表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第二部完結】クリムゾン・コート・クルセイド―紅黒の翼―  作者: アイセル
第二章 Ambush

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/257

混迷―⑦―

 肥満太りをした“政市会”の男が両腕を突き出し、“スウィート・サクリファイス”の銃撃をロックに見舞う。


 ロックは、“磁向防スキーアフ・ヴェイクター”を展開しつつ、両腕を頭に交差させる。


 銃撃をかい潜りながら、“政市会”員である肥満男の間合いに到達。


 ロックは右肘を上から振り下ろし、肥満男の左腕を下す。


胴への守りを開けた後、頭に向け肘の迫撃砲を放った。


 肥満男は仰向けで倒れようとするが、ロックは男の丸々とした胴から伸びる右手で左腕を掴む。


 すかさず、ロックは肥満男の背後に回り込んだ。


 左腕をねじりながら肥満男の後頭部を鷲掴みにして、


「少し()()を仕立ててやるぜ!!」


 ロックはそう言って、肥満男を盾に突進。


 前方には“政市会”員たちが、“スウィート・サクリファイス”を構えている。


 肥満男が拒絶の声を上げるが、“政市会”員たちは()()()()()()()()()()()()()()()()


 間もなく、“スウィート・サクリファイス”の一斉射撃の弾幕が展開。


 弾雨が肥満男に降りかかる。


 肥満男の盾を構えロックは、“スウィート・サクリファイス”の弾幕を張る第一陣に突入。


 射手の一人と衝突すると、ロックを避けるために他の”政市会”員は蜘蛛の子を散らす様に避ける。


 ロックはすかさず、右側へ肥満男の盾を大きく振った。


 間合いを取ったと思い込んだ20代の量販店のライトダウンベストの男の顔面と、ロックの拘束する肥満男の顔面が命中。


 互いの歯片と血を散らしながら、ライトダウンベストの男を弾き飛ばす。


 ロックは時計回りに肥満男を振り回した。


周囲から放たれた“スウィート・サクリファイス”の銃撃を防ぎきる。


左手にいた、白身がかったデニムを履いた20代の女と薄手のニットを着た40代の女に、血まみれの顔となった肥満男を左足で蹴り飛ばす。


足蹴にされた肥満男が、女性二人を押しつぶした。


間合いを詰め切られ、20代の若い男二人がロックに肉弾戦で勝負に出ることを選ぶ。


 手前の男が左足を前に、右拳を振りかぶった。


 ロックは前傾姿勢で、男の拳よりも素早く潜り込む。


 鉄板を仕込んだ右足で、支柱としていた男の左膝を蹴り潰した。


 一人目の男が膝を抱え、体全体を使って叫ぶ。


二人目の男がその声に驚いた隙を突いて、ロックの右拳の突風が吹いた。


顎を抉らんばかりの一撃が、慣性の法則に従い男の身体を吹っ飛ばす。


背後の“政市会”会員も大の字に宙を舞う男に巻き込まれる形で、倒される。


 倒された”政市会”員の眼に、()()()()()のロックが映った。


会員たちは――男女問わず――重くなった腰を上げ、背を向ける。


 そこに、炎が“政市会”会員に続く。


 ロックは炎の出所にすかさず移動。


 赤い人型とトルクを着た背広の男性に、ロックは両肘を前にした突進を仕掛ける。


 男は衝撃で盛大に体幹を揺らした。


 前後に揺れ、顔がロックに迫ると、右肘の迫撃砲で突き上げた。


 ロックの攻撃で倒れる男。


 その背後にいた、“政声隊”の隊員にロックは攻撃の手を止める。


 ロックの目の前にいたのは、少女だが呆然としている。


 そして、立つことすらもやっとの状態に思えた。


ロックが、彼女が“S.P.E.A.R.(スピア)”の代表である二つ結びの少女、秋津 澄香と認識するのに時間がかかった。


 S.P.E.A.R.(スピア)の代表と言われる、秋津 澄香という二つ結びの少女には人型は愚か、首元のトルクすらない。


 しかし、彼女は言葉にできない何かに息を詰まらせている様な顔をして、彼女全体学問の色を帯びている。


 ロックが一歩踏み出すと、土瀝青(アスファルト)が弾けた。


 “スウィート・サクリファイス”の弾丸と分かると、ロックは飛んできた方向を見据える。


 視線の先にいたのは、上万作(あまんさく)学園のブレザーを着た青年――堀川 一――だった。


 彼の腕に付けた羊の頭蓋の眼は、震えながらもロックを見つめ返す。


「……なんで?」


 呆然と聞き返したのは、秋津の方だった。


 彼女はまるで、自分の記憶全てを消され、荒地に放り出されたような顔を堀川に向ける。


 “政市会”と“政声隊”。


 二つの団体は、対立する。


 そして、ロックに立ちはだかる“政市会”の堀川は、秋津の問いに答えない。


 いや、()()()()()()


 まるで、答えたら、自分がここから消えかねない。


 彼の蒼白な顔に汗が出始め、不規則な呼吸が出ていた。


 それでいて、堀川のロックを見据える鋭い視線は、彼が秋津へ接触するのを拒んでいる。


「ロック……どうするつもりだ?」


 後ろから問いかける一平の声にふと驚き、振り向いた。


 “政市会”と“政声隊”――厳密に言うと、S.P.E.A.R.(スピア)も含まれているのだろうが――が、“スウィート・サクリファイス”と“コーリング・フロム・ヘヴン”の応酬をしている。


 しかし、そんな雑音にまみれ、闘争心の渦の中心にいたロックの中で、一平の声が一際、澄んでいた。


「……掛かって来ないなら、何もしない」


 ロックはぶっきらぼうに答える。


 ロックとしては、秋津は愚か堀川も攻撃対象には含めるつもりはなかった。


 ロックの目の前の堀川は、“スウィート・サクリファイス”を構えつつも、どこか安堵した表情を浮かべる。


 しかし、堀川と秋津の眼が強張った。


 彼らの目に映る、ロック。


その背後にいた、“スウィート・サクリファイス”を構える“()()()()()


“スウィート・サクリファイス”の狙いは、秋津を捉えていた。


「ちょっと待って!!」


 堀川の目に映るのは、秋津を狙う“政市会”会員の迎撃を試みる一平。


 しかし、彼が“ライオンハート”を構えた時には、“スウィート・サクリファイス”に既に青白い光が宿っていた。


 ロックは青白く光る羊の頭蓋へ駆ける。


 青白い敵意の光が放たれる寸前。


「ロック!!」


 凛とした声が響き、“政市会”会員を無数の光が包み込む。


 それから、煌きと爆轟が炸裂。


 “政市会”会員の男は、意識を刈り取られて、その場に倒れた。


 ロックは、倒れた“政市会”会員の背後に立つ少女を見た。


「サキ」


 女子用ブレザーを着た、黒い髪と眼の少女の名を呼ぶ。


「サキ、それ何?」


 一平が素っ頓狂な声を上げる。


一平の興奮は、まるで新しい玩具を目にする子供のようだが、サキは手にしている得物について答えない。


「“プロジェクト:信念(フェイス)”……こんなところにまで持ち込むかよ……」


 サキが手にするのは、蒼く大きな片刃に、軽機関銃の把手の付いた“命導巧(ウェイル・ベオ)”。


「ロック、止めて。そして、投降して」


 サキの持つ“命導巧(ウェイル・ベオ)”、“フェイス”と同じくらい鋭い眼差しが舌打ちするロックを捉えた。

面白ければ、評価、ブックマークをお願いいたします。



© 2025 アイセル

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ