な城の後ろに聳え立つ緑生い茂る世界樹。


 その全てを備えた地。


 前神の座イグドラシルから続き、世界の中心として君臨する大都市。


 ラスタリアへと彼らは辿り着いた。

 

ここまでご閲覧いただきありがとうございます。

作者の宮田幸司です。


ベルラテス編、終了。

そして彼らの旅は佳境、蒼野らが座すラスタリアへと向かいます。

ここからは六章から始まる本番戦の前段階。

少年編に出てきた登場人物が続々と出てくるターンとなります。


立場の変化や心境の変化など、色々な変化をみられるので、好きなキャラクターが出るのを楽しみにしていただければ幸いです。


それではまた次回、ぜひご覧ください!

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