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後半戦 ダイジェスト


 トップを走る第二高校とその後ろを走る第七高校による衝突。

 第一位と第二位による最終戦。


 この二つが重なった事により大きな反響を呼んだ午前の部が終わった後、昼休憩の時間が訪れる。 


「じゃあなシェンジェン。今日はいい物を見せてもらったよ」

「もう帰っちゃうの? もう少しゆっくりしていけばいいのに………………」

「お前自身言ってたじゃないか。『暇なのか』って。あれに今答えるが、俺も暇じゃないんだ。午後からはまた仕事だ」

「そっか。残念」


 その時間になると解説まで行っていたレオンも去り、エヴァとシュバルツも撤退。

 アイリーンだけは残ってシェンジェンの近況を聞いていたが、そんな彼女も昼休憩の時間が終われば『ワンダネスハイランド』から引いていった。


 その後、午後の部の一番最初に行われたのは夏休み特別企画というもので、合計六回の対抗戦では足りない部分の勝負をここで開催。

 代表選手を選び一騎打ちが行われる事になるが、第七高校の代表としてシェンジェンが出場。


「アチョー!」


 危なげなく対戦相手である第八高校の代表選手を仕留め、これで第七高校の総合成績は十勝一敗に。

 午前中に熾烈な争いを繰り広げた第二高校も未だ余裕があった天致勇美が出場する事で勝利し、第二高校と並び十勝一敗を維持。

 この二校なおも優勝候補として残る事になった。


『さあ選手たちよ続けていくぜぇ! ここからは本来行われる予定だった後半戦! 既にバテてる連中もいるかもしれないが! 気合入れて勝負に挑めぇぇぇぇ!!」


 この直後に本来行われる予定であった後半戦へと突入。

 各校の代表選手たちはこのタイミングで今回の対抗戦の目的に『層の厚さのアピール』と『持久力』が含まれていることを悟り、疲労困憊ではあるものの戦い抜くため舞台に上がったのだが、このタイミングで第七高校の秘策が炸裂した。


「待て! 待て待て待て待て! それはズルいだろうお前!?」

「問答無用! 今回は全勝させてもらうよ!」


 午前の部では気づくのが遅れたため行えなかった手段であるが、今回の戦いは第二高校が行ったように不正を行う事が許されており、その効果を最大限に発揮した場合、以下のような事も可能なのだ。


「なんで大将のヌーベ・レイがあっちに行ってるんだよ!? おかしいだろうが!!」

「いやいや。代表選手が外に出ちゃいけないなんてルールはないよ。まぁもし出場選手として選ばれたら不戦敗になるわけだけどさ、そこらへんは出場選手の欄を弄ればどうにでもなるしね」

「ち、チクショーッ!!」


 午前中はイレを中心としたメンバーに任せていた運営への襲撃と勝負に関する操作に、今回はヌーベも参戦。

 やって来た対戦相手である第五高校の刺客全てを退け、選ばれる両校の選手に戦場を、自分達有利なものに変化させ続けた。


「ホワチョー!」


 結果、一回戦には万全に近い状態のシェンジェンが出場。


「ホワチョチョー!!」


 二回戦もシェンジェンが出場で、


「アチョチョチョチョッ!!!!」


 三回戦にも四回戦にも、五回戦にもシェンジェンが出場し、なんの山も谷もなく完勝。

 第七高校は十一勝一敗という華々しい戦果を刻む事となった。


「俺にも代われっての」

「午前中に三回も出たんだからさぁ、ここは後輩に譲りなよ先輩ぃ」

「こういう時だけ人を先輩扱いするんじゃねぇ」


 無論不満の声はあがるものの『勝利』の二文字を前にすればそれ以上に文句を言う事は出来ず、いち早く対抗戦を終えたシェンジェンと我龍は、肩を並べて『ワンダネスハイランド』内を歩いていた。


「ぐ、うぅ………………」

「この人は!」


 その最中の事である。

 音を超える速度で彼らの前をボロボロになった刃渡東一郎が横切ると、何度かバウンドした末に午前の部の終了と共に直されていた伝言掲示板の内の一つに衝突。

 上半身を持ち上げたかと思えば力尽き、意識を手放す結果に終わる。

 

「こいつh刃渡東一郎!? 俺が一回戦で戦った奴だ! かなり強かったこいつがここまでボロボロになってるだと!?」


 その結果に動揺するシェンジェンと我龍であるが、驚くべきことはまだ続く。


『し、試合終了! 試合終了です! これは驚き!! 午前の部で敗北した第七高校にリベンジを誓っていた第二高校が! ここで敗北! その結果彼らの成績は十勝二敗に! つまりつまりぃ――――――この時点でほぼ! 第七高校の優勝が決まったぁぁぁぁ!!」


 前半で彼らを苦しめた第二高校が、後半戦において敗北。優勝争いから脱落したのだ。

 その結果があまりにも信じられず、二人がこれまでの試合経過を付近のモニターで見てみると天地勇美が出た二回戦を除き、全て敗北するという大敗を喫していた。


「相手はどこのどいつだ!!」


 この事実が信じられなかった二人は、両校の代表が集まってる現場へと急いで移動。


「クソが。無駄に多いんだよ!」


 数秒で辿り着けば同じ思いの者達が多く、人混みが出来上がっていた。


「よし! その巨体を生かして突き進め!」

「てめぇ後で覚えとけよ………………」


 それらを崩して突き進むために、シェンジェンは我龍を盾にしながら前へ。

 苛立ちを募らせるもののシェンジェンと同じくこの事態の真相が気になる彼は、不平不満こそ漏らすものの前に進み出し、数分かけて最前列まで移動。


「見たところ際立って強い奴はいないようだがな。マジでどうやって勝ったんだ?」


 代表四人を見た彼は素直な感想を漏らすのだが、隣に居るシェンジェンの様子は大きく異なる。


 なぜなら第二高校が戦った第四高校の選手の内に見覚えがあった。


 実際に会った事はない。

 けれど『要注意人物』として、シェンジェンは彼の存在を教えてもらっていたのだ。


「おかげで勝てました! ありがとうございます!」

「ま、万年最下位争いの俺達が、毎年優勝候補に挙がってる第二高校に勝てるなんて………………い、一生の思いでです!」


 身体的特徴に目立つような点はなく、判別する要素があるとすれば声くらいなのだが、放っている空気が、自身の体を貫く覇気が、己の至った答えに間違いはないと訴えかけていた。


「あいつは………………………………!」


 そこにいたのは蒼野らがたった一度だ神の座イグドラシルとの最終決戦に至る直前に出会った人物。

 決して遭遇するはずのない過去の偉人………………どころの話ではない。

 ガーディア・ガルフやゴットエンド・ハーティスさえ敵わない、惑星『ウルアーデ』において最古にして最大最高の傑物。


「おいおいこの驚いてもらっちゃ困るなぁ! この僕の知恵で! 君達こそが全ての高校で最高の戦士であると証明してあげようじゃないか!!」


 賢者王を名乗る少年が今、シェンジェンの視線の先に君臨していた。

ここまでご閲覧いただきありがとうございます。

作者の宮田幸司です。


ここまで少々不穏な事はあれど惑星『ウルアーデ』の日常を描き続けてきた五章ですが、ここにきてついに大きな動きが発生。

四章で一度だけ顔出しした賢者王を名乗っていた少年。

彼が超驚きの再登場となります。


突如現れた理由は?


ここで何をしているのか?


次回以降で語っていただければと思います。


それではまた次回、ぜひご覧ください!

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